タイトル 地底旅団ROVER元老院第392回CAVING
サブタイトル 第7次日原地区洞窟所在地確認調査 at 奥多摩町
分 類 調査ケイビング
入洞洞窟 倉沢のこうもり穴第3洞、こうもり穴第2洞、倉沢のふし穴、倉沢の耳の穴、倉沢奥野穴、倉沢対岸窟
日 程 2022年11月12日(土)〜13日(日)
参加者 千葉の、細野、村野、山口真也(東山ケイビングクラブ)、櫻田真人(東洋大学探検部OB)、芦田宏一、林田敦、深田秀夫、飯島麻衣、高井宏恵(以上、パイオニアケイビングクラブ) 以上10名
倉沢林道東京都西多摩郡奥多摩町日原地区には、観光洞「日原鍾乳洞」や「日原三又洞」「ちょうちん穴」など大小81洞の洞窟が報告されている。そのうち、倉沢地区では旧観光洞「倉沢鍾乳洞」を含む32洞が報告されていたが、第1次調査(地R元第381回CAIVING)では、「倉沢無名洞」と「倉沢ねずみ穴」、「倉沢三山穴」と「林道の穴」が同一であることを確認した。
第2次調査(地R元第383回CAVING)第3次調査(地R元第384回CAVING)では、目的とした既存洞窟へはたどり着けなかったが、「倉沢の鹿穴」を確認した。
第4次調査(地R元第385回CAVING)では、「御神仏の穴第1洞」「御神仏の穴第2洞」を確認、日原出土銭を複数回収した。
第5次調査(地R元第387回CAVING)では、倉沢谷左岸エリアのルート工作を完了し、「[仮]倉沢の小穴」を測量した。
第6次調査(地R元第388回CAVING)では、倉沢谷左岸エリアの「[仮]倉沢のこうもり穴第3洞」を測量した。
今回はパイオニアケイビングクラブとの合同調査を行い、本エリアの洞窟整理(位置や同一洞窟であるか否か)を目的とした。


12日7:30、JR東小金井駅・南口ロータリーにて細野・山口・櫻田が合流。
リトルマーメイド 東小金井駅店にて夕食用バタールを購入。アルバイト女子大生は好感度接客だが、カットの仕方が恐ろしくぎこちない。
細野車ランドクルーザー80にて出発。

8:00、千葉宅にて合流。確認しながら装備を積み込む。
千葉車デリカと2台体制で出発。

9:00、オザム 友田店に到着。いつも立ち寄るTAIRAYA 吉野店よりは品数が多い。今後はこっちのスーパーにしよう。5人分の昼夕朝昼の食材13000円分を購入。

11:30、「倉沢鍾乳洞」付近の幕営地に到着。荷下ろしをしてから昼食を取る。日差しがあって温かく、平和な時間を過ごす。

12:15、活動準備。初SRTである櫻田の装備確認。

13:00、活動開始。千葉・山口は涸れ沢のリギング、細野・櫻田は石灰岩転石を使ってのSRT訓練。

13:15、立木からリギング開始。山口は毎回このルートを張っており、手際よく降りていく。

14:00、第1テラス(「[仮]倉沢のこうもり穴第3洞」の前)に到着。山口は引き続きリギングを行い、千葉は「[仮]倉沢のこうもり穴第3洞」の追加スケッチを行う。

15:00、千葉はスケッチを終えて第2テラスに到着。山口はトラバースラインを張っていた。
第2テラスと第3テラスの中間、涸れ沢下流側壁面に取りついて確認すると、わずかな暗部、洞窟珊瑚、コウモリグアノはあるものの、あちこち開口していて、洞口表現が難しい。これが「こうもり穴第2洞」のような気がする。

15:30、第3テラスから倉沢谷までリギング。

16:00、リギング完了。SRT訓練していた櫻田も体得したようである。

16:30、着替えて温泉を目指して一旦下山。

17:00、三河屋旅館に到着。本日は満室のようで日帰り入浴を断られそうになるが、「来たことある?なら急いで入ってきちゃいな」の一言で入泉。おばちゃんありがとう。

17:30、ここでピックアップ予定の波多腰@東京農業大学探検部OBに連絡を取ると、日中の活動でマダニに首をかまれているとのこと。奥多摩病院では断られたとのとこだったので、我々が除去してやるから来いと言ったが、別の病院で取ってもらい、翌朝合流するとのことだった。

