巷の噂(2023年版)
あぶくま洞、全国初の洞内熟成ウイスキーを開始(2023/12/30 福島民友新聞より入手)
あぶくま洞でウイスキー熟成、全国初の試み 味変楽しみ...県南酒販
福島県南酒販(郡山市)は田村市のあぶくま洞でウイスキーの熟成を開始した。同社によると、鍾乳洞内でのウイスキー造りは全国初とみられる。担当者は「どんな味に変化するのか楽しみ」と鍾乳洞が育てるウイスキーに期待を寄せている。
ウイスキー造りには、味わいに深みをもたらすためにたるの中でウイスキーを寝かせる「熟成」の工程がある。同社は年間を通して気温が15度前後、湿度90%という鍾乳洞内の環境に着目。洞内で長時間じっくりと寝かせることで特別な味わいが生まれるのではと新しい試みに挑戦した。
長期熟成の原酒をブレンドした後、11月に、たるに貯蔵した原酒(ブレンデッドウイスキー)を洞内に搬入した。同社ウイスキー事業部の志賀桃佳さんは「熟成が早く、色合いも変化している」と説明。熟成には通常3年以上かかるが、経過を見ながら販売時期を検討するという。
あぶくま洞では洞内で熟成したワインや日本酒を販売しているが、ウイスキーは初めて。あぶくま洞を管理する滝根観光振興公社の伊藤敏男事務局長は「新しいあぶくま洞の目玉商品として売り出したい」と出来上がりを心待ちにしている。
※あぶくま洞ウェブサイト
ヌチシヌジガマ、観光洞「CAVE OKINAWA」として人気(2023/12/24 沖縄タイムスより入手)
聖夜に映える平和の光 うるま市の「ぬちしぬじガマ」 沖縄戦で一人も命落とさず 話題を呼ぶ電飾で年10万人が来訪
沖縄戦時に住民が避難したうるま市石川嘉手苅にある全長200メートル鍾乳洞「ぬちしぬじガマ」は、ライトアップされた"映えスポット"として口コミで広がり、今年は国内外から約10万人が訪れている。戦時中は、ガマとして住民300人が避難し一人も命を落とすことなく助かった場所。鍾乳洞を管理する池原勇矢さん(33)は「歴史と自然、両方を知ってほしい」と話し、クリスマスに平和を考える場所として来場を呼びかけている。
ピンクや青、緑などさまざまな色で照らされる鍾乳石は神秘的で、訪れた観光客はスマホで写真を撮って楽しんでいる。交流サイト(SNS)では「カラフルなライトがきれい」「異世界にいるよう」などと話題になっている。
鍾乳洞をライトアップしたのは5年前。先祖代々引き継いできた土地で事業を広げたいとの思いから、鍾乳洞の自然の魅力と平和を感じる場所「CAVE OKINAWA(ケイブ オキナワ)」として、照明設置や足場を整備した。案内板には戦時中の出来事が記されている。
それまでは県外の修学旅行生の受け入れがメインで年間客数は3000〜4000人ほどだったが、整備後はパワースポットとして注目されるようになった。
鍾乳洞には沖縄戦の時に300人の住民が避難し、一人も命を落とすことなく助かった。「命をしのいだ」という意味で「ぬちしぬじガマ」と呼ばれている。
池原さんの曽祖父の故・山城政賢さん(享年76)は戦時中、ここの集落の区長で、米軍に見つかった時には山城さんが交渉し、住民全員が生き延びた経緯がある。山城さんは戦後「命どぅ宝。命こそが大切だ」と子どもたちに繰り返し伝えていたという。
香港から家族4人で訪れたナタリエ・ソウさん(18)は「観光サイトで知り写真を撮りたくて訪れた。美しいだけでなく、沖縄戦の歴史を学べる貴重な場所だ」と話した。 鍾乳洞は来年から照明をリニューアルし、飲食店や体験施設の開業、駐車場も拡張して「観光施設化」を目指す。池原さんは「ガマといえば戦争のイメージだが、美しい鍾乳洞の自然の魅力もある。先祖が守ってきた土地の魅力をさらに高めたい」と話した。「ケイブ オキナワ」の詳細はhttps://cave-okinawa.com/
沖縄本島の洞窟で新属新種「オキナワアシナガメクラチビゴミムシ」発見(2023/12/12 PR TIMESより入手)
【国立科学博物館】沖縄本島・本部半島カルスト地域から超洞窟性昆虫を発見し、新属新種として記載
独立行政法人国立科学博物館(館長:篠田謙一)の柿添翔太郎支援研究員(標本資料センター)は、株式会社環境指標生物の菅谷和希氏、株式会社南都の大岡素平氏、東洋コウモリ研究所の田村常雄氏、一般社団法人日本植物防疫協会の曽根信三郎氏との共同研究により、沖縄本島・本部半島カルスト地域の洞窟から発見されたメクラチビゴミムシを、新属新種「オキナワアシナガメクラチビゴミムシ」として記載しました。本研究成果は、2023年12月11日に国際学術誌「Acta Entomologica Musei Nationalis Pragae」へオンライン掲載されました。
研究のポイント
1.本部半島カルスト地域(沖縄本島)の洞窟から新属新種のゴミムシを発見、記載、命名
2.メクラチビゴミムシの日本国内における分布範囲を大きく南に更新
3.近隣地域ではなく、遠く離れた中国大陸の種と形態的に類似している
4.日本国内で最も地下環境に特化した昆虫の一つ
研究の背景
昆虫は、我々が暮らす地表部だけではなく、地下や地下水中といった特殊な環境にも生息しています。メクラチビゴミムシもそのような昆虫の一つで、地下の隙間や洞窟環境に生息する昆虫です。日本国内からはこれまでに北海道から九州にかけて21属380種(亜種含む)以上のメクラチビゴミムシが知られています。メクラチビゴミムシの多くは、複眼や後翅の退化・体色素の欠乏・長い脚や触角といった、地表部に生息する昆虫にはほとんどみられない、地下生活に適応した特殊な形態を持っています。
この度、研究グループの大岡 素平氏、田村 常雄氏によって、琉球列島から初めてメクラチビゴミムシが発見されました。この種は、これまでに日本国内から知られていた他のメクラチビゴミムシと比べて最も地下環境に特化した形態を有しており、新属新種であることが明らかとなりました。よって本研究では、この新種の記載、命名を行いました。
本研究で判明したこと・重要性
1.本部半島カルスト地域(沖縄本島)の洞窟から新属新種のゴミムシを発見、記載、命名
この新属新種のゴミムシは、著者のうち大岡素平氏、田村常雄氏によって、2021年12月に本部半島カルスト地域(沖縄本島)の縦穴で偶然発見されたものです。両氏は沖縄県を中心に洞窟生物の調査・研究をしており、発見時の入洞もその一環で行われたものでした。
その後、本研究グループの菅谷和希氏と当館の柿添を中心に分類学的研究が進められ、発見されたゴミムシがメクラチビゴミムシと呼ばれる分類群に含まれることが明らかとなりました。今回発見されたメクラチビゴミムシは従来知られている種とは形態が全く異なり、新属新種であることが明らかとなったため、「オキナワアシナガメクラチビゴミムシ(学名:Ryukyuaphaenops pulcherrimus)」と記載、命名しました。種小名のpulcherrimusはラテン語の「最も美しい」という意味です。体長は約6〜7mmであり、日本に生息するメクラチビゴミムシの中で最大級の大きさです。
2.メクラチビゴミムシの日本国内における分布範囲を大きく南に更新
メクラチビゴミムシは、日本国内では北海道から九州まで広い範囲に分布していますが、琉球列島からはこれまでに全く知られていませんでした。オキナワアシナガメクラチビゴミムシの発見によって、日本国内におけるメクラチビゴミムシの分布範囲は南に大きく更新されました。今回の発見を契機にさらに調査が進められ、今後琉球列島の各地からメクラチビゴミムシをはじめとする様々な地下性昆虫の発見が続き、従来過小評価されてきた琉球列島の地下性生物の多様性解明が進むことが期待されます。
3.近隣地域ではなく、遠く離れた中国大陸の種と形態的に類似している
日本周辺地域におけるメクラチビゴミムシの分布は、極東ロシア、中国大陸、朝鮮半島、台湾、ヒマラヤ、インドシナ地域と非常に広域です。オキナワアシナガメクラチビゴミムシは、九州や台湾といった琉球列島の近隣地域に分布する種ではなく、驚くべきことに約1,700kmも離れた中国湖北省の長江流域にある洞窟に生息するBoreaphaenops属やYanzaphaenops属のメクラチビゴミムシとよく似ていることが明らかとなりました。オキナワアシナガメクラチビゴミムシは、琉球列島における地下性生物の、中国大陸との関連性を解明する上で重要な役割を果たす可能性があります。
4.日本国内で最も地下環境に特化した昆虫の一つ
オキナワアシナガメクラチビゴミムシは、メクラチビゴミムシの分類を行う上で重要な特徴のひとつである頭部背面の縦溝が中央部から基部にかけて消失しており、ほかの日本産メクラチビゴミムシの大多数の種と形態的に大きく異なっています。また、極端に伸長した脚と触角をもち、一見クモを思わせる非常に珍奇な姿をしています。こうした特徴は「超洞窟性」と呼ばれ、地下環境に適応した生物にみられる形態変化の傾向が特に顕著であることを示します。この新種は、まさに典型的な超洞窟性昆虫であり、日本国内で最も地下環境に特化した昆虫の一つと考えられます。
オキナワアシナガメクラチビゴミムシは、本部半島カルスト地域にある3つの洞窟から見つかっています。それぞれの洞窟から得られた個体を用いてDNA解析を行った結果、これらの洞窟間で遺伝的分化は進んでいない可能性が示唆されました。この新種は人が入れないような小さな地下間隙や洞窟を生息場所としており、本部半島カルスト地域の地下に広く生息している可能性が考えられます。
本研究は、琉球列島が地上部だけではなく地下にも豊かな生物多様性を有しており、その解明がまだ途上であることを象徴しています。琉球列島の地下環境からは今後も新種の発見に代表されるような、数多くの発見が期待されます。とりわけ、今回の新種が見つかった沖縄本島北部の本部半島カルスト地域は、洞窟生物学および昆虫学の観点からも重要な地域であることが再確認されました。周辺地域のさらなる生物調査が急務であると共に、開発活動には地表部、地下部ともに生物多様性保全のための格別な配慮が必要です。
発表論文
表題:Discovery of a troglomorphic trechine beetle from the Ryukyu Archipelago, Southwestern Japan (Coleoptera: Carabidae: Trechinae).
