タイトル 地底旅団ROVER元老院第306回CAVING
サブタイトル 再始動!第53次内間木洞調査 at 久慈市・内間木洞
分 類 合同・調査ケイビング
入洞洞穴 内間木洞(風穴、上の岩穴、上の岩屋)、下の岩穴1、下の岩穴bQ、下の岩穴bR、山根洞、中戸鎖洞
日 程 2015年5月1日(金)〜6日(水)
参加者 千葉の、細野、家崎、菊地敏雄、松本力、土田孝之、山口真也(以上、東山ケイビングクラブ)、森住貢一、落合直之、野池耕平、黒田朋子(以上、東京スペレオクラブ)、荒波遼太(パイオニアケイビングクラブ)、濱野佑好、倉片宏樹、新井健汰、東口和樹(以上、明治大学地底研究部)、荒波理奈(東洋大学探検部OG)、辻裕貴(明治大学地底研究部OB) 以上18名
地R元としては2000〜2006年の測量調査に参加し、一時は総延長国内第3位にまでなった岩手県久慈市の管理洞「内間木洞」は、2006年2月の活動をもって調査活動終了となった。
その後は「内間木洞氷筍観察会」「救助訓練」「東日本大震災の影響確認」等での入洞の際、未踏通路の入口と推測される場所の確認を行ってきた。

今回の9年振りとなる第53次調査は、以下を目的として計画された。
@「稲妻洞入口」付近、「銀河の滝」手前における人工登攀による新洞発見。
A内間木地区と隣接する卯坂地区の「音がする山」付近の新洞探査。
B山根地区までを含む周辺洞窟調査。
また、主要スポットの写真撮影や、学生を中心とした訓練も併せて行うことにした。活動期間は5月2日(土)〜6日(水)である。


1日18:30、岩手県岩和泉町在住の家崎は、昨年に廃駅となってしまった旧岩泉駅前にて荒波夫妻と合流。駅前の焼肉店「ぐうぐう亭」にて夕食。

23:00、家崎宅にて就寝。

24:00、東京組の千葉・細野・落合・野池・黒田はJR新宿駅西口にて合流、千葉のデリカにて荷物満載状態で出発する。
首都高速・西池袋より乗り、東北自動車道に入る。千葉・細野で交互に運転しながら北上。
2日5:30、家崎らは起床。菊地さんからのミッション「参加人数分のイワナを捕獲」を達成するため、釣り初心者の家崎は知り合いの知り合いに頼み、尼額公民館近くの沢にてイワナの手掴みの指南を頂く。

7:00、東京組は東北自動車道・矢巾PA内「やまなか家 矢巾PA下り店」にて朝食。朝から盛岡冷麺を食べる。

7:30、家崎らは結局イワナ2匹しか捕まえられず、10匹程のお裾分けを頂く。
岩泉町を出発。県道7号線を北上して現地を目指す。

8:00、東京組は東北自動車道・西根インターチェンジで一般道へ降り、現地を目指す。

9:00、家崎・荒波夫妻が宿舎所となる「内間木ビジターセンター・ばんどりの家」に到着。

10:00、千葉らも到着。全員集合したところで自己紹介&ミーティング。

10:30、各自が購入してきたものにて昼食を取ってから、各班に分かれて活動を開始する。
【買い出し班(千葉・山口・荒波夫人)】
10:30、久慈市内へ向けて出発。
11:00、「ユニバース 久慈・川崎町店」や「薬王堂 久慈川崎店」にて食材や備品を購入するも、千葉・山口の暴走を荒波夫人がたしなめるという構図になる。
14:00、おおみ屋にて昼食。郷土料理のまめぶ汁やひっつみを食べてから宿舎に戻った。

【洞外班(菊地・土田・荒波・辻・濱野・倉片・新井・東口)】
12:30、出発。
隣接する久慈市山根町の山根洞窟群「山根洞」「中戸鎖洞」での洞内確認を行う。過去の調査で全長570mと報告されている「山根洞」は時間的問題から数10mだけ探検しただけで全体を確認できなかった。
その後、周辺の新洞探査を行った。
16:30、帰還。

