タイトル | 地底旅団ROVER元老院第327回CAVING | ||||||||||||
サブタイトル | 第30次龍泉洞再測量調査 at 岩泉町・龍泉洞 | ||||||||||||
分 類 | 合同・調査ケイビング | ||||||||||||
入洞洞窟 | 龍泉洞(湧口、湧窟、龍泉窟) | ||||||||||||
日 程 | 2016年3月19日(土)〜21日(月) | ||||||||||||
参加者 | 家崎、小向益男(日本洞穴学研究所)、松本力(東山ケイビングクラブ) 以上3名 | ||||||||||||
日本三大鍾乳洞のひとつとされる国指定天然記念物「龍泉洞」。本洞穴は透明度日本一という地底湖が見所である、岩手県岩泉町経営の観光鍾乳洞である。 第29次龍泉洞再測量調査(第320回CAVING)では、第3地底湖真上通路の測量を中心に行い、高低差・総延長ともに大きく更新した。 今回の活動は、第3地底湖真上通路を中心に、今後の調査となる第2地底湖真上通路、「白亜宮」上層、「月宮殿」上層の探査を目的として計画された。 19日14:30、家崎は農作業の手伝いを終え、岩泉町小本地区から龍泉洞へ向かう。 15:00、松本・小向・家崎が龍泉洞事務所に集合。挨拶。 参加予定であった細野からは、家族がインフルエンザにかかってしまったため欠席との連絡が来る。細野車に同乗予定であった野池も欠席となる。 15:30、まずは入洞して観光通路「月宮殿」にて、アタック箇所の確認を行う。今回は3名という少人数のため、調査総責任者:菊地敏雄からのミッションは「月宮殿」上層の探査。2006年度に概念図のみ作成されており、今後の調査のためにその再確認を行う。 観光通路から仰ぎ見るだけでも上層へ続くルートはいくつかあったが、第23次龍泉洞再測量調査(第280回CAVING)の際に、松本が「月宮殿」上層ホールから下層に降りるルートを確認したことから、初日はそのルートのアタックを行うことに。ナチュラルに確保を取りながら数m降りると、下方に観光部分の照明が見えたという。 16:00、出洞。スーパー「まつや」で買い物後、宿舎としてお世話になる小向宅へ移動。ダックスフンドの愛犬2頭が大きな声で出迎えてくれる。小型犬が苦手な松本はタジタジ。 17:30、夕食。カレイの焼き魚・岩のりの味噌汁・ごはん・漬物と健康的な夕食。デザートは昼に家崎が摘んできたイチゴ。 18:30、龍泉洞に到着。入洞準備。 19:30、入洞開始。「白亜の議事堂」から「月宮殿」上層ホールへと向かう。早々に「魔のトラバース」と呼ばれるトラバースにぶつかる。途中1ヶ所に足場が無く、手が届くか届かないかの位置のホールドを掴んで踏み込むという難所である。 アクションカムをヘルメットに装着し、意気揚々と動画を撮影。2番手の小向は足を滑らせ、体が振られてタックルバッグが壁に激突。3番手の家崎はビビりながらもあっさり通過。小さい人には小さい人の身体の使い方があると松本。 20:30、アタック開始場所である「月宮殿」上層ホールに到着。上方に続く2つのルートからロープが下がっている。 松本が上方ルートのうち1つの探査を行おうとしたが、下方ルートへの落石が心配され、仕事で右手を負傷して本調子ではなかったために次回に持ち越し。 家崎は予定通り、以前松本が途中まで確認した下方ルートのリギングを行う。母岩が柔らかい場所が多く、アンカーを打つ場所を探すのにまず一苦労。松本・小向2人の指導役から所々喝!が入る。ピッチヘッドで支点を取り、ディビエーションをかませながら、斜洞を降りていく。右手に進路変更するため、リビレイをとってほぼ垂直に落とす。二又に分かれ、約20mの大空間を通過する。圧巻の大ホールは概念図での「竪穴ホール」と推定される。中腹から横にのびるルートが見える。その後は壁付でほぼ垂直に観光通路に降りていく。ロープの流れを見ながらディビエーションを設置していく。ロープが足りるかとひやひやしていたが、50mロープをぴったり使い切る。 23:30、家崎リギング完了、「亀岩」脇に降りた。セカンドの松本からディビエーションの場所の変更や追加の手直しをしてもらう。 24:30、出洞。 25:15、小向宅に到着。小向差し入れの分厚いステーキ(1人1枚)と葛巻ワインで乾杯。 27:00(3:00)、就寝。
