タイトル 地底旅団ROVER元老院第325回CAVING
サブタイトル レスキュー訓練 at 日立市・大久保の風穴
分 類 合同・訓練ケイビング
入洞洞窟 大久保の風穴(風穴鍾乳洞)
日 程 2016年2月20日(金)〜23日(月)
参加者 家崎、小林日、栗栖隆一、野池耕平、黒田朋子、吉澤幸絵、田島大貴(以上、東京スペレオクラブ)、松本力、山口真也(以上、東山ケイビングクラブ) 以上9名
「大久保の風穴」は総延長504.7m、高低差43.4mの竪横複合洞である。風穴は天神が造ったもので、人間がこの穴に入ろうとすると必ず洞穴の中から風が吹き出してくるという民間伝承がある。関東ケイバーにとっては、竪穴の基本訓練やリギング練習をする場としての身近な洞穴のひとつである。
今回の活動は、レスキューの技術向上を目的としたSRT訓練である。第29次龍泉洞再測量調査(第320回CAVING)の際、黒田・家崎で若手技術向上を目指した訓練を行いたいということで企画された。


20日17:30、「TKPガーデンシティ仙台」にて研修だった家崎は、松本とJR仙台駅・南口ロータリーで合流する。

18:00、「イオンモール名取」で買い出し後、「紅虎餃子房 イオンモール名取」にて中華料理の夕食。松本は人気の担担麺セット、家崎はあんかけ焼きそばのセットを注文。ボリュームもあり、味も申し分なしの美味しさ。

20:00、仙台東部道路・名取ICから常磐自動車道を南下して茨城県を目指す。

22:30、順調に走行して日立中央PAに到着。ポテトチップス ポンジュース味をつまみに車内で盛りあがる。甘いのか塩辛いのか分からない、微妙な味である。

24:00、就寝。
21日7:00、起床。「ファミリーマート 日立中央パーキングエリア上り店」で行動食を購入。朝食をとる。

かみすわ自然の村かみすわ山荘
宿舎「かみすわ自然の村かみすわ山荘」
8:00、移動開始。常磐自動車道・日立中央ICで高速を降りる。
集合時間までの空き時間で、本日の宿舎である「かみすわ自然の村かみすわ山荘」の偵察を行う。廃校を利用した趣きのある施設である。ロープを張るのに適した大きい木が林立し、天井のある野外炊飯施設があり、リギング練習には困らないようだ。

10:00、それでも時間が余るので「河原子海水浴場」でサーファーを眺めながら、車内でノット練習やレスキューリギングの予習を行う。

11:00、JR常陸多賀駅にて、公共機関で来た小林・黒田と合流する。

11:30、「かみすわ自然の村かみすわ山荘」に到着。栗栖・遠藤・田島と合流する。車内は東スぺ倉庫で積み込んできた装備で満載、感謝である。
各自購入してきたもので昼食をとる。

かみすわ自然の村かみすわ山荘
カウンターバランスシステム
12:30、山口も合流し、訓練開始。雨天のため、野外炊飯施設の梁や柱を使って行うことに。
まずはZ−rigの確認を行う。個人で技術の差があるため、家崎・遠藤・田島をサポートしながら進める。
その後は約2.5mの高さの梁にロープをかけ、カウンターウエイトのシステムを作る。黒田・栗栖・松本班と山口・遠藤・家崎班に分かれて、それぞれコントローラー・ウエイト・負傷者の役割を経験する。梁の高さが低く、すぐにウエイト役が地面についてしまい、なかなか上手くできない。
応用としてカウンターバランスシステムを、コントローラー:小林、負傷者:田島の役割分担で行う。Sの田島は踏まれて嬉しそうだ。
最後は野外炊飯施設の対角となる梁にそれぞれ流動分散でアンカーをとり、トラバースブリッジを張る。全員でロープに担架を装着し、搬送する訓練を行う。

18:00、暗くなってきたところで訓練終了。

19:00、仙台名物「せり鍋」の夕食。松本が実家から調達してきたせりは農家直送で香りが強い。

19:30、男女に分かれて順次入浴。

21:00、宿泊部屋にてノット練習。

23:00、就寝。
かみすわ自然の村かみすわ山荘 かみすわ自然の村かみすわ山荘 かみすわ自然の村かみすわ山荘
Z−rig指導中 チロリアントラバース(黒田朋子氏撮影) 仙台名物せり鍋(松本力氏撮影)