著者:Kazuki Sugaya, Showtaro Kakizoe, Sohei Ooka, Hisao Tamura, & Shinzaburo Sone
掲載誌:Acta Entomologica Musei Nationalis Pragae 63(2): 323-340 (doi:10.37520/aemnp.2023.020)
映像資料:Video S1
忘帰洞、経営者が変更(2023/12/1 日本経済新聞より入手)
「忘帰洞」のホテル浦島、経営共創基盤傘下に 事業強化
経営共創基盤(東京・千代田)グループの日本共創プラットフォーム(JPiX、同)は1日、ホテル浦島(和歌山県那智勝浦町)などを運営する浦島観光ホテル(三重県紀宝町)の全株式を譲り受ける契約を同社と結んだと発表した。譲渡額は非公表。12月末までに譲渡を完了させる予定。事業承継により、経営の強化を目指す。
浦島観光ホテルの設立は1956年。和歌山県で、太平洋に面した洞窟温泉「忘帰洞」で知られるホテル浦島(391室)のほか、同じ那智勝浦町の料理旅館「万清楼」(30室)、田辺市の山水館川湯みどりや(90室)と川湯まつや(78室)を経営する。
JPiXは全事業を承継する。いずれも世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の宿場で、那智勝浦温泉・川湯温泉を代表する宿となっている。
これらの宿泊施設は新型コロナウイルス禍で厳しい経営を強いられたが、コロナ禍の影響が薄れると業績は回復していた。一方で浦島観光ホテルの西川正修副社長は「今後、どう守っていくかが課題」とみており、メインバンクの紀陽銀行からJPiXを紹介され、「経営のプロに入ってもらうことがベスト」(西川副社長)と判断、事業譲渡を決めた。
株式譲渡契約の締結は11月22日。12月末までに手続きを完了し成田安弘社長らは退任、2024年1月から新体制に移る。
JPiXは傘下のみちのりホールディングス(東京・千代田)が東北地方や佐渡島でホテル・旅館を運営している。1日付で南紀白浜空港(和歌山県白浜町)を運営する南紀白浜エアポート(同)の株式の93.3%を、経営共創基盤から承継することも発表した。同空港とホテル浦島などの連携で、紀南全体の観光活性化を図る考えだ。
※ホテル浦島ウェブサイト
「ケイビングジャーナル第77号」発行(2023/12/1 入手)
日本洞窟学会のケイビング情報誌「ケイビングジャーナル」の第77号が発行された。A4サイズ56ページ。650円(税込/日本洞窟学会々員には送付)。
内容は以下の通り。
・グラビア
・スペレオニュース
・イベントカレンダー
・熊本県八代市「葉木の竪穴」新支洞レポート
・三宅島1983年噴火による割れ目噴火口洞窟と溶岩樹型
・ロープテック関のSRT知恵袋 RIGレポート
・2022年イタリア・東ロンバルディア地区合同探検活動日記
・国際洞窟学会議第18大会に参加して 〜フランス遠征記・洞窟記載を添えて
・日本洞窟学会第48回大会(西予市大会)講演要旨
・洞窟書籍新刊紹介
・プロジェクトボード
・編集部からのお知らせ
日本洞窟学会会員以外の購読希望者は、ケイビングジャーナル編集部caving_journal@cj.dojin.comまで。定期購読年3冊分2940円も可能。龍泉洞(岩手県岩泉町)、カモシカスポーツ 山とスキーの店(高田馬場)、竜ヶ岩洞(静岡県浜松市)、まえちゃんねっと〜よろず販売〜(オンラインショップ)でも購入可能。
※ケイビングジャーナル ウェブサイト
「陸の深海生物」発売(2023/11/30 入手)
国内における地下生物の写真集「陸の深海生物 日本の地下に住む生き物」が発売された。
目が退化する等の地下生活適応を示す節足動物、扁形動物、軟体動物の約140種を掲載。筆者は検索図鑑ではなく写真集としているが、特徴や生息地、カラー写真付きでメクラチビゴミムシだけでも48種が紹介されており、中級者向け洞窟生物ガイドブックとして必須の1冊である。
文一総合出版発行。小松貴著。A5変形サイズ176ページ。カラー。定価3,520円(税込)。11月30日発売。
購入は書店、honto、楽天ブックス、Amazon.co.jpほかにて。
※文一総合出版ウェブサイト(陸の深海生物)
河内の風穴、初の洞内ライトアップ(2023/11/4 中日新聞より入手)
明かりと音楽で幻想世界へ 多賀の「河内の風穴」ライトアップ始まる
多賀町河内の鍾乳洞「河内の風穴」の初めてのライトアップ企画が3日、始まった。明かりと音楽の演出で幻想的な空間が楽しめる。30日まで。
ひんやりとした洞窟内を大型の発光ダイオード(LED)投光器14台と、2000球の明かりが照らす。黄や紫など色が移り変わり、神秘的な音楽が響く。明かりは町民らが1つ1つ手作りしたもので、地下水の流れる鍾乳洞でも割れないように防水加工を施すなど工夫した。
河内風穴観光協会の菅森照雄会長(75)は「洞窟内は暗いので、昼でもライトアップができる。普段と違う景色を楽しんで」と話した。午前9時〜午後5時。大人500円、小人は300円。
※公益社団法人びわこビジターズビューロー ウェブサイト(河内の風穴)
大正洞、4ヶ月ぶりに営業再開(2023/11/3 NHKより入手)
美祢 鍾乳洞「大正洞」復旧作業終わり4か月ぶり観覧再開
今年6月末からの記録的な大雨の影響で、観光客の受け入れを休止していた美祢市の鍾乳洞「大正洞」の復旧作業が終わり、3日から洞窟内の観覧が再開されました。
国内最大級のカルスト台地が広がる美祢市の秋吉台にある国の天然記念物の鍾乳洞「大正洞」は、今年6月末からの記録的な大雨で、流木やがれきが洞窟内に流れ込み、観光客の受け入れを休止していました。
市などによる復旧作業が終わったことから、3日、およそ4か月ぶりに洞窟内の観覧が再開され、さっそく観光客が訪れていました。
洞窟内の通路では、常設の照明に一部、不具合があることから、代わりに感知式ライトを一時的に設置しているほか、受付では臨時で懐中電灯も貸し出しています。
訪れた人たちは、傾斜の激しい洞窟内の通路を、懐中電灯の明かりを頼りに一歩一歩進んでいき、時折、足を止めては、鍾乳洞の神秘的な風景に見入っていました。
新潟県から訪れた60代の男性は「ふだんより暗い分、幻想的でよかったです」と話していました。
美祢市観光協会の室重雅仁さんは「この4か月間、『大正洞に入れなくて残念だ』という声が寄せられたが、やっと案内できるようになったのでぜひ来てもらいたい」と話していました。
※6月30日からの大雨で洞内に土砂や流木が流れ込み、照明機器が破損していた。
一般社団法人美祢市観光協会ウェブサイト(天然記念物大正洞)
九折瀬洞、洞口に防水壁設置で冠水対策(2023/10/31 熊本日日新聞より入手)
流水型ダムの試験湛水時、希少生物保全へ洞窟入り口に防水壁 熊本・川辺川 国交省が準備レポート案
国土交通省は31日、熊本県相良村の川辺川に建設する流水型ダムが環境に及ぼす影響を調査、予測した「準備レポート」案を学識者の委員会に示した。ダム本体完成後の試験湛水で希少生物が生息する五木村の「九折瀬洞」は大部分が冠水するため、洞窟入り口に防水壁を設けて保全するとした。
国交省は2020年熊本豪雨を受けて流水型ダムを計画し、21年から環境影響評価(アセスメント)法と「同等」の調査に着手。準備レポートは法アセス4段階の手続きのうち3段階目に相当する。今後、委員会の意見を反映したレポートを完成させて公表し、知事や市町村長、住民らの意見を踏まえて最終段階「評価レポート」の作成に入る。
九折瀬洞はダム上流にあり、昆虫類やコウモリが生息。国交省は試験湛水で長期間冠水するとして、入り口に擁壁を設け、洞窟内で昆虫類が冠水しない場所に移す方針も示した。
※一部抜粋
「洞窟壁画考」発売(2023/10/26 入手)
洞窟壁画を様々な観点でまとめた「洞窟壁画考」が発売された。目次は以下の通り。6つのコラムあり。
第1部 洞窟に何を描いたのか −描かれたモチーフの分類
第2部 どうやって壁画を描いたのか −壁画の技法と制作のための下準備
第3部 なぜ洞窟に壁画を描いたのか −洞窟壁画の制作動機や目的に関する仮説やアプローチ
第4部 いつ壁画を描いたのか −壁画の年代を特定する方法
第5部 どこに壁画が残っているのか −壁画のありか
第6部 だれが壁画を描いたのか −モノから推測するヒト
青土社発行。五十嵐ジャンヌ著。A5サイズ500ページ。グラビアカラー。定価4,650円(税込)。10月26日発売。
購入は書店、honto、楽天ブックス、Amazon.co.jpほかにて。
※五十嵐ジャンヌ ウェブサイト
※青土社ウェブサイト(洞窟壁画考)
第35回日本鍾乳洞サミットが開催(2023/10/19 朝日新聞より入手)
未公開部分の探検ツアーを観光資源に あぶくま洞で鍾乳洞サミット
鍾乳洞の「あぶくま洞」がある福島県田村市で18日、観光鍾乳洞がある全国9つの自治体担当者が参加した「日本鍾乳洞サミットin田村」が開かれた。あぶくま洞は今年、開洞50年を迎えた。サミットでは、鍾乳洞の未公開部分を新たな観光資源として活用していく方針を確認した。
サミットは今年で35回目で、現地開催は4年ぶり。田村市のほか、岩手県岩泉町(龍泉洞)、東京都奥多摩町(日原鍾乳洞)、岐阜県高山市(飛騨大鍾乳洞)、山口県美祢市(秋芳洞)、高知県香美市(龍河洞)、長崎県西海市(七ツ釜鍾乳洞)、熊本県球磨村(球泉洞)、鹿児島県知名町(昇竜洞)が参加した。
参加者は会合に先立ち、あぶくま洞を視察。天井から垂れ下がる巨大な鍾乳石や、地面にしたたり落ちた石灰水が形成した石筍など、神秘的で変化に富んだ自然の造形美を堪能した。
田村市役所で開かれた会合では、鍾乳洞の未公開部分の活用方法をテーマに、各地の担当者が現状と展望を報告した。
あぶくま洞は総延長4218メートルの本洞のうち、公開部分は2割に満たない約600メートルで、3600メートルは未公開となっている。今年4月から、専門家の認定を受けたガイドが同伴する洞穴探検の入門ツアーを始めた。本洞の未公開部分には、この入門ツアーを経験した人だけが入れる仕組みで、今月22日に最初のツアーを実施する予定という。
田村市の白石高司市長は「ツアー参加者やガイドの技術レベルを維持することで安全安心な鍾乳洞観光に取り組んでいきたい」と話した。
あぶくま洞の入洞者は、コロナ禍で近年は10万人ほどで推移しているが、昨年は16万人にまで回復している。今後は未公開部分のツアーを呼び物に、鍾乳洞巡りや外国人観光客の誘客にもつなげたいとしている。
※あぶくま洞ウェブサイト
与那国島の洞窟ガイドツアー事故、1週間が経過(2023/10/18 八重山日報より入手)
ガイドは熟知 狭い空間で何が 与那国 洞窟事故から1週間
与那国島新川鼻の洞窟で、探検中のツアー客1人が死亡、客とガイドの2人が一時行方不明になった事故は、10日の発生から1週間が過ぎた。ガイドは事故が起きた洞窟で多くの客を引率し、内部を熟知していたことがわかった。では狭い空間で短時間に何が起きたのか。アクティビティの多様化とともに、ケイビング(洞窟探検)への関心もにわかに高まりをみせるなか、事故の全容解明が急がれる。
▽経験者対象の難コース
事故が起きたのはケイビング上級者向けの「Bコース」。ツアーを実施したアクトプロのパンフレットによると、別名「水洞窟」と呼ばれ、絶えず流れる地下水に浸りながら進む。「肩まで水に浸かったり、ほふく前進でしか進めない極狭空間に挑む」と記載され、ケイビング経験者対象の難コースだ。今回の客2人はケイビング経験があり、希望してBコースを選択したという。
もう一つの「Aコース」は、入門者向け。今回のガイドは、Bコースを主に担当し、昨年11月のツアー開始以降、29回探検、約50人の客を引率し、経験豊富だった。
▽想定外重なったか
事故当日は午前3時から断続的に雨が降り、天気図は気圧の谷の存在を示していた。ツアーを開始したとされる午前10時ごろは、11時までの1時間に21.5ミリ、正午までの1時間では14.5ミリを観測。雨が止んだのは午後4時以降だった。
関係者によると、探検の終盤で、1人が携帯電話をなくしたことに気づいて、探すために3人が離れているときに、急に水位が高まったとガイドは証言しているという。携帯探しと、急な増水という想定外の事態が重なった状況がうかがえる。
八重山署では、近く現場検証を行い、3人が洞窟に入ったときの水位、離れた場所や水位を確認。ガイドの天候判断やツアー決行の適否を含め安全管理に問題はなかったかを調べる。
世界の洞窟を経験しているベテラン探検家は「ちょっと雨の降り方が変わるだけで、洞窟内の状態が全く違う事態になることはよくある。川のアクティビティならある程度想定できるが、洞窟内の想定は困難。情報の共有もしにくい。ふだんから集水域はどこか、ひび割れはないか、など状態を確認し、知識を上書きしていくことが必要」と、洞窟探検の困難さを指摘する。
▽町有地
