タイトル 地底旅団ROVER元老院第326回CAVING
サブタイトル 接続しているのは河内風穴ではなく佐目風穴? at いなべ市・篠立の風穴
分 類 合同・調査ケイビング
入洞洞穴 篠立の風穴(風洞、風穴)
日 程 2016年3月12日(土)〜13日(日)
参加者 千葉の、村野、細野、本田、木嵜、小池、有馬、須佐見吉生(洞窟科学調査会)、黒田朋子(東京スペレオクラブ)、木村光男(秀真の会 森の学校)、地元の女性 以上11名
白石工業桑名工場跡 三重県いなべ市の白石工業桑名工場跡に開口する「篠立の風穴」は、滋賀県多賀町「佐目風穴(佐目のこうもり穴)」または「河内風穴」につながっているという民間伝承が残る横穴石灰洞である。
三重県指定天然記念物になっているこの洞穴は、少なくとも江戸時代から知られており、洞内には江戸時代の入洞記録が複数ある。
また、明治9(1876)年〜明治18(1885)年頃に書かれた官撰地誌「皇國地誌」では「篠立風穴」、明治10(1877)年の事実上の私撰地誌「三重縣博物図稿」には「風洞」、天保6(1835)年「桑名志」や明治13(1880)年「三重管内博物誌」や明治20(1887)年「三重古事記稿」や大正4(1915)年の「員辨郡郷土資料」には「風穴」として紹介されている。
2009年より年1回(5月連休中の遊学祭)の一般公開がされるようになり、2013年第282回CAVINGでは地元ボランティア団体の木村光男様より巡検のお誘いを頂き入洞させて頂いた。
本活動では洞内にある江戸〜明治年間の壁書の確認と写真撮影、明治年間の洞内記載の検証を目的に行った。


12日21:30、千葉・村野・細野・木嵜は千葉宅にて集合。装備を千葉車に積み込んで出発。

22:30、小池・黒田をJR登戸駅・多摩川口の道沿いで拾って出発。
活動前に眼レフカメラを購入した小池は、早く何か撮りたくてウズウズしていた。撮影のコツは千葉曰く「シャッターボタンを押すこと」。

23:30、東名高速道路・東名川崎ICから西走、途中の中井PAにて有馬を拾う。送ってくださった有馬のご両親への挨拶を済ませ、三重県を目指す。

25:30、新東名高速道路・NEOPASA浜松SAにて小休憩。
千葉主導による男気じゃんけんの結果、村野と小池が皆にお菓子を振舞うことに。ご当地土産「うなぎパイ」は甘く、SA限定商品「三ケ日みかんバウムクーヘン」はほんのりみかんが香り、共になかなか美味しかった。

26:30(2:30)、伊勢湾岸自動車道・湾岸長島PAに着き、施設に入ろうとすると閉まっていた。どうやら夜間は開いていないらしい。
車内で仮眠をとることになる。木嵜・有馬・黒田の3名は後部座席に追いやられ、非常に狭そうだった。


13日7:00、起床すると既に施設は開いていた。フードコートにて、伊勢名物「伊勢うどん」など銘々に朝食をとりながら、調査についてのミーティングを行う。洞穴の測量図や資料を貰うと、すぐにでもケイビングをしたくなってしまう。あと少しの辛抱である。
ここでも男気じゃんけんが始まるのではないかとビクビクしていたが、その不安は杞憂に終わった。
食後、小池は1人優雅に足湯を楽しむ。
ナガシマスパーランドや四日市の工場風景を臨みながら、東名阪自動車道・桑名ICから一般道へ。

9:00、集合場所である「喫茶・軽食 山びこ」に到着。本田・須佐見さんと合流すると、須佐見さんから大量のみかんをいただく。思えばみかんバウムといい、みかんづくしの活動であった。
一通り挨拶を済ませ、木村さんと、今回が人生初ケイビングだと言う地元の女性と共に洞穴へ向かう。車中、頂いたみかんを食べたのだが、これがとても甘くて美味しい。2個3個と食べ進む。

白石工業桑名工場跡
白石工業桑名工場跡
9:30、現地到着。付近には炭酸カルシウム関連の工業製品を作っていた「白石工業桑名工場」跡があり、自然と人工物の入り混じる少し不思議な景色が広がっていた。千葉によると、ここ3年間で更に解体が進んでいるらしい。
入洞準備中、小池・有馬が千葉からおニューの地R元公式ケイビングスーツを受け取り着替えてから、集合写真を撮る。
この時に小池のピンク色のカメラを見た千葉が、あだ名を「(林家)ペー」にしようと考え始める。できれば回避したい名前である。

