タイトル 地底旅団ROVER元老院第350回CAVING
サブタイトル 第6次住田町洞穴群調査
分 類 調査ケイビング
入洞洞穴 金の倉の立穴、金の倉の横穴、小滝沢の穴、カラカラチャッポン穴(からからぽっちゃん)、愛宕神社裏の穴、蔵王洞、蔵王洞上の穴、奥新切こうもり穴、(仮)第5次住田町洞穴群調査で確認された新洞
日 程 2017年5月2日(火)〜6日(土)
参加者 細野、菊地敏雄、土田孝之、松本力、山口真也(以上、東山ケイビングクラブ)、小向益男(日本洞穴学研究所)、平宗雄(あぶくま・けいばぁず・くらぶ)、久米大作(龍泉洞カルストプレインプロジェクト)、倉片宏樹、新井健汰(以上、明治大学地底研究部) 以上10名
岩手県気仙郡住田町には多くの石灰岩帯があり、所々で洞窟が確認されている。東山ケイビングクラブでは1989年と1994年に新洞探査を行い、地元情報のうち半分の新洞を確認、探検を行った。しかし、山を知る方々が高齢となりつつあり、近年は情報を得ることが難しくなってきたことから、2016年から洞窟探査を再び行うことにした。
6回目となる今回の調査では、金の倉地区の洞窟群の調査を軸として、これまで調査を行った洞窟の補足調査、既存・未確認洞窟の発見、次回以降に調査を予定している洞窟の下見調査を行うために計画された。


2日20:30、山口が細野宅に到着。荷物を詰め込み出発。
外環自動車道・大泉ICより高速に乗り、東北自動車道を北上。ドライバーを交代しながら花巻JCT経由で釜石自動車道・遠野ICで降りる。
遠野市内のコンビニにて朝食と昼食、行動食を購入する。
3日4:00、「滝観洞」の駐車場に到着。軽食を取り、集合時間まで車内で仮眠。

8:30、菊地さん・小向さん・松本・久米さん・新井・倉片が順次到着。

9:00、宿舎となる「滝観洞観光センター」に挨拶。荷物の搬入。

10:00、ブリーフィングを行ってから各自ブランチ。活動準備。

11:00、活動開始。
測量班(スケッチ山口・コンパス細野・メジャー久米)は、第5次住田町洞穴群調査(地R元第349回CAVING)で確認した横穴の再測量。洞床は一面がガレ場で、洞壁にはカーテンやフローストーンが点在、母岩にはウミユリを始めとした化石が多くみられる。
細野は山口がスケッチしている時間に暇を見つけて化石の観察して写真撮影。珍しい化石があるわけではないようだが、普段はゆっくり化石観察する機会もないので、色々と見て回っていた。

竪穴確認班(菊地・小向・松本・新井・倉片)は、第5次住田町洞穴群調査(地R元第349回CAVING)で松本・細野が確認した竪穴の写真撮影を行った。

12:30、測量班は仕事を終え、対岸斜面の洞窟探査を行うが何も確認できず。

14:00、全員合流。山間部の石灰岩帯を山狩り。3時間ほど探査するも洞口確認できず。

17:00、下山開始。

17:30、「滝観洞観光センター」に到着。土田さんも合流。順次風呂。

19:00、夕食。「滝観洞観光センター」の方が準備しておいてくれたカレーとサラダ。

19:30、平さん合流。夕食後にブリーフィング。

20:00、ビールを飲みつつ談笑。

23:00、順次消灯。
4日5:30、平さんがそっと帰宅。一晩皆と飲むためだけに来てくれた。嬉しい限りである。

6:30、起床。

7:00、朝食(目玉焼、ハム、味噌汁)。

7:30、本日の班編成と活動内容を確認。菊地さん帰宅。活動準備。

8:00、各班はそれぞれの担当エリア(葉山地区、金の倉地区)に移動開始。

9:30、活動開始。
葉山地区班(久米・小向・土田・新井・倉片)は、「蔵王洞」「蔵王新洞」「愛宕神社裏の穴」周辺の新洞探査を行った。後に空振りだったとの報告。

金の倉地区班(松本・山口・細野)は、まずは第5次住田町洞穴群調査(地R元第349回CAVING)で確認した「小滝沢の穴」測量である。
体制はスケッチ山口、メジャー&コンパス松本。細野は洞内を確認した後、ひとり洞外で日向ぼっこ休憩。奥までは約5.0mと小さい洞窟だが、洞壁には洞窟珊瑚やフローストーンが確認できた。
付近には金網で覆われ、取水用の管が設置された流出口があった。金網脇から覗くと、天井高は低いもの匍匐で水に浸かりながら進むことが出来そうで、天井や洞壁にはうっすら二次生成物が確認できた。洞窟である。

11:00、測量終了。次の「金の倉の立穴」「金の倉の横穴」は違う沢にあるため、一旦下山。

11:30、早めの昼食。

12:00、再度、入山。

13:30、「金の倉の横穴」を確認。約10mの規模であったため、山口に測量をお願いし、松本・細野は上部にあると言われている「金の倉の立穴」を探しに行く。

14:00、「金の倉の立穴」を確認。洞口は約1m。松本がリギングする間、細野は洞口付近の測量を開始。

14:30、細野はスケッチを行いながら下降開始。
垂直に−14.0mで洞床に到着。下降途中にナチュラルブリッジがあり、外光が届いているため、苔が生えている。
着地点より進むとホールとなり、洞壁にはフローンストーンや洞窟珊瑚が確認できる。最奥部には石筍と流水跡が確認できた。
着地点付近の足元に約−3mの支洞があり、洞床より狭洞部を約1mで通過不可能となる。この地点にて「金の倉の横穴」で測量を行っている山口からコールが聞こえた。一人で静かに測量していたら、「金の倉の立穴」の声がうっすら聞こえていたようだ。会話が出来るとは言え、大声でないとやり取りはできないが、立穴と横穴が狭いながらも接続していることは確認できた。

