タイトル 地底旅団ROVER元老院第367回CAVING
サブタイトル 第4次檜原村惣角沢の穴第2洞調査
分 類 調査ケイビング
入洞洞窟 惣角沢の穴第2洞、惣角沢の穴第3洞
日 程 2018年11月25日(日)
参加者 木嵜、村野、千葉の、細野、奥沢香那(東京農業大学農友会探検部) 以上5名
惣角沢の穴第2洞・第2洞口 昭和15年に発行された岳人用指導書『秋川の山々』(東京瓦斯山岳会編 木耳社)には以下の記述がある。
「御前山の頂上には鍾乳洞があると云ふ専らの噂であるが、土地の人はその存在を認めても位置を詳らかにせず、或は頂上の北側と云ひ、或は頂上の南側と云ひ一致しない。恐らく入り口を見た者が殆ど居ないのではないかと思はれる。ただ、逆穴というのがあって、入口は上向きに落ち込んで居て、落ちたら上る術が無いさうである。位置は御前山に直登する惣角沢のつめに屹立する二十米餘の石灰岩の絶壁の下にある。御前近傍は千米以高が石灰岩で構成されて居る為、洞穴があるとすれば鍾乳洞であるから御前山の鍾乳洞とは恐らく、その惣角沢のつめに在る逆穴を云ふものではないかと云ふ帰結が生ずる。」

2011年の第1次檜原村北秋川惣角沢洞穴探査(地R元第256回CAVING)では、この付近で小穴を確認した。
2012年の第2次檜原村北秋川惣角沢洞穴探査・第3次檜原村惣角沢の穴調査(地R元第270回CAVING)では、この小穴が「サカサ穴」であることを確認したが、「落ちたら上がる術がない」と記述されているような洞窟ではなく、「惣角沢の穴第2洞」と混同されている可能性が高いことが判明した。
また、「惣角沢の穴第2洞」付近の竪穴洞口から入洞し、第2洞へ接続している可能性が高いことを確認。竪穴洞口は「惣角沢の穴第2洞」の第2洞口とした。

今回の活動では、「惣角沢の穴第2洞」の第2洞口からの測量および接続部分の確認と、地上測量を主な目的とした。


6:00、細野が千葉宅に到着。千葉宅に前泊している木嵜と共にランドクルーザー80で出発。

7:00、JR拝島駅の南口ロータリーにて村野・奥沢が合流。檜原村へ向かう。

8:00、「東京都檜原都民の森」に到着。この時期はまだ奥多摩周遊道路のゲートが開いていないため、駐車場で着替えや竪穴装備の準備を行う。
5〜6台のスポーツカーが集まってきた。比較的落ち着いた改造車で、ドライバーも40〜50代か。周遊道路を走りに来たのだろう。

9:00、ゲート開放とともに出発。奥多摩町・檜原村の行政境に位置する月夜見第二駐車場に移動する。

10:00、尾根沿いに徒歩アプローチ開始。

10:30、小河内峠での小休憩。

11:30、登山道から外れた目印の祠に到着。祠は、前回に訪れた時点ですでに倒壊していたが、それから6年以上経過した現在、ほとんど消失しかかっていた。このような土地の歴史遺産が忘れ去られて消えていくのは、何とも惜しいものだ。
祠から「惣角沢の穴第2洞」に向けて2〜3m下ったところで、千葉がガレの隙間に狭い竪穴洞口のようなものを発見。小石を落とすと、それなりの距離を落ちていく音がするが、狭すぎて人が入るのは困難であった。この一帯は、おそらくこのような岩体の隙間が無数にあるのだろう。
「惣角沢の穴第2洞」前に移動し、ここで昼食を取る。奥沢はなぜかお菓子のみ。

12:00、活動再開。
木嵜・千葉ペアが地上測量、村野・奥沢嬢ペアが「惣角沢の穴第2洞」の第2洞口からの測量および第2洞本洞への接続箇所の確認作業をすることとなった。
惣角沢調査初参加となる細野は単独で「惣角沢の穴第2洞」の第1洞口からリギングして入洞し、内部から第2洞口への接続箇所の確認作業を行うこととした。

木嵜・千葉ペアは、「惣角沢の穴第2洞」から「惣角沢の穴第1洞」に向けて斜面を下りながら、まずは周辺の小穴(隙間)の再確認を行った。
すると、「惣角沢の穴第2洞」の第1洞口から5m程下ったところの岩体基部に0.8m×0.3m程度の縦長の隙間を発見。内部は人が立てるほどの高さがあり、洞床には崩落岩が多く堆積している。通路は下り傾斜で三方向に分岐しており、木嵜は「惣角沢の穴第1洞」または「第2洞」への接続部がないかを確認。独立した洞窟のようなので、「惣角沢の穴第3洞」と命名する。

一足先に出洞した千葉は、近くの地面に隙間を発見した。これまで何度も通っていた場所だが、落ち葉が堆積していて、これまで気が付かなかったらしい。
少しディギングして頭を突っ込んでみると、下方へ空間が広がっている。さらにディギングをして入洞すると、立派な空間が広がっていた。下へと続いており、高低差は10m以上はありそうである。
石を落としてみると、木嵜が入洞中の洞窟で落石音を確認。しかし、光や接続部分は確認できなかった。