【洞内視察班(家崎・松本・野池・黒田)】
13:15、稲妻洞方面へ入洞開始。
15:00、「ずぶぬれチムニー」「魔のチムニーbQ」を超えて、「銀河の滝」に到着。写真撮影。家崎が濡れながら被写体になるも飛沫でほぼ見えず。
16:00、帰路に「魔のチムニーbQ」にて家崎がビビりまくる。優しい野池さんが肩を貸して下さり、足をかけさせてもらってやっと降りる。2人のポーズが全く同じで力さん爆笑。
16:30、出洞。

【写真撮影班(森住・落合)】
13:30、活動を開始する。
稲妻洞「禁断の社」の撮影に向かったものの、水没していたことにより断念した。
16:30、出洞。

17:00、「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。石丸健二郎のサインが誇らしげに飾ってあった。
連休ということで出店があり、豆腐田楽やクルミたれの五平餅を各自で購入。相変わらず美味い。

19:00、夕食(漬け丼、イワナの塩焼き、サラダ、ポトフ)。

20:30、ミーティング。その後は飲みながら順次消灯。
内間木洞・稲妻洞 第2ヘアピン 内間木洞・稲妻洞 第2ヘアピン 内間木洞・稲妻洞 第2ヘアピン
「第2ヘアピン」は水没中 「魔のチムニーbQ」を通過中 ムーンミルク観察中

3日7:30、起床。朝食(ご飯、インスタントスープ、ヨーグルト)。

9:00、各班に分かれて活動開始。
【人工登攀班1(千葉・落合・黒田)】
10:00、稲妻洞「銀河の滝」に到着。登攀ポイントは滝の手前、左岸の垂直の壁である。通年の滴下水があるものの、その出所は下からは見えない。
10:30、登攀開始。千葉が登攀、落合がビレイヤー、黒田がサポート及び写真撮影を行う。ビレイヤーの隠れる場所がなく、落石に悩まされる。母岩は固い。
14:00、グージョン17発を打ち、20mほど登攀したところで金物が足りなくなる。体力的にも厳しいので、喜んで撤収。あと5、6m登ると滴下水の正体がわかりそうである。

【人工登攀班2(細野・家崎・山口・野池・荒波・荒波夫人)】
9:30、稲妻洞入口「熊のねどこ」に到着する。登攀ポイントは「熊のねどこ」の西側である。
山口が「千畳敷」より二連梯子で約7メートル登ってロープを設置。前人未到かと思いきや、数ヶ所に古いアンカーを確認。
上部にて4人程滞在できる場所はあり、横に伸びるルートと竪に伸びるルートに分かれる。横に約6m進むと傾斜+50度の斜洞となるが、足場もしっかりとした通路となり、幅も狭いためフリーで移動。8m登ったところで閉塞していた。野池は新支洞活動風景撮影。家崎・荒波夫妻が被写体およびサポート。
12:30 昼食をとるために一旦出洞。荒波夫人はSRT初心者で、登りは比較的スムーズであったが、下降は握力不足で下降器「ストップ」のハンドルが握り切れずなかなか下降できない。
下降待ちの面々は段々トイレに行きたくなるが、渋滞が起こっていたため、個々で気を紛らわし始める。
昼食後、山口・細野は竪に伸びるルート探査。真下に「千畳敷」の洞床が見え、フリーでは危険なため山口が登攀、細野がビレイヤー体制でアタック。約8m登ったところでアンカーが底を尽き活動終了。
細野は宿舎に戻る。
山口は「熊のねどこ」付近にて松本・野池によるリギング講習に合流。