20日10:00、朝から元気なワンちゃんたちの声で起床。 10:30、松本・家崎は「龍泉洞温泉ホテル」にて入泉。小向は私用で久慈市へ。 11:30、岩泉町内のランチ開拓開始。まずはトンカツが美味しいと評判の「藤久」。定休日の看板が見える。 肩を落としながらも、次は圧倒的な人気のラーメン店「創」へ。こちらは松本車・キャラバンを駐車するのに断念。 どうしようかと作戦会議をしながら「うれいら通り商店街」へ向かう。レトロな店先に岩手の郷土料理「ひっつみ」の文字が見える「うめのや食堂」に入店。家崎はひっつみ定食、松本はラーメンのセット。奥様とコウモリの話で盛り上がる。 13:00、家崎宅にて仮眠。 16:00、小向宅に移動、合流。 17:00、夕食(ホルモン鍋・ご飯・漬物・酢豚)。 18:00、龍泉洞に到着。入洞準備。 18:30、入洞開始。本日は昨晩詰め切れなかったルートの探査を行う。家崎では技術的に困難と判断して松本がリギングする。 下から上っていくと、二又ルートの昨日のルートと、もう片方のルートは繋がっていることが確認でき、「竪穴ホール」(仮)から横にのびるルートのリギングを行う。 現地に着いてみると、目指す支洞は約3m上った先に伸びている。アンカーを打ちながら登攀してもいいがビレイヤーが待機する場所がない、なによりメンバー的に不安、と悩んだ挙句、投げ輪の要領でロープを投げて石筍にひっかけることにする。一投目でナイスサイズな石筍にHIT!登ってきたロープにディセンダーで自己確保し、投げたロープを登る。輪っかが抜けても、体重で石筍が折れても、振られて壁面に叩きつけられる。かなり恐いが、無事に登りきり2番手の小向に到着コール。持ってきてもらったドリルでササッとトラバースのリギング完了。 3番手の家崎は昨日松本が追加したディビエーションの私用スリングを交換し、「月宮殿」上層ホールに置いたままの荷物の回収を行う。軽く休憩をとり、3人で探査を行う。 トラバースラインを通過すると、やや広い空間となっている。二次生成物が非常に発達し、約40pの長さのストローが林立している。折らないようにそっとくぐり抜け、斜面を降りていく。下方向に観光洞の照明が見える斜洞ルートがあり、ロープが設置されている。降りると「地蔵岩」の上部、ナチュラルブリッジの様になっているテラスに降り立った。このルートは概念図の「アクセスルート」と推定される。マイロンはかなり腐食していたが、地R元のものと思われる赤と黒のテープでマーキングがあった。きっと第1次龍泉洞再測量調査(第159回CAVING)で千葉が登ったところだろう。ピッチヘッド上部もフリーでのぼったような痕跡があったが、次回へ持ち越すことになった。「亀岩」脇にロープを隠して撤収。 24:30、出洞。 25:00、小向宅にて、またしても小向差し入れの刺身で乾杯。中トロ・ソイ・メバル・クジラ・カツオ・タコ等‥豪華な食事である。活動の収穫と今後の探査へと話が膨らむ。 28:30(4:30)、就寝。
21日9:30、起床。パンと卵焼きで軽く朝食。 11:00、龍泉洞事務所へ挨拶。 12:00、解散。家崎は岩泉町の自宅へ到着。 少数の合宿だったが、成果は多数あった有意義な活動だった。今後は「月宮殿」上層ホールに設置された、上方にのびる2本のルートの探査や、+55m地点まで確認されている「アクセスルート」(仮)上部の探査が必要になると思われる。 個人的にはリギングのスピードが遅く、手直しも何か所もしてもらい、反省も残った。 (文責 家崎晶) |
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