タイトル 地底旅団ROVER元老院第266回CAVING
サブタイトル 第20次龍泉洞再測量調査 at 岩泉町・龍泉洞
分 類 合同・調査ケイビング
入洞洞窟 龍泉洞(湧口、湧窟、龍泉窟)
日 程 2011年12月28日(水)〜2012年1月4日(水)
参加者 細野、菊地敏雄(日本洞穴学研究所)、山口真也(東山ケイビングクラブ)、鈴木雅子、照井資規(以上、洞窟救助隊) 、久保彰良、武繁俊哉、久米大作、戸塚絹代、長山雅之、山下泰史、和田浩之、青山泉(以上、龍泉洞カルストプレインプロジェクト)  以上13名

日本三大鍾乳洞のひとつとされる国指定天然記念物「龍泉洞」。本洞穴は透明度日本一という地底湖が見所である、岩手県岩泉町経営の観光鍾乳洞である。
第9次調査で確認された第7、第8地底湖上層部分で第5地底湖、第6地底湖に至る通路の発見に重点を置いて探査したが発見には至っていない。過去の潜水調査位置との不整合問題を検証するには、第3地底湖から水中通路の潜水調査を行なうしか方法が無い事から、「平成21年度日本洞穴学研究所総会」にて提案。承認され、41年ぶりの潜水調査が実現した。
今回は第4次潜水調査となる。


28日20:30、細野が東京を単独出発。睡魔に襲われることなく、地元のラジオを聴きながら、東北自動車道を北上。

29日3:00、東北自動車道を降りて盛岡市内に到着。積雪を懸念していたが主要道路は殆ど雪もなく、問題なく通過。峠越え途中より降雪はあったものの、心配することが無い程度。

4:30、宿泊場所である「尼額公民館」前に到着。外気は−10℃。車中にて仮眠。

8:30、起床。9:00に約束していた公民館の館長さんがすでに来てくれており、挨拶をして鍵を預かる。さっそく宿舎の環境整備。ガス、水道、暖房機器の確認を行い、期間中の食材を買いに岩泉町町内に移動。年末とあり、開店早々から買い物客が集まっている。

13:00、龍泉洞事務所にてダイバーの久保さん・久米さんと合流。加藤龍泉洞事務所々長と挨拶を済ませたところに武繁さん・長山さん・山下さん・戸塚さん到着。昼食。

14:00、細野は戸塚さんと再度買い出しをし、宿舎へ荷物の搬入。
ダイバーは第3地底湖へのステーション設置と、タンクへの充填作業を行う。

16:00、龍泉洞観光ホテルにて入泉後、夕食作り。一人でも作るのが簡単な牛丼と味噌汁。普段から料理をしているが、味が濃い目になってしまうため、戸塚さんに最終確認をしてもらって微調整。

18:30、ダイバーは作業を終え、宿舎へ戻る。菊地さん到着。

19:00、夕食。牛丼は思っていた以上に好評であった。

19:30、久米さんと長山さんは充填作業が完了していないということで、再度龍泉洞に戻り、作業。他ダイバーは入泉のため龍泉洞温泉ホテルへ。

22:30、全員が宿舎に戻り、順次消灯。

龍泉洞・第3地底湖
第3地底湖でのダイビング準備
30日6:30、全員起床。朝食。ブリーフィングを行う。

8:00、細野は一人、昼食準備のため宿舎に居残り。
ダイバーは安全祈願、挨拶回りを行い、活動開始。残機材の搬入。第1回潜水では、第3地底湖水深27m地点に水中モニターカメラ、ライト、減圧システム等の設置を行う。

11:00、鈴木・照井・山口が宿舎に到着。荷物の搬入後、昼食と共に宿舎を出発し、龍泉洞事務所へ移動。

11:30、ダイバーが順次、龍泉洞事務所2階の控室へ戻ってくる。

12:00、昼食。

13:00、活動再開。今回、初参戦する水中ロボットのお披露目と試運転。久米さんが映し出される映像を見ながらコントローラーで操作。一同興味津々。
ダイバーは第2回潜水。第3次潜水調査までに張られた水中ガイドラインの確認と、2011年3月11日に起こった地震の影響を確認する。特に影響がなかったようだ。
ケイバーは充填の完了したダブルタンク、シングルタンクの運搬。

