タイトル 地底旅団ROVER元老院第383回CAVING
サブタイトル 第2次日原地区洞窟所在地確認調査 at 奥多摩町
分 類 調査ケイビング
入洞洞窟 倉沢三山穴(林道の穴)、登竜橋の穴
日 程 2021年11月27日(土)〜28日(日)
参加者 千葉の、村野て、細野、奥沢、山口真也(東山ケイビングクラブ)、平間弦、大倉優芽、児玉純也、野口明日美(以上、東京農業大学農友会探検部) 以上9名
倉沢林道東京都西多摩郡奥多摩町日原地区には、観光洞「日原鍾乳洞」や「日原三又洞」「ちょうちん穴」など大小74洞の洞窟が報告されている。そのうち、倉沢地区では旧観光洞「倉沢鍾乳洞」を含む30洞が報告されており、前回の調査(地R元第381回CAIVING)では、「倉沢無名洞」と「倉沢ねずみ穴」、「倉沢三山穴」と「林道の穴」が同一であることを確認した。
本活動は、幕岩周辺の倉沢谷右岸エリア、「倉沢のたつ穴」上方の倉沢左岸エリアにおける既存洞窟確認を行い、今後の調査の基礎資料を作成することを目的とした。


27日18:00、JR西府駅(千葉・奥沢・野口)、 JR東小金井駅(細野・平間・大倉・児玉)にそれぞれ集合する。平地とはいえ11月の空気は冷たく、奥多摩の気温を想像すると今から鳥肌が立つ。
千葉デリカ、細野ランクルはそれぞれ奥多摩に向けて出発。

18:40、オーケー 立川富士見町店に集合、買い出し。夕食の献立は学生に一任、春巻きの皮がカートに入れられているが一体何を作るのやら…。

20:30、セブンイレブン 奥多摩古里店にて、ピカピカのレクサスに乗った山口さんと合流する。

21:15、倉沢林道を進むも転石多数、路面の荒れ具合も酷い。千葉車と細野車は難なく進むが、山口レクサスは難儀する。翌朝合流予定の村野車は通過できないかもしれない。

21:30、倉沢鍾乳洞付近に到着。設営。

22:30、学生が中心となり夕食を作り始める。今回の献立はキムチ鍋と白飯。温かい鍋がとても身に染みて旨い。更に大倉が春巻きを揚げ始める。こんなに手の込んだものが食べられるとはビックリだが、こちらも美味しく食す。
気温が低いうえに風が冷たく、時折タープテントが飛ばされるぐらい強風も吹く。ワインやお湯割り、熱燗などで身体を温めるが寒かった。

27:00 計画書通りに消灯。気温は1℃。

28日7:45、起床。寝袋から出たくないくらい朝も冷える。

8:30、朝食は昨日のお鍋でおじやをいただく。そこへ村野が爽やかに合流。村野カローラツーリングワゴンも荒れた倉沢林道を登ってきた。

9:30、千葉・村野・細野はいち早く活動開始。
まずは倉沢林道から「倉沢のこうもり穴」への降下ポイントを確認する。木の枝にはピンクリボンがつけられており、良い目印になりそうである。
続いて「林道の穴第2」と思われる洞口を確認。林道からの比高は+4m程度だが、取り付きが+1.5mほどの足場の少ない段差となっており、朝の体の硬いおじさんには登れない。次回、脚立を持参してアプローチすることにする。
次に古文書で見つけた「山王」なる洞窟を探しに向かう。絵図によると「倉沢鍾乳洞」下流、左岸にあるという。まずは倉沢林道からの目視を行いながら源五郎滝下流まで行き、そこから倉沢谷本流に降りて遡行していく。しかしながら洞口らしきものは何も見当たらず、結局「倉沢鍾乳洞」まで戻ってしまった。そもそも石灰岩もない。途中には大きな砂防ダムがあるため、土砂に埋没してしまったのだろうか。残る可能性は「倉沢鍾乳洞」のすぐ下流に左岸側から合流する沢であるが、ここの探索は次回に持ち越しとした。

10:45、撤営も一段落したところで集合写真撮影をする。奥沢の新品のケイビングスーツとSRT装備が眩しい。
撮影後は2班に分かれて活動開始する。


【幕岩山狩り班(千葉・村野・平間・大倉・児玉・野口)】
11:00、活動開始。目的は「御神仏の穴」「小白竜窟」の洞口確認である。
源五郎滝まで倉沢林道を下り、そこから倉沢谷右岸のガレ沢「幕岩沢」を登っていく。標高870m付近で幕岩南面基部に到達。 東京洞穴研究会から頂いたプロット図によると、この手前(標高825m)に洞窟があることになっているが見つからない。

