タイトル 地底旅団ROVER元老院第178回CAVING
サブタイトル 奇祭!穴祭り2006
分 類 合同・ファンケイビング・洞穴救助訓練
入洞洞穴 熊石洞、ナナメ穴、珊瑚洞
日 程 2006年9月22日(金)〜24日(日)
参加者 村野て、千葉、黒田、宮野原、吉田勝次、稲垣雄二、近野由利子、伊藤天哉、青柳美和、板橋真実、五藤純子、藤森真人、藤原義行、鈴木健士、鈴木恵里子、柏木健司(以上、Japan Exploration Team)、中込幸子(立教大学探検部) 以上17名
J.E.Tハウス毎年恒例となったJapan Exploration Team(J.E.T)との懇親企画である。
J.E.Tとは第90回CAVINGから交流活動を行っており、今回で通算5回目となる。今回は初の2日間にわたる活動とし、初日は竪穴班「熊石洞」と横穴班「ナナメ穴」に分かれてのファンケイビング、2日目は「珊瑚洞」にて合同横穴搬出訓練を行うこととした。


22日21:00、地R元組は東京府中を出発。

23日1:00、一宮市のJ.E.T BARに到着する。およそ1年半ぶりのJ.E.Tメンバーとの再会に、しぱし歓談の時間を過ごす。
その後、竪穴班は移動開始。横穴班は就寝となる。

【竪穴班−千葉・村野・吉田・稲垣・伊藤・藤森・藤原】
3:00、郡上市熊石地区に到着。林道がいつの間にか舗装されており、乗用車である村野車でも以前のように腹を摺ってしまうことがなくなって嬉しい。暗闇の中、入洞準備を行う。

4:00、強壮剤を飲んでから「熊石洞」入洞開始。1st千葉、2ndは村野である。洞口ピッチではまず千葉が1ルートを張り、その後に村野がもう1ルートを張る。その間、J.E.Tメンバーは洞口で若干の仮眠を取る。村野がロープを張り終わる頃にJ.E.Tメンバーが降下開始。今回は通称「裏ルート」経由でルート工作をした。

9:00、千葉・村野・吉田隊長・稲垣さんが−130m地点(ザマミロホール)に到着。ここから先は横穴部となり、地R元にとっても未知の領域となる。4人で主洞最奥の「月光の滝」に向けて移動を開始。他のメンバーは、−130m地点に到着次第、再度登り返して出洞となった。
「ザマミロホール」から先は、「サバイバルルート」と呼ばれる狭いクラック状の通路となり、体が挟まって身動きが取りにくい。さらにその先は崩落岩の隙間を潜り抜けていくルートで、これまた狭い箇所が多い難所となる。この崩落帯を抜けると、洞内はまた突如として広くなり、ところどころに水流も見られるようになる。
予想以上に大きな空間で、いくつもの支洞が複雑に延びている。ルート上には過去に使用されたスズランテープが張られているので、ルートファインディングにはそれほど苦労しないが、ところどころテープがとぎれており、測図と照らし合わせながら進んでいく。稲垣さんは測図を熱心に読んでいた。二次生成物はほとんど見られないものの、水平天井「まな板天井」は、なかなか見ごたえのあるものであった。
それ以外は単調な上り下りの繰り返しの印象が強い。いい加減飽きてきた頃、吉田隊長が遂に横になって寝てしまった。起こしても動きそうもないので、とりあえず残置。3人で奥を目指す。

10:00、「月光の滝」に到着。想像していたよりも水量は少ないが、10m程度の落差があり、覗き込むとちょっと怖い。ここで記念撮影をして反転する。隊長残置現場に戻ると、吉田隊長はなおも寝ていた。というか、さらに深い眠りに落ちていたようだ。なんとか起こし、もと来た道を引き返す。

14:30、全員出洞。毎度のことながら、不眠活動のためヘトヘトである。もう来たくないが(笑)、千葉はこうでもしないと満足できないそうである。

15:30、地主宅に挨拶をしてから現地出発。J.E.Tハウスに進路を向ける。伊藤さんの車を先導に、村野車が続く。村野車には千葉・吉田隊長が同乗するが、途中から2人とも安らかな眠りに落ちて・・・運転者の村野もなんとなく運転の実感がなくなってくる。
そして右カーブに差し掛かったところ、体の動きがついていかず、車の左側面をガードレールに思い切り擦ってしまった。その衝撃で左側面には穴が3箇所開口(泣)。助手席の千葉は飛び起きたが、後部座席の吉田隊長は相変わらずの爆睡中であった(笑)。さすがは少々のことには動じない隊長である。しかし大事故にならなくて良かった・・・。
熊石洞 熊石洞・月光の滝 熊石洞
二ヶ国首脳会談? 月光の滝 搬出方法を談義

【横穴班−黒田・宮野原・近野・五藤・板橋・青柳・中込】
6:30、起床。

7:30、J.E.T Barを出発。

8:00、東海北陸道・長良川SAにおいて、久々登場の宮野原と合流。かなり怪しい見た目の車に、J.E.Tメンバーたじろぐ。コンビニにて朝食を購入する。

9:30、J.E.Tハウスに到着し、J.E.Tメンバーのひる姉こと青柳さんが合流。荷物を降ろし、装備の用意をして「ナナメ穴」に向かう。黒田と中込が宮野原の愛機サファリに乗り込むが、あまりの騒音で会話がままならない(汗)。大声で宮野原の愛息がっくんの話に盛り上がる。

