タイトル 地底旅団ROVER元老院第410回CAVING
サブタイトル 日本洞窟学会大会(佐野市葛生大会)巡検プレ1 in 佐野市旧葛生町
分 類 大会プレケイビング
入洞洞窟 高松沢鍾乳洞(高松沢の穴)、水木鍾乳洞、不動霊窟(不動尊霊窟)、大日霊窟、奥之院(奥之院鍾乳洞、観音霊窟)
日 程 2024年6月16日(日)
参加者 千葉、櫻田、平間、矢島 以上4名
水木鍾乳洞・洞口付近栃木県南西部に位置する佐野市旧葛生町地区は葛生石灰岩地域と呼ばれ、江戸時代から石灰石採掘が盛んにおこなわれている地域である。2024年の日本洞窟学会大会第50回大会は本地区で開催されることが内定しており、地R元の洞窟学会員3名が大会実行委員となっている。
本大会は洞窟巡検付きが想定されているため、候補洞窟を巡りながら、洞窟の選定、地権者への大会説明および渉外、駐車スペースやトイレ等の確認を目的に企画された。


6:00、矢島・櫻田組(JB23ジムニー)と千葉(Y61サファリ)が東武線葛生駅に到着。小雨。
千葉は改造済みを購入したというジムニーの下回りをしばし覗き込み、マフラー以外は純正仕様と判断。矢島はうるさいマフラーを交換したい。

6:07、平間が始発列車で葛生駅に到着。7分の遅刻は罰金700円である。出発。

6:10、セブンイレブン葛生中央西店にて活動用飲料を購入。
矢島は手土産に選定した鎌倉銘菓クルミッ子を各人へ配布、プレゼンをする。千葉はお気に召したようで合格を頂く。

6:35、氷室農村公園に到着。「高松沢鍾乳洞」の最寄りトイレとなりそうな公衆トイレを確認。雨は上がっていた。

6:40、高松集落に到着。「高松沢鍾乳洞」への林道入口には獣害除けの柵が張られており、どうしたものか周囲を確認。広範囲にわたり柵が設置されているため開けるしかなさそうである。
車を邪魔にならない場所に寄せ、千葉は入洞準備をするよう指示して地域住民を捜しに行く。空き家も多く、早朝ということもあって人影が無く空振りに終わったとのこと。
その間に矢島が便意を催し、ひとり氷室農村公園公衆トイレへと戻る。汲み取り式だが紙もあり、通常使用が可能であった。

7:10、活動開始。柵を一部開けて林道に入る。
7分程歩いた林道終点には10台弱の車が駐車できそうなスペースがあった。以前はここまで車で進入できたと千葉談。

7:25、山道の左手斜面に「高松沢鍾乳洞」の洞口を発見。周りには藪もなく容易に目視ができる。
千葉は洞口にある傾いた石祠を立て直し、刻字部分を綺麗にしてから下山する。

7:30、平間・櫻田・矢島が入洞開始。
洞内で石祠を発見。刻字を解読しようと試みるも風化で解読不能。
大会巡検にあたり、初心者に危険な箇所が無いか確認しながら穴を楽しむ。水流が豊富で天井高もところどころ低いため、早速全員の長靴が浸水。水の透明度は高いものの、流れはそう早くないため一度濁るとすぐには透明に戻らない。

8:20、出洞。櫻田の長靴に第1ヤマビル発見。

8:40、林道起点で千葉と合流。ヒルパニックが始まる。
平間・櫻田・矢島の体のあらゆるところからヒルが発見され、猿の毛づくろいの様にお互いチェックし取り除く。千葉も長靴内で発見したのにはじまり、4〜5匹くっついていたらしい。
また、一足先に下山した千葉は2人の地域住民と接触に成功したとのこと。「子供の頃に入ったが今は洞口が崩れている(誤報)」「柵は害獣用なので開けたら締めてくれればいい」「車はあそこで大丈夫」「農林産物直売所 菜蟲館は閉店しているので勝手に停めても大丈夫」「洞窟地主は誰かいるだろうけど勝手に入っていい」という話だったが、大会では無許可という訳にはいかない。