Bコースの洞窟がある土地は町有地だった。アクトプロの広報担当者は「町有地を使わせていただいているが、こっそりやっているわけではなく、他の方が使えないように独占的に占有しているわけではない。法律的には問題がないと認識している」との見解を示す。Aコースは地権者と契約の上でツアーが行われているという。
糸数健一町長は今回の事故について苦渋の表情を浮かべ、ツアーの是非についても「ノーコメント」と言及を避けるが、地元住民の間には「神聖な空間なので、洞窟探検に限らず、観光客らには立ち入ってほしくない」という空気が漂う。
アクトプロの新谷学社長は、今年6月、八重山日報のインタビューに応じ「観光客が増える状況を作るため、洞窟ツアーをやっている。観光で島に貢献したい」と述べ、洞窟探検を始めた理由を説明。「洞窟は素晴らしい観光資源だが、ごみが捨てられている場所もあり、残念。地権者の許可を得て、経費を払い、清掃して利用している」と強調していた。
※株式会社アクトプロ ウェブサイト
与那国島の洞窟ガイドツアー事故、死因は溺死(2023/10/14 八重山日報より入手)
洞窟、町有地を無断使用 ガイドの引率経験1度だけ 与那国事故、死因は溺死
与那国町新川鼻の洞窟で10日、1人が死亡、2人が一時行方不明になった洞窟探検ツアーは、町有地の洞窟を無断で使用していたことが13日、八重山日報の取材で分かった。与那国町と、ツアーを実施したアクトプロ(東京)は無断使用を認めている。ツアー客2人を引率した同社の男性ガイド(28)は事故が起きた洞窟での引率経験は過去に1回しかなかったことも判明。死亡した男性の死因は溺死と分かり、八重山署はアクトプロの安全管理に不備がなかったか、業務上過失致死容疑での立件を視野に事故の全容解明を急ぐ。
事故が起きた洞窟について、事故当時、アクトプロの広報担当者は「地権者の快諾を得て、ツアーを実施していると聞いている」と説明していたが、13日、町有地の無断使用を認めたうえで「自社による独占使用や建物の建設などは行っていない」と、町有地の探検ツアー使用に法的な問題はないとの認識を示した。
町の担当者は同日、「使用許可は出していないし、アクトプロから使用料などは受け取っていない。今後対応を協議する」と無断使用されていたことを認めた。
事故では名古屋市の伊東秀恭さん(41)が死亡し、伊東さんの妻(52)と男性ガイドが一時行方不明になった。捜査関係者によると、3人は探検ツアーの終盤に出入り口へ戻る途中、1人の携帯電話が流され、探しに行って離ればなれになったところで急に水位が高まったと証言しているという。伊東さんの死因は解剖の結果、溺死だった。
3人は10日午前10時ごろ、洞窟探検ツアーに出発。この時点ですでに洞窟内には水がたまっていたことも捜査関係者への取材で分かった。アクトプロの広報担当者は「普段から水がたまっていて、異常なことではない」としているが、男性ガイドは事故現場の洞窟で客を引率した経験は1回だけ。雨が降った場合に、水位がどのぐらい上昇するか、地下水の流れがどう変化するのかを熟知していたかを含め、ツアーを決行した判断が妥当だったかは、今後の捜査の焦点となりそうだ。
与那国島上空は10日、気圧の谷になり、前日に続いて未明から断続的に雨が降り、午前11時までの1時間に21.5ミリ、正午までの1時間に14.5ミリの雨が降っていた。
アクトプロ広報担当者によると、洞窟探検ツアーを開始した昨年11月以降、3人のガイドが交代でツアーを引率し、これまでに100人以上のツアー客が利用したという。ツアー料金は1人1万2000円だった。
アクトプロは、町内にコールセンターや飲食店を開設し、複数の事業を展開していたが、洞窟探検ツアーについては「御嶽のような聖域であり、町民は近寄らない。観光客が洞窟の中に踏み込んでいくが、いかがなものか」といった不安や疑問視する声が広がっていた。譜久嶺弘幸副町長は「亡くなられた方には気の毒だが、今回の事故は町の観光産業全体に暗い影を落とす」と懸念した。
※株式会社アクトプロ ウェブサイト
与那国島の洞窟ガイドツアー事故、洞内幽閉死亡事故でツアー会社が謝罪(2023/10/12 琉球新報より入手)
「事故に強く責任ある」ツアー会社が遺族に謝罪コメント 与那国島の洞窟1人死亡
与那国島で洞窟探検ツアーの参加者1人の死亡が確認されたことを受け、企画運営したツアー会社「アクトプロ」(東京)は11日、同社サイトで遺族らに対して謝罪のコメントを発表した。同社の企画運営ツアーで起きた事故として「弊社に強く責任があると考えている」とした。
サイトでは「亡くなった参加者の冥福をお祈りするとともに、遺族の方々に深くおわび申し上げる」と社長名のコメントを掲載。遺族らに対して「誠心誠意を尽くして対応させていただく」とした。事故原因の究明は警察や消防と協力して進めており、事故の経緯や時系列の動きなど詳細については、正確な事実確認ができてから改めて報告するとしている。
同社は昨年、与那国島でコールセンターを開設し、11月からは島内の洞窟を探検する「ケイビング」など観光事業を展開していた。同社の洞窟探検ツアーのパンフレットによると、2種類のコースを提供し、認定ガイドが対応。今回の事故が起きたコースは難易度の高い「ケイビング経験者のみ対象」と紹介されている。
※株式会社アクトプロ ウェブサイト
与那国島の洞窟ガイドツアー事故、行方不明1名の死亡を確認(2023/10/12 琉球新報より入手)
洞窟ツアー 1人死亡 与那国、2人自力で脱出
与那国島で10日にアクトプロ(東京)が企画運営する洞窟探検ツアーのガイドと参加者2人の計3人が行方不明となった件で、八重山署は11日、夫婦で参加していた愛知県名古屋市の会社員伊東秀恭さん(41)の死亡を確認したと発表した。伊東さんの妻(52)と男性ガイド(28)は自力で洞窟から脱出した。けがはなかった。
県警や地元消防などの捜索隊が11日午前に洞窟の入り口から20メートル付近の岩場に横たわっている伊東さんを発見した。心肺停止の状態で洞窟内から出された後、与那国町の施設内で午後6時16分、死亡が確認された。
八重山署によると、洞窟は与那国島南東部の新川鼻にあり、全長は約120メートル。10日午前10時半ごろにツアーを開始した。
3人は折り返して出口に向かう途中で洞窟内の水位が急上昇し、それぞれ孤立したという。
水位が下がったところで、男性ガイドが声を掛け反応があった妻と、11日午前1時ごろに洞窟から自力で出た。男性ガイドは「急に増水して水面から顔を出すのがやっとの状態で3人が離ればなれになった」などと話しているという。与那国島では10日午前にまとまった雨が降った。
アクトプロ社などによると、3人が参加したツアーは、肩まで水につかったり、ほふく前進したりする上級者向けのコースで、地下水に漬かりながらの移動を伴うため経験者のみが参加可能としている。ガイドは同社の与那国事業所の社員だという。八重山署は関係者から詳しい事情を聞くとともに、今後、同社への聞き取りなどを進め、ツアーの安全性や開催基準に問題がなかったのかなど詳しく調べる方針。
※ガイドツアーが行われた洞窟は町指定文化財天然記念物(地質)の谷「アンガイミドゥチ」にあり、特定名称はない。
※株式会社アクトプロ ウェブサイト
与那国島の洞窟ガイドツアー事故、残る行方不明1名を目視確認(2023/10/11 琉球新報より入手)
洞窟探検ツアー遭難 残る1人を目視で確認も安否不明 沖縄・与那国
与那国島で10日に洞窟探検ツアーのガイドと参加者2人の計3人が行方不明となった件で、11日午前10時過ぎ、残るツアー客の男性(41)=愛知県名古屋市=とみられる人物が洞窟内で確認された。捜索中の八重山署員らが発見した。署員らの呼びかけに応じておらず、容体は不明だという。
八重山署によると、男性とみられる人物は洞窟の入り口から20メートルほどにある岩場で、横たわった状態で発見された。水位が高いため、詳しい容体の確認ができていない。署は水位の低下を待って、救助を急ぐ方針。
八重山署は11日午前9時半過ぎから、消防団などと協力して男性の捜索をしていた。
男性の妻(52)と男性ガイド(28)は11日未明に自力で洞窟から出て、無事が確認されている。
与那国島の洞窟ガイドツアー事故、行方不明の2名を保護(2023/10/11 琉球新報より入手)
洞窟探検で不明の2人を保護 沖縄・与那国島
与那国島で10日、洞窟探検ツアーに参加していた男性ガイドとツアー客の夫婦、計3人が行方不明になった件で、男性ガイド(28)=与那国町=とツアー客の女性(52)=愛知県名古屋市=が11日、自力で洞窟から出て、無事が確認された。2人に大きなけがはないという。女性の夫(41)の安否はいまだ分かっていない。
八重山署によると、ツアー中に洞窟内の水位が急に上がり、3人はそれぞれ孤立した。水位が下がったところで、男性ガイドが声かけをし、反応があった女性とともに11日午前1時ごろ、洞窟の外に出た。男性ガイドは事務所に助けを呼びに行き、その後、洞窟の入り口付近で女性は保護された。男性ガイドは「急に増水して水面から顔を出すのがやっとの状態になり、3人は離ればなれになった」などと話しているという。
八重山署は与那国島に署員を派遣し、関係機関と連携の上、残る男性1人の捜索にあたっている。
与那国島の洞窟、ガイドツアーで洞内幽閉事故(2023/10/10 沖縄タイムスより入手)
与那国の洞窟ツアーで3人不明 ガイド1人と客2人
10日午後4時50分ごろ、沖縄県の与那国島南部で、洞窟を探検するツアー「ケイビング」に参加していた客の男女2人とガイド1人が「予定の時刻を過ぎても戻って来ない」との通報がツアー業者から与那国町消防団にあった。八重山署与那国駐在員や消防団員などが捜索したが、日没のため午後6時20分ごろに捜索をいったん終了した。午後10時現在、連絡は取れず、安否は不明。11日朝から捜索を再開する。
署や業者によると、10日午前10時ごろに洞窟内の探検を開始。昼過ぎに戻ってくる予定だった。洞窟や周辺は携帯電話の電波が通じないという。
洞窟内は複雑な地形で、歩いたり腹ばいになったりして進む。
通報を受けた業者スタッフが洞窟内に入ったところ、流れている沢の水かさが増し、移動が難しい状況だったという。
ツアーは、八重山ケイビングガイド協会の監修で行われ、ライセンスを持つ業者のスタッフがガイドを務めている。
※八重山ケイビングガイド協会ウェブサイト
スペイン、クエヴァ・デ・ロス・ムリシエラゴスで欧州最古のサンダル(2023/9/29 BBCニュースより入手)
スペインの洞窟で発見の草のサンダル、欧州最古の靴だった
スペインの「コウモリの洞窟」で19世紀に発見された草を編んだサンダルが、約6000年前のもので、欧州で最古の靴だと、最新の研究で明らかになった。
この洞窟では19世紀、採掘作業中にさまざまな古代の遺物が発見された。
湿度が低く、冷たい風が吹き込むことから、複数の品が通常より良い状態で保存されていたと考えられている。
米科学誌サイエンスに掲載された今回の研究では、かごや道具なども分析の対象となった。
論文共著者のマリア・エレーロ・オタル氏は、これらの遺物は「南ヨーロッパにおける植物繊維の遺物としては、今のところ最も古く、保存状態も良い」と説明した。
「今回記録された技術の多様性と原材料の扱いは、先史時代の共同体の技術を浮き彫りにしている」
研究では、洞窟で見つかった27品目に対して新たな年代測定技術が使われた。その結果、これまで推定されていたより約2000年古いものだと判明した。
中には、9000年前に作られたとみられるものもあったという。
分析されたサンダルには、さまざまな種類の草が使われていたほか、皮革や石灰といった材料も測定された。
これらの遺物は新石器時代のもので、2008年にアルメニアの洞窟で発見された、5500年前の革靴よりもさらに古いとみられている。
6000年前のサンダルが見つかったのは、スペイン南西部アンダルシア地方の「クエヴァ・デ・ロス・ムリシエラゴス」(コウモリの洞窟)。
研究チームによると、この洞窟に近代以降に人が最初に訪れたのは1831年。洞窟のある土地の所有者が、肥料としてコウモリの糞を集めに来たのが最初だという。
それから20年もたたないうちに、この洞窟で採掘を行っていた人々が、一部がミイラ化した遺体やかご、木製の道具、イノシシの歯、そして特殊な形の黄金の冠などを発見した。
※クエヴァ・デ・ロス・ムリシエラゴス(Cueva de los Murcielagos)には洞窟壁画、アンダルシア最大規模のコウモリコロニーもある。
中国、双河洞が総延長409.9キロで世界3位に(2023/9/28 中国網日本語版より入手)
アジア最長の洞穴 双河洞の確認済みの長さが409.9キロで世界3位に
2023年貴州綏陽双河洞国際洞穴科学調査の記者会見が9月26日に開かれた。記者会見で発表された最新の科学調査成果によると、現時点で、双河洞の確認済みの長さは409.9キロメートル、深さは912メートルに達し、世界で3番目に長い洞穴となった。今回の科学調査には貴州省山地資源研究所、貴州省洞穴協会、およびフランス、イタリア、ベルギーなどの国内外の科学研究者と探検家30人以上が参加。今回の調査で、洞穴の長さと深さのランキングが更新されただけでなく、科学調査員は双河洞の中で新たな古代生物の化石と地質遺跡ポイントを複数発見した。
