タイトル 地底旅団ROVER元老院第382回CAVING
サブタイトル 平石地区及び大沢地区洞窟所在地確認調査 at 奥多摩町
分 類 調査ケイビング
入洞洞穴 夫婦たぬき穴(風穴)、大沢岩峰下の穴、墓下の穴
日 程 2020年12月29日(火)
参加者 千葉の、細野、脇海道、奥沢香那、平間弦(以上、東京農業大学農友会探検部) 以上5名
奥多摩町氷川字平石地区付近 東京都西多摩郡奥多摩町日原地区及び氷川地区には、観光洞「日原鍾乳洞」や旧観光洞「倉沢鍾乳洞」「大増鍾乳洞」、自然洞「日原三又洞」「ちょうちん穴」など大小90洞の洞窟が報告されているが、地R元的にはほとんど所在地を把握していない。
本活動は、氷川字平石地区において報告されている「夫婦たぬき穴」「大沢岩峰下の穴」、明治時代の官選地誌「皇国地誌草稿」にある「風穴」を確認し、それらは重複しるか否かを確認する目的で計画された。また、時間が許す限り隣接する日原字大沢地区・不老地区の洞窟を確認することにした。
なお、今回の活動においても新型コロナウィルス感染拡大防止を念頭に、車内は常に換気、マスク着用、復路の入浴や食事もなしとした。

6:30、千葉・奥沢はJR谷保駅、細野・脇海道・平間はJR東小金井にてそれぞれ集合。今回も新型コロナウイルス感染症対策の“三密”を避けるため、車両2台体制とする。現地へ向けて出発。

8:20、セブンイレブン 奥多摩古里店にて全員集合。昼食を購入。

8:30、町営氷川有料駐車場に到着。名称の通り、基本的には有料であるが、冬季(12月1日〜2月28日)は無料である。
現地は駐車スペースが限られているため、全員が千葉車に乗り換えて、窓を開けて出発。10分間は密である。

8:45、氷川字平石地区に到着。現地関係者と事前調整した通りに駐車料金等を支払う。

9:00、装備を整えて出発。まずは「夫婦たぬき穴」を目指す。
現地付近はクライミングエリアとなっており、通過の際にひと声かけて進む。真っ赤なつなぎ集団は明らかに怪しく、15人前後のクライマーからの視線を浴びる。
途中で岩と岩の間を測るが、最短部でも7m以上はあり、「皇国地誌草稿」にある一丈二尺程(約3.6m)とは合致しない。この石灰岩露頭が「風穴」のある戸割岩ではないということなのか。少し不安になる。

9:30、事前資料の写真とGPSデータを元に「夫婦たぬき穴」を発見。まずは全員で洞内を確認することにする。
匍匐で洞内に入ると、すぐにクラック状の−2.6m段差が現われ、続いて−1.3m段差を降りる。そこからは洞口方向へとクラック状の狭い通路が続く。途中、リスやネズミの食痕やタヌキの溜め糞があり、天井からは樹根が伸びて洞床を張っている。全体的に崩壊気味といった印象で、チェックストーンが随所に詰まっており、洞壁も脆い箇所が複数ある。二次生成物は殆ど見られず、1ヶ所で洞窟サンゴが見られたのみであった。コキクガシラコウモリ1頭。

千葉は「皇国地誌草稿」にある洞内記載との同一であるか確認する。各数値はやや違うものの、「直下シテ少シク斜ニ下ル」「木葉積テ水氣無シ」という雰囲気は合致している。
「春秋ノ候ニイタリ穽中ヨリ地氣蒸騰スルコト恰モ炭釜ノ煙ノ如シ」ともあるが、洞内はかなり暖かい。地元では「冬場に湯気が立ち上る洞窟」として知られているので、これも合致すると言って良いだろう。
1点気になるのは「底ハ小石磧ノ如ク」である。洞床には小礫はあるものの、さほど多いといった印象はなかった。

10:00、出洞して作戦会議。この洞窟は東京洞穴研究会が1979(昭和54)年に発見して以来、誰も測量していない(少なくとも発表はしていない)。さほど大きくもないので、測量してしまおうということになる。
じゃんけん。平面スケッチ平間、断面スケッチ千葉、コンパス奥沢、メジャー脇海道という体制に決定。勝ち残った細野は洞口待機。
測量していると、洞口から12m付近で千葉の携帯に仕事のメールが入る。そんなに地表に近いのかと会話していると、その先の天井部から僅かに刺し込む外光を確認。洞外の細野と地表での場所を確認する。
また、先ほどは気が付かなかった支洞入口を発見。コキクガシラコウモリが10頭ほどいる。これまた狭いクラック状の通路を進むと、最奥は−5.3mの竪穴となっていた。そこにはリングボルトが1ヶ設置されていた。この情報は聞いてなかったために有事用の竪穴装備一式しか持ってきておらず、予定時間も押していたため、竪穴下部は未測量として終了した。