15:30、測量を終えて下山開始。

16:00、駐車場に到着。

17:00、金の倉地区班は「滝観洞観光センター」に到着。

17:15、葉山地区班も「滝観洞観光センター」に到着。装備の片付けを行い、順次、風呂に入る。

18:30、夕食(フライ盛、羊餃子)。

20:30、測量データ入力と製図。

23:00、順次消灯。
5日6:30、起床。

7:00、朝食(焼き鮭、ソーセージ、味噌汁)。本日の班編成と各班活動内容を連絡。

8:00、活動開始。
新洞探査班(久米・小向・新井・倉片)は未探査エリアにて新洞探査。

カラカラチャッポン穴探査班(松本・山口・細野・土田)は、過去の報告書にある位置情報を基に探索。
林道があるわけでもなく、ひたすら山を登る。途中、山菜取りのおじちゃんと出会い、山菜について教えてもらうが、こちらは汗だく。稜線より周辺の山々が綺麗に見えるが登り過ぎているのは間違いない。木が生い茂っているため、遠目では岩帯も見当たらない。
少し下り、横に移動すること約1時間。岩体が見え、石灰岩が点在している枯れ沢が見える。周囲を確認したところ、露岩の足元に洞口確認。

13:00、松本がフリーで約2m降りたところより、更に下に延びていることを確認。過去の報告書測量図より「カラカラチャッポン穴」で有ることが確認できた。
位置確認活動であったため、リギング装備、SRT装備等を持ち合わせておらず、周辺状況の確認のみを行った。

13:15、下山開始。枯れ沢を数十m下ると旧作業道が目の前に現れる。旧作業道は既に植林されており、車両では通行できない。

13:45、作業道と合流。作業道脇に時々見られる山菜を摘みながら下山。今晩のツマミになる予定。

14:30、松本車を停めていた出発地点に到着。半日かけて探索したのだが、下山は1時間程度。次回活動時には作業道を利用しての車移動+徒歩で1時間もかからず洞口まで行けそうだ。

15:00、時間があったため、国道340号線沿いの赤羽根付近の石灰岩帯を確認しに行くことにした。坂本川の一部川底は石灰岩であり、周辺には石灰岩の露岩も多数確認できる。山狩りを行う必要がありそうな場所である。

16:00、「滝観洞観光センター」に到着。装備の片付けを行い、順次、風呂に入る。

16:30、新洞探査班も「滝観洞観光センター」に到着。

18:30、夕食(ジンギスカン、焼きそば)。そして、摘んできた山菜を調理。最終日前夜という事で、盛り上がるが、疲労が溜まっているのであろう、寝袋に潜り込むメンバーもちらほら。

22:00、順次消灯。
6日6:30、起床。

7:00、朝食。本日の活動内容と宿舎片付けの段取りを連絡。

7:45、宿舎の片付け開始。個人装備、団体装備の片付けと掃除。

9:00、「滝観洞観光センター」でお世話になった方々に挨拶をして出発。

9:30、親切地区に到着。「奥親切こうもり穴」でファンケイビングである。洞口は川を渡ってすくに開口。道路沿いに住んでいる地元の方にヒアリングを行う。

10:00、入洞開始。地元のおじちゃんも同行。
洞口は露岩の基部に開口しており、幅1.8m、高さ0.6m。洞口より数mで立って歩けるほどの高さになり、幅も広がる。フローストーン、カーテン、ストロー、石柱等の二次生成物が多く、乳白色で綺麗な状態。ほぼ一本道で進んでいくと途中から分岐するが、迷路状であるが全て繋がっているように感じられた。
狭洞部に突っ込むことはしなかったが総延長100mは超える規模であることは間違いないだろう。

11:00、全員出洞。地元の方にコーヒーを御馳走になり、談笑と情報収集。

11:30、全員解散。各々車両に乗り込み帰路へ。山口車(山口・細野)は一般道を南下。

13:00、一関市内の「イチノセキ温泉願叶乃湯」にて、汗を流して疲れを癒す。

14:00、ちょっと遅めの昼食。山口おすすめの「直利庵 バイパス店」にて各々注文。
昼食後、一関ICより東北自動車道に乗ってひたすら南下。交代で運転し、渋滞に巻き込まれることなく東京へ。

21:00、細野宅到着。山口も帰路につく。
住田町 住田町 金の倉の立穴

第5次住田町洞穴群調査で確認した横穴

横穴を測量する山口 「金の倉の立穴」の洞口
金の倉の立穴 住田町 カラカラチャッポン穴
「金の倉の立穴」を降りる松本 急峻での探索活動 「カラカラチャッポン穴」の洞口
住田町・坂本川 奥親切こうもり穴 奥親切こうもり穴
坂本川の石灰岩帯 「奥親切こうもり穴」の洞口 そこそこ空間の大きい洞内


「金の倉の立穴」「金の倉の横穴」は、洞窟間で会話が出来るという過去の報告書にない成果が得られた。
また、同報告書にあった「カラカラチャッポン穴」の位置確認もできた。命名の由来である「石を投げ込むとカラカラと転がり、チャッポンと音がする」を試したが、チャッポンの音はしなかった。
住田町では未探査箇所が多く、国道から少し離れた川沿いには石灰岩帯が多く確認できた。まだまだ探査が必要な箇所が存在するように思われる。(文責 細野誠)

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