※世界総延長トップ5
1位 |
マンモス・ケイブ・システム(Mammoth Cave System) |
アメリカ |
685,581m |
観光洞 |
2位 |
オックス・ベル・ハ・システム(Sistema Ox Bel Ha) |
メキシコ |
435,805m |
水中洞窟 |
3位 |
双河洞(Suiyang Shuanghe Dongqun) |
中国 |
409,900m |
|
4位 |
サク・アクトゥン・システム(Sistema Sac Actun) |
メキシコ |
376,700m |
水中洞窟 |
5位 |
ジュエル洞窟(Jewel Cave) |
アメリカ |
349,742m |
観光洞 |
圏外 |
安家洞 |
日本 |
23,702m |
観光洞 |
※世界高低差トップ5
1位 |
ペロブキナ(Veryovkina) |
ジョージア |
2,212m |
|
2位 |
ボロニヤ(Voronja) |
ジョージア |
2,199m |
Krubera Cave |
3位 |
ボーイブロック(Boybuloq) |
ウズベキスタン |
2,033m |
Vishevsky - Boylok |
4位 |
サルマ(Sarma) |
ジョージア |
1,830m |
|
5位 |
イリュージア−メスホンノゴ−スネジナヤ(Illyuzia-Mezhonnogo-Snezhnaya) |
ジョージア |
1,760m |
|
153位 |
双河洞(Suiyang Shuanghe Dongqun) |
中国 |
912m |
|
圏外 |
白蓮洞 |
日本 |
450m |
入洞禁止 |
轟壕、内部データをウェブサイト公開へ(2023/9/27 NHKより入手)
沖縄戦 糸満の「轟の壕」内部の記録をHPで公開へ
沖縄戦当時、住民など数百人が避難したとされる糸満市の「轟の壕」について市は、内部の撮影や測量データを取得してその記録をホームページで公開することを決めました。
糸満市伊敷にある「轟の壕」は全長100メートルほどの自然洞窟で、沖縄戦当時、住民や県庁の幹部職員などが避難し、およそ600人が生き延びたと記録されています。
平和学習などに活用されてきましたが落石が相次いでいることから、市は3年前に注意を呼びかける看板を設置したほか、戦跡を案内する団体の中には、今年度から内部に入ることを中止しているところもあります。
このため市は78年前の記憶をいまに伝える壕の状況を「早急に記録する必要がある」として、今年度から2年間かけて壕の内部の撮影や測量データを取得して市のホームページで公開することにしました。
事業費は1230万円で、来月には事業者を公募して、再来月から撮影や測量を始め、来年度、公開する方針です。
糸満市史には、市内に240の戦跡があると記載されていて、市は県に対し内部の補強など保存や整備を要望していますが、具体的なめどは立っていません。
戦争体験者が少なくなるなか、多額の費用がかかる戦跡の保存をどのように進めていくのか、激しい地上戦を経験した沖縄にとって差し迫った課題となっています。
※糸満市ウェブサイト(轟壕)
白蓮洞、体験ケイビングコースに選定(2023/9/27 東海新報より入手)
滝観洞周辺の魅力発信を 住田観光開発が本格的ケイビング体験展開へ 白蓮洞支洞を新ガイドコースに選定
住田町上有住の滝観洞を管理する住田観光開発(株)は、滝観洞観光センター近くにある白蓮洞支洞を新たなガイドコースに選定した。本格的なケイビング
(洞窟探検)体験の展開に向け、関係者らが24日、内部を視察。長い年月をかけて形成された自然の造形美を多くの人に楽しんでもらおうと、体験コースの検討や安全対策確認を行った。
同社が運営する滝観洞観光センターは現在、町による受付棟の新築工事が行われており、来年度から供用開始される予定。
新たなガイドコースの選定は、新受付棟のオープンに合わせ、滝観洞とその周辺の魅力を発信し、国内外からのさらなる誘客を図るのが狙い。観光庁による本年度の「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」に採択され、実施している。
24日は、同社の千葉孝文常務、観光の各種受け入れ環境整備事業などを展開している(株)インアウトバウンド仙台・松島の社員、ケイビング団体・東山ケ
イビングクラブ(一関市)の菊地敏雄代表の計4人が参加した。
新たなガイドコースとする白蓮洞支洞は、気仙川を挟んで滝観洞の対岸に位置する。滝観洞にほど近い距離にありながらも、滝観洞とは異なった様相を呈す。
縦方向に道が続く滝観洞と違い、奥部には左右に広いドームのような空間が広がっており、珍しい鍾乳石や洞窟サンゴ、幅1メートルほどのクレバス、透き通った「地底湖」なども見られる。
一行は菊地代表の解説を受けながら現地を視察し、見せ場≠煌ワめた体験コースの順路などを検討。これまでも、滝観洞内で「プチケイビング」を行ってきたが、新ガイドコースはロープを使って降りたり、道を進んでいくと光が届かない暗闇が広がるなど、より本格的なケイビングが楽しめることを確認した。
同社は今後、モニターツアーも行いながらコースのブラッシュアップを図り、来年度の新施設オープン後にケイビング体験コースとしての公開を目指している。
公開後にガイドを務める千葉常務は「体験型の観光が注目されている今、多くの人に洞窟探検を楽しんでもらい、滝観洞とその周辺の魅力を知ってほしい」と話していた。
※白蓮洞(空穴第2洞、滝観新洞)は1975(昭和50)年に観光化。東日本大震災の影響を受けて2011(平成23)年に閉洞となっている。
※滝観洞・白蓮洞ウェブサイト(白蓮洞について)
「識別図鑑 日本のコウモリ」発売(2023/9/26 入手)
最新の知見や調査記録などが掲載されたコウモリ図鑑「識別図鑑 日本のコウモリ」が発売された。
2011年に発売された「コウモリ識別ハンドブック(改訂版)」を発展させた内容で、それぞれの記述・掲載写真数は大幅増。生態写真、標本写真、分布図、頭骨・骨格写真なども掲載され、より資料性が高くなった。日本のコウモリ研究最前線も興味深い。
掲載種は日本のコウモリの全種となる37種+絶滅種2種の計39種。タイトル通り、コウモリ識別には頼もしい1冊だ。
文一総合出版発行。コウモリの会編。A5サイズ240ページ。オールカラー。定価4,500円(税別)。10月1日発売。
購入は文一総合出版、書店、honto、楽天ブックス、Amazon.co.jpほかにて。
※コウモリの会ウェブサイト
あぶくま洞、恒例のあぶくま洞秋まつりを開催(2023/9/24 福島民友新聞より入手)
福島美少女図鑑メンバーとあぶくま洞内歩く 開洞50年で多彩な催し
あぶくま洞秋まつりは23日、福島県田村市滝根町のあぶくま洞広場で始まった。開洞50周年を記念し、多彩なイベントで来場者を楽しませている。24日まで。
市の歴史と伝統を伝えるステージや地元の絶品グルメが集結。子どもが楽しめる出店や体験コーナーも並ぶ。初日は福島美少女図鑑のメンバーと一緒に鍾乳洞内を歩くツアーが行われ、参加者が神秘的な風景の中で写真撮影を楽しんだ。
24日は洞内のツアーのほか、お笑いコンビ「ANZEN漫才」によるライブ、矢吹町出身の津吹みゆさんの演歌ショーなどを予定している。時間は午前10時〜午後4時。イベントの入場料は環境整備金として500円。あぶくま洞に入る場合は別に入洞料がかかる。
※あぶくま洞ウェブサイト
カルスト切手「日・ベトナム外交関係樹立50周年」発行(2023/9/21 入手)
日本郵便株式会社より9月21日、特殊切手「日・ベトナム外交関係樹立50周年」が発行された。1シート10枚のうち、1枚がカルスト地形「ハロン湾」。
日本とベトナムの間で外交関係が樹立されてから、2023年が50周年に当たることを記念して発行されたもの。「ハロン湾」は沈水カルストで、1994年にユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録されている。
なお、「ハロン湾」が切手となったのは「海外の世界遺産 第4集」での「ハロン湾」、「福島市×ベトナム社会主義共和国ホストタウン フレーム切手」での「ハロン湾」に続く3例目。
額面は84円。1シート10枚。シール式。販売価格は840円。50万シート限定。全国の郵便局にて発売。
トルコ、モルカで10日間の洞窟救助(2023/9/12 CNN.co.jpより入手)
トルコの洞窟で身動きできなくなった米国人男性、10日ぶりに無事救助
トルコ南部アナムルの洞窟の中で身動きできなくなっていた米国人男性が、10日ぶりに無事救出された。トルコの災害緊急事態対策庁(AFAD)が12日に発表した。
AFADによると、救出されたのは洞窟探検家のマーク・ディッキーさん。一見したところ元気そうな様子で、ヘリコプターで病院に運ばれた。洞窟から担架で運び出されるディッキーさんが笑顔を浮かべる映像も公開されている。
医療用テント近くでディッキーさんは、「再び地上に出られたのは驚き」とコメント。救助隊とトルコ政府に「何も問わずに私の命を救ってくれた」と謝意を表し、「予想外の健康問題のため、予定よりも長い間地下にいた」と語った。
トルコ洞窟探検連盟によると、ディッキーさんはモルカ渓谷にある陥没穴(深さ1276メートル)の中で、胃腸出血を起こした疑いがある。
ディッキーさんが激しい腹痛を訴えているという連絡が欧州洞窟救助協会(ECRA)に入ったのは今月2日。200人あまりの救助隊員が率いる国際救助活動が同日から始まった。救助活動には米国、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、ウクライナ、トルコなどの救助隊が参加。ディッキーさんを地下180メートルの地点まで移動させ、その後洞窟から助け出した。
洞窟内では医師がディッキーさんに付き添い、救助隊との通信を確立して連絡を取り合っていた。
洞窟からのディッキーさん救助に成功したのは現地時間の午前0時37分だった。
ディッキーさんが創設した非営利組織のケイビング・アカデミーによると、ディッキーさんは米国立洞窟救助委員会のインストラクターで、ECRAの役職も務めている。
※モルカ(Morca)は総延長5714m(国内第6位)、高低差−1276m(国内第3位、世界第38位)。
銀水洞、洞内復旧のクラウドファンディング(2023/9/11 南海日日新聞より入手)
豪雨被害の鍾乳洞を手作業で復旧 沖永良部島の「銀水洞」 知名町が支援呼び掛け
6月下旬の線状降水帯による豪雨で、土砂が流入する被害があった鹿児島県沖永良部島・知名町の鍾乳洞「銀水洞」では、ケイビングガイドによる復旧作業が続けられている。被害箇所が洞窟奥深くのため、作業に携われるのは洞窟を熟知したガイドのみ。全て手作業で復旧のめどは立たないが、おきのえらぶ島観光協会ガイド部の東進一郎部会長(53)は「1日でも早く、元のきれいな洞窟内の景色を見られるようにしたい」と思いを話した。
被害があったのは入り口から約1.5キロにあるリムストーンプール(畦石池)で、各種メディアにも取り上げられた同島ケイビングの目玉スポット。6月の記録的な豪雨で水位が上昇し、雨がやんだ後もプール内には土砂混じりの水が残ったまま。銀水洞を使ったケイビングツアーは現在も中止されている。
被害確認後、ガイドが通常業務の合間を縫って復旧作業に当たっているが、作業場所まで歩いて片道1時間〜1時間半。途中、人がぎりぎり抜けられるほどの狭い所もあり、電源を引いたり大型機材を入れたりするのも困難な状況だ。
東部会長によると、プールの泥水を除去しても、鍾乳石がライトアップによる本来の輝きを取り戻すには自然回復を待つしかなく時間がかかるとし、「ガイド歴12年の自分でもこのような被害は初めて。長い年月をかけてつくり上げられたもので、もう元には戻らないのではないかという専門家の意見もあったが、ガイドたちでできることから始めようと作業を続けている。洞窟が好きで、きれいな状態を1人でも多くの人に見てほしいという思いがみんなを突き動かしている」と力を込めた。
知名町はふるさと納税のシステムを利用したガバメントクラウドファンディング(GCF)を立ち上げ、復旧作業への支援を呼び掛けている。受付期間は12月3日まで。寄付金は復旧作業従事者への手当や必要な資材費に充てられる。
※一般社団法人おきのえらぶ島観光協会ウェブサイト
日本洞窟学会第49回大会(帝釈台大会)開催(2023/9/10 入手)
日本洞窟学会の定期学術大会「日本洞窟学会第49回大会(帝釈台大会)」が9月8〜10日、広島県神石郡神石高原町にて開催された。実行委員長は山田努日本洞窟学会会長(東北大学)。
大会には約70名が参加。総合交流センターじんせきの里にて学術講演会、公開講演会が開かれ、口頭講演20件の研究発表、3件の公開講演が行われた。
9日夜には簡易宿泊施設「ながの村」にて交流会が開催。長年にわたって「幻の鍾乳洞」の保護活動を行っている横山英揮氏の挨拶に始まり、地元の手作り料理が振舞われた。
