「豆焼沢 瀧谷洞」は、奥秩父にある関東最大級の洞窟である。総延長2087.7m+(国内30位・関東2位)、高低差152.6m+(国内17位・関東1位)の竪横複合洞で、未踏ルートも数多く残されているものと考えられる。
1989年にパイオニアケイビングが発見し、調査が進められた。竪横複合洞窟で危険が大きいため、警察・消防・営林署によって一般の方は入洞禁止となっている。
地R元としては2015年3月31日までの入洞許可を取得、今回は初入洞者や24年前に入洞したきりの者もいることから、第1洞口から第3洞口へのルートファインティングをしながらのルート整備を行った。
15日18:30、先発隊(千葉・木嵜・有馬・松本)は千葉家にて集合。装備を積み込む。
19:00、千葉車デリカと松本車キャラバンにて出発。国立府中ICより中央自動車道に乗る。道経由で勝沼ICから一般道へ降り、道の駅「彩甲斐街道出会いの丘」を目指す。
20:00、脇海道はレンタカーにて名古屋市内を出発。中央自動車経由で山梨方面へ東走する。
20:10、先発隊は中央自動車道・勝沼ICを通過、一般道へ降りる。
20:30、フーズマーケットおかじま 甲州店に立ち寄り、食料の買い出しを行う。地の物はレトルトパックの甲府鳥もつ煮しかなかった。残念。
21:30、先発隊は「彩甲斐街道 出会いの丘」に到着。就寝準備をしてから懇談会開始。
23:30、脇海道は中央自動車道・甲府昭和ICを通過、一般道へ降りる。合流場所である「彩甲斐街道 出会いの丘」へと向かう。
24:30、脇海道が合流。この頃には宴会も終わりを迎えていたが、脇海道は皆と合流してテンションが上がり、食べ残されたワサビの一気食いゲームを始める。
25:30、就寝。
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美しい豆焼沢の「トオの滝」 |
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入洞前の記念撮影 |
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白銀柱ホール付近 |
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メインシャフトを降りる |
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水流部「轟川」へ |
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「登竜門の滝」は濡れます |
16日6:00、起床。各自で朝食をとってから準備開始。
出発予定時刻を過ぎていたが、長いアプローチを目前にして中々準備が捗らない。ケイバーは皆アプローチが嫌いだ。
いつのもまに設置されていた入山者ポストにも、一応届け出をしておく。
7:30、記録写真を撮ってから出発。千葉のテンションが低く、今回は珍しく人文字写真を撮らなかった。
建物の裏手から続く東京大学演習林の山道を進む。いきなりの急登に全員汗だく。
8:00、「トーバク沢(トウガク沢)堰堤」にて休憩。やっと登り一辺倒の道のりがひと段落。ここから尾根を1つ越えると、豆焼沢に出る。
8:30、豆焼沢の「トオの滝」にて2度目の休憩。3段の滝となっており、中々美しい滝である。この沢にはヒダサンショウウオが多く、石をめくるとサンショウウオを観察することが出来る。
休憩を終え、右岸より滝を巻いて豆焼沢沿いに登ってゆく。2013年の大雪のためか、非常に倒木が多く途中から登山道も崩壊していた。
9:30、パイオニアケイビングクラブのベースキャンプ「豆焼沢鍾乳洞」に到着。この付近に残置ロープがあるが、落石によりボロボロになっていたため、ロープの交換を行う(PCCに後日連絡)。
10:30、ちょっとした山狩りののち、脇海道が第1洞口を発見。何度来ても洞口位置が覚えられない。
休憩がてら、早めの昼食をとる。
11:00、洞口で記録写真を撮ってから入洞開始。
