タイトル 地底旅団ROVER元老院第408回CAVING
サブタイトル リベンジ裏ルート at 郡上市・熊石洞
分 類 合同・ファンケイビング
入洞洞窟 熊石洞(チンチン洞)、大久後洞(乙姫洞、次郎洞、二郎洞)
日 程 2024年4月27日(土)〜29日(月)
参加者 千葉の、脇海道、奥沢、平間、山口真也(東山ケイビングクラブ)、小池純(明治大学地底研究部OB) 以上6名
熊石洞・洞口付近「熊石洞」は岐阜県郡上市にある深さ155mの竪穴である。地R元では合同活動を含めて7回入洞しており、直近では昨年GWに地R元第398回CAVINGとして入洞したが、8年振りということもあって通称「裏ルート」と「表ルート」を勘違いして降りてしまった。
今回は定期的な地権者とのコミュニケーションを図るとともに、地R元若手が経験したことのない−100m以上を目指す。また、54年前の報告書で知った「大久後洞」の偵察も兼ねて企画された。


27日20:00、山口車Gクラスで山口・小池・平間が千葉宅到着。団体装備の準備及び積込を行う。

20:30、千葉家奥様のお見送りを受けて千葉宅を出発。「ローソン 国立インター店」で買い物をしてから、山口運転で中央自動車道・国立府中ICから下り方面へ。

22:30、諏訪湖SA到着。下車して分かったが、この時点で肌寒い。薄手の上着一枚のみ持参であった千葉は少し心配していたが、いざとなれば平間の温かそうな上着を奪取すると言いながら、上機嫌で土産屋にて愛娘たちへのご当地ちいかわキーホルダーを購入。
千葉にドライバーチェンジ。

24:30(0:30)、中央自動車道・中津川ICで一般道へと降り、「セブンイレブン 中津川付知町店」到着。各自、朝食と行動食を購入。
裏木曽街道(国道257号線)を1時間ほど北上。

25:30(1:30)、道の駅 和良到着。山口・小池・平間は車中で就寝。千葉はGクラス脇でシュラフを出して就寝。周囲はガスっており、気温は9度と薄手では寒い。
28日6:00、起床。Gクラスは気密性が良いのか、車内はシュラフなしでもしっかり寝られた。千葉はシュラフの上下にドームテント用巨大マットを重ねていたため、結露は免れて比較的快適だったようだ。

6:30、駐車場にて各自朝食を摂る。そこに昨晩から付近に駐車していた日産ノートから奥沢が登場。Gクラスより先に到着していたようだ。

6:45、岐阜県内に住む脇海道が合流。

7:00、地権者の方との約束時間まではまだ余裕があるため、ロープなどの団体装備の割り振りを行う。

7:30、この後は一部携帯が電波の入りにくい場所に移動するため、ここで警察署と消防署に入洞する旨を伝える。昨年も地R元での活動があったため、話はスムーズに済んだ。

8:15、道の駅 和良出発。地権者宅へ向かう。

8:25、時間調整として旧観光洞「怪獣ランド熊石鍾乳洞」に駐車。洞口に向かう道の入口には「立入禁止」の看板があるが、昨年あった所有者変更の掲示が無くなっているとのこと。
どのようになっているのか気になるが、時間もないので地権者宅へ。

8:30、地権者宅に挨拶。昨年と変わりなく元気なご夫婦に迎えられた。
奥さまはこの地に嫁いでから初めて「熊石洞」の洞口まで行ったらしく、驚かれていた。近くに住んでいても我々のような穴好きの変わり者でないとなかなか見ることはないだろう。
話変わるが、直近で入洞したケイビングクラブが2回連続で入出洞連絡をしなかったとのことで、何かあった際には洞内にいるのかいないのかわからず困るとのこと。当たり前のことではあるが、地権者への挨拶やその他関係各所への連絡は怠ってはならない。啓蒙として記載する。 千葉は当該団体に必ず伝えることを約束。
また、この時期はヤマビルが活発に活動しているとのことで、ご夫婦からヒル対策用のスプレー缶を頂いた。何から何まで本当に優しさを感じた時間であった。

8:45、車3台で洞口前まで向かう。地権者の指示に従って駐車すると、2台ほど作業車が通過していった。結構利用されている林道なのだろうか。
それぞれ荷物を降ろし準備する。今回は脇海道にリギングリハビリとして洞口ピッチ(第1ピッチ)をやらせようということになった。その準備中に小ハプニングが。着替えていた脇海道が石で指を切ってしまった。幸い傷も深くなくすぐに止血をして事なきを得たが、久々のリギングに不安があったようで、千葉は「嫌々リギングをすることへの気持ちの表れだ」 といじられてしまった。

