タイトル 地底旅団ROVER元老院第414回CAVING
サブタイトル 日本洞窟学会第50回大会・佐野市葛生大会
分 類 大会ケイビング
大会会場洞窟

高松沢鍾乳洞(高松沢の穴)、水木鍾乳洞、観音霊窟(奥之院、奥之院鍾乳洞、出流鍾乳洞)、大師霊窟、大日霊窟、不動霊窟(不動尊霊窟)、普賢霊窟(普賢菩薩の穴、毘沙門天の穴)

日 程 2024年10月4日(金)〜6日(日)
参加者 千葉、村野、細野、櫻田、平間、矢島、東京スペレオクラブ、東山ケイビングクラブ、あぶくま・けいばぁず・くらぶ、うきぐもケイビングクラブ、山口ケイビングクラブ、カマネコ探検隊、火山洞窟学会、東京農業大学探検部、東洋大学探検部、明治大学地底研究部、大阪大学探検部 以上約85名
佐野市葛生大会ポスター 日本洞窟学会主催の学術大会が栃木県佐野市で開催された。期間は10月5日(土)〜6日(日)。
地R元からは千葉・細野・村野が大会実行委員、櫻田・平間・矢島がプレ及びポスト洞窟巡検スタッフとして参加した。また、千葉はポスター講演「栃木県内における洞窟の紹介」を発表した。


4日19:30、千葉車が細野宅に到着。装備を積み込み出発。
大泉ICから東京外環自動車道にのり、東北自動車道へと進む。小雨。

21:30、北関東自動車道・佐野田沼ICで降りる。
現地へと向かう途中、いつもはセブイレブンだが、今回はベルク 佐野田沼店にて買い出し。地域性のあるものを物色するが特に見当たらず、ビールと味付け肉、値引き総菜を1万円弱買って移動再開。

10:30、葛生化石館に到着。
先乗りしていた松本@東山ケイビングクラブと合流。小雨の中、テントの下で懇親を深める。

11:30、山田@東山ケイビングクラブが合流。岩手からなのに遅刻だとなじる。

26:30(2:30)、各々車内で消灯。小雨が続く。
5日6:00、起床。オジサンたちの朝は早い。曇天。
近くのセブンイレブン 葛生中央西店まで歩いていき、朝食の買い出し。揃ってニュータッチ 佐野ラーメンを購入。これがなかなかの再現度で美味しい。

7:00、巡検スタッフである櫻田・平間・矢島、東京農業大学探検部東洋大学探検部が集合する。村野も早々に合流。
あれ、数人足りない。プレ活動(地R元第411回CAVING)に続き、またもや東洋大3名、しかも同じ輩が遅刻である。
簡単にブリーフィングを行う。

7:30、遅刻東洋大が合流。ひたすら謝ってきて苦笑い。

7:45、プレ巡検参加者が続々と到着。巡検担当ではない村野・細野に手伝ってもらいながら、参加者には支払い手続きをしてもらう。小雨が降ってきた。

8:00、1名足りないがプレ巡検スタート。千葉による挨拶。事前に「日本洞窟学会第50回大会(佐野市葛生大会) 10/5(土)10/6(日)洞窟巡検の手引書」を配布してあるので、簡単な諸注意をして2コースに分かれて出発準備をしてもらう。
「高松沢鍾乳洞と水木鍾乳洞」は前者がCL櫻田、後者がCL矢島。
「出流鍾乳洞群」はCL平間。平間には「大師霊窟」用に4尺脚立とカットしたベニヤ板を渡す。共に朽ちた鉄梯子や床網補強用である。

8:20、千葉は単独活動を開始。巡検参加者もほぼ同時に出発。

8:40、「高松沢鍾乳洞」最寄りの駐車場「農林産物直売所 菜蟲館」(廃業)へ立ち寄り、CL櫻田に声掛けをして再出発。
遅刻者1名が到着したので、村野が現地へ運んでくれるとの連絡あり。

8:50、「水木鍾乳洞」に到着。まずは地権者宅に手土産を携えてご挨拶に伺う。
続いて洞口用のスライド式2連梯子を下ろし、CL矢島へ渡す。
次の目的地へ再出発しようとすると、プレ活動(地R元第410回CAVING)をきっかけに交流を持っている元小学校校長が畑に到着。佐野名物桜あんぱん(ナカダのパン)を人数分である20ヶ頂く。学術講演にも出席されるので、また後ほどと言って別れる。
CL矢島には出洞したら1人1ヶ渡すように指示して再出発。

