タイトル | 地底旅団ROVER元老院第412回CAVING | ||||||||||||
サブタイトル | 日本洞窟学会大会(佐野市葛生大会)巡検プレ3 in 佐野市旧葛生町 | ||||||||||||
分 類 | 大会プレケイビング | ||||||||||||
入洞洞窟 | 普賢霊窟(毘沙門天の穴)、不動霊窟(不動尊の霊窟)、大日霊窟(大日の霊窟) |
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日 程 | 2024年8月24日(土)〜25日(日) | ||||||||||||
参加者 | 平間、櫻田、千葉、矢島、松本力(東山ケイビングクラブ)、一杉琥太郎、近藤健、杉山幸昌、塚原恭志郎(以上、東京農業大学探検部)、KINWANG CHAN、竹之内隼太郎、高橋和薫(以上、東洋大学探検部) 以上12名 | ||||||||||||
栃木県南西部に位置する佐野市は旧葛生町地区を中心に石灰岩が分布しており、現在も採掘が盛んに行われている地域である。 2024年の日本洞窟学会大会第50回大会は本活動地である栃木県佐野市葛生地区で開催されることが決定しており、地底旅団ROVER元老院の日本洞窟学会員3名が大会実行委員となっている。 本活動は巡検プレ2(地R元第411回CAVING)に引き続き、巡検予定である「大師霊窟」「普賢霊窟(毘沙門天の穴)」の確認を目的とした。 24日21:00、平間・松本@東山ケイビングクラブが牧親水公園に到着。 出発直前に出流山満願寺付近の天気予報を確認すると、日没時は20ミリを超える雨、その後も日をまたぐまで雨が続く予報であった。こんな状態でも晩餐会をやるのかと身構えていたが、到着時には小雨と落ち着いており、松本のタープを設営して千葉を待つ。 22:00、千葉(Y61サファリ)が合流。 車から降りてきた千葉はイライラメーターが上昇しているご様子。というのも、もともと前夜泊の予定はなかったのに突然前夜泊に決まったからだ。 平間はお詫びの接待・・・と言いつつ、3人仲良く飲み明かす。今夜は野郎3人のため、乾きものと少しの味付き肉(オーケーで購入)がお酒のお供。 小雨が降りしきる中、タープの下でライトを灯し、晩酌を楽しんでいた3人。まるで小さな居酒屋のような雰囲気が漂っていた。今夜は長くなりそうだ。 23:00、雨が上がると厄介な訪問者が現れた。虫が一斉に沸き上がり、タープに吊り下げたライトに群がってきた。即席の虫取りシートを吊り下げたが、依然顔の前を虫が飛び交い鬱陶しいが、笑いが交錯するなんとも賑やかな晩酌タイムだ。 26:30(2:30)、そろそろ瞼が重くなってきたので就寝することに。オジサン2人はまだまだ元気そうだった。この短時間睡眠で活動に支障が出ないのが凄い。 25日6:00、松本が平間車(アトレー)助手席の窓をコツコツする音で起きる。正直寝た気がしないが、これはこれで貴重な体験だと逆に気合いが入る。 7:30、それぞれ朝食を済ませて出発。 7:45、矢島・櫻田組(JB23ジムニー)と東京農業大学探検部(エルグランド)が出流ふれあいの森に到着。 7:55、前夜泊組(千葉・平間・松本)も到着。 前回の巡検プレ2(地R元第411回CAVING)で遅刻の前科がある東洋大学探検部がまたもや現れず、OGである矢島の監督責任を追及される。 7:59、定刻の10秒前に東洋大学探検部(ヤリス)が到着。矢島が禊を免れる。 車両台数が6台と多いため、ジムニーとアトレーは出流ふれあいの森へ残置。 8:20、出流山満願寺の駐車場に到着。千葉・平間は僧侶へご挨拶、その他は入洞準備を始める。 9:00、活動開始。一同、「大御堂」でお参りをして入山料300円を支払い、奥之院エリアを参道沿いに進む。まずは「大師霊窟」の確認である。 9:20、しばらくすると左手に「聖天堂」へ向かう階段が現れる。以前は一般の参拝客も立ち入り可能な参道の一部であったが、令和元年東日本台風(2019年台風第19号)の影響で道が崩れ、人が立ち入らなくなって久しいためシダ植物が生い茂って前も見えない状態である。 学生が先行してシダ植物を踏みしめた後を大人が続くが、学生は指示通りには動かず、同じ場所しか踏み進まない。人海戦術は早くも失敗。 途中、土砂崩れの影響で階段が3mほど喪失しており、シダ植物の影響もあって続く道を見失いそうになる。ここは巡検前に道迷い等がないように明確な状態にしなければならない。 9:40、「聖天堂」に到着。身体に付いたヤマビルをひと通り落とす。やはり満願寺境内はひときわヒルが多い。 報告書「Caving Reports 1997」の洞窟プロット図によると、「聖天堂」のすぐ裏手に「大師霊窟」があるようだが、かなりの急登のため巻いて緩斜面を探すことにする。 お堂に向かって右手は松本・平間・農大が確認するも、巨大な倒木があって進めそうにないと判断。