「第1洞口」より入洞して少し進むと「最初のホール」に到着。古い木製梯子には角材で補強がされており、そのルートに沿ってトラバースラインが張られていた。補強はされているものの、見た目からして強度に不安があり、今にも落下しそうな状態。松本は体重的に不安なためここでハーネスを履き、トラバースラインに架け替えながら進む。
全員でルートを探しながら「メインルート」を進む。有馬は経験が浅いため、木嵜に動きを指導してもらいながらゆっくりと進む。その間に千葉・脇海道が先行してルートファインティング。
一度「三つ子石」と呼ばれる石筍のところまで進んでから、少し戻って「Iルート」へと進む。
「Iルート」を降りてから北西方向へ進むと、入洞自主規制がされている「ホワイトプリズン」がある。その入口付近から、真っ白な二次生成物を遠巻きに観察する。
引き返して南東方向へ進むと、肩幅くらいのチムニーで降りられるところがあり、そこを降りると「白銀柱ホール」に到着。フローストーンが真っ白なチョークに覆われていて非常に美しい。思わず触りたくなってしまうが我慢。
北西方向へ進むと、フリーで降りるにはリスクを伴うような段差があったため、ロープ設置の準備し始める。よく見ると南側にバイパスルートを発見。そこから「最初のホール」へと出た。
この辺りからパイオニアケイビングクラブによる推奨ルート記述がどこを指しているのかよくわからなくなり、千葉・脇海道でルート探索。
上下別々のルートを進んだが途中で合流し、なんとなく「無限チムニー」方面に降りてゆく。
そのまま東方向に進むと堅穴状の段差があり、約2mをフリーで降りてから南東方向に進むと「コの字ホール」に到着した。
「コの字ホール」の脇から斜洞を降りてゆくと次第にトレンチ状の通路となり、「メインシャフト」上部に出た。進んだルートが間違っていなかった事が嬉しく、千葉・脇海道は熱い握手を交わす。
一段下のテラスにワイヤーラダーがあるが、その脇に残置スタティックロープを張った(PCCに後日連絡)。その間に全員竪穴装備着用してから有馬のSRT技術の再確認。
「メインシャフト」を降りてから、「轟川」へ降りる段差にも、有馬のスキルを考慮してスタティックロープを張る。
水流部を降りて流れに沿って進むと「登竜門の滝」があり、なかなかの高度感。滝を降りてから、時にバイパスルートを通りながら下流へと進む。
やっとここまできた!出口はもうすぐだと安心するも、この時点で時間は16時を過ぎていた。活動終了予定時刻が近づき景観を楽しむ暇も無く、急いでガレ場を匍匐前進で進む。
ガレ場をクリアするとホール「嶺鳴の間」に出る。今までずっと狭い空間を進んでいた中、突然開けた空間が現れる。空気がいきなり停止した感覚というか、不思議な感覚と感動を覚える。
17:00、第3洞口より出洞。ベースキャンプ前まで移動してから装備を整えて出発。
18:00、「トオの滝」到着。ここから少し進んだ所で電波が入り、在京へ活動終了報告完了。もうちょっと連絡が遅れてしまっていたら危うくレスキュー体制に入ってしまうところであった。
18:30、「トーバク沢堰堤」到着。
19:00、「彩甲斐街道 出会いの丘」到着。撤収準備。
19:30、脇海道はここで解散。
20:00、先発隊は丸亀製麺 甲州店にて夕食後、各車解散となった。
今回の通過したルートは、第1洞口→メインルート→Iルート→白銀柱ホール→最初のホール→コの字ホール→轟川→登竜門の滝→嶺鳴の間→第3洞口。
脇海道が前回第257回CAVINGで入洞したときは、ルートファインディングを上手くできず、「白銀柱ホール」あたりで敗退したため、今回通り抜けが成功しとても達成感に溢れた活動であった。
関東最大級の洞窟ではあるが、ルートは細く複雑で、迷路を進む感覚が面白い穴である。今回はルートファインディングに夢中で洞穴生物などはあまり見ていなかったが、次回は洞穴生物などにも目を向けてみたいと思う。ただし、アプローチが往復5時間と非常に長いのが辛いところ。心が折れない様体力維持が必要だ。(文責 脇海道卓) |