また、プレ・ポスト巡検としては各10数名が「幻の鍾乳洞」に入洞、アラゴナイトを間近で観察した。
次回開催地は未定。
梓洞、総延長380m+と発表(2023/9/10 入手)
滋賀県米原市の石灰洞横穴「梓洞」が総延長380m+と発表された。滋賀県内では「河内の風穴」「深泥ヶ池」に次ぐ総延長ランキング第3位。
日本洞窟学会第49回大会(帝釈台大会)での学術講演「梓洞(滋賀県米原市)の測量と洞内環境」(伊藤雄氣氏ほか)によると、梓洞は2014年6月に発見されたものの測量は未完。伊藤氏らのグループが2018年12月から測量を行い完成させた。
なお、未測量空間が残されている模様。
宇山洞、新空間発見で総延長1584.7mに(2023/9/9 入手)
岡山県新見市の石灰洞斜洞「宇山洞」に新空間が発見され、総延長1584.7mとなった。国内総延長ランキングは第45位。
日本洞窟学会第49回大会(帝釈台大会)での学術講演「岡山県指定天然記念物「宇山洞」における新空間発見と水系の連結」(藤井雄基氏ほか)によると、2022年11月の渇水期にうきぐもケイビングクラブらが活動していたところ、通常時は水没している箇所に空間を発見した。この空間は匍匐前進にて進む必要があり、水平天井、スカラップ、ポケット、つらら石、カーテン、ストローが確認された。
これまで宇山洞は岡山大学ケイビングクラブの調査により総延長1514.9mとされていたが、新空間の距離69.8mが加算されて総延長1584.7mとなった。
※高梁川流域連盟ウェブサイト(阿哲台(宇山洞))
※うきぐもケイビングクラブ ウェブサイト
南西諸島の洞窟、新種のホラヒメグモ類発見(2023/8/19 沖縄タイムスより入手)
深い洞窟にすむ新種のクモ 目を失い体色が薄まる「進化」 都立大特任助教ら、琉球列島に固有の5種を発見
沖縄や奄美などでこのほど、「短肢系ホラヒメグモ類」に属する新種のクモ5種類が発見された。東京都立大学のフランチェスコ・バラリン特任助教と江口克之准教授による発見で、研究論文は11日付の国際学術雑誌「ZooKeys」に掲載された。
発見されたのは、与那国島でドナンホラヒメグモ、石垣島でカクレホラヒメグモ、屋久島でヤマコホラヒメグモ、宮古島でツヅピスキホラヒメグモ、沖永良部島でカイケンホラヒメグモ。全て琉球列島固有種となる。
また、これまで日本産の短肢系ホラヒメグモ類は3種とされていたが、DNAの解析などの研究の結果、9種類が識別できることが分かったという。
新種のうち3種類は洞窟の最深部のみに生息し、目や体色が喪失するなどの洞窟に適応した形態変化が見られる。
それらの種を洞窟外の近縁種と比較することで、適応進化のプロセスに関する知見が得られる可能性があるという。
江口准教授は「限られた場所にしか生息しない生物は絶滅の可能性も高く、環境の保全も重要だ」と指摘した。
※ズーキーズ(Integrative taxonomic revision of the genera Nesticella and Howaia in Japan with the description of five new species (Araneae, Nesticidae, Nesticellini))
景清洞、洞口の穴と連結で総延長4625.9mに(2023/8/18 入手)
山口県美祢市の石灰洞横穴「景清洞」が「洞口の穴」と連結したことにより、総延長4625.9mとなった。国内総延長ランキングは第9位。
山口ケイビングクラブ会報 第58号によると、2015年までの「景清洞−三角田洞−獅子の抜け穴」再測量により総延長3,024.4mとなっていたが、2022年の渇水期に支洞を探検したところ「洞口の穴」に接続、連結部の101.5m、「洞口の穴」の総延長1,500mが加算されて総延長4625.9mとなった。
「三角田洞」には再測量されていない部分があるため、今後も延長することが期待される。
※「景清洞−三角田洞−獅子の抜け穴」は総延長1,745m+とされていた。再測量による総延長3,024.4mはこれまで未発表。なお、「景清洞」の天然記念物指定名は「景清穴」。
※山口ケイビングクラブ ウェブサイト
「古寺鍾乳洞調査報告書」発行(2023/8/17 入手)
埼玉県比企郡小川町にある石灰洞「古寺鍾乳洞」に関する報告書「埼玉県指定天然記念物 古寺鍾乳洞調査報告書 −地質・動物・植物−」が発行された。
2018(平成30)年8月に「古寺鍾乳洞」の所有者が地権者から小川町に変更されたことに伴い調査が行われたもので、歴史、地質、動物、植物が報告されている。これらの調査は小川町関係者のみによって行われ、洞窟関係者は参加しておらず、測量図も1970(昭和45)年の埼玉県立川越高等学校地学部によるものや1975(昭和50)年の冊子「埼玉の文化財」に掲載されたものを使用している。
小川町教育委員会発行。A4サイズ123ページ。オールカラー。非売品。3月31日発行。
冊子は国立国会図書館ほかで閲覧可能。WEB版が公開されているが、安全管理上の問題や執筆者のご意向により一部掲載非公開となっている。
※小川町ウェブサイト(埼玉県指定天然記念物 古寺鍾乳洞調査報告書(WEB版)の公開について)
滝観洞観光センター受付棟工事が本格化(2023/8/12 東海新報より入手)
新築工事が本格化 来年3月の完成目指す 滝観洞観光センター受付棟
住田町上有住の観光地・滝観洞を管理する滝観洞観光センター(住田観光開発(株)運営)の受付棟は、町による新築工事が本格化している。来年3月の完成、4月のオープンを目指し、現在は基礎工事が進められており、関係者は無事な完成と完成後のにぎわい創出へと期待を募らせる。
滝観洞は日本有数の洞内滝を有する鍾乳洞で、昭和41年に洞窟開きが行われて以来、名物「滝流し蕎麦」や滝観洞観光センターとともに町内有数の観光資源として位置付けられている。
全長3635メートル、高低差115メートルにも及び、国内屈指の鍾乳洞として知られる滝観洞。観光洞部にはライトアップされた鍾乳石が輝き、ダイナミックな造形の岩肌や地下水などによる神秘的な光景が続く。洞口から約880メートル地点には高さ約60メートルに及ぶドーム型の空間があり、その天井部の裂け目から落差29メートルの「天の岩戸の滝」が注ぐ。
町では、滝観洞周辺の魅力的な環境づくりを通じて持続的な観光振興を実現することを目的とし、老朽化した関連施設の再整備計画案作成を邑サポートに委託し、令和2年度に計画が策定された。計画ではハード・ソフト両面で段階的に整備を図っていくこととしており、3年度に基本設計・実施設計が行われ、4年度に旧受付棟の解体が完了した。
新施設には、地場産の木材を積極的に使用する。2階建ての施設の1階には物販スペースや受付カウンターなど、2階には食堂や滝観洞の名物「滝流し蕎麦」の体験スペース、テラスの整備を計画しており、延べ床面積は155.02平方メートル。新築工事は住田住宅産業(株)が担う。契約金額は1億2320万円
(税込み)で、工期は来年3月25日までの予定。
冷涼を感じる観光地として夏場に人気を集める滝観洞。夏場に書き入れ時を迎え、行楽客らでにぎわいを見せる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で令和2年度から入洞者が減少していたが、5類移行後はじめての夏となった今年は、7月の入洞者が1200人ほどで、コロナ禍前の令和元年同期を上回っているという。
住田観光開発の千葉孝文常務は「このまま入り込みが継続し、新施設完成後にはさらに多くの人に来ていただければ」と話している。
※住田町ウェブサイト(滝観洞)
漫画「瑠璃の宝石」に鍾乳洞が登場(2023/8/12 入手)
ハルタコミックスのサイエンスアドベンチャー漫画「瑠璃の宝石」のVol.4に鍾乳洞が登場した。作者は渋谷圭一郎。
漫画誌「ハルタ」において連載中の第19話から第23話を掲載した単行本版。
宝石やアクセサリー好きの女子高生が鉱物学専攻の女子大学院生に出会ったことにより、鉱物採集の世界に飛び込んでいく物語。第19話「寄り道?脇道?新発見!」で観光鍾乳洞を訪れており、鍾乳洞や二次生成物の成因を紹介している。「この場所をとりまく地下環境や どんな過程で今の姿になったのか それを想像して歩くのも鍾乳洞の楽しみのひとつだ」というセリフには共感する。
なお、ここに登場する富寿鍾乳洞(ふじゅしょうにゅうどう)は架空の洞窟だが、洞窟名や人工トンネル、螺旋階段などから、群馬県多野郡上野村の観光洞「不二洞」を参考にしたものと考えられる。
株式会社KADOKAWA発行。B6サイズ184ページ。定価720円(税別)。電子書籍版713〜792円(税込)。8月12日発売。
購入は書店、honto、楽天ブックス、Amazon.co.jpほかにて。
※漫画誌ハルタ ウェブサイト(瑠璃の宝石)
中甫洞穴、文化財体験ツアー開催(2023/7/20 南海日日新聞より入手)
先史時代の暮らしを体験 沖永良部島 知名町で文化財ツアー初開催
鹿児島県沖永良部島で17日、知名町地域女性団体連絡協議会(長山美香会長)主催の文化財体験ツアーが行われた。町内の未就学児〜一般38人が参加。学芸員の案内で町内の文化財を巡ったほか、石蒸し、火起こしなど先史時代の暮らしを体験した。
自分たちの住んでいる島を知ろうと初開催。講師は同町学芸員の宮城幸也さん、仲田眞一郎さんが務めた。参加者は2台のバスに分乗して県指定文化財「中甫洞穴」と国指定史跡「住吉貝塚」を巡り、現地で学芸員の解説を聞いた。
途中、友留海岸では石蒸し、弓矢、火起こしを体験。石蒸しではバナナ、トウモロコシ、カボチャ、サツマイモ、オクラなどの具材をバナナの葉に包んで熱した石の上に載せ、砂を覆いかぶせて蒸した。約30分後に砂を掘ると、蒸された食材の香りが広がり、参加者から「おいしそう」などと歓声が上がった。 蒸している間に、弓矢を使った的当てや火起こし体験もあった。
町内の史跡を初めて見る参加者も多く、ツアー後のアンケートでは「昔の人の暮らしが不便だけど面白いと感じた」「地域の魅力を再発見できた」「大人は解説付きの見学でとても興味深かった」などの感想があった。
※かごしま文化財辞典(中甫洞穴)
下原洞穴、シンポジウム開催(2023/7/11 南海日日新聞より入手)
「縄文文化のフロンティア」 天城 下原洞穴遺跡の謎に迫る 鹿児島市でシンポ
天城町西阿木名で見つかった先史時代の遺跡「下原(したばる)洞穴遺跡」の謎に迫るシンポジウムが8日、鹿児島市の鹿児島大学郡元キャンパス稲盛会館であった。最新の研究成果などを踏まえ、専門家らが遺跡の歴史的意義や魅力について解説。パネルディスカッションでは「徳之島は縄文文化のフロンティアであり、他の地域ではみられない文化が生まれていたのではないか」といった見解が示された。
下原洞穴遺跡では3万年〜3600年前の遺物1万点以上が発掘されており、約1万7000年前のものとみられる炉跡からは、アマミノクロウサギを捕獲して食べていたことを示す骨なども見つかっている。琉球列島の先史時代には約2万年〜7000年前までの期間、人が暮らした痕跡が見つからない「空白の1万年間」が存在し、この空白を埋める発見が相次ぐ下原洞穴遺跡は研究者の注目を集めている。
シンポジウムは同遺跡のこれまでの研究成果を県民にも広く知ってもらい、国史跡指定への機運醸成も図ろうと、天城町と同町教育委員会が主催した。
パネルディスカッションでは、それぞれ研究発表した竹中正巳氏(鹿児島女子短期大学教授)、高宮広土氏(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター長)、土肥直美氏(元琉球大学医学部准教授)、森先一貴氏(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)、山崎真治氏(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)、堂込秀人氏(鹿児島県立埋蔵文化財センター)がパネリストを務めた。
「下原洞穴遺跡で暮らした人々は孤立していたのではなく、ネットワークを使って常に島内外の情報を持っていた」「奄美と琉球はまったく同じではなく、文化的な個性は奄美で古い時代からあった」「小さな島で人類がどのようにして持続可能な形で存在したかについても議論すべき」などの意見があり、来場者は当時の人々の暮らしに思いをはせるとともに、今後の新たな発見と真相の解明に期待を寄せた。
※天城町文化遺産データベース(下原洞穴遺跡)
改版「泉ヶ池さいえんす’75 増刊号」発行(2023/7/9 入手)
宮城県古川工業高等学校・理科研究部による研究報告「泉ヶ池さいえんす’75 増刊号」の改版が発行された。岩手県気仙郡住田町の観光洞「滝観洞」の測量、調査研究が報告されている。
本誌は1975(昭和50)年に発行されたものを、当時の理科研究部員が復刻したもの。1972(昭和47)年から1975(昭和50)年にかけて8回の調査を行い、観光部分や乳房岩の上層部の平面図を完成させている。乳房岩、クリノイド、二重天井付近では断面図も作成しており、高校生が当時の装備でここまで精度の高いものを完成させたことには驚くばかりである。