15:30、山口・照井を洞内に残し、鈴木・細野は出洞。入泉後、不足食材を購入し、夕食準備のために宿舎へ戻る。照井が入手してきた鹿肉をふんだんに投入したカレー。出来栄えが照井作の通称「戦車カレー」に似ていたことから、「装甲車カレー」と命名。

18:30、ダイバー、山口、照井は入泉後に宿舎へ戻る。雪が降り始める。

19:00、夕食。鹿肉カレー好評。そして、飲み物で購入していた「トウモロコシのヒゲ茶」が美味しく、何となく買った「マミー」も懐かしいとのことで意外と飲まれた。
食後の恒例になった食器洗い後の食器拭きリレーが始まる。ケイバーとダイバーの連係プレーが見られる唯一の時間。皆楽しそうである。

22:30、順次消灯。

龍泉洞・第3地底湖
年越し直前の第3地底湖
大晦日6:30、全員起床。朝食。積雪は20cm程度。昨年の大雪のように成らなくて一安心。ブリーフィングを行う。

8:00、活動開始。
ダイバーは第3回潜水。前日に引き続きガイドラインを確認。
ケイバーは食当の照井・鈴木を宿舎に残し、細野・山口はタンク運搬のため第3地底湖へ行く。時間がたくさんあったため、小規模な支洞を偵察し、午後はつなぎに着替え、泥だらけになることを決意。

12:00、昼食。70個のお稲荷さんは好評で完食。

13:30、活動再開。
ダイバーは第4回潜水。午後も引き続きガイドラインを確認。
ケイバーは細野・山口が午前中確認した支洞の通称「雅子の穴」へ行くことにした。天井高50cm程度で、傾斜約−20度、約30mであり、奥は水たまりで終着となっていた。洞壁はノジュールだらけで、洞床は泥…痛くて汚くなる。通称ではなく、正式名称とすることになった。

15:30、泥だらけの細野・山口は第3地底湖でダイバーに泥を付けにいくが、拒否されたので、ふてくされながらタンク運搬をして先に出洞。
入泉後、宿舎に戻る。

18:30、ダイバー入泉後、宿舎へ戻る。

19:00、夕食。やっぱり年越しは「蕎麦」。戸塚さんは大好物を通り越しているくらい食している。何人前食べたのだろうか…。ダイバーからは水中測量の様子報告。山口・細野からは「雅子の穴」に関しての報告で盛り上がる。

23:30、せっかく洞穴に来ているのだから、年越しは洞内でということで、今回も第3地底湖で年を越すために移動し、カウントダウン。

元日0:00、明けましておめでとう!!今年もよろしく!!と握手を交わす。数分後には全員がしんみりと第3地底湖を覗き込む場面もあった。

25:00、宿舎に戻り、順次消灯。

元日6:30、全員起床。朝食。ブリーフィングを行う。

8:00、活動開始。
ダイバーは第5回潜水。ガイドライン上の測量。距離、方位は陸上と変わらないが、傾斜は水中測定器がないので、深度を用いることとなる。
ケイバーは食当の照井・鈴木を宿に残し、細野・山口はタンク運搬のため第3地底湖へ行く。前日、支洞は「最初に踏み入れた人が命名できる」という話を戸塚さんや事務所の女性にしたところ、「是非、命名したい!」と要望があったため、小規模でも未踏の支洞を2ヶ所探すことに…。
細野は久々に三原峠越えの観光ルート内を、山口はつなぎに着替え、「白亜の議事堂」の対岸を探索する。

12:00、昼食。昨年も準備した照井プレゼンツ「戦車唐揚げ(キムチの素に一晩漬けてから揚げた唐揚げ)」はやっぱり好評。大量のおにぎりと共に平らげられていた。

尼額公民館
崩れた1kgプリン
14:00、活動再開しようとしたところ、水の濁りが取れず、視界不良のため予定していた潜水測量は中止。渇水時期で、動いている水量も少ないため、2時間程度では濁りが取れないようだ。
水中ロボットを投入し、映像の確認を行うが、やはり視界不良。夕刻まで待機し、夜中に潜水を行う予定へ変更となった。

