タイトル | 地底旅団ROVER元老院第384回CAVING | ||||||||||||
サブタイトル | 第3次日原地区洞窟所在地確認調査 at 奥多摩町 | ||||||||||||
分 類 | 調査ケイビング | ||||||||||||
入洞洞窟 | 倉沢対岸窟、倉沢の鹿穴、倉沢近辺の穴、倉沢の水穴(倉沢鍾乳洞の一部)、倉沢近辺の穴、[仮]幕岩の穴第2洞、[仮]倉沢のこうもり穴第3洞 | ||||||||||||
日 程 | 2021年12月29日(水)〜30日(木) | ||||||||||||
参加者 | 千葉の、村野て、細野、奥沢、落合直之(東京スぺレオクラブ)、山口真也(東山ケイビングクラブ)、平間弦、大倉優芽(以上、東京農業大学農友会探検部) 以上8名 | ||||||||||||
東京都西多摩郡奥多摩町日原地区には、観光洞「日原鍾乳洞」や「日原三又洞」「ちょうちん穴」など大小74洞の洞窟が報告されている。そのうち、倉沢地区では旧観光洞「倉沢鍾乳洞」を含む30洞が報告されており、第1次調査(地R元第381回CAIVING)では、「倉沢無名洞」と「倉沢ねずみ穴」、「倉沢三山穴」と「林道の穴」が同一であることを確認した。 第2次調査(地R元第383回CAVING)では既存洞窟へたどり着けなかったため、今回も幕岩周辺の倉沢谷右岸エリア、「倉沢のたつ穴」上方の倉沢谷左岸エリアにおける既存洞窟確認を行い、今後の調査の基礎資料を作成することを目的とした。 29日13:00、細野・平間・大倉はJR東小金井駅に集合。細野ランクルで出発。途中、JR立川駅で奥沢をピックアップ。 14:00、オーケー 立川富士見町店で夕食の買い出し。その後、奥多摩へと向かう。 16:00、セブンイレブン 奥多摩古里店にて村野合流。倉沢林道入口まで2台連ねて移動し、林道入口で村野が細野車へ移乗、林道をさらに奥へと進んでいく。 16:30、倉沢鍾乳洞付近の幕営場所に到着。早速、夜の宴の準備を始める。メニューはごま豆乳鍋である。 同時にテントの設営も行うが、本体用のポールの1本が折れていることが発覚。応急処置としてフライシート用のポールを副え木にあて、今夜はしのぐことにする。前回活動時は、細野個人装備タープテントが強風で破壊されるし、ここは何かしら壊れる場所のようである。 鍋もゆっくりと煮えはじめ、皆でビールの飲み方の練習をしながら後発隊の到着を待つが、流石に日が暮れると寒さが身に沁みてくる。焚火用の木材は後発隊が持参することになっているため、早く到着してもらいたいと思う。 19:30、後発隊(千葉・落合・山口)が到着。早速、焚火を起こして宴を始める。 恒例の奥沢持参のソーセージに、温かい鍋を食す。旨い。 満腹になったら、皆で焚火を囲んで談笑の時間を過ごす。冬寒の冴えわたった星空の下、ここだけは暖かく別世界である。 25:30、楽しい時間はあっという間に過ぎて消灯。 30日8:00、起床。昨日の鍋にうどんを投入して食べる。これもまた旨い。 9:00、撤収開始。 10:30、2班に分かれて活動を開始する。 【幕岩山狩り班(千葉・村野・平間・大倉)】 10:30、活動開始。今回も最大目的は「御神仏の穴」「小白竜窟」の洞口確認である。 「倉沢対岸窟」のある露頭南面基部から登り始める。千葉は、前回活動時に確認した「[仮]幕岩の謎の穴」へのアプローチ用にと、4尺脚立を担いで登っていく。アルミ製の軽量脚立とはいえ、片手が塞がった状態で岩の露出した急斜面を登るのはかなりハードだと思う。 ルート選定に試行錯誤しながら急登を攻めていく。ここは前回下山してきた露頭の上部に当たり、下をのぞき込むと結構な断崖となっている。ちょっと怖い。その分、見晴らしも良く、眼前には「倉沢鍾乳洞」を擁した岩体が大きく開けて見える。改めて岩体全体を見渡すと、細かい洞口のようなものが結構見える。 さらに目を凝らすと、左岸SRT班が活動しているのも見える。こちらは時折強風が吹き抜けるものの日当たりが良く、あちらは日陰で寒そうだ。 SRT班とお互い手を振り合って、さらに上へと向かい、「倉沢対岸窟」上方の尾根へ到達する。