なお、この研究報告は日本学生科学賞の宮城県審査で最優秀賞を受賞している。
宮城県古川工業高等学校理科研究部発行。A4サイズ48ページ。オールカラー。関係者配布。1月発行。
問い合わせは地R元事務局まで。
※滝観洞・白蓮洞ウェブサイト
下原洞穴、1万7000年前のクロウサギの骨発見(2023/7/6 南海日日新聞より入手)
旧石器時代から食用か 1万7000年前のクロウサギの骨発見 天城町・下原洞穴遺跡
鹿児島県天城町西阿木名の下原(したばる)洞穴遺跡で約1万7000前のものとみられる炉の跡が発掘され、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの骨などが見つかった。5日、歴史民俗資料館「天城町立ユイの館」で報道向け発表があり、同館学芸員の具志堅亮さん(39)は「後期旧石器時代から縄文時代への移行期に当たる時代の遺物。長年人々がクロウサギを食べていた証拠になる」と説明した。
下原洞穴は鍾乳洞の天井が崩れ落ちてできたドリーネと呼ばれるくぼ地の壁に開いている洞窟。遺跡は旧石器時代から縄文時代のものとみられ、2016年に調査が始まり、3万〜3600年前の遺物1万点以上が発掘されている。
今回発見された炉の跡は22年3月に発見したもの。最初に発掘した約1万4000年前の炉の跡から約20センチ下層で発見した。炉の中からは火の影響で黒色に変色したクロウサギやネズミなど小型哺乳類の骨が見つかり、炭化物の年代測定で約1万7000年〜1万6800年前の遺物と分かった。
琉球列島の先史時代では人が暮らしていた痕跡が発見できない約2万年前から7000年の期間があり、「空白の1万年」と呼ばれている。下原洞穴ではこの空白を埋める発見が相次いでおり、これまでにも約7000年前に食用とされた痕跡のあるクロウサギの骨が見つかっている。
さらに22年11月に洞穴前面の斜面を調査したところ、洞窟の一部が崩落した琉球石灰岩の巨石(直径約3メートル)を発見。巨石を撤去して石の下を発掘したところ約1万年〜9000年前のものと見られる波状条線文土器と呼ばれる土器の破片100点以上が発見された。破片は大きく資料として良好な状態。深鉢形、つぼ型などさまざまな形があることが分かったほか、注ぎ口とみられる破片やイノシシの足に似せたような装飾の跡も見つかった。
下原洞穴で見つかる遺物は約3万年前〜3500年前と幅広く、具志堅さんは「地球全体が寒冷期から温暖になっていく時期が含まれ、気候に合わせて当時の人々がどのように生活を変えていったかを知る資料になる」と解説。「今後もっと古い時代の遺物が見つかり新しい発見につながる可能性がある」と期待した。
町と町教委は同遺跡が町初の国指定史跡となることを目指しており、今回の発掘の成果は今年度中に報告書としてまとめる。今月8日には鹿児島市の鹿児島大学稲盛会館で同遺跡についてのシンポジウムを開く予定。同館学芸員の奥綾那さん(27)は「今回の発見について詳細に知りたい人はぜひ来場してほしい」と呼び掛けた。
※天城町文化遺産データベース(下原洞穴遺跡)
「山口ケイビングクラブ会報 第58号」発行(2023/6/30 入手)
山口県秋吉台を拠点とする「山口ケイビングクラブ」の年次研究報告が発行された。B5サイズ23ページ。
「景清洞」が「洞口の穴」と連結、総延長4,625.9mとなったと報告されている。内容は以下の通り。
・ケイビング情報
・富士山の気温に同じ佐賀県武雄市「永野の風穴」(予報)
・羅漢穴の再測量について・今年度の活動報告
・景清穴と洞口の穴の連結
・地下水環境と溶食形態
購入・問い合わせは山口ケイビングクラブ事務局(秋吉台科学博物館内/TEL0837−62−0640 Fax0837−62−0324)まで。一部のバックナンバーも取り揃えている。
※山口ケイビングクラブ ウェブサイト
「ナショナルジオグラフィック7月号」に洞窟記事が掲載(2023/6/30 入手)
地球の素顔を伝えるビジュアルマガジン「ナショナルジオグラフィック 日本版 2023年7月号」の一項目として「謎の人類を探して 洞窟の奥底へ」が掲載された。
南アフリカ共和国の「ライジング・スター洞窟」で発見されたヒト属の化石「ホモ・ナレディ」の発掘調査について書かれている。内容的には「Cave of Bones: A True Story of Discovery, Adventure, and Human Origins」の抜粋・再編集版。 筆者はリー・バーガー氏。60〜69ページ。
なお、表紙はウズベキスタンの「ダークスター洞窟」における探検風景で、本文とは直接関係ない。
日経ナショナルジオグラフィック社発行。A4サイズ140ページ。オールカラー。定価1,280円(税込)。6月30日発売。
購入は書店、楽天ブックス、Amazon.co.jpほかでも可能。電子書籍版もある。
※ナショナルジオグラフィック日本版ウェブサイト(謎の人類を探して、洞窟の奥底へ)
フランス、ロッシュコタール洞窟で国内最古の彫刻発見(2023/6/29 AFP通信より入手)
仏洞窟にネアンデルタール人の「彫刻」 5万7000年以上前
【フランス共和国・イル=エ=ヴィレーヌ県レンヌ発】
フランス・ロワール渓谷(Loire Valley)の洞窟で、ネアンデルタール人による5万7000年以上前の「彫刻」が発見された。フランスで見つかっている最古の洞窟彫刻となりそうだ。
米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に先週掲載された報告によると、見つかったのは洞窟の柔らかい壁面などに指や道具で跡をつける「フィンガーフルーティング」と呼ばれるもので、現生人類ホモサピエンスが欧州西部へ進出する以前、つまりネアンデルタール人によるものだという。
研究チームは、デザインは抽象的だが「明らかに意図的」に刻まれたもので、「ネアンデルタール人の行動に関するわれわれの知識に新たな、そして非常に重要な貢献」となる発見だと述べている。
彫刻が残されていた仏中部トゥール(Tours)近郊のロッシュコタール(Roche-Cotard)洞窟は、1846年に発見された。しかし、所有者が数千年にわたって入り口をふさいでいた泥を1912年に撤去するまでは、ほとんど立ち入ることができなかった。
大規模な発掘調査が開始されたのは2008年。彫刻は年代測定技術によって「5万7000年以上前、地層的に考えるとおそらく7万5000年前頃のもの」と推定されている。
※一部抜粋
※ロッシュコタール洞窟(Grotte de la Roche-Cotard)はアンドル=エ=ロワール県ランジェにある洞窟遺跡。出土したムステリアンマスク(Le Masque mousterien)が知られている。
保良クバクンダイ鍾乳洞、文化財指定を目指す方針(2023/6/27 宮古毎日新聞より入手)
パンプキンホールを文化財に 城辺保良/市、9月の指定目指す
城辺保良にあるクバクンダイ鍾乳洞(通称・パンプキンホール)について市が文化財指定に向けて取り組んでいることが26日、分かった。パンプキンホールは、干潮時に入ることができる鍾乳洞。カボチャ型の鍾乳石があることが名前の由来となっている。テレビで紹介され、パワースポットとして観光客の人気を集めている場所だが、鍾乳石が折られる被害も発生している。
パンプキンホールについては地元の保良自治会が市に学術調査を要請しているほか、2021年には保全のため保良環境守る会や宮古島漁業協同組合が立ち入り禁止を要請していた。
市議会一般質問で下地茜氏は市が22年度に調査を実施したことを踏まえて、調査結果と今後の市の対応について質問した。
これに天久珠江生涯学習部長は、パンプキンホールについては今年9月ごろに文化財指定することを目標に取り組んでいることを説明した。
調査については今年1月19日に文化財保護委員と洞窟調査の専門家とともに現地視察を実施したという。天久部長は「現地視察でクバクンダイ鍾乳洞は一般的な鍾乳洞とは構造が大きく異なる特徴を有し、文化材的価値が非常に高いと指摘された」と話した。
今後は文化財指定に向け、審議会に諮問する予定。具体的な時期は未定だが、今年9月ごろを目標に取り組んでいく方針だ。
天久部長によると、現地調査で専門家から寄せられたコメントなどは地元の保良自治会や保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定締結事業者へ報告する予定という。
※保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定
中国、新彊ウイグル自治区でカルスト地形を発見(2023/6/13 人民網日本語版より入手)
阿爾金山で2500平方キロ以上のカルスト地形見つかる 新疆
新疆維吾爾(ウイグル)自治区巴音郭楞蒙古(バリンゴリン・モンゴル)自治州(略称・巴州)阿爾金(アルチン)山国家級自然保護区管理局によると6月12日、同管理局と新疆地質鉱産勘査開発局の研究スタッフが阿爾金山で調査を実施し、これより前に同自然保護区西部で見つかった面積約2500平方キロメートルの岩溶地形に対するフィールド調査を進めた結果、これがカルスト地形であるという結論に至ったという。同自然保護区は、高山に囲まれた閉鎖的な盆地で、今回の調査で確認されたカルスト地形は保護区内の貴重な地質学的遺構となった。中国新聞網が伝えた。
※新疆旅行ウェブサイト(アルチン山自然保護区)
七ツ釜鍾乳洞、ガイドケイビングを再開(2023/6/8 長崎新聞より入手)
七ツ釜鍾乳洞で「地底探検ツアー」再開 西海市観光協が予約開始
長崎県西海市観光協会は新型コロナウイルス感染症の影響で休止していた七ツ釜鍾乳洞(西海町)の地底探検ツアーを再開。今月から参加予約を受け付けている。
一般公開していない入洞禁止区域などをガイドの案内で巡るツアー。区域内は、長年の侵食でつくり出された空洞の世界が手付かずのままとなっている。公開部分を見学する観光コースとは、ひと味違う地底の神秘を体感できる。
鍾乳洞入り口から最深部の一つ「千枚積(せんまいづみ)」までの約800メートルを約2時間かけて往復。ヘッドライトの明かりを頼りに、流れ込んでいる水の中を歩き、途中、滝やほふくでしか進めないポイントもある。同協会は「日常を忘れて、探検気分を楽しんで」とPRする。
参加資格は2人から10人までのグループで、小学4年以上が対象(未成年者は保護者の証明が必要)。体験料は1人2500円(保険料込み)。実施日の1週間前までの予約が必要で、同協会七ツ釜鍾乳洞事務所や旅行予約サイト「じゃらんnet」、レジャーなどの予約サイト「アソビュー!」で受け付けている。問い合わせは同事務所(電0959−33−2303)。
※さいかいシティネット ウェブサイト(七ツ釜鍾乳洞)
あぶくま洞、開洞50周年式典開催(2023/6/2 朝日新聞より入手)
「あぶくま洞」開洞50年 石灰岩採掘で見つかった洞穴が地域の宝に
福島県田村市の鍾乳洞「あぶくま洞」が1日、観光施設として開洞してから50年を迎えた。敷地内の阿武隈神社で記念式典が開かれ、関係者はあぶくま洞を発見した先人たちに感謝し、地域の宝として継承していくことを誓った。
あぶくま洞は、同市滝根町の阿武隈高原にある鍾乳洞。1969年、石灰岩を採掘中に偶然発見され、その後の調査で、総延長が4218メートルに及ぶ日本有数の規模であることがわかった。
このうち600メートルのコースが、73年6月1日に観光施設としてオープン。天井から垂れ下がる巨大な鍾乳石や、地面にしたたり落ちた石灰水が形成した石筍など、神秘的で変化に富んだ自然の造形美を見ることができ、年間100万人以上の人々が訪れる観光名所になった。
あぶくま洞敷地内にある阿武隈神社で行われた記念式典で、田村市の白石高司市長は「地域の皆さんが大切に守ってきてくれたからこそこの日を迎えることができた。先人の思いを受け継ぎ、この先も守り伝えていきたい」と話した。
近年はコロナ禍もあり、来場者は年間10万人前後で推移しているが、9月に開洞50年を記念した秋祭り、10月には日本鍾乳洞サミットなど「復活」に向けたイベントを画策している。
田村市観光キャンペーンクルーの菅野千恵子さんは「これからも福島県屈指の観光地として多くの人に来てもらえるよう努力していきたい」と話した。
※あぶくま洞ウェブサイト
「ケイビングジャーナル第76号」発行(2023/6/1 入手)
日本洞窟学会のケイビング情報誌「ケイビングジャーナル」の第76号が発行された。A4サイズ56ページ。650円(税込/日本洞窟学会々員には送付)。
内容は以下の通り。
・グラビア
・スペレオニュース
・イベントカレンダー
・新編武蔵風土記稿にみる埼玉県秩父郡東秩父村「大日岩窟」の現在
・宮崎県西都市「お伊勢の岩屋」測量報告
・日本の洞窟から発見された新種の真菌について −秋吉台の名を冠して
・日本洞窟学会第48回大会(西予市大会)大会記録
・ロープテック関のSRT知恵袋 深打ちアンカーと定着不足アンカーはブッ飛ぶ!