12:30、昼食休憩を挟みつつ、幕岩基部に沿って山を登りながら手分けして探索する。隙間や溶食跡はいくつか確認できたものの、肝心の「御神仏の穴」「小白竜窟」らしき洞口は一向に見つからない。
大倉・児玉・野口は先に下山することとし、千葉・村野・平間は更に上方を探索する。しかし、標高1000mあたりまで来ても何もなく、標高1200mまで行けば「倉沢の鹿穴」もあるようだが、残り時間も少なくなってきたし、何よりも気分が萎えてきたため下山することにした。
下山途中、再び標高875m付近を探索したが、その周囲は杉の植林となっており、どう考えても洞口があるような場所ではない。周辺を軽く探索しつつ、さらに下山を続ける。
標高850m付近で、先に下山を開始していた3人と合流。斜面を少し下ったところ(標高840m)で、千葉・平間が岩体の割れ目の上部に洞口らしきものを確認する。ただしアプローチが難しく、次回の課題とした。
途中、クライマーの方と情報交換。

15:00、倉沢林道に到着。ちょうど「倉沢鍾乳洞」入口の地点であり、「倉沢対岸窟」よりもだいぶ下流である。同じ幕岩でも、結構な幅があることを実感する。次回は「倉沢対岸窟」側から山を登ってみたい。


【倉沢谷左岸SRT班(細野・奥沢・山口)】
11:10、 SRT装備を準備してから活動開始。目的は「倉沢の水穴」「倉沢のたつ穴」の上部にあるとされる「倉沢のこうもり穴」等の小洞窟群である。
倉沢林道からロープ降下ポイントを遠目で確認し、魚留橋で左岸へと渡り、尾根への取り付き部分まで行く。ここはクライミングゲレンデとなっており、声をかけながら尾根のロープ下降ポイントまで登っていく。

11:30、小洞窟群上部(標高800m)に到着する。林道から遠目で確認した際には気が付かなかったが、ロープ支点となる木は中央の谷筋には乏しく、小洞窟群まで達するためには両脇の露岩にロープセットするためのアンカー類が必要だったと分かる。
とりあえず、山口がリギングして20mロープで谷の中央部あたりまで下降する。順に細野・奥沢もそれぞれ下降し、谷中央部から秋の倉沢の景色を堪能する。そして撤収。

13:30、倉沢林道の日当たりの良い所で昼食をとってから、小洞窟群の岩体を下部から確認するため「倉沢のたつ穴」付近へ行ってみる。やはり下からでもよく分からなく、また落ち葉で足場が悪かったため、小洞窟群の確認は次回以降に持ち越しとした。
車両まで戻り、その.付近斜面にて奥沢のリギング練習をする。


15:00、2班合流。
結局、両班ともに洞窟に入ることができなかったため、すぐ近くにある「倉沢三山穴(林道の穴)」へ行く。洞口は頭の少し上くらいの高さで、取付くまでが微妙に難しいうえに体を捻じ込まないと入れないくらい狭い。平間が何とか入洞して奥まで入っている隙に、千葉が洞口に石や木を突っ込んだりして邪魔をしていた。
その後、撤収作業をして倉沢林道を後にした。

16:00、まだ日も落ちていないため、山口以外は前回の調査で確認ができなかった「登竜橋の穴」にリベンジしに行く。千葉が予備調査で怪しいところを見つけたらしい。
大倉がのぞいたところ石灰洞で、規模も一致する。写真とGPSを記録。プロット図では日原トンネル西口の北側斜面にあったが、まさかの反対側に開口していた。この洞窟を発見した当時は"旧"日原トンネルだったはずなので、「トンネルを出て右側」という点は一致する。プロットし直したときに間違えたのかもしれない。
「農大で測量してね」と言って、現地解散とする。

17:00、セブンイレブン 奥多摩古里店にて千葉車と細野車は再会。

18:00、東京亭 昭島店にて千葉車と細野車はまさかの再々会。夕食を取ってから本当に解散となった。


倉沢地区での洞窟確認はお預けとなってしまったのでまた次回調査こそ成果を得られるように備えたい。児玉・野口は今回が初のケイビングだったが大いに山狩りを楽しんでくれたと思う。何より久しぶりの活動であったため、みんなで鍋を囲っただけでも良い活動だった。また次回の献立にも期待したい。
なお、後日に古文書を再度確認したところ、「山王」は洞窟ではなく、山王権現社の可能性が高いことが分かった。(文責 奥沢香那・村野哲雄・千葉伸幸)

追記。倉沢林道を往復した村野カローラツーリングワゴンはマフラーの遮熱板とフロアブレース破損で修理代3万円、山口レクサスはフロントバンパー破損とパンク×2で修理代19万円となった。
倉沢谷左岸 倉沢谷 倉沢谷右岸 幕岩沢・幕岩
気温3℃のなかキムチ鍋製作中 倉沢谷で「山王」を探す 急斜面を幕岩基部まで登る
倉沢谷左岸 倉沢三山穴(林道の穴)・洞口 登竜橋の穴・洞口
急斜面をSRTで降りるも・・・ 農大と「倉沢三山穴(林道の穴)」 やっと見つけた「登竜橋の穴」

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