9:30、準備完了。洞口へ向け出発。2分ほどで「熊石洞」に到着。
脇海道がリギングしながら入洞。第1ピッチで必要であったローププロテクターを忘れたため、タックルで代用。久々のリギングに難儀しながらも着実に降りていく。
平間はSRT自体が3年ぶりで緊張しながらも、千葉・奥沢に助言を頂きながら再確認を行った。脇海道に続き、千葉、山口、平間、奥沢、小池の順番で入洞する。

10:30、第1ピッチのボトムに平間が到着。その間に千葉・脇海道は第2ピッチのリギング。無事に「裏ルート」を発見できたようだ。
続いて奥沢・小池も到着。 4人で「表ルート」入口のガレ場を覗き、これは間違いなく「表ルート」と再確認。

11:10、第2ピッチへの残置トラバースラインを進み、「裏ルート」入口に到着。ここから−15mほど下降する。

11:30、第2ピッチのボトムに到着。久しぶりのしっかりとした地面に一安心。
この間に第3ピッチを千葉がリギングを開始。後で聞いたところによると、あと5mのところでロープが足りなくなって空中でつないでいたとのこと。バッグ内に別ロープが計100mあったため、永遠にロープが出てくるような錯覚に陥り、ロープ残を確認しなかったらしい。

13:45、千葉・脇海道・山口に続いて平間が第3ピッチを降りて−100m地点に到着。下で待っていた3人は、待ちくたびれてスナック菓子でパーチィーを始めていた。平間も持参していたじゃがりこを献上し(カツアゲされ)、奥沢・小池を待ちながらパーチィーをした。
その間、平間のニックネームを決めようとの事になる。いくつか案が出たが、「ゾンビ」や「出涸らし」など何とも悪口にしか聞こえないような物ばかりでお蔵入りに。

熊石洞・第3ピッチ
第3ピッチを降りる平間
14:15、全員が第3ピッチのボトム(−100m地点)に到着。時間も時間なので、第4ピッチは降りずに、記念写真を撮って戻ることになった。
1992(平成4)年の救助活動のものだろうか、電池やゴミが多く落ちていたので分別回収した。

14:30、帰路は奥沢を先頭に千葉、平間、小池、山口、脇海道で登り返して行く。
奥沢・千葉はスムーズに登れていたが、平間がなかなか進まない。身体をうまく使えておらず、立ち込みの際にロープがヨレてしまい、結果として腕で一生懸命登ってバテてしまった。

15:30、第2ピッチで千葉が左肩を飛び出た洞壁に強打。目の前で見ていたが、あれは痛い。しかし、痛いと言いながらもスイスイと登って行く。

16:15、第1ピッチのボトムで千葉・平間の順番を入れ替え、洞口まで登り切るタイムを競う。結果は平間が8分、千葉が4分30秒。オジサンの勝利。

17:30、全員出洞。外は明るいが、キャンプ場まで行かなければならないので早々に撤収。
地権者宅へ再び挨拶に寄ると、奥様からプレゼントを頂く。郷土料理「朴葉寿司」で、日中に旦那さんが朴葉を取りに行き、奥さまが寿司を作ったとのこと。嬉しいことこの上ない。
シャワー浴びたいだ、お風呂入りたいだとボヤきながら宿泊地のキャンプ場へ移動。途中、auの電波が入ったところで、平間が警察署、消防署、在京へ出洞の連絡をする。

18:00、和良川公園オートキャンプ場到着。昨年度とは違って絶好のキャンプ日和のため、テントサイトはほぼほぼ埋まっていた。ちょうど夕飯時、どこのテントサイトからも美味しそうな香りが立ち上り、我々も急いで宴会の準備に取り掛かる。

18:30、宴会開始。キャンプ場の管理人から人数分の「キリンビール 晴れ風」を頂いた。なにかのキャンペーンらしい。早速、和良川で冷やして万全の状態に。
料理は千葉リクエストによる、脇海道の岐阜名物フルコース。前菜の「ピーマンの塩昆布和え」「赤かぶ漬け」はオジサンたちには大好評で、脇海道の胃袋掌握術がスタートから存分に発揮されていた。そこからは肉が中心のコースメニューとなるのだが、「明宝ハム」はもちろんだが、味噌ダレにしっかりと漬け込んだ「鶏ちゃん」が特に美味しく、あっという間にたいらげてしまった。続けて、下呂市周辺で釣ってきたという「岩魚の塩焼き」「岩魚汁」。腕を振るった料理はどれも格別で全員の舌を唸らせた。ぜひ来年も期待したい。