18:00、幕営地に戻って夕食。今回もアヒージョ×3。櫻田(26)の恋話にオジサンたちは歓喜、酒も進む。

24:00、3密回避で個別に消灯。
倉沢林道 倉沢谷左岸 こうもり穴第2洞
初日は4名活動 涸れ谷へと降りるピッチヘッド たぶん「こうもり穴第2洞」

13日7:00、起床。朝食。

7:30、幕営地を撤収。

8:00、予定時刻よりも1時間早く村野が合流。さすが裏切らない。波多腰は夜のうちにマダニ除去をしてもらえず、ドタキャンとのこと。ま、仕方ない。

8:30、パイオニアケイビングクラブ合流まで1時間があるため、千葉は櫻田のSRT実践を行うことにする。
涸れ沢のピッチヘッドへ移動、まずはガレ場斜面を降りると、フレイノを反転させて使用していることが発覚。指導。第1テラスへ降下すると、フレイノへのロープの通し方が違っていることが発覚。指導。その後もビレイの取り方を教えながら順調に降下。櫻田は筋がいい。

9:30、談笑する細野・村野・山口の所へ林田君@PCCが合流。Gクラスの助手席には寝ている女性。二言三言会話して、林田君は林道を戻っていく。何しに来たんだろう(苦笑)。

10:00、千葉・櫻田はSRT実践を終えて幕営地へ。あれ、パイオニアケイビングクラブがまだいない。

10:30、予定より1時間遅れてパイオニアケイビングクラブ登場。久しぶりに再開する芦田さんと挨拶。その後、自己紹介。
簡単に芦田さんとブリーフィングし、人数も多いので倉沢谷右岸班と左岸班に分かれて活動することにする。


【倉沢谷左岸SRT班(千葉・細野・櫻田・林田・飯島・高井・芦田)】
11:15、活動開始。
まずは対岸(倉沢林道)より、芦田さんと深田さんから発見当初の話を聞く。どうやら、河床からフリーで崖を直登、「倉沢のこうもり穴」を発見したらしい。まだ測ってはいないが比高50mはありそうだ。ロープを張ったこの涸れ沢にあることは間違いないことを確認。
芦田さんはこのまま林道に残り、トランシーバーで指示を出す役目に徹する。

11:30、涸れ沢のピッチヘッドへ移動。林田君が立木からリギング開始。アメリカンスタイル。

倉沢のふし穴
洞内より「倉沢のふし穴」
12:00、「倉沢のふし穴」に到着。高井さん、飯島さんと続き、千葉がディヴィエーション2ヶ所を追加。細野、櫻田と続く。
この洞窟は涸れ沢上流側の壁面に開口し、上からも下からも、涸れ沢リギングルートからも見えない。よく見つけたもんだと感心。
総延長は10m弱。洞内は汚れておらず、フローストーンが確認できた。
林田君がサクサクっとスマホで3D測量。このままでは紙媒体報告書には適しないが、3Dなのでわかりやすく、何よりも早い。精度も良さそうだ。これ、地R元に若手が入ったら導入しよう。

12:30、順次そのまま降下して、涸れ沢第3テラスに到着。足元に開口する第5次調査で測量した「[仮]倉沢の小穴」は「倉沢の耳の穴」であると確認する。

13:00、芦田さんと無線連絡。第1テラス(「[仮]倉沢のこうもり穴第3洞」の前)から、「倉沢のこうもり穴」へアプローチしたらしい。これで「倉沢のこうもり穴」、その下は「こうもり穴第2洞」であることを確認する。同時に第6次調査で測量した洞窟は「倉沢のこうもり穴第3洞」と確定した。

13:30、「倉沢のこうもり穴」へのリギングは時間的に無理と判断、撤収作業を開始する。
細野を残して他は河床まで順次降下。その際に林田君から「倉沢のたつ穴」「倉沢の鼻の穴」の位置を教えてもらう。その下にも数メートルの横穴が開口していた。これも測量対象か。

14:00、細野・林田はデリギング。
千葉・櫻田は岩壁に無数に開いている隙間をチェック、大きめ目の隙間に入ると、「倉沢奥野穴」に酷似していた。スケッチ漏れしているが間違いないだろう。
続いて「倉沢の水穴」に入洞。この洞窟は信仰対象なので何か痕跡はないかと探していると、ナチュラルブリッジに鉄錆の沈着を発見した。明らかに古銭のものである。薄くなった古銭そのものであるようにも見える。なんにせよ日原出土銭であろう。

14:30、幕営地に到着。林田君もほぼ同時に到着。
芦田さんによる「まだ時間があるので(倉沢)対岸窟へ行って来たら?」との提案。余計なことを(苦笑)。千葉は櫻田・飯島を連れて「倉沢対岸窟」へ向かう。岸壁直登ルートは近いが危険なので(千葉は無理)、迂回ルートを選択。
アプローチ中にデリギングを終えた細野とすれ違う。毎回ご苦労さん。

