タイトル 地底旅団ROVER元老院第293回CAVING
サブタイトル 体験ケイビング事前調査 at 神流町・立処鍾乳洞&抜け穴
分 類 調査ケイビング
入洞洞窟 立処鍾乳洞(立処鍾乳洞第1洞、立処山第1洞、立処山の鐘乳洞、立処山鍾乳洞、鐘乳洞、井戸穴、大黒洞、水穴、立處山石乳穴、田戸呂山鐘乳穴)、抜け穴、目玉穴、ちゃんから穴(珍空洞、チャンカラ洞、恐竜洞、仏岩鍾乳洞)
日 程 2014年5月17日(土)〜18日(日)
参加者 芦田、木嵜、脇海道、浅倉、千葉の、千葉諒生 以上5名
これまで体験ケイビングは「石舟沢鍾乳洞」をメイン会場として行ってきたが、2012年5月27日に埼玉の某商業ケイビングツアーによる洞外事故により入洞禁止となってしまった。
その為、調査フィールドである群馬県奥多野地方の「立処鍾乳洞」「抜け穴」「ちゃんから穴」を体験ケイビングの会場として選考。その事前調査としてアプローチや洞内ルート、時間配分等の確認を行うために計画された。


17日18:00、芦田・木嵜・脇海道・浅倉は「ニッポンレンタカー 田町店」を出発。

22:00、洞窟地権者宅へ到着。

22:30、子連れの千葉も到着。
今回ご協力いただいた地権者との懇談会を楽しむ。久しぶりの再会に話も弾み、夜遅くにも関わらず談笑に盛り上がる。千葉Jr.こと諒生君も、最初は眠くてうなだれていたが、地権者宅にあったけん玉遊びや独楽遊びに段々とテンションがあがり全員で夜更かしだ。

25:00、就寝。
18日7:30、起床。朝食後に準備を済ませて、地権者と記念写真を撮る。このような楽しさや出合いが他のアウトドアアクティビティと異なるケイビングの魅力の一つだろう。

9:30、芦田・木嵜・脇海道・浅倉は地権者宅を出発。
「立処鍾乳洞」までは歩程時間40分ほどではあるが、ただただ急登となる。出発早々に浅倉がバテる。
樹林帯を30分ほど進むとだんだんと石灰岩が多くなり、石灰岩帯の露頭が見え、最後の鎖場の先に「立処鍾乳洞」がある。

10:30、千葉は息子と神流川で遊んだあと「神流町恐竜センター」へ。

10:40 「立処鍾乳洞」到着。各自準備して入洞開始。
洞口から緩やかな傾斜を進むと鎖場と脚立があり、それを下れば最奥部まではほぼ一本道となる。全体的に立って歩けるほどの空間が多く、這いつくばって進まなければならない箇所はあまり無い。二次生成物はフローストーンや小規模なリムストーンなどを見ることが出来る。コウモリはキクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリが確認できた。
今回はいかに体験者を安全に楽しませるかという点が念頭に置かれている。「立処鍾乳洞」は洞内図の古文書が存在しており、歴史的・文化的なケイビングの面白みに触れることの出来る鍾乳洞である。一方、洞窟としては特に大きな段差が無い横穴であり、二次生成物もあまり豊富ではないので、アドベンチャーとしては体験者にとって少々物足りないかもしれない。
そのため、進みやすく大きな空間を利用した自称光の魔術師:芦田によるキャンドルライトアップを試してみた。結果、予想以上に幻想的な空間へと変貌して一同感動。
ここで脇海道は体調不良により先に出洞、その他は引き続き洞内探索。

11:00、出洞。立処山山頂へ向かう。山頂までは洞口から15分程度の山道。最後にちょっとした岩場を登ると山頂に着く。

11:30、山頂到着。立処山は標高753mと低山ではあるが、集落を一望でき素晴らしい眺めが広がっている。
また、山頂の岩場にはハヤブサが営巣しており、迫力のある姿を眺めることができ、いつまで居ても飽きない場所だ。
適度な広さもあり、ここで昼食をとる。