10:00、活動開始。
須佐見さんは山狩りをすると言って、山へと入っていった。
細野・本田・小池・有馬・黒田は洞穴の全体像確認のために、まずは最奥へと向かった。中ほどにはコウモリコロニーが見られ、最奥付近はグアノの臭いがキツかった。千葉によるコウモリ解説によると、中ほどにいたのはユビナガコウモリだそうだ。二次生成物は豊富とは言えないが、一定数のフローストーン、ストロー、石筍が見られる。通路にははっきりとノッチが刻まれており、狭洞部の壁にはスカラップが確認できた。
一通り回って洞口付近のホールに集まったところで、初ケイビングの地元の女性は出洞した。楽しんでいただけたようだ。

10:20、調査開始。
まずは写真撮影と解読のために、全員で壁書付近にナンバリングしたカードを設置していく。同時に各古文書に書かれている記載内容も確認する。対象は江戸〜明治期の壁書であるが、昭和期のものと思われる壁書(落書き)も少なくなく、判別に苦労した。
木村さんも調査に参加してくださり、パパッとカード設置が完了。
千葉・小池は琵琶湖につながっていることになっている箇所を探索。おそらくここであろうという小さな穴を確認。真偽は不明である。

13:30、洞内にて昼食。小池は昼食の模様の撮影を試みたが、これがどうにも上手くいかない。

13:20、2班に分かれて調査再開。
千葉・細野・本田・小池・有馬・木村さんは、最奥部から洞口に向かって壁書解読と古文書の記載確認を行った。小池は活動風景を撮影。
村野・木嵜・黒田はカードを回収しつつ、壁書や古文書の記載箇所を撮影した。

14:20、千葉・細野・本田・小池・有馬・木村さんは出洞。付近は工場跡ということもあり、そこかしこに階段が設置され、比較的楽に山を登ることができた。そこで人工的に埋められたと思しき洞穴?を発見。工場設立の際に埋められたのだろうか。
対岸を見ると猿がキーキー言いながら山を駆けていた。千葉も負けじと声を張り上げる。

15:00、村野・木嵜・黒田が出洞。須佐見さんも山狩りを終え、全員無事に活動終了。
着替えて帰るぞー!と思いきや、カードが1枚見当たらない。どうやら洞内記載の1ヶ所を撮影をしていないらしい。千葉が木嵜・黒田に急いで撮影してくるように命じると、そこに村野から待ったが掛かる。「そのカードなら俺が回収してますよ。撮影もしてます。」 流石である。2人がひとしきり村野に感謝の言葉。

16:00、木村さんと解散して現地を出発。

17:00、とんてき発祥の店「来来憲 本店」に到着。人生初の特上大とんてきは、スパイシーで美味しかった。

18:00、本田・須佐見さんと別れて帰路に着く。
ここで小池のニックネームが「ペ」に決まる。林家ペーとペ・ヨンジュンをリスペクトしたと千葉は言っていた。お世辞にもかっこいい名前ではないが決まってしまった以上は従うしかない。地R元はそういうルールである。
東名阪自動車道・桑名ICから東走、東京を目指す。

20:00、新東名高速道路・長篠設楽原PAにて小休憩。村野・細野・小池は数分で車に戻ったが、千葉・木嵜・有馬・黒田の姿が見当たらない。屋台のとんてき串を食べ、「来来憲」のものと比べていたようだ。結果、「来来憲」に軍配が上がった。そりゃそうだ。ここでの男気じゃんけんは黒田に軍配が上がった模様。

21:40、気がつくと東名高速道路・中井PAにいた。どうやら眠ってしまっていたようだ。ここで有馬と解散し、再出発。

22:30、JR登戸駅・生田緑地口ロータリーに着き、木嵜・小池・黒田は降車。この後は順次解散となった。
篠立の風穴・洞口 篠立の風穴 篠立の風穴
柵が設置されている洞口 壁書の洗い出し作業(黒田朋子氏撮影) 琵琶湖に通じているはずの小穴
篠立の風穴 篠立の風穴 来来憲  本店
古文書の記載と洞内の様子を比較 弘化三丙午年の壁書(黒田朋子氏撮影) 特上大とんてきは1700円(黒田朋子氏撮影)


今まで何度か洞内の壁書を見たことがあったが、壁書の調査を主とした活動は初めてだった。古典に全く興味のない私であったが、洞穴調査で必要となれば話は別である。今回活動前に予習したこと、活動中に得た知識を基に、また別の洞穴壁書調査にも参加してみたい。(文責 小池優志)

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