15:15、櫻田・飯島は急斜面の昇降、トラバースにてこずりながらも「倉沢対岸窟」に到着。櫻田・飯島は入洞。

15:30、出洞。またてこずりながら急斜面を降りる。

16:00、幕営地に到着。感想は洞窟規模とアプローチが見合わないとのこと(笑)。


【幕岩山狩り班(村野・山口・深田)】
11:30、「倉沢対岸窟」下の幕岩基部より入山。村野を先頭に山を登り始めるが、深田さんがすぐに抜かしてずんずんと先に進んでしまう。村野も山口も深田さんの登山ペースについていけない・・・。
途中の休憩で、深田さんから「小白竜窟」の名前の由来を伺う。なんでも発見当時に放映されていたテレビアニメ「超時空要塞マクロス」の劇中歌「小白竜(シャオ・パイ・ロン)」から取ったということらしく、時代を感じさせるものであった。

12:00、幕岩北側の尾根をたどり、「[仮]幕岩の謎の穴」のある谷の上部に到達。ここで深田さんは急な斜面をスルスルと降りてしまい、「ここに穴がある」と教えてくださる。
村野も迂回して行こうとするが、うまいルートを見つけられず。結局、山口が深田さんの降りたルートにロープを張り、ようやく到達することができた。
この洞窟は岩壁の中腹に開口し、ほぼ垂直に3mほど下って終わっている。
深田さんは約40年前の記憶を引き出しながら、さらに別の洞窟に案内してくださる。2つ目の洞窟は、内部は確認していないが若干下に潜ってから上に登り返す穴のようで、ここも洞口まで短距離ながら急な斜面をトラバースする必要があり、なかなかエグい場所にある。

13:30、昼食。深田さんから「日向和田の穴」のことなどを伺いながら空腹を満たす。

14:00、活動再開。深田さんから本日3つ目の洞窟を案内していただく。クラック状の狭い穴だが、ここは第5次調査で確認した「[仮]幕岩の穴第4洞」の裏側に位置しており、もしかしたら内部でつながっているのかもしれない。

14:30、下山に向けて動き始める。最後に「[仮]幕岩の謎の穴」を下から臨める谷底に到着。ここからは今までも何度かアプローチを試み、断念してきたのであるが、深田さんはここをもやすやすと登ってしまい、とうとう洞口までたどり着いてしまった。村野も山口も呆気に取られて眺めているばかりだったが、どうやらこの洞窟が「小白竜窟第1洞」であったようだ。付近には直径1m、深さ5mほどの竪穴もあるということで、次回調査時には確認したい。

15:00、山口は先に下山。村野も深田さんの戻るのを待ってから下山する。

15:30、幕営地に到着。


16:30、パイオニアケイビングクラブが一足先に撤収。お礼と共にまた一緒に活動することを約束。飯島さんには「倉沢対岸窟」を案内したという貸しポイント1を進呈。

17:00、装備を積み込んでいるとビニール袋がひとつあった。なかには車両の鍵、スイカやクレジットカード。飯島さんのものである。急いで林道を下る。

17:30、倉沢林道起点付近にて戻ってくる林田車と遭遇。もう一台の車両の鍵だったようで、帰るに帰れない状態であった。飯島さんには貸しポイント2を進呈。
地R元は撤収。村野は離脱。

17:50、鳩の巣釜めしに到着。閉店40分前であったが入店することができなかった。残念。

19:00、東京亭 昭島店にて活動報告をしながら夕食。

19:30、解散。


この合同活動により以下の成果が得られた。今後は未測量洞窟の測量、倉沢谷左岸の涸れ沢地上測量、幕岩山狩りによる小穴の確認を行う。(文責 千葉伸幸・村野哲雄)
倉沢のふし穴 倉沢奥野穴 倉沢の水穴
「倉沢のふし穴」 たぶん「倉沢奥野穴」 たぶん日原出土銭の鉄錆

洞窟名 別名・地R元仮称   測量状態
倉沢のこうもり穴   位置確認 未測量
こうもり穴第2洞   位置確認 未測量
倉沢のこうもり穴第3洞 [仮]倉沢のこうもり穴第3洞 新洞 地R元測量
倉沢のふし穴   位置確認 PCC測量
倉沢の耳の穴 [仮]倉沢の小穴 位置確認 地R元測量
倉沢のたつ穴   位置確認 未測量
倉沢の鼻の穴   位置確認 未測量
(無名)   新洞 未測量
倉沢奥野穴   位置確認 東京洞穴研究会測量
倉沢の水穴 本宮真宮役行者岩屋、秡戸の窟  古銭鉄錆確認  東京洞穴研究会測量
小白竜窟第1洞 [仮]幕岩の謎の穴 位置確認 未測量

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