タイトル 地底旅団ROVER元老院第177回CAVING
サブタイトル 奥多野かんな姫計劃・第8次神流町旧万場地区洞穴調査
分 類 調査ケイビング
入洞洞窟 むじな穴(金作穴)、むじな穴第2洞
日 程 2006年9月3日(日)
参加者 千葉、村野て 以上2名
むじな穴第2洞・洞口付近2000年から発動した奥多野地域調査「奥多野かんな姫計劃(プロジェクト)」。2005年6月に「奥多野かんな姫計劃報告書1 群馬県多野郡神流町 立処山洞穴地域調査報告」を発行、第1章立処山地域を終えることが出来た。引き続き第2章を開始、対象地域は旧万場町地区、持倉地区など神流町残地域及び旧鬼石町地区となる。
本活動は、黒田地区の「むじな穴」測量及び地権者への渉外を目的として企画された。


9:30、神流町に到着。まずは今回の測量洞穴である「むじな穴」の地権者に渉外を行うこととする。とりあえず、地権者S藤S夫氏の住所を電話帳にて調べたところ、やはり黒田地区にお住まいのようである。
住宅地図を見せてもらおうと万場交番をたずねると、あいにくの不在。ならば役場なら分かるだろうということで、神流町役場を訪れる。しかし、日直の方に「個人情報保護」を理由に地図の閲覧を断られてしまった。住宅地図に掲載されている情報の提供が個人情報の漏洩にあたるのかどうか疑問ではあるが、だめだというなら仕方ない。直接現地にアタックである。

10:00、黒田地区に到着。通りを歩いていた地元の方に道を尋ねたところ、「ああ、S夫ちゃんね」と丁寧に教えてくださった。教えていただいたとおりに道を進むと、すぐに地権者宅を見つけることが出来た。「S夫ちゃん」と呼ばれているほどだから若い方なのかと思っていたら、どうみても先ほどの地元の方よりも年上である。素朴な雰囲気の方で、我々の突然の訪問に最初は少し怪訝そうな顔をされたが、調査の趣旨を説明すると「小さい穴だけんどねぇ。」と言いながら快諾してくださった。
「むじな穴」に関してお話を伺ったところ、昔、金作さんという方がむじな猟のためによく入洞されたとか。地元では「むじな穴」よりも「金作穴」のほうが通りが良いようである。金作さんの親族の方が以前測量をされたとのことで、次回訪問したいと思う。

10:30、「むじな穴」登山口に到着。準備を整え、登山を開始する。久しぶりの山登りに一気に汗が吹き出すが、立処に比べれば楽ちんなものである。

11:00、「むじな穴」に到着、入洞を開始する。村野が先行して入洞するが、洞内はまったく涼しくない・・・・。天井高は、洞口付近が50cm程度あるものの、すぐに15cm程度になってしまい、それ以降は終始15〜20cmほどである。おまけにコアシダカグモがそこかしこにおり、気を抜くと顔にくっついてしまいそうである。こわいナー。ふと気づくと後ろから千葉が付いてきていない(振り向けないので音で判断するしかないのだが・・・)。どうやら千葉は洞口から胸がつかえ、もがいているようなのであった。千葉は二番手にもかかわらず、何故かひたすらディギング。おかげで天井高が少し高くなった。村野は、以前から自分が薄型だとは思っていたが、ここまで歴然と差が出るとは、自分のことながら衝撃的であった。今後は天井高の低い洞穴専門部隊として投入されるのだろうか?? 厄介な特技が発覚してしまったものである。
しかし、洞口から5m程度でさすがに進めなくなってしまった。通路は直進方向と左方向に分かれているのが見えるので、何とかそこまでたどり着きたいのだが・・・。ヘルメットでディギングを試みるが、埒が明かない。過去の測図とは様相が明らかに異なるため、一旦出洞することにする。

11:30、出洞。昼食をとりながら、午後の戦略を練る。とりあえず村野は洞内に再チャレンジ、千葉は周囲を探索することにする。

12:30、村野は再入洞、千葉は山狩りを開始する。しかし、すぐに本物の「むじな穴」が見つかり、村野は出洞することとなった。本家「むじな穴」の洞口は、午前中入った穴の左上方に開口していた。結局、午前中の穴は新洞ということになり、「むじな穴第2洞」と命名した。
村野を先頭に「むじな穴」の入洞を開始。洞口付近は天井高が1mに満たず、四つんばいになって進む。天井には無数の巨大カマドウマがコロニーを形成しており、千葉は村野の後から小さくなりながら進んでいた。さらにその奥で、村野が今度はむじなを確認。どうやら生き物の豊富な穴のようだ。いろいろなグアノが散乱している。例のむじなは洞奥の狭いところに引っ込んでしまったが、千葉は絶叫しながら大慌てで出洞してしまい、以来入洞を頑なに拒否。
取り残された村野は仕方なく、単独で洞内探索をする。狭洞部を抜け、−2mの竪穴を降りると、下層部の横穴が続いていた。ノッチなどの溶食形態のほか、ストローや石筍、石柱などがあちこちに発達していた。コキクガシラコウモリも10頭確認。
とりあえず人が入れそうなところは一通りチェック。万場町誌には総延長約35mと記載されているが、地R元的に測量すれば倍以上になるだろう。2人では今日中に測量を終えるのはまず無理なので、次回の測量物件とする。

13:30、出洞。千葉はその間、単独で地上測量を行っていた。

14:00、「むじな穴第2洞」測量開始。体制はスケッチ村野、コンパス・メジャー千葉。まず千葉が計測し、その後村野が入れ替わりでスケッチを行った。

14:30、測量終了。「むじな穴第2洞」の総延長は5.3m、高低差は0.4mとなった。

15:00、地上測量再開。コンパス千葉、メジャー村野で行う。登山道沿いに集落まで基線を張っていく。作業は順調に進んだが、測量中は絶えず20匹前後のやぶ蚊の波状攻撃にあい、2人ともほとんど踊りながらの測量となった。まぁ、滅多にないごちそうなのだろうが、おかげで手も顔も虫刺されである。この時期は虫除けが必携であることを痛感。基線延長は600mに達した。

16:30、現地出発。標高点・城山に立ち寄り、GPSによる高度測定を行った。

17:30、約3ヶ月ぶりに木古里にご挨拶に伺う。が、店舗の前に「本日休業」との看板が。母屋に向かうと、明美さんと祐紀さんがおり、お話を伺うと諸般の事情から無期休業するという。地R元メンバーも長らくお世話になった店であるし、GWには皆でうどん作りを手伝ったりしただけに、千葉も村野もショックであったが、また余裕が生まれてきたら開店できる日がくるだろう。その間は村野が店の営業をするか、など冗談交じりに語り合った。

18:30、木古里出発。

19:30、秩父市内の中華食堂「ゑちごや」にて夕食。

21:00、解散となった。


今回の調査では、新洞測量と地上測量のみを行う結果となり、当初の目的であった「むじな穴」の測量は次回に先送りとなった。しかし、地権者や黒田地区住民の方へのヒアリング調査から、新たな情報を得ることも出来た。旧万場地区には本洞穴以外にも「下穴」や「コウモリ穴」など測量調査継続中の洞穴があるし、持倉地区には「荒神穴」が控えている。まだまだ先は長いが、一歩ずつ調査の網を広げていきたい。(文責 村野哲雄)
むじな穴第2洞・洞口 むじな穴第2洞・洞内 むじな穴・洞口

洞口高15cmのむじな穴第2洞

洞内もひたすら狭い こちらが本物のむじな穴

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