ここで、千葉・平間君は標高を下げる方向で、村野・大倉嬢は標高を上げる方向で、二手に分かれて探索することとする。 11:30、千葉・平間君は「倉沢対岸窟」に到着。やはりこの間には洞窟はない。 平間君リクエストで「倉沢対岸窟」に入洞。平間君は洞内を楽しみ、千葉は日原鋳造銭でもないかと洞床や洞壁を楽しむ。20分ほどしてから出洞、再度標高を上げる方向で探索を進めていく。 12:00、千葉・平間君は大倉嬢と合流。大倉嬢によると、村野とは別れて探索したっきりではぐれてしまったという。 時折ホイッスルを鳴らしながら昼食。まぁ、知らない山ではないので遭難することはないだろう。 休憩後、さらに上に向かって探索を進めていく。第1次調査で訪れた標高1000m地点に到着。洞窟も村野も無い。こうなったら標高1200mまで行こうということになる。千葉は大学生に追いつけない。。。 一方、仲間とはぐれてしまった村野は、洞口がありそうな箇所を1つずつ確認しながら標高900m地点まで到達。「御神仏の穴」はこの付近にあるはずで、少しの時間周囲を探索するが、この辺りは露頭の幅が広く、一人では探索しきれないと判断。 まずは標高1200m付近にあるという「倉沢の鹿穴」を目指すことにする。尾根筋まで出て、標高を上げていく。それにしても、運動不足の体にこの斜面はきつい。数歩登っては立ち止まって息を整えることを繰り返す。 13:00、標高1100m付近に到達。この辺りまでくると尾根幅が広がって傾斜もやや緩やかになり、杉の植林も途絶えて明るい雑木林になってくる。腹は減っていないがすでにヘロヘロになっていたので、小さな露岩のそばで昼食を取ることにする。 腰掛けほどの岩の上におにぎりとお茶を置いて「どうか鹿穴を見つけるために手を貸してください」と山の神様に祈る。何としても見つけたい。そうしていただいたおにぎりは、前夜外に置きっぱなしにしていたため冷え切ってボソボソになっており、激マズであった。やれ、酷い物をお供えしてしまった。とにかくお茶で流し込む。 それからさらに標高を上げ、遠くを駆け抜ける鹿の群れに励まされながら1250mまで到達。流石にここまでくると露頭も小規模なものしかなく、くまなく探索するも穴はなさそうである。 時刻は14:00を回っており、これ以上、上には石灰岩がなさそうであることを見届け、下山を開始。ヘトヘトだ。数分下った地点で、尾根の直下に中規模の露頭があることを確認する。標高は1150m程度であり、「倉沢の鹿穴」があるとしたらきっとここであろう。まずは露頭上部からの確認作業を行う。 14:30、だいぶ疲れたし、かといって次回またここまで来るのも面倒だし、他の3人はどうしているだろう等々、逡巡していたところに、絶妙なタイミングで尾根を登ってきた3人と合流。村野も俄然元気をもらい、再び4人揃っての山狩りを開始。すると、基部に回りこんだ平間君が即座に洞口を発見する。やっぱり仲間の力は大きい。 入洞すると、一方向の割れ目系に発達した竪穴で、チョックストーンにより上層部と下層部に分かれている。竪穴の深さは15m程度であり、まさにパイオニアケイビングクラブによる「倉沢の鹿穴」の記載と一致している。既知の洞窟とはいえ、穴が見つかると一同テンションが上がるものである。 15:00、出洞して下山開始。露頭の基部に沿って山を下りることにする。途中、雪が舞いはじめ、早く下りたい気分になる。 15:30、標高1000m付近で、洞口らしきものを2つ確認。そのうちの1つは4mほどの段差を上がった先に開口しており、脚立をかけて大倉嬢がアタックをかけるが、届かず断念。入洞はできていないが、一応、「[仮]幕岩の穴第1洞」としておく。 もう1つは岩体基部に小さく開口しており、平間君が匍匐で入洞したところ、人一人がようやく入れる程度のものであった。ディギング次第でもう少し入れるようになるかもしれない。こちらは「[仮]幕岩の穴第2洞」とした。 16:00、「御神仏の穴」らしきものは見当たらずにどんどん標高を下げ、「[仮]幕岩の謎の穴」の取り付きに到着。脚立をかけてアプローチを試みるがここもうまくいかず、断念する。 16:30、幕営地に到着。千葉・村野は、そのまま「倉沢近辺の穴」の探索に向かう。事前情報ではどうやら「倉沢の水穴」付近にあるらしい。 