13:00、出洞。洞口は日影となり、ずっと待機していた細野は凍えてしまっていた。
途中、クライマーから質問を受けたりしながら下山。途中、「大沢岩峰下の穴」を確認。その際、とある理由で千葉が左足大腿部強打。痛い。

13:15、アウターを脱いで乗車、混み合う駐車場を出発。

13:20、不老バス停前のスペースに駐車して昼食。脇海道の結婚予定や転職話に盛り上がる。

13:45、日原字不老地区へ徒歩移動開始。5分程歩いて「墓下の穴」に到着。洞口はとても立派だが、5m程で終わる小さな穴であった。

14:00、不老バス停を出発。不老林道へ向かう。

14:20、東京農業大学演習林の奥多摩演習林宿泊施設付近に到着。平間は授業で来たことがあるらしい。
林道脇に設置されている演習林地図の看板を確認。ここで事件が起きる。千葉が一人下車して看板を細かく見ていたところ、千葉車がゆっくり崖下に向けてバック開始。助手席の細野が飛び移ってブレーキを踏んだものの、3列目に座ってた脇海道はどうすることもできず、ただただ焦るばかりであった。サイドブレーキのかかりが甘かったらしい。どうでもいい所で事故せずによかった。

14:45、不老林道終点に到着。「大沢の熊穴」「大沢の小天狗穴第1洞」「同第2洞」「同第3洞」を探すべく山狩り開始。
林道終点から踏み跡をたどると、100m程であずまやと祠があった。周辺には東京農業大学の研究室が仕掛けたであろう定点カメラがいくつか設置されていた。恐らく私たちも怪しいツナギ集団として写ってるであろうが、農大生が同行しているので許して欲しい。
祠のある尾根先端は石灰岩露頭であり、散開して洞窟を探す。GPSデータもあり、過去の写真と同じ露頭も見つけたために楽勝だと思いきや、探せど探せど全く洞窟は見つからない。「大沢の熊穴」は洞口2つ、「大沢の小天狗穴」シリーズは洞口計5つもあるのにひとつも見つからないのである。
千葉・脇海道、奥沢・平間はそれぞれGPSデータから大きく外れても探したが、そこでも洞窟は見つからなかった。

16:20、日暮れも近づいてきたので活動終了。無念。

16:30、千葉・平間は祠を観察。オキノ十二天(奥十二天)と呼ばれる山の神で、大山祇之命(オオヤマズミノミコト)が祀られているということである。
一緒に設置されている狛犬の台座には、左には縦書きで「不老」「峯畑」「寺地」と氷川村の集落名が刻まれている。右には横書きで「保〇杤」と読めるがハッキリは分からない。氷川村には栃久保という集落があるが、「〇」は記号のようにも「久」のようにも見えるが、サイズも位置も違っているのが気になるところである。
また、パイオニアケイビングクラブはこの祠を洞窟命名由来としているが、外部からはその根拠を見つけることはできなかった。

16:40、不老林道終点を出発。南氷川地区の個人宅イルミネーションが綺麗である。

17:10、町営氷川有料駐車場に到着。解散。


測量と現地確認の結果から、「夫婦たぬき穴」と「風穴」は同一であることが確認された。東京洞穴研究会によると、発見時に洞内に複数のタヌキがいたことから命名したとのことであったが、地元では風穴と呼ばれていないようなので、このまま「夫婦たぬき穴」と呼称しても問題なさそうである。
脇海道は久しぶりの活動となり、調査方法をすっかり忘れてしまっていたのが大きな反省点であった。おっさんになってしまった私を優しくサポートしてくれた奥沢には大いに感謝。後半の山狩りに関しては成果が出なかったことが非常に悔しい結果となった。今回徒歩では降りられなかった急峻な露頭が気になるので、また訪れてしっかりと成果を上げられるようにしたい。(文責 脇海道卓・千葉伸幸)
夫婦たぬき穴・洞口 夫婦たぬき穴・洞口付近 夫婦たぬき穴・竪穴部
「夫婦たぬき穴」と「風穴」は同一 洞口付近 リングハンガーがあった竪穴部
大沢岩峰下の穴・洞口 墓下の穴・洞口 オキノ十二天(奥十二天)
「大沢岩峰下の穴」 「墓下の穴」 山の神「オキノ十二天(奥十二天)」

「活動報告」に戻る
 次の「個別活動報告」へ進む TOPへ戻る

2021 Copyright(C) 地底旅団ROVER元老院
cavers_rover_in_tokyo@yahoo.co.jp