・宮城県気仙沼市の海岸に面した石灰岩地帯とカルスト ※第3回
・日本の洞窟リスト【栃木県】
・SPM2022 国際洞窟写真ミーティング
・第20回国際火山洞窟シンポジウム(ヴェトナム)参加報告
・洞窟書籍新刊紹介
・プロジェクトボード
・編集部からのお知らせ
日本洞窟学会会員以外の購読希望者は、ケイビングジャーナル編集部caving_journal@cj.dojin.comまで。定期購読年3冊分2940円も可能。龍泉洞(岩手県岩泉町)、カモシカスポーツ 山とスキーの店(高田馬場)、竜ヶ岩洞(静岡県浜松市)、まえちゃんねっと〜よろず販売〜(オンラインショップ)でも購入可能。
※ケイビングジャーナル ウェブサイト
「洞窟学雑誌 第47巻」発行(2023/5/25 入手)
日本洞窟学会の機関誌「洞窟学雑誌」の第47巻が日本洞窟学会会員に配布された。発行日は2022年12月31日。B5サイズ32ページ。3000円(税込/日本洞窟学会々員には送付)。掲載論文は以下の通り。
・強アルカリ性水の水質形成とその水から沈殿する炭酸塩の特徴
・Morphology and Spatial Distribution of Stalagmites in Toyoichi-do, Gyokusen-do Cave, Okinawa Prefecture
購入・問い合わせは日本洞窟学会事務局(福岡大学理学部地球圏科学科地球科学分野内)まで。一部のバックナンバーも取り揃えている。
沖縄県下地島の海底洞窟、新種「クラヤミモミジマトイ」発見(2023/5/23 琉球新報より入手)
国頭、下地島沖の海底洞窟に新種の海綿動物 「クラヤミモミジマトイ」と命名 県立芸大、名桜大などの研究グループ
県立芸術大や名桜大、黒潮生物研究所(高知県)などの研究グループは22日までに、沖縄本島や下地島(宮古島市)沿岸部の海底洞窟から、新種の海綿動物を見つけたと発表した。光の届かない所に生息し、体表を覆う「骨片」と呼ばれるガラス質の組織形状をモミジに見立てて「クラヤミモミジマトイ」の和名を付けている。
県立芸術大の藤田喜久教授らが2013年より沖縄周辺の海底洞窟を調査しており、同年3月の調査で下地島沖、2015〜16年の調査で国頭村西海岸の沖合でそれぞれ発見。体長は2、3センチで、骨片の特徴が他の種と異なることから、新種と見なされた。16日付で学術雑誌「ズータクサ」に発表している。
新種が採取されたのは、洞窟奥で淡水と混ざり合って塩分が低下する「汽水的環境」。汽水的環境下の洞窟は真っ暗で視界が悪いことから調査が難しく、研究グループによるとそのような場所にすむ海綿動物の研究は、世界で5例しかないという。今回の報告は、インド洋から西大西洋の海域では初めてになる。
藤田教授は「今回の新種発表をきっかけに研究が進むことで、海底洞窟の動物相を解明するきっかけになってほしい」と話し、調査を通じて海の生物多様性の解明につながることを期待した。
※ズータクサ(New lithistid sponge of the genus Sollasipelta (Porifera, Demospongiae,Tetractinellida, Neopeltidae) from submarine caves of the Ryukyu Islands,southwestern Japan, with redescription of S. sollasi)
カルスト切手「自然の風景シリーズ 第3集」発行(2023/5/17 入手)
日本郵便株式会社より5月17日、特殊切手「自然の風景シリーズ 第3集」が発行された。1シート10枚のうち、1枚がカルスト地形「帝釈峡の雄橋」。
日本各地の美しい景観や自然現象による絶景などを題材にした第3弾。「雄橋」は広島県庄原市東城町(旧東城町)及び神石高原町(旧神石町)にまたがる約18kmの石灰峡谷「帝釈峡」にかかるナチュラルブリッジで、全長約90m、幅約18m、厚さ約24m、帝釈川床から橋上までの高さは約40m。帝釈峡として国指定天然記念物となっている。
なお、「雄橋」が切手となったのは「ふるさと切手・広島県北散歩」での「雄橋と東城町の町花こぶし」、「地方自治法施行60周年記念シリーズ 広島県」での「帝釈峡」、「比婆道後帝釈国定公園50周年記念」での「新緑の雄橋」に続く4例目。
額面は84円。1シート10枚。シール式。販売価格は840円。250万シート限定。全国の郵便局にて発売。
※帝釈峡観光協会ウェブサイト(雄橋)
秋芳洞、観光部で身元不明遺体(2023/5/9 KRY山口放送より入手)
秋芳洞で遺体見つかる 死因は溺死 警察が身元に関する情報求める
山口県美祢市秋芳町の秋芳洞で8日、遺体が見つかった。60から70代くらいの男性とみられる。司法解剖の結果、死因は溺死。死後1週間程度、経過していたとみられている。遺体に目立った外傷はないものの、警察では事件性の有無を含め、捜査を進めている。
遺体が見つかったのは洞内中腹あたりの水路。8日午前、観光客が遺体を見つけ、観光案内所に連絡。その後、観光案内所の職員が119番通報した。遺体は60から70代くらいの男性とみられ、身長は168cm。黒色の半袖Tシャツに長袖シャツ、灰色のスウェットズボンを履いていたという。
司法解剖の結果、死因は溺死。死後1週間程度が経過していたとみている。遺体に目立った外傷はないものの、警察では事件性の有無を含め、捜査を進めている。
警察は遺体の身元に関する情報を求めている。【美祢警察署】0837−52−0110
また、美祢市観光協会によると、秋芳洞は8日正午ごろから入洞を制限。9日も制限を継続しているが、10日からは通常通り営業する予定。
※「秋芳洞」は5月8日午後から9日まで臨時休業。その間に洞内の観光通路等の安全点検、確認、洗浄を行い、10日から通常営業となった。
※一般社団法人美祢市観光協会ウェブサイト(特別天然記念物 秋芳洞)
竜ヶ岩洞、御来洞印を発売(2023/5/8 静岡新聞より入手)
竜ヶ岩洞(浜松)40周年記念 御来洞印いかが 発掘の歴史紹介も
浜松市北区引佐町の竜ケ岩洞が、開洞40周年を記念して作成した「御来洞印」を販売している。洞窟内に生息し、同施設のマスコット的存在のコウモリなどをデザイン。1月からの4ヵ月間で約500部が売れたという。
竜ヶ岩洞は、1983年10月に一般公開が始まった。御来洞印には鍾乳洞の発掘記を添え、子どもの遊び場だった洞窟の奥に風が吹き出す小窓があり、地底空間発見の糸口になったエピソードや、地主の故戸田貞雄さんと洞窟愛好家の青年らによる開発の過程なども紹介している。
税込み300円。戸田達也所長は「40周年を迎えるに当たり、竜ヶ岩洞の歴史も周知できれば。50周年に向けてさらに喜ばれる施設にしていく」と話した。
※「あぶくま洞」では2021年に御入洞印が発売されている。
※竜ヶ岩洞ウェブサイト
保良クバクンダイ鍾乳洞、カヤック流され洞内幽閉事故(2023/5/7 沖縄タイムスより入手)
カヤック流され鍾乳洞に21人取り残される 宮古島ツアー 買い替えたばかりの係留ロープ切れる 1時間後に救助
5日午後5時10分ごろ、宮古島市城辺の保良クバクンダイ鍾乳洞でマリンレジャー客から「乗ってきたカヤックが流された」と110番通報があった。
宮古島署やツアー業者によると、ツアー客やガイドら5〜58歳の男女計21人は午後3時ごろ、保良泉ビーチからカヤック6艇で鍾乳洞に渡った。その後、洞の入り口に係留していたカヤックのロープが切れて5艇が沖合に流されたため、参加者は鍾乳洞に取り残されたという。別のガイドらが救助に向かい、約1時間後に全員がビーチに戻った。男性客(25)1人が左肘にすり傷を負ったが、その他にけが人はいなかった。
鍾乳洞は通称「パンプキンホール」と呼ばれ、観光客に人気のスポット。ビーチから鍾乳洞までは約500メートルで浅瀬を歩いて行けるが、県はサンゴ保全の観点から昨年8月、「保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定」を策定し、カヤックかサップで移動することを取り決めた。
ツアー業者によると一時取り残されたのは客18人とガイド3人。係留していたロープは4月に買い替えたばかりだったという。ツアー業者の代表は「ロープが経年劣化で切れたとは考えにくい。安全管理は徹底している」と話した。
署が詳しい原因を調べている。
※保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定
洞窟切手「帝釈川の谷(帝釈峡)」発行(2023/5/5 入手)
日本郵便株式会社中国支社より5月5日、オリジナルフレーム切手「名勝指定100周年 帝釈川の谷(帝釈峡)」が発行された。1シート5枚のうち、観光洞「白雲洞」とナチュラルブリッジ「雄橋」「鬼の唐門」の3つが洞窟・カルスト地形としてデザインされている。
1923年3月7日に「帝釈川の谷(帝釈峡)」として国の史跡名勝天然記念物に指定され、100周年を迎えたことを記念して発行されたもので、「白雲洞」は1929年に観光化されている。
額面は84円。1シート5枚。シール式。販売価格は920円。600シート限定。広島県三次市・庄原市・世羅町・神石高原町の全郵便局、上下郵便局・吉野郵便局・諸田郵便局、帝釈峡観光協会にて発売。
※帝釈峡観光協会ウェブサイト(白雲洞)
ロシア、デニソワ洞窟のペンダントから女性DNA(2023/5/4 時事通信より入手)
ペンダントから女性のDNA デニソワ洞窟で発見、約2万年前か
ロシア南部アルタイ山脈にある旧石器時代の遺跡「デニソワ洞窟」で、ペンダントとみられる穴の開いたシカの歯が見つかり、付着した人の細胞核DNAを採取して解読したところ、性染色体から女性と分かった。ドイツ・マックスプランク研究所などの国際研究チームが3日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。女性はこのペンダントを作ったか、身に着けていた可能性が高いという。
人やシカの細胞小器官ミトコンドリアのDNAも採取して解読し、年代がはっきりしている別のDNAとの比較から、2万5000〜1万9000年前と推定した。女性は当時、ユーラシア大陸北東部にいた集団と近縁とみられる。
龍泉洞、観光部分で搬出訓練実施(2023/4/28 河北新報より入手)
鍾乳洞内の緊急対応確認 岩手県岩泉町の国天然記念物「龍泉洞」
岩手県岩泉町の国天然記念物「龍泉洞」で、けがや急病で動けなくなった人を運び出す訓練があった。町と消防、警察、観光協会などから約30人が参加。大勢の観光客が訪れる大型連休を前に緊急時の対応を確かめ合った。
観光コース最奥部で最も高い場所にある三原峠で男性1人が心肺停止になったとの想定で21日に実施した。
洞内は狭く曲がりくねった箇所が多いことに加え、きつい上り下りが続く。足元はぬれて滑りやすく救助には厳しい条件。折り畳み式の担架を持ち込み、慎重に要救助者を搬出した。