【リギング講習班(松本・野池・山口・辻・濱野・荒波・家崎)】
13:30、「熊のねどこ」付近にて松本・野池・山口によるリギング講習。受講者は辻・濱野。荒波・家崎は後ろから見ながらこっそりと練習。
足場が安定した所で、野池がトラバースラインをはりながら、リギングの流れを一通り説明する。
その後、辻・濱野は実際に張りながらマンツーマンで指導を受けていた。その後、アンカー打ちの訓練も行った。

【撮影班(森住・土田)】
南洞部分のポイントや分岐点の撮影を行う。途中から黒田も合流。

【洞外班(菊地・辻・荒波夫人・濱野・倉片・新井・東口)】
内間木洞地権者である内間木さんと一緒に、卯坂地区の新洞探査を行う。歩くとボーンボーンと音がする山があり、その山の水の湧口付近に新洞ポイントがあることが判明した。洞口の位置と写真を記録。
現在は埋もれていることから、今後、ディギングを行って探検することになった。
併せて周辺の小規模な洞窟も調査した。

17:00、各班活動終了。

18:30、「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。

20:00、夕食(クレイポットチキンライス、コゴミの酢味噌和え)。

20:45、ミーティング。その後は飲みながら順次消灯。
内間木洞・洞口 内間木洞・稲妻洞 銀河の滝手前左岸 内間木洞・稲妻洞 銀河の滝手前左岸
人工登攀班1の仲良しメンバー 人工登攀班1、登攀開始(黒田朋子氏撮影) 人工登攀班1、絶賛登攀中(黒田朋子氏撮影)
内間木洞・稲妻洞 熊のねどこ付近 内間木洞・稲妻洞 熊のねどこ付近 内間木洞・稲妻洞 熊のねどこ付近
人工登攀班2、登攀開始 人工登攀班2、到達した+7m地点のホール リギング講習

4日7:30、起床。朝食(ご飯、インスタントスープ、ヨーグルト)。

9:00 各班に分かれて活動開始。
【人工登攀班1(千葉・落合・黒田)】
引き続き、稲妻洞「銀河の滝」手前の左岸での人工登攀を行う。
10:00、「銀河の滝」に到着。
10:30、活動開始。体制は昨日と同様だが、ビレイは+20m地点のテラスで行うことにする。ここでビレイを取ることによって意思疎通はできるが、テラスは1平方メートルもないので、落石は免れない。
11:00、落合に続いて千葉がテラスへ向かう。落合はセルフビレイのアンカーを設置しているのだが、グージョンが入らないとのこと。暗闇の中、2人でビットの径を確認するが焦点が合わない。老眼か。とにかく合わないということは、径が小さいのであろう。、
12:00、間違った落合を+15m地点に残し、千葉・黒田は洞口へ戻り始める。落合は寂しさから一人カラオケ。
12:30、落合は文句を言える身ではないと判断、千葉・黒田は宿舎でゆったりと昼食をとる。
13:00、正しい径のビットを持って再入洞。
14:00、「銀河の滝」に到着。落合は下に黒田がいると思っていたようだ。
14:30、活動再開。垂直方向は通路が無いとわかり、方向を代えて更に登っていくが、次第に狭くなり、ノジュールを何回も落としてしまい、落合にヒットすること数回。最後は有望な通路も発見できないまま、狭くなって入洞不可となってしまった。
16:00、撤収開始。
最終的な結果として、人工登攀にて28mを直登、天井高33mの空間であるとわかった。しかし、期待された通路は発見できなかった。右岸の+40m地点に横穴らしきものが確認できたが、そちらは更にアタックが困難で、今後アタックをかけるか否かは検討中すべきところである。

【人工登攀班2(細野・松本・荒波夫人)】
引き続き、稲妻洞入口「熊のねどこ」西側の人工登攀を行う。細野が約4m登り、二股に分かれるも約3m登ったところで閉塞していた。
余った時間で荒波夫人のSRT昇降練習を行った。

【取材対応班(家崎)】
家崎は岩手日報の記者の取材サポートを行う。
まずは稲妻洞入口「熊のねどこ」西側での人工登攀の写真撮影。その後は観光部最終地点から更に奥へと向かい、北洞「神秘の門」から「久光支洞」手前あたりまでの撮影を行った。