17:00、完全に濁りが取れていないため、潜水活動は中止となり、出洞。

18:30、入泉後、宿舎へ戻る。

19:00、夕食。加藤所長より差し入れの新巻鮭を焼き、食卓へ。調理は質素だが、美味い。ごはんと味噌汁、漬物だけで十分。3切れ頂きました。

20:00、鈴木が準備していたデザート「手作りぷっちんプリン」をご披露。牛乳1リットル使用し、朝から冷蔵庫で冷やしてあった重量1000gの巨大「ぷっちんプリン」。通常販売されているのは105gなので、約10倍の大きさがある。皿に移した直後は見事な見栄えだったが、だんだん重力に逆らえず、潰れて行った。味は変わらずぷっちんプリン。

22:30、順次消灯。

2日6:30、全員起床。朝食。ブリーフィングを行う。

8:00、活動開始。
ダイバーは水中ロボットを投入しテスト潜水。これはX洞の状況をダイバーが確認するにはリスクが大きいためである。状況確認後、戻ってくる途中で引っ掛かり、ダイバーが救出したとのことだった。
ケイバーはタンク運搬のため第3地底湖へ行く。昼食準備のため早々に出洞

12:00、昼食。

13:30、活動再開。
ダイバーは第6回潜水。ガイドライン上の測量を行う。
ケイバーは細野がダイバーのサポートとして活動。ダイビングスーツを着込み、湖面に浮かぶボートからダイバーにタンクを渡し、帰還時には受け取る作業を行った。

16:30、入泉後、宿舎へ戻る。

19:00、夕食。夕食後、水中ロボットが映したX洞映像をTV鑑賞。

22:00、順次消灯。
龍泉洞・第3地底湖 龍泉洞・第3地底湖 龍泉洞・第3地底湖
強力ライト付き水中カメラの確認 水中ロボット入水 湖上サポートのため着替え中


龍泉洞・洞口
ケイバーは泥だらけ

3日6:30、全員起床。朝食。ブリーフィングを行う。

8:00、活動開始。
ダイバーは第7回潜水。第5地底湖までのガイドライン上の測量を行う。
ケイバーは未踏の支洞を確認するために「白亜の議事堂」対岸の割れ目に行く。前日までに山口が確認していたポイントを行ってみる。確かに未踏個所であったが、ヘルメットもギリギリ通るくらいの割れ目の延長。目視では続いていることが確認できるが、通過することができないくらい狭く、傾斜もきつい。他も歩き回ってみたが、未踏と思われるところがなく、断念した。

12:30、昼食。

14:30、活動再開。
ダイバーは第8回潜水。第3地底湖湖底に設置した水中カメラとライト、減圧システムの回収を行う。
ケイバーはタンクの回収作業。夕食準備のため入泉後、宿舎に戻る。

16:00、山口とダイバー2名が帰郷のため離脱。

18:00、ダイバー活動終了。入泉後、宿舎へ戻る。

19:30、懇親会。今回の調査期間中もダイバーは健康管理のため睡眠時間確保・食事の管理を行ってきていたため、禁酒であった。もう、潜水することはないので、懇親会は、酒も入り声も大きくなり盛り上がった。熊肉の鍋とたっぷり野菜の鍋、差し入れ食材で色々なツマミを振る舞うことができた。

24:00、順次消灯。

4日6:30、起床。朝食。

8:00、活動開始。個人装備を整理。ダイバーはダイビング装備の搬出。ケイバーは宿舎の環境整理・掃除後、山崎氏へ挨拶を行う。菊地さんは関係各所へ活動報告を行う。

13:30、活動終了。現地解散。各々帰路につく。
細野車(鈴木・照井・細野)は盛岡駅にて照井を降ろし、東北自動車道を南下。一路東京へ向かう。

23:00、都内にて鈴木と解散。


今回の活動もケイバーは装備運搬・食事のサポートであった。水中測量による正確な距離が出たことにより、位置関係がはっきりとした。
また、水中ロボットによるX洞の映像を見て、そのままの規模が上部まであれば第6地底湖は、とてつもなく大きな地底湖であろう。地道にはなるが、陸上部隊も「目指せ、第6地底湖!」を掲げ、探検・アタックを継続して行くことになる。(文責 細野誠)

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