タイトル 地底旅団ROVER元老院第131回CAVING
サブタイトル 第1回洞穴救助訓練
分 類 訓練ケイビング
入洞洞窟 立処鍾乳洞
日 程 2004年7月17日(土)〜19日(月)
参加者 千葉、村野て、鈴木、中村允彦(明治大学地底研究部OB)、名真大気(早稲田大学探険部)、山崎宏之(立教大学探険部)、木嵜ちひろ(東京農業大学探検部) 以上7名
古鉄橋付近国内には洞窟救助協会や洞窟救助委員会が設置されているが、訓練講習は不定期的で、未経験者を対象にした企画は少ない。更に関東で行うことはほとんどないと言ってもよい。また、技術修得者には偏りがあり、若手ケイバーに至っては全く知識を持ち合わせていないまま活動している者も多い。しかし、大事には至らないものの、相変わらず洞内事故は発生しているのが現状である。そこで所属団体を越え、有志者で知識を深め、定期訓練を重ねて自発的に洞穴救助を身につけようと、地R元主催で企画された。


17日22:30、先発隊(千葉・鈴木・中村・名真・木嵜)が「奥多野かんな姫計劃」でお世話になっている群馬県内地主宅に到着。高橋さんに挨拶後、過去の洞内事故例を読み上げながら知識を深める。

23:30、後発隊(村野て・山崎)到着。お互い初めて活動する者も多く、ビールを飲みながら懇親を図る。

25:00(1:00)、消灯。
18日7:00、起床。朝食のポトフは多少量が多かったもののおおむね好評。

8:30、高橋さんに朝の挨拶。千葉は初めて見る母屋玄関に感慨深げ。4年間通い続けているにもかかわらず未確認だったらしい。

9:30、宿舎「木古里山荘」に戻り、各自資料を読んで座学。配付された資料を読んでもロープテクニックやシステムの話は理解しにくいが、ビクティムを安全に運ぶためならばどんな時間も惜しまないというのは伝わってきた。実際は気持ちが焦ってしまい、なかなか冷静にいられないだろうが、基本さえ理解しておけば応用が利くということは学べた。

10:00、基本となる1/3システムと流動分散を千葉・中村より教えてもらう。初めて1/3システムを見る学生組は多少戸惑いつつも実際に作ってみるが、屋内で見本通りに作れても実際のイメージが見えてこないため苦労する。1/3システムは見本通りに作れても、形が違うと合っているかどうかとても不安になる。混乱しないためにも色々な状態で練習しなければいけないと感じた。

11:00、近くの河原へ降り、実際にストレッチャーを使ってみる。まずは、ストレッチャーに誰も乗らない状態で練習。声の掛け方やストレッチャーを水平に保つための個々のバランスの取り方が重要だと学ぶ。さらに人を乗せてみる。想像よりも重量は軽かったが、ビクティムをストレッチャーに運ぶ時は落とさないように声を掛け合って、息を合わせなければいけない。特に頭は極力動かさないように注意を払わなければならない。実際は目に見える怪我以外にも怪我をしている可能性を考えて行動するべきだ。

12:30、「木古里」にて昼食。

14:00、再び河原に戻り、今度は川を挟んでチロリアンブリッジを作る。長さは70mほどで、5人で1/3システムでロープを引っ張る。見た目はよく張れている感じなのだが、実際千葉がロープにしがみついて川を渡ろうと試みるがみるみる垂れ下がっていき、地面すれすれという結果になってしまった。
あとで聞くところによると、600〜700s張力が必要で、消防レスキュー隊はウィンチを使用するとのことである。やはり長い距離を人力で張るのは限界があるのだろうか。

16:00、次はもう少し短いチロリアンブリッジを作る。今回はしっかり張れているのだが、ロープと地面との距離が短いためか、ストレッチャーにビクティム付きで乗せてみると、どうしても地面についてしまう。さらに、チロリアンブリッジにストレッチャーを乗せるには吊るす役割の人が最低でも2人必要だということが分かった。吊るす人は素早くロープを結べなくてはいけないし、支えている人も持ち手の人数が減った分踏ん張らなくてはならない。野外で実際に練習してみて、技術も必要だが声の掛け合い、意思の疎通の大切さを身にしみて感じた。

17:30、本日の救助訓練は終了ということで、古鉄橋からロープを垂らして村野によるSRT基本訓練(山崎・木嵜)を行う。名真・鈴木は各自でSRT訓練を行う。鈴木はピッチヘッドでのチェンジオーバーで、ハンドルアッセンダーが取れなくなってしまいかなり焦る。下では千葉が見放している・・・。
その間に千葉・中村はオンロープレスキューを行うが、周囲からはいやらしいという感想。

19:00、ロープ回収、夕食準備。英国風カレーを作り、できるまでの間に「木古里山荘」のお風呂を頂き、昼間の汗を洗い落とす。

20:30、英国風カレーを食べる。ご飯共に量が多く、皆限界近くまで食べるが、味は絶品!