【洞外班(菊地・土田・荒波)】
山根洞穴群の「失せ水洞」の簡易測量を行った。過去の調査では70mと記録されていたが、支洞を残しても100mを超す測量結果となった。
周辺の流入口、流出口の確認と新洞探査も行った。

【リギング講習班(山口・野池・新井・倉片・東口・荒波夫人・家崎)】
明治大学地底研究部OBの山口から現役へ、「熊のねどこ」付近にて熱い指導が行われる。途中から家崎・荒波夫人も講習に参加。観光洞の通路を使ってリギングの練習を行う。
野池班(荒波夫人・新井)、山口班(家崎・新井・東口)の2班に分かれ、早さと正確さを競ったが、勝負は引き分けに終わった。

17:00、各班活動終了。

17:30、「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。この日も出店で、豆腐田楽やクルミたれの五平餅を各自で購入。

20:30、夕食(筍ご飯、納豆いももち、タンドリーチキン)。

21:00 ミーティング。その後は飲みながら順次消灯。
内間木洞・稲妻洞 熊のねどこ付近 内間木洞・北洞 内間木洞・観光部
人工登攀2、時間が余ったのでSRT講習 取材対応班、北洞を案内 リギング講習班、人工物を使用しての講習

5日5:00、落合・家崎が離脱。

7:30、起床。朝食。

9:00 各班に分かれて活動開始。

【人工登攀班1(千葉・山口・荒波)】
ロープ回収と「魔のチムニーbQ」付近で荒波の人工登攀講習を行った。
15:00、出洞。

【人工登攀班2(細野・黒田)】
メジャー・スケッチ細野、コンパス黒田の体制で測量を行う。
最終的な結果としては、千畳敷ホールより高低差約+23mまで登攀して測量することが出来たが、期待していた上層通路へは発展しなかった。
なお、上部から少量の水が流れており、洞壁・洞床がきれいな状態であった。

【写真撮影・SRT訓練班(野池・荒波夫人)】
野池が写真撮影を行いながら、荒波夫人へのSRT講師として教授した。

【洞外班(菊地・松本・土田・辻・濱野・倉片・新井・東口)】
山根洞穴群の「新失せ水洞」の探検を行った。過去の調査では10mと記録されていたが、水流が流れている水路だけで100mの長さを確認し、水路から枝分かれしている2本の支洞を探検したが終点まで辿り着く事ができなかった。

15:00、各班活動終了。

17:00、「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。

20:00、夕食(タンドリーチキン)。

21:00、ミーティング。その後は飲みながら順次消灯。
内間木ビジターセンター ばんどりの家 内間木ビジターセンター ばんどりの家 内間木ビジターセンター ばんどりの家
宿舎の内間木ビジターセンター 人工登攀班1、撤収にいってきま〜す 楽しい夕食

6日7:30、起床。残り物で簡単に朝食。

8:00、装備片付けと宿舎清掃を行う。

10:00、地権者宅にて挨拶をしてから解散。東京組は東北自動車道・滝沢IC経由で東京へ向かう。

19:00、JR新宿駅に到着。東京組も解散となった。


人工登攀班は、2班共に期待された通路は発見できなかった。
しかし、洞外活動では収穫が多く、新洞有力ポイントを確認したり、周知洞に未確認空間が多数あることがわかった。
家崎は2回目の「内間木洞」であったが、まだ全てをまわりきることはできず、スケールの大きさに圧倒された。また、学生達に混ざりながらリギング訓練に参加し、基礎から教えて頂きながら得るものも大きかった。これから調査が進むなかで役に立てる様に、身に着けていくものの多さを感じた。(文責 家崎晶・細野誠)


「活動報告」に戻る
 次の「個別活動報告」へ進む TOPへ戻る

2015 Copyright(C) 地底旅団ROVER元老院
cavers_rover_in_tokyo@yahoo.co.jp