まずは「倉沢の水穴」に入洞。「倉沢近辺の穴」の平面図の形状は「倉沢の水穴」のそれと何となく似ているのだが、セクションの形状などが水穴とは明らかに違う。 一旦出洞し、周囲をよく観察すると、千葉が水穴のすぐ北側に小穴を発見。内部を確認するとまさに平面図、セクションともに「倉沢近辺の穴」に一致していた。ただ洞口が1つ、なくなっていることが判明。おそらく測量後30年以上経過している間に崩落してしまったのだろう。 この辺りは、第1次調査に探索したエリアであるが、水穴が目立ちすぎてこの穴の存在に気付かなかったようだ。反省である。付近には他にも入洞可能そうな小穴がいくつかあり、再調査する必要があるかもしれない。 【倉沢谷左岸SRT班(細野・奥沢・落合・山口)】 10:30、SRT装備を準備して幕営地を出発。目的は第2次調査に続き「倉沢の水穴」「倉沢のたつ穴」の上部にあるとされる「倉沢のこうもり穴」等の小洞窟群の確認である。 今回はロープ類に加えて、電動ハンマードリルやアンカーなども揃え、前回到達地点よりも崖の中腹まで下降して洞窟の所在を確認しようとやる気満々である。 11:00、昼食を対岸の林道にデポしつつ、ロープ下降ポイントに到着。 まずは山口さんが20mロープで前回到達地点までロープを張る。後続して落合さんが50mロープを届けに下降し、引き続き山口さんがアンカーを打ち付けながら第2ピッチをルート工作していく。 待機場所からは山狩り班の班員を見ることができた。最初は中腹あたりに姿を確認したと思えば、今度は尾根付近まで登っていたり、急斜面を動き回っていたりする様はまるでヤギみたいだと細野・奥沢は談笑。 それにしても、気持ちのいい冬晴れだったが倉沢谷左岸は全く日が当たらないため、山狩り班が活動している対岸側は山全体に日がよく当たって暖かそうである。 12:00、林道に置いてきた全員分の昼食を取りに行くため(寒さに耐えきれないため)、細野・奥沢は対岸側へと向かう。ちょうど林道から山口さん達を眺めていると、落合さんが第2ピッチを下降し始めたので急いで戻る。木であまりよく見えないが、第2ピッチは崖の中腹よりもやや上の、洞口のように見える岩陰で終わっているように見えた。 13:30、細野・奥沢も第2ピッチを下降する。ピッチ到着地点は先ほど遠目で確認した洞口と思われる岩陰の一段下に位置し、足場が悪いので到着後も確保をとる。落石になるような石を落としてから少々探索する。 洞口は幅約6〜7m、高さは約2mで、入洞可能なスペースは上下段となっているが、いずれも奥行きは10mもないため今後の測量結果によっては岩陰ともとれなくもなさそうだ。全体として二次生成物はなかったが、上段部にはグアノなどの堆積がみられた。今のところ既知洞窟で該当するものはないため、洞窟となれば新洞の可能性が高い。第1洞、第2洞を発見しているパイオニアケイビングクラブにならって「[仮]倉沢のこうもり穴第3洞」とした。 14:00、ようやくここで昼食。 16:00、撤収開始。”介護ケイビング”が夢だという還暦手前の落合さんに一仕事していただき撤収完了。ケイビング界も少子高齢化が進んできている(多分)ので、今回は荷物持ちしかしてないがこれから頑張りたいと思う。 16:30、幕営地に到着。 17:00、幕営地を出発。倉沢林道入口で村野・落合さんは解散。 18:30、東京亭 昭島店にて活動報告をしながら夕食。千葉は石焼あんかけ炒飯の熱さにいつまでももだえ苦しんでいた。 19:15、解散。 倉沢地区での洞窟確認は、「御神仏の穴」「小白竜窟」の確認など、またまたお預けとなってしまったものもあるが、左岸での新洞発見、「倉沢の鹿穴」「倉沢近辺の穴」の確認など、一定の成果を得ることができた。 前回活動では強風のためできなかった焚火を囲んだ懇親が行えたのも良かった。 「御神仏の穴」「小白竜窟」は未踏査のエリアがだいぶ絞られてきたことから、次回こそ確認できるのではないかと期待している。暖かくなったら第4弾活動を行いたい。(文責 奥沢香那・村野哲雄・千葉伸幸)
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