タイトル | 地底旅団ROVER元老院第318回CAVING | ||||||||||||||||||
サブタイトル | 第19次稲荷穴調査 at 遠野市・稲荷穴 | ||||||||||||||||||
分 類 | 合同・調査ケイビング | ||||||||||||||||||
入洞洞窟 | 稲荷穴 | ||||||||||||||||||
日 程 | 2015年11月27日(金)〜29日(日) | ||||||||||||||||||
参加者 | 千葉、細野、家崎、山口泰史、菊地敏雄、土田孝之、松本力(以上、東山ケイビングクラブ)、鎌田亜裕美、近野由利子、縣智丈(以上、Japan Exploration Team)、小向益男、渡辺修二(以上、日本洞穴学研究所)、作山宗樹(コウモリの保護を考える会)、升屋勇人(森林総合研究所東北支所)、松本晶(山形大学地学研究会) 以上15名 | ||||||||||||||||||
岩手名水20選の一つである、岩手県遠野市宮守町達曽部「稲荷穴」。これまで各専門研究者により、蝙蝠類調査、洞内で発見した炭化物調査、鉱物調査、洞内水系調査、洞窟と人との繋がり調査等を実施されてきた。一部は研究機関誌や日本洞窟学会誌に報告、これから作成する「稲荷穴調査報告書」の土台を構築してきた。 今回の活動は、残されている部分の測量とコウモリ類、生物、菌類調査、洞内写真撮影等を行うために計画された。 調査期間は11月28(土)〜29(日)である。 27日22:00、千葉の愛車デリカD5のお迎えで、東京の細野宅を出発。なかなか2人だけでの長距離移動もないため、他愛もない世間話。 東京外環自動車道・大泉ICより高速に入り、東北自動車道を北上。途中、運転交代するが、細野は何故かいつもは無い睡魔が襲ってくる。千葉に申し訳ない気持ちのなか、そんなに走っていないのに細野から千葉に運転交代。何時にもなくいっぱい寝かせてもらい感謝。 釜石自動車道・東和ICで高速を降りる。 28日5:00、千葉・細野は「ローソン 遠野宮守店」に到着。ビールと肴を買って、向かいにある「道の駅 みやもり 」へ移動。車外は気温4度と寒いので車内でビールを飲む。 7:00、外が明るくなってきたところで仮眠。 8:00、松本父娘が合流。大学生になっていた晶を見て、千葉は目頭が熱くなる。 道の駅売店や隣接する「ホームマート 宮守店」で各自食材を購入、「めがね橋」を見ながら朝食をとる。 9:30、家崎は単独で宿舎「白石湧水7区集会所」に到着し、土田と合流。地権者である佐藤さん宅へ伺い、「稲荷穴」の鍵を受け取る。 9:50、家崎・土田は「稲荷穴」駐車場にて作山氏と合流。家崎は初めて作山氏に会うので緊張である。手早く着替え。 10:00、「遠野市役所宮守総合支所」にて先発隊以外が集合。CL:山口、SL:鎌田より挨拶後、「道の駅みやもり」に隣接する「みやもり・リバーサイドショッピングタウン 森の市場mm1」にて行動食を購入後、宿舎に向かう。 昼食をとり、入洞準備を整える。 同時刻、先発隊であるコウモリ調査班(作山・土田・家崎)が入洞を開始する。 主に主洞部と支洞「コウモリ洞」におけるコウモリ数の計測とナンバリングを行う。「コウモリ洞」までの主洞部には、多数のキクガシラコウモリが洞壁に点在する。 土田は「コウモリ洞」入口の狭洞部を嫌がり、主洞部との分岐の少し広い場所で待機。 「コウモリ洞」には、圧巻の200頭以上のコキクガシラコウモリのコロニー。家崎は作山氏のナンバリングの記録補助をしながら、コウモリについての知識を教えて頂く。羽を広げて腕の骨から大人とこどもを見分ける方法や、生殖器からオスとメスを見分ける方法など。また、作山・家崎に共通した趣味のツリークライミングの話で意気投合し、盛り上がる。 土田と合流し、帰路もコウモリにナンバリングしながら歩く。 12:45、先発隊出洞。作山氏離脱。一旦、宿舎へと戻る。 13:00、後発隊が宿舎を出発。先発隊が鍵をかけて出洞してしまい、洞口が施錠されているというハプニング。松本が急いで宿舎へ戻り、先発隊から鍵を受取る。娘がいるとパパは弱い。 13:20、後発隊が入洞開始。先発隊(家崎・土田)は昼食を済ませてから、追っかけで再入洞することにする。 【上層探査班(千葉・細野・松本(力))】 第18次稲荷穴調査(地R元第308回CAVING)で探査を行った天井部から延びる支洞を探検&測量。 主洞部「ゴビ」付近の+4m地点より北方向に延びる通路が支洞入口となっており、泥が堆積する入口を匍匐で進むと、3人程が立てる空間に到達。この時点で必然的に泥まみれ。そこから傾斜+75度の泥壁が上に向かって延びている。 ホールド箇所が殆ど無いため、フリーでの登攀は不可能。人工登攀で張った残置ロープを使い、高さ0.4〜0.5mの通路を5m登ると、そこからはほぼ垂直。更に通路は狭くなる。この付近には多くの泥が堆積していた。 千葉がもがくこと30分、狭すぎで電動ドリルも使えず、なんとかフリーで垂直狭洞部1mを突破する。 そこは小規模ながらフローストーンやつらら石が見られ、更に1mほどで母岩が露出する天井部となり閉塞していた。 