21:30、和良川ではオオサンショウウオが見られると脇海道が言うので、脇海道・山口・平間で川へ。しばらく探していると、脇街道が岩場に潜むサンショウウオを発見。 初めて見るオオサンショウウオに興奮しつつ、特別天然記念物をじっくり観察した。
大満足で戻ったら、残りのメンバーも見たいと探しに。しばらくしてつまんなそうな顔をした千葉が戻ってきた。どうやら見つからなかったようだ。

23:30、就寝。
熊石洞・洞口 熊石洞・第1ピッチ(洞口) 熊石洞・−100m地点
熊石洞、入洞開始 第1ピッチをリギングする脇海道 待機時間はじゃがりこパーチィー
熊石洞・−100m地点 熊石洞・第2ピッチ 和良川公園オートキャンプ場
−100m地点 第2ピッチ登り返しに難儀する平間 キャンプ場にて宴会

30日6:00、起床。 千葉・山口は朝コインシャワーを満喫。

7:00、ソーメンで朝食を済ませ、テントサイトの片づけ開始。

8:15、ロープなどの団体装備の割り振りをしてから出発。
本日は「大久後洞」に入る予定だ。この穴は以前、Japan Exploration Team(以下、J.E.T)が入洞した際に遺体を発見して引き上げた洞窟とのこと。なんでも、行方不明になっていたご高齢の方だったらしい。

8:45、八幡バス「東安久田」停留所前の分岐に駐車して入洞準備。分岐頭上には廃校跡が。「安久田分校」という八幡町立相生小学校の分校らしい。

9:15、準備を済ませて徒歩で出発。駐車スペースから公団幹線林道を下呂・和良方面へ100mほど進み、「乙姫滝⇔縄文洞」とあるコンクリート階段を登る。
地形図によると洞口までなにかしらの道があるはずであったが、早々に道迷いになる。勝手に乙姫滝への遊歩道でもあるのかと思っていたら生活道路のようで、廃れて自然に帰してしまっていたからであった。
途中、脇海道によるマムシ&アオダイショウのレクチャーがあり、いい歳をした大人たちが写真を撮ったりと和気藹々に喜んでいたのが何とも微笑ましかった。

9:45、「大久後洞」に到着。

10:00、記念撮影をしてから入洞開始。
小池、山口、脇海道の順番で入洞。しばらくして千葉が続く。平間・奥沢は洞口で30分ほど待機していた。どうやら洞口付近は狭く、直ぐの狭いトレンチからルートを探すのに苦労していたようだ。

11:00、第1ピッチを降りて通称「次郎ホール」に到着。洞口付近とは違い開けた空間。ここで例のご遺体が発見されたようだ。

11:15、第2ピッチを降りて通称「水たまりホール」に到着。
J.E.Tのリギングマップによると、この先の狭いメアンダートレンチは「1h30m せまくてつらいトレンチ」とのこと。ここから最奥部へは往復5時間。。。
みんな一様に頭を突っ込んでは諦めて戻ってくる。 美味しい昼食、温泉を優先して勇気ある撤退を決定。

11:30、撤収開始。昨日のスピードを考慮して、平間、千葉、脇海道、小池、山口、奥沢の順でいくことに。しかし、平間は昨日と段違いのスピードで進んでいく。まだ完璧ではないがコツは少し掴めたようだ。
デリギング中に奥沢がレンチを「水たまりホール」に落としてしまう。またいつか取りに行くことが決定。

12:30、全員出洞。下山を開始する。
周辺には集落があったようで、排水溝のような石垣のある道らしき遺構が続いている。その跡を辿りながら往路ルートとの合流を図ったのだが、尾根付近でロストしてしまった。
千葉がGPS位置情報を得ている最中に、小池を先頭に尾根から公団幹線道路目掛けてどんどん進んで行った。
なんでも小池曰く「そこに道が見えていたから嬉しくなって」との事であるが、それは獣道以下で、自分の背丈と同じくらいの藪を掻き分けながら下っていった。

13:00、公団幹線道路に出る。出たはいいものの、駐車スペースより300mほど下った場所に出てしまったようだ。しかし、やっと抜け出せた安心感で足取りは軽い。
駐車スペースに到着。平間が在京に出洞の連絡。ここでアクシデントが。千葉の足にヤマビルが吸血していた。ヒル自体は潰れてご臨終であったが血は止まらない。平間は無事であったが、昨日いただいたヒル対策スプレーの存在をその時になって思い出した。


13:20、撤収完了。昼食か温泉か、そろそろお昼どきから外れるので先に食事をすることに決定。
ご当地グルメが好きな千葉は良さげな郡上幡の店を探し出す。

14:00、駐車場確保にやや難儀しながらも新橋亭に到着。お店は清流吉田川のほとりにあり、川の音が聞こえ何とも風情のあるところだった。
料理も格別で、郷土料理「飛騨牛朴葉味噌定食」(1950円)が味も視覚的にも楽しめる逸品であった。