22日5:00、全員就寝中に栗栖がそっと離脱。

7:00、起床。各自購入してきたもので朝食をとる。宿舎清掃。

8:00、「かみすわ自然の村かみすわ山荘」を出発。

8:30、「大久保の風穴」に到着。入洞準備。

10:00、野池合流。
各班に分かれて行動を開始する。搬出ルートは六畳の間〜三畳の間〜洞口〜大久保林道である。 システムは「六畳の間」と洞口に設置。

【リギング班@(松本・野池・黒田)】
「六畳の間」から鉄製梯子上部への引き上げのリギングを行う。
鉄製梯子が立てかけてある約4mの壁を垂直に引き上げ、トラバースで洞奥に向かって移動させ、狭洞部の手前の少し広いスペースで担架を外すことにする。
担架用、伴走者用、トラバース用の3つのロープを分担してリギングする。

【リギング班A(小林・遠藤・家崎)】
洞口から洞口前の川までの斜面(約4m)の引き下ろし用リギングを行う。
洞口に流動分散でピッチヘッドをとり、ディビエーションを作って、ロープを垂らすだけの簡単なリギングだが、不慣れな家崎・遠藤は時間がかかる。小林から優しいアドバイスをうける。

【洞内偵察班(山口・田島)】
「大久保の風穴」初入洞の田島のSRT昇降訓練を兼ねて、山口がリギングし、第3ピッチまでのファンケイビングを行う。

大久保の風穴・六畳の間
梯子上から「六畳の間」を見下ろす
12:00、リギング終了。全員でレスキュー訓練に入る。
「六畳の間」にて負傷者役の田島を担架に梱包し、「八畳の間」への引き上げを開始する。コントローラー:黒田、ウエイト:山口、伴走者:小林、引き上げ:松本・家崎、梯子下のサポート:遠藤、梯子上のサポート:野池の役割分担で行う。
黒田・山口が息を合わせて、梯子部分を垂直に引き上げる。梯子上まで引き上げた後は、担架の方向を調整しながら、松本・家崎でトラバースラインを洞奥に向かって引き込む。少し広い場所で担架を外す予定だったが、スペースが足りず担架を安定して置くことが出来ない。そこで急遽、同じルートを下げ戻すことにする。
野池がロープスリングを用いてプーリーをストップに付け替え、引き上げるシステムから引き降ろすシステムに変更する。松本がコントローラーをし、野池は負傷者に伴走して、鉄製梯子を降り、「六畳の間」まで引き降ろす。

13:40、「六畳の間」への引き降ろし完了。負傷者役の田島には担架から降りてもらい、洞口まで徒歩移動してもらう。
洞口で簡単に昼食をとり、また担架に田島を梱包する。

14:00、洞口からの引き降ろし開始。コントローラー:家崎、伴走者:山口、他は担架搬送。
家崎はたどたどしく指示を出すも、下からは聞こえないとの野次。洞口から引き降ろす途中で、進路変更する箇所に、ロープが擦れないようにヒューマン・ディビエーションとして松本が待機する。

14:30、洞口前の川への引き降ろし完了。

14:45、出洞。装備洗い。

16:00、装備洗い終了。

16:30、「ステーキガスト 日立多賀店」にて夕食&反省会。
レスキューリギングのシステムを理解することに必死になってしまったが、大切なのは担架をスムーズに運ぶことであり、負傷者に負担をかけない搬送の仕方をもっとイメージするようにとの指摘を受けた。
また、担架に人を入れてレスキュー訓練をするレベルではないとの意見もあった。己の技術不足を実感する声が多かった。

17:30、解散。東京組は山口車・野池車に分かれて帰路に着く。東北組は行きと同じく常磐自動車道・日立中央ICから北上する。

21:00、仙台東部道路・名取ICで高速を降り、JR仙台駅にて松本と解散。家崎は東北新幹線で岩手県へ向かう。

23:00、家崎はJR盛岡駅に到着。駐車場にとめていた車のバッテリーが上がっており、急いでロードサービスを呼んで修理してもらう。

24:00、修理が終わってJR盛岡駅を出発。

25:30、岩泉の自宅に到着。
大久保の風穴・六畳の間 大久保の風穴・六畳の間 大久保の風穴・洞口 大久保の風穴・洞口
「六畳の間」の引き上げ(松本力氏撮影) 引き上げから引き降ろしへ変更(黒田朋子氏撮影) コントローラーと伴走者(黒田朋子氏撮影) ヒューマン・ディビエーション(黒田朋子氏撮影)


レスキュー訓練の必要性を感じており、今回の訓練に参加することができ、担架搬送の一連の流れを見ることが出来て、とても学びが多い活動だった。今後とも今回の学びを復習して活用できればと思う。 (文責 家崎晶)

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