9:05、高松集落を出発。
高松沢鍾乳洞・洞口 高松沢鍾乳洞 高松沢鍾乳洞
高松沢鍾乳洞と石祠 洞内の石祠 水流では長靴浸水

9:20、高実子集落に到着。
「水木鍾乳洞」地権者宅に到着直後、矢島の首には丸々と太ったヒルが張り付いていたことが発覚。その痕はまるでキスマーク。
地権者へご挨拶、学会大会が旧葛生町地区で開催するの旨をご説明。大会使用許可を頂く。
駐車スペースで入洞準備をする。日も出てきて蒸し暑くなってきた。

9:30、徒歩数分で「水木鍾乳洞」洞口に到着。ここでもヒルを発見。
千葉は周辺環境の確認のため離脱。
平間・櫻田・矢島が入洞。洞口が2m程落ちている為、巡検の際にはあぶみかスライド式梯子など設置の必要性があるようだ。

9:55、なぜか手前半分で最奥部と勘違いして出洞。
周辺散策から戻ってきた千葉と合流、さすがに出洞が早すぎると指摘されて測量図を確認。半分しか見ていないことが判明。再入洞を命じられる。

10:15、再入洞。今度は最奥部まで到達し、測量図に記載されているプールも確認。図上では水深2mとあるが、目測では2m以上ありそうに感じられた。次回はメジャー持参で水深を測ることに。

10:55、再出洞。

11:10、地権者にご挨拶して出発。
やや遠回りとなるが、駒形石灰工業大釜工場経由で昼食先へと向かう。ここには「大釜・駒形石灰の穴」という総延長25mの横穴があったが、もちろん跡形もなかった。

11:30、仙波そば加工販売部会に到着。ご当地そばである「仙波そば」とは、仙波地区で取れた蕎麦粉を使用し、大きなざるに合わせ盛りして数人でつつきあうというのが特徴。
一升そば(4000円)と天ぷら(350円×4)を注文。地元のご婦人方で運営しており、土日のみの営業で非常にリーズナブル。細麺で短めだが、歯ごたえのある蕎麦は東京方面にはなかなかない雰囲気の味わいで一同満足。
タイムスケジュールに余裕があるため、大会の講演会会場候補である葛生化石館を訪ねることにする。

12:20、出発。

12:40、葛生化石館に到着。水面下で調整して頂いている学芸員さんにご挨拶、会議室等を案内して頂く。
千葉が高松沢鍾乳洞地権者や「農林産物直売所 菜蟲館」のことなどお願いしている最中に、平間・櫻田・矢島は展示室を見学。するとボランティアで解説員をなさっている方がやってきて、化石や石灰産業について40分程度、大変丁寧にご説明を頂く。
千葉はちらっと展示室へ寄ったものの、他人の振りして退出。

13:40、しびれを切らした千葉から呼び出しがかかり、駐車場にて合流。
隣接するもてなし家 赤部で購入したご当地B級グルメ「いもフライ」をご馳走になる。芋とソースのシンプルな味わいに舌鼓。
千葉は待っている間に元葛生町長宅を訪問したが、5年ほど前から認知症になってしまったということであった。

13:45、出発。暑い。
水木鍾乳洞・洞口 水木鍾乳洞・プール 水木鍾乳洞・洞口付近
草木を払って水木鍾乳洞へ 水深2mのプール やり直し洞内
高実子集落 仙波そば加工販売部会 葛生化石館
蒸し暑いなかでの着替え 一升そばが五合そば×2に・・・ 葛生化石館にある大きな石筍

14:10、出流山満願寺に到着。僧侶にご挨拶、学会大会が旧葛生町地区で開催するの旨をご説明。令和元年東日本台風(2019年台風第19号)で道が崩れたため本来は立入禁止だが、「奥之院」以外の大会使用許可を頂く。「奥之院」は以前に立ち入っていたずらをした者がいたため、こちらの入洞は禁止とのことであった。
なお、以前に千葉が購入した洞窟絵馬は現在は販売しておらず、絵馬掛所もなくなっていた。

14:30、普段着にヘルメット持参で本堂にお参りをしてから、奥之院エリアへの入山料300円を支払い、ヤマビル注意の看板を脇目に活動開始。

14:40、「大悲の滝」へ到着。火照った身体を休める。ここにある「胎内くぐり(別名:奥の院横の小穴)」を確認。以前、洞内を覗き込んだという鉄梯子は朽ち果てており登ることはできなかった。