12:30、千葉は一旦出洞。檜原村では大洞窟級の新洞発見ということで予定変更、細野を合流させて、洞内の探検を行うこととした。
千葉・木嵜・細野の3人で入洞開始。段差をフリーで降り進んでいくと、クラック状の竪穴部となっているため、そこからは細野がリギング。
千葉は指示しながらも、何か違和感がするのに気づく。この竪穴空間、見たことがあるんじゃないか? いや、こんなフローストーンは見覚えはない。これまで入洞した形跡もない。気のせいか?
そんなことが脳裏によぎりながら、細野がリギングしている間、スケッチ千葉、コンパス&メジャー木嵜の体制で洞口から測量を開始する。測量が苦手な木嵜は、千葉から教わりながら奧へと進んでいく。

14:00、「惣角沢の穴第2洞」の第2洞口(竪穴洞口)から入洞している村野の話声が聞こえた。こちらからも呼びかけるも反応なし。どこかに接続部分があるのかと周囲を探索したが特定できなかった。しかし、どこからかひょっこり現れるのではないかと期待するほど近いようだ。
奥多摩周遊道路のゲート閉鎖の都合もあって、木嵜は竪穴部は降りずに待機、細野・千葉が洞床まで降りる。
ここで千葉の記憶がよみがえる。この風景は間違いなく「惣角沢の穴第2洞」である。入洞してきた洞口(第3洞口)は、第2次檜原村惣角沢の穴調査(地R元第247回CAVING)で第1洞口から降下中に視認した空間で、トラバースラインを張りながら平行移動しなければ進めなかったために見て見ぬふり(点線処理)した箇所であった。

15:30、木嵜は先に出洞して荷物整理。千葉は写真撮影や洞内再確認。細野はデリギングして出洞。


村野・奥沢嬢ペアは、村野がリギングおよびスケッチ担当、奥沢がメジャーおよびコンパス担当とし、竪穴となっている第2洞口を降下。村野は6年前に一度入洞しているものの、やはりこのルートはクラック状の超狭洞でこわい・・・。
5mほど降りたところで、洞口方面に戻るように、斜め上方へと向かう支洞を確認。目視できる範囲で行き止まりとなっているように見えたため、まずはここを片付けようと測量を進める。
が、行き止まりと思われたところで通路は右折、さらに奥へと続いている。崩落石が堆積したほぼ水平の通路を10mほど進んだところでさらに右折し、崩落石の隙間を潜るようにしてまだ先が続いている。
そこを通り抜けると、今まで通過してきた崩落石堆積通路と並行した新しいクラック状の通路へと出て、左手方向はさらに急斜洞となって下方へと続いている。一方、右手方向は数mで通路が狭まり、入洞不能となっている。どうやら前回探検したルートとは接続していない新ルートのようだ。
今日一日で測量を完結させることは不可能と判断し、測量は中断。また、急斜洞をフリーで下りるのは登り返しにリスクがあるように感じられたため(なにぶん、ここまで入れるのは、超薄型体型の村野と奥沢の2名のみである)、付近を少し探検した後、支洞分岐点へと戻り、下層部へと探検を進め、前回確認したルートを再確認してタイムアップ。

15:30、出洞。他のメンバーに聞くと、村野・奥沢の声が途中でかなり近くに聞こえたが、そのうち遠ざかってしまったとのこと。例の急斜洞の先で第2洞本洞と接続しているのかもしれないし、もしかしたら人が通れるような通路では接続していないのかもしれないが、今のところは何とも言えない。
なお、今回の活動中、村野は電動ドリルをうまく作動させることができず、また測量中に竪穴にシャープペンシルやグローブを落としてしまうなど、穴の神様に見放された散々な活動であった。やはり活動から遠ざかっていると、天も味方してくれないようである。ただ、落としたシャープペンシルとグローブが崩落石の間から奇跡的に見つかったことは、神様も多少は大目に見てくれたということか。いままで怠けていたことを悔い改めよう(笑)。


16:00、撤収して出発。18:00には奥多摩周遊道路のゲート閉鎖となってしまうため、もと来た道をいそいそと戻る。

17:00、月夜見第二駐車場に到着。着替えなどをさっさと済ませ出発する。

17:30、「檜原温泉センター 数馬の湯」にて入泉。あわせて緊急連絡訓練を実施。在京連絡人・小池にあえて活動終了報告を行わないでいたところ、活動終了予定時刻を30分ほど過ぎた頃に小池から木嵜に状況確認連絡が入った。在京連絡人としてしっかり機能していることを確認し、訓練を終了した。
施設内の食事処にて夕食を取っていた際、奥沢嬢の父・奥沢一郎氏が、ドイツハム・ソーセージ専門店「シュマンケル ステューベ」の経営者であり、本場ドイツで8年間修行を積んだマイスターであることが判明、大いに盛り上がる。機会があれば是非味わわせていただきたいと思う。

19:00、「檜原温泉センター 数馬の湯」を出発。

20:00、福生市内で木嵜・村野が離脱、順次解散となった。


今回の活動では、「惣角沢の穴第2洞」の新洞口(第3洞口)の発見などにより、当初予定していた地上測量などの作業を行うことができなかった。
また、「惣角沢の穴第2洞」の第2洞口からのルートのさらなる探検・測量など、新たな課題も出来た。
冬場は奥多摩周遊道路の閉鎖時間による活動時間の制約が大きいため、開放時間が延長される4月1日以降、再度調査活動を実施したい。(文責 村野哲雄・木嵜ちひろ・千葉伸幸)
御前山 惣角沢の穴第2洞・第2洞口 惣角沢の穴第2洞・第3洞口
崩壊していた祠 第2洞口での入洞準備 拡大した第3洞口
惣角沢の穴第2洞 惣角沢の穴第2洞 惣角沢の穴第2洞
リギングをする細野 フローストーン 撤収する細野

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