9:30、出流山満願寺に到着。巡検者はすでに駐車場を出発していた。受付で僧侶に手土産を携えてご挨拶。巡検者2日分の入山料を納める。雨のため滝行はキャンセル、大御堂での座禅にしたとのこと。
駐車場担当の農大生に声をかけてから、再び車両に乗り込んで移動。

10:00、通行止め終点に車両を停めて「大悲の滝」へと向かう。途中の「不動霊窟」「大日霊窟」付近には人の気配はない。小雨が続く。
滝前の小屋には山田が見えた。非公認巡検スタッフとして手伝ってくれているらしい。そんな山田にシダに隠れて小石を投げつけること1分。ちっとも見つけてくれないので正体を現す。この短時間のうちにヤマビル6頭が群がり、3ヶ所喰われる。山田にはバチが当たったと馬鹿にされる。
しばらくすると、「大師霊窟」「大日霊窟」それぞれから巡検者が現れる。みなヒルに喰われたようで、なかには頬から血を流している方もいる。プレゼンで再三伝えた甲斐があってか、笑顔で武勇伝を聞かせてくれる。思い出になって良かった良かった。

10:30、山田は出流鍾乳洞群が初めてということなので、一緒に「観音霊窟(奥之院)」へと登る。雨ということでか一般観光客はおらず、柵手前からじっくり石柱、リムストーン、賽銭を観察する。洞奥への許可は下りなかったが、測量図を見る限り、入口付近で十分のようだ。

10:45、山田を残して出流山満願寺を離脱する。
移動しながら葛生化石館にいる細野・村野に早めの昼飯を食べようと連絡。化石館に隣接する佐野ラーメン店麺や 赤堀を提案すると休業日とのこと。佐野市&鹿沼市名物「かてそば」の店に集合とする。

11:15、千葉がそば処 大倉に到着。駐車場は広大だが徐々に車両が増えてくる。2組は入店したと思ったら出て行ってしまった。怪しい予感。

11:55、細野・村野が合流。入店すると切れ気味に満席だと言われる。夫婦で回しているらしく、満席だが食べている客は5人程度。これでは開会式には間に合わない。
店を変更することにする。

12:00、真名子そばに移動。 感じのよい接客で、最後のテーブル席を確保できた。
千葉は「にら大根そば大盛り(950円)」と「かきあげ天(200円)」、村野は「にら大根そば(800円)」、細野は「にらそば(700円)」を注文。かてそばとはかさ増しそばのことで、佐野市は大根、鹿沼市はニラが多い印象。そばは田舎蕎麦といった趣で、汁は甘め。茹でた大根やニラが乗っているが、ニラが風味が強いのでそばの味はほぼなくなる。

12:30、店を出発。大急ぎで葛生化石館へと戻る。
各巡検班から撤収報告を受ける。どちらも事故もなく、予定通り終了したようだ。矢島は仕事のため、一旦離脱して東京へ。

12:55、葛生化石館に到着。間に合った。
大悲の滝 高松沢鍾乳洞 真名子そば
大日霊窟に向かう巡検者 平氏と巡検スタッフ(平宗雄氏撮影) ご当地グルメ「にら大根そば」

13:00、開会式。そのまま口頭講演が始まる。どれも興味深かったが、帝釈台大会を受けた「洞窟学会大会を契機とした天然記念物指定の例」、地R元フィールドでも見つかる古銭報告「岡山県指定天然記念物「岩屋の穴」における穴銭発見」、測量記録委員会の副委員長としては耳が痛い「洞窟登録番号(Cave Registry Number)導入の意義」、今さら好きになってきたチビゴミ報告「沖縄県で発見された新属新種のメクラチビゴミムシについて」は特に面白く聴講した。
この間に巡検スタッフの櫻田・平間・矢島は宮入そばへ行き、やはり「にらそば(800円)」を食べてきたようだ。
千葉は休憩時間に講演ポスターを設置。

