タイトル 地底旅団ROVER元老院第159回CAVING
サブタイトル 第1次龍泉洞再測量調査 at 岩泉町・龍泉洞
分 類 調査ケイビング
入洞洞穴 龍泉洞(湧口、湧窟、龍泉窟)
日 程 2005年7月17日(土)〜18日(日)
参加者 千葉、黒田、村野て、鈴木、星野、菊地敏雄(日本洞穴学研究所)、戸田聡、佐藤登、鶴巻琴子(以上、亀戸ケイビングクラブ)、石山慎弥、小暮雄樹、名眞大気(以上、パイオニアケイビングクラブ)、野池耕平(東京スペレオクラブ)、イセーンコ・イエフゲーニ(北海道大学探険部)、木嵜ちひろ(東京農業大学農友会探検部) 以上15名
龍泉洞・洞口前日本三大鍾乳洞のひとつとされる国指定天然記念物「龍泉洞」。本洞穴は透明度日本一という地底湖が売り物の観光洞である。全体的測量調査は1967年以来行われておらず、改めて洞内を見る限り、平板の入らなかった空間や探検時の光量不足によって見逃した未記載空間があることがわかる。「平成17年度日本洞穴学研究所総会」において協議された結果、再測量を行う運びとなった。
今回は再測量を行う事前調査としての探検活動、周知空間と新空間の確認、それに伴う測量ポイント設置位置の確認を目的として計画された。


17日6:30、帝都組車両(地R元車・亀戸車・PCC車)は龍泉洞事務所に到着。間もなく菊地さん@日本洞穴学研究所と合流、挨拶。
田鎖さん@岩泉町役場の案内でレストハウスへ向かう。そこには「龍泉洞水まつり」の龍神様がバラバラになって鎮座されており、ここで仮眠をとって良いと言うことらしい。過半数は寝たが、千葉・黒田らは眠りにつけず、菊地さんと38年前の測量図を見ながら作戦会議。
その間、星野は小本駅までイセーンコ(通称:ゼニャ)を迎えに行く。

10:00、2班体制にて活動を開始する。
千葉・黒田・鈴木・ゼニャ・名真・小暮は「蝙蝠穴」へ向かう。この支洞のみが観光部への影響がないため、概念測量と探検活動を行う。
地R元3名は鈴木のポケコン読み練習を兼ねて測量、その他は新支洞洗い出しをしてもらう。入洞不可能な狭洞から微気流が見られたが、その他には新たな発見には至らなかった。
「第2洞口の可能性が最も高い支洞」と聞いていたが、コキクガシラコウモリのコロニーが形成されることからも、その可能性は低いであろう。当日はコキク10数頭が乱舞していた。
泥だらけで支洞から出洞すると、観光カップル客とはち合わせ。驚きながらも、汚物を見るような目をしながらそそくさと逃げ去る。本当にケイビングとは報われないスポーツである・・・。

村野・星野・佐藤・鶴巻・野池・石山・木嵜は観光部へ向かう。天井部を中心とした38年前測量図未記載通路の洗い出しである。後で聞くところによると2000人/日の入洞者があったとのことで、そんな中をオーバースーツ+ヘルメット+強力ライトという出で立ちのため、すれ違う人々の不思議そうな視線が痛い。5分に1回は何をしているか聞かれ、地底湖の深さは?など聞かれ答えられずみんなで苦笑する場面もしばしば。
未記載通路をチェックしながら進むのだが、測量図名称と洞内名称が違っていたりするため、現在地を把握するのに苦労した。
「第3地底湖」まで進むが、帰路ルートである階段で大渋滞。ほとんどチェックすることが出来なかった。
未記載通路はほとんどが天井部にあり、探検、測量は簡単にはいかなさそうである。