左手は千葉・櫻田・矢島・東洋大が進み、そこへ断念した平間・農大が合流する。なぜか松本は置き去り状態。 10:40、千葉らは進めども「大師霊窟」へアクセスできそうな緩斜面を見いだせない。そうこうしているうちにプロット図にある「普賢霊窟」へと近づいてきたため、計画変更して先に「普賢霊窟」を捜索する。 11:00、急斜面の続く樹林帯を抜けて祠「毘沙門天」付近から毘沙門沢に到達、そこから涸れ沢を上流へ向かう。 毘沙門沢ダムを越えると開けた場所に到達した。周囲は杉が伐採されており、残暑の凶悪な日差しが降り注ぐ。 洞窟プロット図にしたがい、北面のガレた急登を登って周辺を捜索する。小規模な石灰岩露頭はあるものの、洞窟がある雰囲気はない。 農大はなぜか「聖天堂」へ装備を置いてきており、水切れを起こして全体の士気が下がり始める。ほとんどの学生は山狩り放棄。 11:50、昼休憩。行動食を取りながらミーティング。 改めて測量図を確認すると、「普賢霊窟」はほぼ真北に向かって開口しており、洞窟プロット図にある沢の北面に位置することとは矛盾している。また先述の通り、周辺の樹木はあらかた伐採されており、信仰対象となっている洞窟があるとは考えにくい。そもそもここまでの道がない。洞窟プロット図が間違っていると結論付ける。 あまりの暑さと行動食を持っていない者もいることから、「普賢霊窟」「大師霊窟」は午後に回すことにして下山を決定。 12:00、毘沙門沢右岸にあるであろう「普賢霊窟」を探しながら下山していく。士気を上げるため、千葉は発見した者には(活動終了後に)出流そばを御馳走するという約束をする。 平間・近藤@農大は残置してしまったタックルバッグの回収をしに「聖天堂」に向かう。 12:20、塚原@農大が洞口を発見。洞窟プロット図とはかけ離れた場所であったが、開口方位と洞口の朽ちた梯子から「普賢霊窟」で間違いないようであった。発見者の塚原は千葉から御馳走になる権利を得る。 洞窟自体は全員で入れないほどの延長で、祭壇や石碑「普賢延命大菩薩」はあるものの然したる見どころもなく、「大御堂」からのアプローチが大変なため巡検向きではないと思われた。 同時刻、平間・近藤@農大は「聖天堂」にてヒルと遊びながら暇潰していた松本@東山ケイビングクラブを見つけ、共に駐車場へと下山した。 13:00、毘沙門沢を下り、砂防ダムを左岸から遠巻きして「大御堂」に到着。貯水槽には腐乱した鹿のご遺体。 13:10、駐車場にて全員集合。付近の自販機で各自飲み物を補給して生き返る。 昼食は付近での出流そばということで、みなオーバースーツを脱ぎ始める。ここで着替えてはその後の活動再開は危ういが、雨予報もあり、洞窟確認よりも蕎麦を優先というCLの判断。千葉は不満を覚えるが、学生の前ではCL判断を尊重する。 13:40、駐車場から歩いて行けるモダンなそば屋「福寿屋」で昼食をとる。それぞれ「玉ねぎそば」(玉ねぎひと玉の天ぷらが乗っている)や「すだちそば」を注文。松本は「一升打ち」を注文し軽々完食。 15:00、千葉が危惧していた通り活動終了が決定。急遽、千葉の判断で観音入林道へ向かう。 15:10、観音入林道の通行止め地点に車両を停車。林道上から目視で「不動霊窟」「大日霊窟」の洞口を確認する。 まずは、学生が「不動霊窟」にサクッと入洞。続いて、学生有志が「大日霊窟」へ向かう。その間、大人は林道で談笑と思いきや、平間は洞口まで引率。矢島・櫻田は申し訳なさを感じつつ林道で待機。 今日全くと言っていいほど洞窟に触れられていない学生を、この2つに入洞させてあげられたことはせめてもの償いであった。 15:45、満願寺駐車場へ戻り、千葉・平間は僧侶へご挨拶。 出流鍾乳洞群のメインと言っても過言ではない「大師霊窟」が未確認では大会に臨めないため、後日旅団員のみで捜索することに決定。 15:50、学生解散。大人たちは出流ふれあいの森に残置した車のもとへ戻る。 16:30、解散。(文責 矢島安菜・平間弦・千葉伸幸)
今回は既存の洞窟プロット図を頼りに山狩りを行ったが、このプロット図が全く見当はずれのため、活動時間のほとんどが徒労に終わった。帰宅後にインターネットで「大師霊窟」の情報を検索したところ、探索者のブログ記事 (写真付き)が複数ヒットし、洞口位置もある程度推察できる内容であった。既存のプロット図がある場合もそれに頼りすぎず、事前にある程度のリサーチを欠かさないことの重要さを学ぶ活動であった。(矢島安菜) 初めて地R元のCLとして活動に臨んだが、計画書の段階から結果は見えていた。自身で組んだ計画をしっかり読み込み、シミュレーションしてそれが適切なものかどうかちゃんと見えないまま実行に移してしまった結果である。このことを大いに反省し次に活かせられるよ うに精進していきたい。(平間弦) |
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