11:00、現地到着。着替えを済ませ、早速アプローチに入る。今回のアプローチはかなりの藪こぎだという事であったが、想像以上に渋いアプローチで、萎えそうになること数回・・・。しかも、西方面ではヒルの出没頻度が非常に高いらしく、ちょっとチクッとするだけでも「ヒルか?!」と気になって仕方がなかった。

12:00、途中で迷ったり、ヒルに惑わされながらも、無事に洞口到着。落ち着いたところで、全員がヒル確認をすると?・・・吸われとるー!!地R元メンバーでは、黒田だけがたっぷりと血を吸い取られていた・・・(泣)。そして、全員でひる姉の持参した塩でヒル退治をした。塩持参だなんて、さすがである。

12:30、昼食をとってから「ナナメ穴」に入洞。入るとすぐに小さなホールに出て、そこから狭洞を抜けてまたホールに出るというような感じで、傾斜は平均して30〜40度。ひたすら下っていくので、まるで滑り台のような感覚になる箇所もいくつかあった。記憶の中では、往路は登りが一箇所しかなかった。
「鍋焼きホール」というホールからは、左右のルートに分かれる。左ルートは小さなホールに出て終わっていたが、右ルートはさらに二つに分かれる。右ルートの右支洞はキーホールパッセイジが顕著で、最後は天井が低くなって入洞不可能となっている。左支洞には「ヘリクタイトの間」があり、数多くのヘリクタイトを観察する事ができる。また、ヘリクタイトの間手前の水溜りでは、3匹のメクラヨコエビを確認した。こちらの支洞もひたすら下り続け、小さな空間に出て最奥部となる。
復路は、今まで下ってきたぶんをひたすら登るという事である・・・。途中、たたみんこと伊藤さんが滑落したという現場を観察しつつ、30〜40度傾斜の洞内を登り続ける。

14:30、出洞。行きのヒル経験を活かし(?)帰りはひる姉に「山ヒルファイター」を借りて噴射。虫除けスプレーのようなもので、これがよく効く!おかげでヒルに吸われる事もなかった。

15:30、無事下山。J.E.Tハウスに移動した。

17:00、竪穴班がJ.E.Tハウスに到着。懇親会の準備に取り掛かる。

19:00、懇親会開始。タコ飯を食らいながらバーベキューを楽しむ。しかし、ただのバーベキューで済まないのがこの穴祭り。伊藤さんの準備した「焼きししとう」はかなり強烈であった(笑)。順番につまんでいくが、当たりが出れば超激辛!下手な唐辛子なんかより数倍辛い。当たってしまった藤森さんは目を真っ赤にしていた。そして宮野原持参の手土産「鮒寿司」も、その強烈な臭気で盛り上がる。なんともリスキーで楽しい懇親会となりながら、夜は更けていくのであった。
24日7:00、各人がなんとなく起床。とりあえず朝食をとり、装備洗いをしながらボケボケと過ごす。

11:00、宮野原が離脱。一児の父ともなると、仕事、家庭と多忙のようである。

12:00、「珊瑚洞」に移動し(ここは"入洞"というより、J.E.Tハウスから"移動"といったほうが良い)、横穴搬出訓練を開始する。最奥のプールで怪我人が出たという設定で洞内搬送を行う。ビクティム役は黒田に決定。黒田は担架リアクトに固定される時点で既にハイテンションとなり、笑いが止まらなくなっていた。元気なビクティムである。皆も黒田の顔に泥をくっつけたりして楽しんでいた。
今回の訓練では、斜めクラックをZリグで引き上げたり、確保を取りながら斜洞を上昇、降下させたりと、さまざまな基本技術を練習。楽しい中にも緊張感のある訓練となった。一方の黒田は、担架に固定されたままプールに浸されたり、二代目和尚・藤森さんに耳元で経文を唱えられたりして、最後の方は本当にビクティムになってしまったかと思うほどに弱っていた(笑)。

15:00、全員出洞。J.E.Tハウスに戻り、遅めの昼食を取る。さすがに訓練後はみな腹ペコになっており、用意したカレーうどんはあっという間になくなってしまった。

18:00、J.E.Tメンバーに見送られながらJ.E.Tハウスを出発。

24:00、東京府中到着。解散となった。


今回の穴祭りは、初日の竪穴・横穴ファン、2日目の合同横穴搬出訓練と、2日間にわたって中身の濃い、充実した活動となった。J.E.Tと地R元との交流企画では、昨年の合同SRT訓練、今回の合同レスキュー訓練と、以前のファンケイビング交流からさらに進展して相互学習の場が設けられるようになり、非常に有意義な活動になってきたと思う。今後の交流活動でもこのような場を設け、クラブとして互いに刺激しあいながら、そして楽しみながら、ともに成長しあえる関係を築いていければ良いと思う。(文責 村野哲雄・黒田さち子)
珊瑚洞 珊瑚洞 J.E.Tハウス
システムを組んで狭洞から搬出 横穴搬送は楽しいね お疲れさまでした

「活動報告」に戻る
 次の「個別活動報告」へ進む TOPへ戻る

2006 Copyright(C) 地底旅団ROVER元老院
cavers_rover_in_tokyo@yahoo.co.jp