16:45、口頭講演が終了。元小学校校長に企画運営委員会を紹介していると隣の部屋から呼び出しがかかる。半分忘れていた。

17:00、千葉は評議員会に出席。コロナ禍では無かった久しぶりの対面形式では、短時間ながら有意義な話し合いが出来たい思う。

18:00、評議員会終了。細野が送迎バスの送り出しをしてから、千葉と懇親会会場へと向かう。

18:30、仙水閣に到着。村野は懇親会の段取り、櫻田・平間は受付を始めてくれていた。千葉・細野は慌ただしくチェックインしてからシャワーを浴びる。

19:00、懇親会が始まる。会場は浅間。司会は村野。地R元は公式法被を着用しての出席である。
まずは新部大会実行委員長の挨拶、続いて石原日本洞窟学会会長、山田事務局長の挨拶が行われる。そして、葛生地区をディスり、ヤマビルのことに触れてから千葉の乾杯でスタート。
料理はオードブルスタイルで、 栃木夢ポークのロースト、カツオの藁焼き、カレイの唐揚げ中華あんかけ等に加えて佐野名物いもフライを追加(別料金)。飲み放題であったが、参加者による全国各地の日本酒の差し入れ、じゃんけん大会によるシャンパンの差し入れがあり、酒も料理も充分であった。
いつの間にか矢島も東京から戻ってきており、様々な方々と交流を持ちながらのあっという間の2時間であった。
藤川日本洞窟学会副会長の挨拶で終了。

19:30、千葉は部屋に戻って就寝。早朝から懇親会まで動き回って疲れた。

20:00、細野・櫻田・平間・矢島、 松本・山田・山口、東京農業大学探検部東洋大学探検部明治大学地底研究部は併設するオートキャンプ場DANRAN アウトドアフィールドにて2次会を実施。22時頃まで飲んでいたようだ。
葛生化石館 葛生化石館 葛生化石館
会場入口の洞窟紹介(平宗雄氏撮影) 受付(平宗雄氏撮影) 口頭講演(平宗雄氏撮影)
仙水閣・浅間 仙水閣・浅間 仙水閣・浅間
乾杯の音頭を取る千葉(平宗雄氏撮影) ビュッフェスタイル(平宗雄氏撮影) 楽しい懇親会(平宗雄氏撮影)

6日6:30、千葉・細野が起床。

7:00、1Fの朝食会場にてゆったり朝食をとる。大会関係者が多数泊まっているはずだが、いるのは外国人客ばかりで誰も来ない。

8:00、チェックアウト。ホテル駐車場には矢島ジムニーがあり、まだ櫻田・矢島はいちゃついている模様。曇り空。

8:30、葛生化石館に到着。先入りしていた村野はホテル駐車場で車中泊して怒られたとのこと。

9:00、口頭講演が始まる。小穴報告「岡山県阿哲台における新洞報告」を聞くと、地R元も報告する必要があるなと強く思う。

11:00、特別講演が始まる。「洞窟に埋もれた過去の動物たち 〜日本の第四紀哺乳類化石〜」「佐野市の石灰岩と化石」は直接洞窟とは関係ない話ではあったが、この地の竪穴での化石収集に協力したいと思った内容であった。

12:00、講演が終了。
そのまま葛生化石館入口へ行って写真撮影。これだけの人数の揃った大会写真は珍しいのではないか。

12:20、再び2Fへ戻ってポスター講演のコアタイム。「栃木県内における洞窟の紹介」は一部の人に興味を持ってもらえたようだ。
また、講演ではないが「日本最古!?の洞窟地図(絵図)」の展示があった。江戸後期、和算家:渡辺謙堂によって描かれた「滝沢鍾乳洞」の測量図で、実物大コピーでの展示であった。描かれ方が洞床、洞壁、天井と分かれており、わかりやすくはないが視点が面白い。そしてでかい。

12:45、閉会式。
葛生化石館 葛生化石館 葛生化石館
特別講演(平宗雄氏撮影) 大会記念撮影(平宗雄氏撮影) ポスター講演と展示物
葛生化石館 葛生化石館 葛生化石館
栃木県内における洞窟の紹介(平氏撮影) 江戸後期の測量図「蟠岩奇洞ノ図」 測量図に興味津々(平宗雄氏撮影)

13:00、ポスト巡検者は葛生化石館入口に集合。千葉による挨拶。簡単な諸注意をして2コースに分かれて出発してもらう。全員が昼食抜きである。
体制はプレ巡検と同様、「高松沢鍾乳洞と水木鍾乳洞」は前者がCL櫻田、後者がCL矢島、 「出流鍾乳洞群」はCL平間。

