タイトル 地底旅団ROVER元老院第333回CAVING
サブタイトル 奥多野かんな姫計劃・第22次神流町旧万場地区洞穴調査
分 類 調査ケイビング
入洞洞窟 コウモリ穴、[仮]北コウモリ穴、[仮]中コウモリ穴
日 程 2016年6月19日(日)
参加者 村野、千葉の 以上2名
栃金田橋付近 2000年から発動した奥多野地域調査「奥多野かんな姫計劃(プロジェクト)」。2005年6月に「奥多野かんな姫計劃報告書1 群馬県多野郡神流町 立処山洞穴地域調査報告」を発行、第1章立処山地域を終えることが出来た。
引き続き第2章を開始、対象地域は旧万場町地区、持倉地区など神流町残地域及び旧鬼石町地区となる。

本活動は、塩沢地区に位置する「コウモリ穴」の測量第6弾を目的として企画された。
なお、木嵜も参加しての前夜現地入り予定であったが、持病の仮病が発症したために2名活動となった。一応、38.5℃だったらしい。


19日8:00、現場近くの神流町塩沢川に架かる栃金田橋に到着。さっそく入洞準備を開始する。

千葉は、スロヴァキアのケイビングギアメーカー「メアンダー社」から購入した新しいPVC製オーバースーツを試着する。経営者が変わって赤いPVCスーツが既製品として作られるようになったのは地R元的には嬉しいところだが、以前に比べて生地が若干厚く、固くなったようだ。おまけにオーダーしたはずの裾上げがなされておらず、試着した千葉はまるで長袴を履いているかのようである。足先を裾でうまく覆えば、長靴もいらないかもしれない。
千葉はこのままPVCで入洞することに決定。奥多野の洞穴にPVCで入る人も珍しいのでは、と思ったが、やはり外では蒸し暑かったようで、活動前から「暑い暑い」と言っていた。

村野は、今回の測量活動にあたり、新兵器となるレーザーテクノロジー社製「トゥルーパルス360R」を兵庫県西宮市の計測器レンタル会社「株式会社レックス」よりレンタルした。レーザー距離計だが、ボタンひとつで斜距離、傾斜、方位が測定できるという超優れものである。
従来使用していたライカ社製のレーザー距離計・ディストとの性能比較を行ったところ、測定精度では0.01m単位まで計測できるディストに軍配が上がるものの、0.1m単位でみればトゥルーパルスも遜色なく、洞窟測量用として十分に使えそうである。洞内で使用するのが楽しみである。

9:00、「コウモリ穴」入洞開始。前回の活動にて途中まで測量した下層部へと向かう。
途中、−2m段差の手前左上に、第2洞口へと通じる古いグアノが堆積したホールがあるのだが、そこでコキクガシラコウモリを約30頭確認した。
−2m段差を降り、天井高の低い通路を匍匐で潜り抜けると、天井高5mほどの小空間へ出ることができた。ここは前回の調査で確認した空間で、入洞した人がほとんどいないためか奥多野には珍しく二次生成物が綺麗である。
ここから測量を開始する。体制は、スケッチ・千葉、メジャー&コンパス・村野である。さっそく新兵器を使ってみると、コンパスの逆読み数値が直接表示できないなど、若干の不便な点があるものの、急傾斜の狭洞でも体勢に関係なく方位や傾斜を正確に測量でき、洞窟測量において極めて有用であることが分かった。
下層部は、中途半端に狭い通路やエグいループ箇所が多かったため、距離はそこそこ計測したはずだが移動範囲がかなり限局しており、何となくはかどらなかった気分がした。

11:30、一旦出洞し、昼食タイム。村野は用足しついでに「コウモリ穴」西側の沢を遡り、その帰りに「コウモリ穴」のある露頭を改めて探索したところ、第2洞口直下に新洞を確認した。照明器具がなかったため奥行きを確認できなかったが、それなりの深さがありそうである。
第1洞口の上方にも洞口のようなものが見え隠れしたが、ここでは敢えて気付かなかったこととした。