14:30、昼食を済ませそれぞれ街を散策。
平間はひと足先に昼食を済ませて橋向かいの旧八幡町役場へ。お目当ては郡上市のマンホールカード。平間のパートナーがマンホールカードの収集にハマっており、そのお使いである。更に八幡町には3つのデザインマンホールが存在しており、現物の写真を撮ることも忘れずにおさえた。
デザインマンホールを探しながら感じたことだか、八幡町は自然豊かな山間の町で美しい景色が楽しる。また、郡上八幡城八幡神社など歴史的な建造物も多く、歴史や文化に興味のある人には何ともそそられるものがあった。GW真最中であるが、そんなに混みまくっているという印象は感じずに余裕を持って観光できた。次回も訪れてみたい場所の一つとなった。
平間以外は湧水「宗祇水」や街並みを楽しみ、流響の里明宝ハム明方ハムなどお土産購入。

15:00、ホテル郡上八幡に併設されている日帰り温泉施設「郡上温泉 宝泉」で入浴。千葉・山口以外は昨日から風呂につかれていなかったため、一同早足で風呂場へ向かう。長良川のほとりに位置するこの温泉は、人も少なく露天風呂は貸し切り状態であった。湯加減も良く汚れや疲れをすっかり流してくれた。

16:00、ホテル駐車場にして解散。各車帰路へ。
山口車は国道156号線を南下、「デイリーヤマザキ 美並インター店」に寄ってから東海北陸自動車道・美波ICへ。

18:15、駒ヶ岳SA到着。そろそろ腹も減ってきたのでここで夕食。お目当ては駒ヶ根ソースかつ丼である。
信南レストラン 岳楽彩」にて注文しようとするとソースかつ丼は3種あり、2つは輸入豚。せっかくなので謎のブランド豚「まるちゃんポークのソースかつ丼」を注文。千葉・小池・山口は150g(2200円)、平間は250g(3000円)を千葉が勝手に注文。
待っている最中、疲れた顔した山口が一言「もう、まるちゃんでいいよ」と平間のニックネームを決めた。何故か千葉はそれに賛同し、平間のあだ名は『まるちゃん(ポーク)』にあっさり決まってしまった。ヤケクソ感はとても感じたが、「出涸らし」よりかは遥かにマシである。
配膳された本物の「まるちゃんポークのソースかつ丼」はボリューム満点であった。身は分厚いのに柔らかく食べやすく、何と言っても甘辛のソースと良く合ってあっという間に食べ終わってしまった。
食事後はお土産を購入し、運転手を山口から千葉に交代。

22:15、中央自動車道・国立府中ICで降りて千葉宅到着。装備を下ろして、汚れたロープは千葉宅に預けて解散。千葉は1人で装備洗いかとボヤいていたが、後日ツインズと共に装備洗いをしたそうだ。

22:45、小池宅にて小池解散。

23:45、平間祖母宅にて平間解散。
大久後洞付近 大久後洞・洞口 大久後洞
マムシを見つけてはしゃぐ脇海道 大久後洞、入洞開始 洞口入ってすぐのトレンチ
大久後洞・次郎ホール 大久後洞・水たまりホール 大久後洞・水たまりホール
テングコウモリのコロニー 水たまりホールからの激狭いトレンチ 水たまりホール
新橋亭 岐阜県郡上市八幡町 信南レストラン 岳楽彩
飛騨牛朴葉味噌定食(1950円) 郡上八幡マンホール「GJ8マン」 ソースかつ丼250g(3000円)


最後に洞窟活動したのはいつだったろうか。社会人になって3年目でようやく本格的な活動に参加した。千葉には渉外に必要なノウハウ(お土産選びなど)を教えてもらい、ベテランの方々にはSRTの技術的な指導や精神面での学びを得られた。
長時間SRTを使用する活動が初めてであったので、事故を起こさないよう細心の注意を払いながら、一つ一つの動作に確認を行いながらの活動になった。今回は−100m地点まで到達できたが、次回は更に奥へ進めるように精進したい。しかし、さらに奥へ進むということは帰りの登り返しが長くなるということであり、今回の登り返しでの体力バテなどは課題であると痛感している。
自分の知らない世界に行くのはやはり楽しい。学生の頃からそれは変わっていなかった。久しぶりに会った脇海道には、学生の頃の勢いがないということで「出涸らし」と呼ばれてしまったが、確かにそれは否めないところではあった。
社会に出て何か自身の中で燃えていないところがあったと思う。しかし、本活動を通してケイビングの楽しさや仲間と団欒できる感覚を思い出せたと思う。今後はもっと活動に参加できるようにしていきたい。(文責 平間弦)

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