13:10、千葉は室内にて事前説明をしていた生物講習にお邪魔する。吸虫管や各種メクラチビゴミムシ、サンプル提出方法など、みな真剣に聞いている。千葉もいくつか質問。

13:30、生物講習が「高松沢鍾乳洞」に出発するのに合わせて、千葉・細野も活動を開始。細野は葛生は初めてなうえ、特に用がないので千葉と一緒に行動することにする。

13:50、「高松沢鍾乳洞」最寄りの駐車場「農林産物直売所 菜蟲館」(廃業)に到着。
千葉は巡検にも参加している葛生化石館学芸員と「高松沢鍾乳洞」地権者宅に手土産を携えてご挨拶に伺う。これまで入洞許可は頂いていたが、挨拶するのは初めてである。今後の入洞のお願いに快諾してもらう。

14:10、学芸員を駐車場まで送ってから千葉・細野は再出発。

14:20、「水木鍾乳洞」に到着。地権者宅にお礼とヤマビルが減った時期の「高実子の竪穴」入洞許可を頂く。
CL矢島に声をかけて再出発。
「白岩不動の穴」の下見をしようかと考えたが、時間を計算すると厳しいので、おとなしく次の目的地へ移動する。細野には随所で石灰石鉱山の説明をする。

14:50、出流山満願寺に到着。受付を覗くと僧侶はいなかったので、大御堂へ行くと僧侶が片づけをしていた。賽銭箱越しに立ち話。お礼とヤマビルが減った時期の「満願寺北の竪穴」入洞許可を頂く。
僧侶からは、男女が禁断の恋をし、出流山満願寺の「観音霊窟」から流したものが出流原町の出流原弁天池に出て、生死の確認をしたといったような伝承を聞かせてもらった。これがつながっていたら直線距離約13km。「秋芳洞」を抜いて国内総延長第2位である。次回、改めてゆっくりと話を聞いて記録に残したい。

15:20、巡検スタッフに声をかけることなく再出発。後から聞くところによると、ちょっとしたトラブルがあったようである。
せっかくなので、9kmほどの遠回りになるが、「薙碧洞」「弁天様の霊窟」「浅間山洞」や石灰石鉱山を細野に説明しながら会場へと戻る。

16:00、葛生化石館に到着。大会スタッフは会計処理を進める。

17:00、「高松沢鍾乳洞」「出流鍾乳洞群」から終了、解散の連絡。

17:20、「水木鍾乳洞」から終了、解散の連絡。洞口に設置した2連梯子の撤収に時間がかかったようだ。何にせよ、全班とも怪我もなく、無事に終了。
出流山満願寺にいる平間にも「農林産物直売所 菜蟲館」に向かうように指示する。

17:30、大会スタッフ解散。千葉・細野・村野は葛生化石館を出発する。

17:50、「農林産物直売所 菜蟲館」に千葉・細野・村野・櫻田・平間・矢島が集合。荷物を積みかえ、11時間ぶりの食事を協議。もうひとつの佐野名物を選択する。
慌てて移動開始。

18:15、野村屋本店に到着。千葉・村野は地R元第205回CAVINGの際に来たことがあるが17年振りである。
入店すると西日本ケイバーが先に食べていた。また会うとは面白い。
全員、 「佐野名物セット(1130円)」を注文。これは耳うどんと大根そば(かてそば)のセットで、以前にはなかったメニュー。これは嬉しい。耳うどんは鬼の耳に見立てたすいとんのような正月料理で、ホッとする味にみな満足。

18:40、解散。各車帰途につく。
出流山満願寺・大御堂 大日霊窟・洞口 不動霊窟・洞口
境内を進むケイバー(平宗雄氏撮影) 大日霊窟(平宗雄氏撮影) 不動霊窟(平宗雄氏撮影)
不動霊窟 大師霊窟・洞口 野村屋本店
滝に打たれながら登る(平宗雄氏撮影) 大師霊窟の記念写真(平宗雄氏撮影) ご当地グルメ「耳うどん」


日本洞窟学会第50回大会・佐野市葛生大会はプレ&ポスト巡検も含めて無事に終了した。協力してくれた東京農業大学探検部東洋大学探検部には改めて感謝したい。
また、地権者や地元の方々には理解を得ることができたので、今後は周辺の竪穴に入洞、化石や生物調査にも協力したい考えである。 (文責 千葉伸幸)


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