12:30、再入洞。下層部の測量を終了させ、午前中にコウモリを確認したホール方面の測量に移る。主洞からの分岐点のマーカーが失われていたため、ポイントの再設定に若干手こずったものの、何とか確定して測量開始。ホールまで基線を伸ばし、放射をとったところでタイムアウトとなった。
そういえば午前中ホールにいたコキクガシラコウモリは1頭もいなくなっており、周囲をよく調べるとホールの奥の方の天井に幅15cm程度のクラックがあった。のぞき込むと内部は入り口よりも広く、通路が上方に数m伸びており、飛翔するコウモリが確認できた。現状では入洞不能であるが、気流も発生しており、おそらく外部に通じていると考えられる。気になる通路である。

17:00、第2洞口より出洞。洞口手前で千葉の“虫センサー”が作動し、洞壁に目ざとくコアシダカグモを発見する。駆除のためクモ嫌いの村野が召喚され、石で嫌々追い払おうとするも、更に上方の壁の陰に入り込んでしまった。「なんで上に追いやるんだよー!」との千葉の怒声なのか悲鳴なのかよくわからない声を聞き流しながら、村野はさっさと出洞してしまった。いちいちクモなんかに構ってられないっスよ(嫌いだけど)。もう少し高等生物としてのプライドを持っていただきたいものである。
さて、出洞後は昼に確認した第2洞口直下の新洞を再確認。ここでも千葉の虫センサーが何らかの注意報を発令したらしく、村野が入洞することになる。奥行きは約5mで、天井高は終始0.5m前後、目立った支洞もない一直線上の洞窟である。名称は「[仮]北コウモリ穴」とした。
また、村野が見なかったことにした洞口にも行くよう千葉の指示が飛ぶ。アプローチは、わずかな距離ながら岩壁中腹をへつって移動するため、若干緊張したものの何とか洞口に到達。奥行きは0.7m程度で、その先は3〜4本の入洞不能の支洞が細かく分かれた形状だが、フローストーンなどの二次生成物や溶食形態も見られ、形としては立派な穴である。一応「[仮]中コウモリ穴」と名付けた。

地R元的わらじカツ丼ランキング
1 レストラン イデウラ
2 焼肉レストラン東大門
3 鹿の子

4

安田屋(本店)
5 そば処 元六
6 そば処 大むら ※秩父
7 ゑびすや
8 どさん子 小鹿野店
9 ようかみ食堂
10 どさん娘 小鹿野店
17:30、現地出発。夕食は村野のリクエストで小鹿野町のB級グルメ「わらじかつ丼」を食することとした。といっても、主だった店はほとんど制覇してしまい、新規の店は思いつかない。
ここで千葉が「小鹿野町観光交流館 本陣」に店があることを思い出し、行ってみることとした。館内の食事処「ゑびすや」に行ってみると、女将がたまたま店の前にいらしたため、わらじかつ丼が食べられるかどうか尋ねたところ、すでに閉店時間(17時)を過ぎているとのことであった。しかし、次の行き先を考えあぐねている村野の様子を察してか、「じゃあ、うちで食べていきなさい」と快く店内に入れてくださった。とても気さくな方である。
店内には4人の男性客が酒盛りで盛り上がっており、こちらにも親しく話しかけてくる。特に小鹿野町のイベント「路地スタ」「路地グルメ」「春祭り」など、我々よそ者の知らない地元イベントのことを色々と教えていただいた。小鹿野町にも、もう何度も通っているが、いまだに知らないことだらけだということを改めて感じた。
途中で女将も話の輪に加わり、わらじかつ丼を食べながら楽しいひとときが過ぎた。最後には、石灰岩から湧き出る小鹿野の名水「毘沙門水」で作ったかき氷(シロップも小鹿野町産)までごちそうになり、心も胃袋も満腹になった。やはり小鹿野町は良い方々ばかりである。

18:30、ゑびすやを出発。

20:30、解散となった。
コウモリ穴 コウモリ穴 ゑびすや
新洞部への入口は狭い 新兵器「トゥルーパルス360R」 小鹿野町名物「わらじかつ丼」の10店目


今回の測量で40.9mを測量し、「コウモリ穴」の総延長は211.8m+となった。晴れて奥多野の大洞窟の仲間入りである。未測量の部分を加えると、250mは行きそうである。
「コウモリ穴」は出産保育洞であるため、今後しばらくは入洞を控えなければならないが、あと1回で終わらせたいところである。(文責 村野哲雄)

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