21:30、千葉を筆頭に続々と撃沈してゆく。ブリーフィングが開かれそうな気配がないため消灯。
木古里山荘 神流川 神流川
屋内でのロープワーク講習 ストレッチャー使用法を学ぶ チロリアンブリッジを張る
神流川 神流川 神流川・古鉄橋
張力が足りなく失敗 ストレッチャーをチロリアンに吊す SRTとオンロープレスキュー訓練

19日7:00、起床。本日は洞内での実地訓練である。朝食前に山崎離脱。朝食は大量のパスタ。

8:00、「木古里山荘」撤収。

9:00、「立処鍾乳洞」に向けて出発。暑さ、装備の重さ、ストレッチャーなども持ち合わせていたため快調に進まない。

10:00、現地到着。

10:30、千葉・中村・村野は洞内訓練のミーティングを行い、「第1枝穴入口〜第2枝穴入口の斜洞」にチロリアンブリッジを張る。名真・木嵜は初見ということで、鈴木の案内でファンケイビングとゴミ拾い。

12:30、訓練準備完了。昼食後、洞内訓練開始。まずは1sec「第3枝穴奧〜本洞〜第2枝穴入口先の斜面を上がったところ」を千葉を司令塔にビクティムを乗せてストレッチャーで横穴搬送。前日の屋外での搬送とは地面の不安定さが運ぶ人に不安を与える。特にちょっとした傾斜でも足下はストレッチャーの死角に入るためつまずきそうになる。そのためにも前方にいる人は進行方向の情報を後方の運ぶ人に伝えるとスムーズにいきそうだ。
次ぎに2sec「第2枝穴奧〜第2枝穴入口」の横穴搬送。1secより狭洞のため、お互いの声の掛け方がより重要になる。狭洞に入る時は、急がずに手前で簡単な打ち合わせをやることでよりよく運ぶことができる。また、個人ではストレッチャーが進みやすいように足や太ももをストレッチャーの下に入れるという配慮も重要になってくる。
次は3sec.「第1枝穴入口〜第2枝穴入口の斜洞」チロリアンブリッジによるホーリング搬送。ビクティムは乗せなかったが洞外で事前にやったためかスムーズに搬送はできた。今回も人を乗せていれば、再び地面に当たることになっていたと思うが、今後チロリアンブリッジを張る時は高い位置で張れるようにすることが課題ではないだろうか。
その後、1secと2secの逆ルートを横穴搬送。各司令塔を鈴木・名真に交代して行った。最初は年上の人を意識して行動してしまったが、実践ではそんな余裕は全くないのだから、年齢に関係なく命令できるようになれないといけない。

16:00、活動終了。下山後に装備洗い。装備洗い後、川遊びをする。水がまったく冷たくないため皆ハイテンションで騒ぐ。

18;00、「木古里」で夕食。モロヘイヤ、ジャガイモをいただく。

19:00、「木古里」出発。赤谷温泉「小鹿荘」で入泉してから解散となった。


レスキュー訓練に関しては未経験者が多かった今回の活動であったが、連休をうまく使うことによってみっちりと勉強することができた。ストレッチャーへのビクティムの積み込みや声の掛け方などはやる度に良くなっていったと実感できた。やはり、実
際に訓練を行って経験するというのはとても身になった。しかし、臨機応変にシステムを組むことや個人の意識のズレを合わせていくことは、1回だけではまだまだ足りないと感じた。様々な人にレスキューの重要性を考えてもらうために、今後も定期的な訓練の必要性を感じた。(文責 鈴木達朗)
川乗谷 川乗谷 川乗谷
立処鍾乳洞へ出発 ストレッチャーにビクティムを載せる 狭洞部横穴搬送
川乗谷 川乗谷 川乗谷
空ストレッチャーで練習 訓練終了 装備洗い?

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