14:45、まずは「大日霊窟」「不動霊窟」を目指して出発。山道なりに進み、舗装路を緩やかに登る。

14:55、「不動霊窟」に到着。洞口発見時は位置関係が判然としておらず、こちらが「大日霊窟」と思い近づくと不動尊霊窟の石碑があった。勘違い。
入洞するとすぐに6mほど降りる階段があり、そこには滝が降り注いでいる。みな普段着で躊躇していると、千葉が降りろとご命令。まずは平間がびしょ濡れになりながら降りたものの、測量図にある通路は見当たらないとのこと。続いて矢島・櫻田が降りて3人で確認したところ、先へと続く通路が砂利で埋まっていることが判明。すぐに掘って進める様子ではなかったため今回は断念。

15:10、出洞。
来た道を戻りつつ「大日霊窟」を探すが、そうしている間にも素足サンダルの平間にヒルが集ってくる。

15:30、「大日霊窟」に到着。洞口には比較的新しく作られた建物があり、往路でスルーした所だった。千葉が依然来たときは無かったらしい。
洞内は空間が広く、足場はコンクリートで整備されていた。二次生成物も観察しやすいため、アプローチの斜面がきついことを除けば今回見たなかでは最も巡検向きの穴ではないだろうか。

15:45、出洞。沢沿いに「大悲の滝」まで戻り、ひと通りヒルを落とす。

16:00、「奥之院」の公開部分を見学。石筍:十一面観音の足元に広がるリムプールには参拝客の投げ入れた小銭が堆積している。
続いて「大師霊窟」「普賢霊窟」の捜索を続けようと足を踏み出すも、あまりのヒルの多さに気持ちが萎えたため次回に。

16:20、下山して僧侶に挨拶。勘違いにより、本来の下山推奨時刻である15時を大幅にオーバーしてしまったことを謝ると、快くご対応頂く。

16:35、大会の宿泊場&宴会場候補である出流ふれあいの森に向けて出発。

16:45、到着。受付でコテージの使用料等を確認する。場内を徒歩で一周して環境は良好であることが分かったが、利用時間の兼ね合いで使用できるかは要検討。

17:20、出発。隣接する鹿沼市にも候補洞窟があるため移動開始。

17:35、御嶽山神社に到着。敷地内にある案内図で御嶽山洞窟群の位置を確認したが、一周するのに4時間もかかるということなので巡検には使わないことにする。活動終了。

17:45、櫻田リクエストにより夕食はご当地ラーメン「佐野ラーメン」に決定。Googleマップで美味しそうなお店を見つけて出発。

18:00、ファミリーマート 栃木尻内町店に寄り道。思い思いのアイスを購入。
途中、横転した軽自動車の脇を通過。

18:30、青竹手打ちラーメン 麺や大山に到着。やや並びがあったが15分程で着席。千葉はらーめん大盛(940円)、櫻田はらーめん(750円)、平間・矢島はわかめらーめん(900円) に各自一皿ずつ手包み餃子(340円)を注文。癖のない醤油スープとチャーシューが絶品。麺は柔らかめだがスープによく合う。餃子も大ぶりで美味しい。

19:25、精算を済ませて退店。解散となった。
出流山満願寺 出流山満願寺 胎内くぐり・洞口
ヘルメット持参で出流山満願寺に参拝 やや当てにならない洞窟プロット看板 鉄梯子が朽ちて「胎内くぐり」は覗けず
不動霊窟・洞口 不動霊窟 大日霊窟・洞口
不動霊窟には石碑や石祠 滝水に当たりながら降りる 大日霊窟は洞内整備あり
大日霊窟 奥之院 青竹手打ちラーメン 麺や大山
空間規模はそこそこ大きい 奥之院の立派な石筍 ご当地ラーメン「佐野ラーメン」


当初の予定していた渉外(水木鍾乳洞と出流山満願寺)に加えて、後日、葛生化石館の学芸員さんを通じて高松沢鍾乳洞の地権者とも繋がることができた。大会サポートを頼んである学生を連れての下見もスムーズに行えるだろう。
ただ、全体を通してとにかくヤマビルに悩まされる活動であった。今後の下見の開催時期である梅雨と秋雨の時期は特にヒルが活発になるので、参加者にはヒル対策の徹底の旨周知する必要あり。今回は何の対策もしていなかったため平間が16か所、櫻田が6か所、千葉が3か所、矢島が1か所を食われた。一等賞の平間のニックネームはめでたくヒルマ(蛭間)に変更されたのであった。(文責 矢島安菜・千葉伸幸)

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