12:00、出発。東側の斜面を下りながら「抜け穴」を探す。
ここで本格的に体調が悪くなってきた脇海道は完全にダウン。何とか気合で立ち上がろうとするも、嘔吐と頭痛が止まらない。脇海道を残し一同探索に向かう。
脇海道と山頂で別れた後、芦田を筆頭に急傾斜の斜面を下りGPSで位置確認をしながら移動。今回、「抜け穴」は全員初入洞となるため、それらしき岩帯を目指し、「抜け穴」と思われる洞口を発見した。

13:30、芦田・浅倉・木嵜は入洞開始。
入洞直後、その足元には大量の獣のフンが。木嵜はもろに踏み込んでしまい、靴がフンまみれになる。奥多野かんな姫計劃報告書には「熊の寝床」という穴も近くにあるらしい。
熊が洞内にいるのではと怖がりながら(フンは脇海道が同定したところ単なるタヌキの溜糞と発覚)、測量図と比較しながら進み、石柱「三本柱」を確認したことから、この穴が「抜け穴」であると確証を得た。
「三本柱」付近までは傾斜がきついが、乾燥しているため降りやすい。まず木嵜・芦田が竪穴部分「落とし穴」を迂回し難なく通過したが、浅倉は四苦八苦しながらも芦田のサポートにより無事通過し3人揃って第1洞口より出洞した。
その頃、1時間ほど休息をとった脇海道は復活。戻るのも物足りなかったので、「抜け穴」を探したが一つ露頭を見過ごしてしまい、すぐ下部の 「目玉穴」にたどり着いてしまった。「目玉穴」付近からは携帯電話の電波が入るようになったので芦田に連絡を取り、さらに下部の「ちゃんから穴」にて合流した。

13:50、芦田・浅倉・木嵜が「ちゃんから穴」に到着して全員合流。入洞を開始する。
「ちゃんから穴」は群馬の商業ケイビングツアーとしての利用もされており、洞内にはいたるところに残置ロープがある。あまり二次性生物は見られないが、初心者にはスリリングなチムニーもあり、立体的な動きを楽しめる洞窟であると感じた。ここもまた上記2つの洞窟とは違った魅力がある。

14:00、千葉は息子と一足先に地権者宅を出発する。

14:20、出洞。

14:40、地権者宅に到着。準備を整え出発。

15:10、「赤谷温泉 小鹿荘」にて入浴。

16:10、出発。
お腹もすいてきたので、芦田が「わらじかつ丼」を食べたいということで定食屋を探す。「わらじかつ丼」とは秩父の名物グルメで、秘伝のたれで味付けされた大きなカツが3枚のっているカツ丼である。
芦田は前々からこのカツ丼を楽しみにしており、地元の店を探し回ったのだが、驚いたことにどの店も夕方4時半前には閉店していた。何とも田舎らしい飲食店だ、次回から活動は早出早戻りを心がけろということか。「わらじかつ丼」を食べたいB級グルメハンターは要注意だ。
テンションの下がった一同は、諦めてファミレスを探すことに。

17:00、「道の駅ちちぶ」横にある「けん 秩父店」にて夕食。

20:10、「ニッポンレンタカー 田町店」に到着。解散。


今回は3つの洞窟を巡り、体験ケイビングのシミュレーションを行ったが、実際に体験ケイビングでは参加者の体力や状態など見ながら、「立処鍾乳洞」と「抜け穴」または「ちゃんから穴」の2つを巡るのがボリューム、体力的にちょうど良いであろうと感じた。
最初の急登も休憩を多くとれば体力のない人でも問題無く登れ、藪漕ぎでの洞口探索などの従来とは異なったよりケイバーらしい活動も楽しめ、体験ケイビングとして好適である。
しかしながら、「抜け穴」の核心部「落とし穴」などの初心者に対してはややレベルの高い箇所もあり、体験ケイビングではビレイを取りながら体験者を下ろす必要性がある。
安全管理とスリリングな冒険的楽しみのバランスをいかにとるべきか、今後まだ考慮する余地のある活動であった。(文責 脇海道卓)
地権者宅 抜け穴 ちゃんから穴
懇談会は深夜まで盛り上がりました 「抜け穴」の竪穴部 「ちゃんから穴」でのチムニー

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