測量開始。2人がいることのできる空間はないため、千葉が数値を読み、細野が真下で記録。千葉が動くたびに泥が落ちてくるため、細野は身体でスケッチ板を守りながら記入した。 【写真撮影班(小向・松本(晶)・家崎・土田)】 カメラマン:小向、被写体:松本(晶)の体制。「六角ホール」手前までの主洞部は幅2m弱の歩きやすい通路であり、その主洞部を中心に写真撮影を行った。 「一の分かれ」付近で白い皮状の鉱物「パリゴルスキー石(マウンテンレザー)」を観察して、鉱物好きの松本は感動。触ると弾力があり柔らかい。 途中から家崎・土田も合流し、ストロボ持ちをする。娘がかわいくて仕方ない松本(力)も被写体やアドバイザーとして何回か参上する。 帰路、泥だらけの上層探査班の千葉・細野と会う。 【水流部探検班(山口・縣・近野)】 支洞「コウモリ洞」と分岐する水流部を探検。ずぶ濡れになりながらも、全員狭洞部が通過できず。翌日に女性陣で再トライすることになる。 【生物・菌調査班(渡辺・升屋)】 支洞「コウモリ洞」付近を中心に、生物・菌類の採集・調査を行う。2人ともグアノに顔を近づけながらも笑顔。 【生物探査班(土田)】 土田が単独で生物の採集・調査。途中から写真撮影班に合流。 16:30、全班出洞。渡辺・升屋・小向は自宅へ。 17:30、日帰り温泉「日高見の霊場 東和温泉」で入泉。その後、スーパー「ベルプラス 東和店」にて買い出し。 19:30、宿舎到着。家崎(晶)&松本(晶)のW晶が厨房に立って夕食の準備をする。 20:00、夕食(ホヤ・ホルモン鍋・ナムル)。最近の活動の鉄板飯となった岩泉町「上あめや」のホルモン鍋。完全なる岩泉町民である家崎の地元ひいきだが、すぐ出来て美味しい。 21:00、夕食後は測量結果を踏まえて、製図を行う。山口から厳しいチェックが入る。測量結果として、上層探査班が測量していた最上部は「稲荷穴」の最高地点となることが分かった。 ひと段落して酒盛り。 26:00(2:00)、就寝。
29日6:30、起床。縣・近野はすでに離脱していた。 7:30、朝食。岩手の郷土料理のひっつみと、岩泉ヨーグルトりんご添え。ひっつみは小麦粉を練って汁物の具にしたものだが好評であった。 8:30、小向・渡辺が合流して宿舎を出発。初めから入洞する気が無い千葉・細野・土田は、宿舎前の川にて装備洗いをしていた。 8:50、各班に分かれて入洞開始。 【水流部探検班(家崎・山口・鎌田)】 山口がルートを案内。しかし、3人が滞在できるほどの広さはないため、狭洞部入口にて山口は待機し、鎌田・家崎で探検。通路の高さは50cmほどで、膝立ちできない高さのために匍匐で進む。 昨日のメンバーが到達した場所にて家崎は待機。幅は1mほどで、何とかUターンができるほどの広さである。ここは三角州の様に若干床面が高くなっており、水流から逃れられる。 鎌田が果敢に奥の狭洞部に挑むが、終息まで辿り着くことはできず。ウエットスーツなどの断熱装備を整え、再探検・測量に挑むことになった。昨日の地点よりも5mほど前進。 寒すぎるため早々に出洞。探査をしていた時間は20分もかかっていなかった。 【上層ロープ回収班(松本(力))】 測量を行った「ゴビ」付近の天井部から延びる支洞のロープ回収のために入洞。1本目は回収するも、2本目は狭洞部に松本の胸が詰まってしまう。断念して次回に持ち越すことにした。 【生物調査班(渡辺)】 昨日同様に「コウモリ洞」手前のグアノで生物調査・採集を行う。 【写真撮影班(小向、松本(晶))】 昨日同様にカメラマン:小向、被写体:松本(晶)の体制で撮影を行う。 【居残り班(千葉・細野)】 装備洗い後に宿舎を清掃。 時間が余ったので「稲荷穴」へ行き、隣接する稲荷神社の写真撮影を行う。 11:00、最後に生物調査班が出洞し、全班出洞。 11:50、宿舎を出発。地権者の佐藤さんに鍵を返却。 12:00、千葉の我がままで「しらいし屋」で昼食。わさび餃子、わさび飯、わさびラーメン、わさび中華ざる。みんなで旧宮守村名物:わさびを楽しむ。わさび感が強いと思っていたが、思いの外、食べやすくて美味しい。 12:50、現地解散。 千葉・細野は「稲荷穴って思ったよりは規模が大きく楽しめる穴だな」なんて他愛もない話をしながら帰京。 他の参加者は「遠野市役所・宮守総合支所」にご挨拶。 16:00、家崎は国道396号線を北上して岩手県岩泉町の自宅に到着。 19:00、細野は東北自動車道を南下して東京の自宅に到着。 19:30、千葉も自宅に到着。
「稲荷穴」活動は3回目、実質の穴活動としては2回目となるが、2回ともドロドロの竪穴部分だけの活動を任された。しかし、何故あの竪穴部分だけ泥が堆積しているのだろうか。謎が残る。(細野) 今回は3回目の「稲荷穴」でしたが、行ったことのない支洞「コウモリ洞」に行き、コウモリについて作山氏に教えて頂き知識が深まった。 次回は狭洞部アタックと共に、ぜひ山口氏からの測量指導もご教授頂きたい。(家崎) (文責 細野誠・家崎晶) |
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