13:00、全員出洞。役場支給の弁当を頂きながらブリーフィング。若手3名は夜食買出しへ行ってもらい、残りは青少年旅行村バンガローにて仮眠。
龍泉洞・コウモリ支洞 龍泉洞・コウモリ支洞 龍泉洞・観光通路
今後のための概念測量(ゼニャ撮影) データ記入する黒田(ゼニャ撮影) 観光客に混じって天井部視察(石山氏撮影)

17日18:00、役場支給の弁当で夕食。全く活動していないため腹が減るわけもなく、機械的に腹へ詰め込む。

19:00、4班体制にて活動開始。
黒田・星野・鶴巻・ゼニャは、水流部にボートを浮かべての観光通路下のラフスケッチや写真撮影を行う。やや水量が多く、「第1地底湖」より先は詳細が確認できなかった。

千葉・戸田・小暮は、「天宮殿」と「亀岩」付近の天井部を二連梯子をもちいて上層通路確認作業を行う。垂直部や急勾配で通路は続いており、それなりの手応えはありそうであった。

村野・佐藤・石山・名真は、「水晶宮」と「白蝋宮」の未記載通路の洗い出しを行う。観光部から水晶宮支洞「第1通路」へと入り、フローストーンに覆われた急斜面をひたすら登っていく。ホールドがあまりないので、滑り落ちやしないかと、びくびくモンである。そして、帰路を思うとユーウツ。。。
最後にオーバーハング気味の段差を上ると、「水晶宮」に出た。つらら石や石筍が良く発達し、"龍泉洞=地底湖"のイメージとはまったく異なった光景であった。その先「白蝋宮」へは、洞床がリムプールとなった狭洞を水くぐりである。一通り探検、2〜3の支洞を確認するが、いずれも探検済のようだ。「第1通路」の上層にあたる「第2通路」も、石山・佐藤が途中まで行ってみるが、クラックが多いということで引き返してきた。
とりあえず24:00を回っていたので一旦出洞。菊地さんに状況報告すると、「じゃ、後半は第2通路の方を攻めてみようか」との指令があっさり下る。う〜ん、あの斜洞をまた登るのか。がんばろう。

25:00(1:00)、再入洞。ゼニャも加わる。「第2通路」はクラックが多いというよりもほとんど全部がクラック。みんなでビビリながらのトラバースとなった。天井も高い。主洞部の接続部付近でSRTによる降下を試みるが、洞床がガレているため落石が激しく、途中のテラスにたどり着いたところで引き返すこととした。次回、接続部手前のクラック部と併せ、装備を整えて再挑戦したいところである。
観光部へ戻り、「第2通路」と主洞部の接続ポイントを確認。ちょっと意外なところで接続していることが分かった。

鈴木・野池・木嵜は、「白亜の議事堂」付近の未記載通路の洗い出しを行う。ここには昔のコンクリート跡があったりしたり、ずいぶん荒れた感じである。怪しそうな箇所は沢山あるのだが、あまりにも落石が多く、直下の観光洞施設を破壊と−20m滑落の危険性から、次回体制を整えてからの再挑戦となった。

30:30(6:30)、全員出洞。役場支給の弁当で朝食を取り仮眠。
18日12:00、4度目の役場支給の弁当を頂き、現地解散となった。


今回は終始未記載通路確認作業となったが、天井部に集中して未記載通路があることがわかった。また、観光部以外は高低差が大きく、滑落や落石の危険性があることも確認された。
次回以降、本格的に測量を開始、同時に人工登攀による天井部アタックを行っていく予定である。(文責 千葉伸幸・村野哲雄・鈴木達朗・星野亜沙子)
龍泉洞・洞口前 龍泉洞・観光通路下水流部 龍泉洞・天宮殿
夕闇の入洞準備(石山氏撮影) 水流部のラフスケッチ作業 天井部視察準備(ゼニャ撮影)
龍泉洞 龍泉洞・水晶宮 龍泉洞・白蝋宮
新洞部探査活動(石山氏撮影) 水晶宮の二次生成物(ゼニャ撮影) 白蝋宮の二次生成物(石山氏撮影)

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