龍泉洞は日本三大鍾乳洞の一つとされ、昨年度は14万5000人が訪れた。岩泉消防署によると、2017年9月には洞内で男性が心肺停止になる事例が発生。翌年から毎年、訓練を行っている。
岩泉消防署の山崎幸助副署長は「最も大変な場所でどんな機材が使えるか、きちんと確認できた。龍泉洞は町内最大の観光地。関係機関と連携して迅速かつ安全に救助できるよう取り組む」と話した。
※龍泉洞ウェブサイト
あぶくま洞、周辺でのケイビングツアー開始(2023/4/24 福島民報より入手)
未公開の洞窟で大地の神秘に触れる 福島県田村市のあぶくま洞と周辺洞穴 4月開始の探検ツアー話題
未公開の洞窟を探検する体験ツアーが今月、福島県田村市滝根町のあぶくま洞と周辺の洞穴で始まった。大地の神秘に触れられる企画だと話題になっている。観光鍾乳洞としてオープンし今年で50周年となるあぶくま洞に新たな魅力が加わった。
23日のツアーは、あぶくま洞近くの洞穴「F洞」に入った。阿武隈神社の真下にあり、崖中腹の入り口は人が1人、やっと通れるほどの大きさ。中は真っ暗で、分かれ道があったり、四つんばいにならないと進めない場所があったりする。参加者は10分ほどの探検を楽しんだ。
体験に先立ち、参加者は講義を受け、トンネルで暗やみ体験をした。
日本洞穴探検協会が主催・監修する。あぶくま洞を管理する市滝根観光振興公社職員らでつくる「あぶくま洞調査研究会」が探検をテーマとした旅行商品づくりを進め、実現した。
今回は第1弾の「入門編」で今後、初級、中級、上級とステップアップしていくという。
入門編のツアーは5月26、27日にも実施する。両日とも午前11時からと午後1時からの2回で、参加費などの詳細は、あぶくま洞のホームページに掲載している。
※あぶくま洞ウェブサイト(あぶくま洞で洞穴探検体験ツアー)
松江市内の海食洞の測量実施(2023/4/19 山陰中央新報より入手)
海岸の洞窟 専門家測量 松江で日本洞窟学会
松江市内の海に面した洞窟で、日本洞窟学会(本部−山口県美祢市)による測量が始まった。海岸の洞窟は天候の影響を受けやすく国内での実測や研究はあまり進んでいないが、島根の海岸に興味を持った学会員が来県。15日に美保関町内の洞窟をカヤックで巡り、レーザーポインターなどで実測した。地元関係者は研究の進展や新たな価値の発掘を期待している。
測量したのは日本洞窟学会の評議員で広報委員長の水島明夫さん(67)=北九州市=ら5人。水島さんは島根県西ノ島町の国の天然記念物「明暗の岩屋」や、松江市島根町加賀の「加賀の潜戸」などに魅了され、これまでたびたび来県していた。
同じ学会員でジオパーク公認ガイドの山西敏光さん(59)=米子市西福原=に相談。松江市美保関町片江でカヤック観光を手がける青戸裕司さん(67)の協力も得て測量に入った。
初日の15日は関係者5人がカヤックで日本海にこぎ出し、いずれも通称で「片江の元穴」(総延長約130メートル)、「菅浦の蜂巣穴」(約50メートル)、「菅浦の木島穴」(約30メートル)など4つの洞窟を測量した。今後、測量結果をまとめるほか他のエリアの基礎資料も集め、今後の研究の礎としたい考え。
水島さんは「海食洞(海岸の洞窟)は専門家がほとんどおらず研究も進んでいない。測量はどんな洞窟か知る一歩だ」とし、山西さんも「海食洞が多くある島国日本で研究が進む機会になる」と話す。
美保関町を含む島根半島は特有の地形があるとして、島根半島・宍道湖中海ジオパークとなっている。海食洞の研究がその価値を高める可能性があり、青戸さんは「ジオパークの魅力の一つとして発信しやすくなる」と期待した。
※日本洞窟学会が主導した調査ではない。
秋芳洞、シナモロールとコラボイベント(2023/4/18 山口新聞より入手)
秋芳洞観光、シナモロールが盛り上げ キーホルダー、フォトスナップ付き入洞チケット販売
美祢市の秋芳洞で、市の魅力を内外にPRする美祢ええもん発信隊に選ばれているサンリオの人気キャラクター「シナモロール」のイベントが始まった。アクリルスタンドキーホルダーが当たるカプセル販売機(ガチャガチャ)が回せるほか、シナモロールのフォトスナップがもらえる入洞チケットを販売している。6月4日まで。
アクリルスタンドキーホルダーは6種類。入洞チケット1枚につき1度回せる。フォトスナップは、シナモロールが秋吉台や秋芳洞など市内の観光名所で撮影した19ページのミニ写真集。チケットは限定5000枚。大人2000円、高校生1800円、中学生1700円、小学生1500円。
秋芳洞正面入り口と秋吉台案内所のエレベーター入り口、秋芳洞黒谷入り口の3ヵ所にフォトスポットを設置している。
山口市小郡令和のKDDI維新ホールで開催中のサンリオ展に合わせてスタンプラリーも実施。同ホール、コラボレーションした客室がある美祢グランドホテル、Mine秋吉台ジオパークセンター「カルスター」、秋芳洞の4ヵ所を巡るとポストカードやメモ帳がもらえる。問い合わせは市観光政策課(電話0837−62−1430)へ。
※一般社団法人美祢市観光協会ウェブサイト(シナモロールin秋芳洞)
スペイン、鍾乳洞内で500日隔離実験(2023/4/18 AFP通信より入手)
地下洞窟で500日間 隔離実験終え会見 スペイン人登山家
【スペイン王国・アンダルシア州グラナダ県モトリル発】
完全な隔離生活が人体に及ぼす影響について調べる実験を続けていたスペイン人の女性登山家が14日、地下の洞窟から500日ぶりに姿を見せた。
ベテランの単独登山家、ベアトリス・フラミニ(Beatriz Flamini)さん(50)は黒っぽいサングラスをかけてスペイン南部モトリル(Motril)近郊の洞窟から現れると、出迎えた家族と笑顔で抱擁を交わした。
フラミニさんは記者団に対し、「1年半、誰とも話さなかった。独り言だけだ」とし、「掛け替えのない」経験だと話した。
フラミニさんが地下70メートルで隔離生活を始めたのは2021年11月21日。世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るうさなかで、ロシアがウクライナに侵攻する前のことだ。フラミニさんは「世界で何が起きているのか分からない。私にとって、今はまだ2021年11月21日のままだ」と語った。
フラミニさんやチームのメンバーが全国紙パイス(El Pais)など国内メディアに語ったところによると、緊急時に助けを呼ぶためのインターネット用のルーターが故障した1週間は地上での生活を余儀なくされたが、その時もテントで隔離生活を続けた。
洞窟の中では人工照明で読書をしたり、運動をしたり、毛糸の帽子を編んだりして過ごしていたという。食料は、モニタリングを続ける専門チームが一切接触せずに洞窟内の所定の場所に置いていた。
警備を担当したアンダルシア(Andalusia)洞窟学連盟のダビド・レジェス(David Reyes)氏は、「こうした挑戦は何度も行われてきたが、規定をすべて満たしたものはなかった」と指摘。今回の実験について、「たった一人で、完全に隔離され、外部と接触せず、(自然)光もなく、時間の管理も行われなかった」と説明した。
エクトル・ゴメス(Hector Gomez)観光相は「極限の耐久テスト」として、科学にとって「非常に大きな価値」があるとの見方を示している。
フラミニさんは、試練の一つは洞窟にハエが入り込んできた時だと語る一方で、挑戦を断念することは「決して」考えなかったと話す。
「大変な時もあれば、とても素晴らしいひとときもあった。そのいずれもがあったおかげで、乗り切れた」として、「自分自身とも、とても良い関係になれた」と付け加えた。
フラミニさんが2台のカメラで自身の体験を記録した動画は、スペインの制作会社によってドキュメンタリーとしてまとめられる予定だ。
※英国洞窟研究協会(BCRA)ウェブサイト
江の島第一岩屋、期間限定プロジェクトマッピング(2023/4/18 タウンニュースより入手)
岩屋に龍の目ギロリ 30周年記念し、映像投影〈藤沢市〉
一般公開の再開から30周年を迎えた江の島岩屋で、4月18日(火)から音と映像で空間を演出するプロジェクションマッピングが行われる。記念事業の一環で、江の島や周辺で実施される「江の島国際芸術祭」(4月15日〜5月31日)に合わせて企画した。
第一岩屋の壁面に、江の島に伝わる「天女と五頭龍伝説」などにちなんだ映像を4月30日(日)までの午前9時〜午後5時までの毎時4回投影。迫力のある映像と音による演出が楽しめる。投影時間は1回3分程度。
※一部抜粋
※藤沢市観光協会ウェブサイト(江の島岩屋)
交流拠点「龍泉洞わっか」がプレオープン(2023/4/15 岩手日報より入手)
岩泉の観光に新交流拠点 「龍泉洞わっか」15日にプレ開業
岩泉町の観光名所・龍泉洞近くに新たな交流拠点「龍泉洞わっか」が誕生する。地元の泉金酒造(八重樫義一郎社長)が、かつて龍泉洞観光会館として使われていた施設を大規模改修した。地元名物の菓子や地場産品などをそろえ、観光客の憩いの場とする。15日にプレオープンし、今夏には軽食の提供や小規模醸造所でクラフトビールを製造する予定。大型連休を目前に控え、観光客の呼び水となりそうだ。
木のぬくもりあふれる同施設には、三陸沿岸の菓子や乳製品、水産加工品、飲料など約200品目がそろう。夏までには軽食が提供できるようになり、醸造所も稼働する。日本酒「龍泉八重桜」で知られる同社が初めてクラフトビールを手がけ、出来たての一杯をその場で楽しむことができるようになる。
営業時間は午前9時半〜午後5時。火曜定休だが、24日〜5月8日までは毎日営業する。問い合わせは龍泉洞わっか(0194−22−8718)へ。
※龍泉洞わっかウェブサイト
ベトナム、クアンビン省でBCRAらが22洞発見(2023/4/14 VIETJO ベトナムニュースより入手)
クアンビン省:新たに22本の洞窟を発見、ほとんどが「水の洞窟」
北中部地方クアンビン省の世界自然遺産フォンニャ・ケバン国立公園管理委員会は13日、英国洞窟研究協会(BCRA)の探検隊と英国、オーストラリア、ニュージーランドの探検家が3週間の調査を経て、総延長11.7kmの22本の洞窟を新たに発見したと発表した。
22本の洞窟のうち、20本がトゥエンホア郡ラムホア村(xa Lam Hoa, huyen Tuyen Hoa)と、ミンホア郡ホアフック村(xa Hoa Phuc, huyen Minh Hoa)、同郡ホアソン村(xa Hoa Son)で、残り2本がフォンニャ・ケバン国立公園でそれぞれ発見された。
英国人洞窟専門家であるBCRAのハワード・リンバート隊長は、「これらの洞窟のほとんどが水の洞窟だ。小さな洞窟だが、とても興味深い。ソンドン洞窟(Hang Son Doong)やエン洞窟(Hang En)、その他の多くの洞窟はメインの入口が1つしかないが、今回発見した新しい洞窟はいくつもの出入口がある。複数の洞窟がユニークな形状で互いにつながっているケースもある」と評価した。
探検家、科学者、同省当局はこれらの新たな洞窟の観光開発に向け、安全性や流れ、地形、地質の調査を実施する計画だ。
※英国洞窟研究協会(BCRA)ウェブサイト
チビチリガマ、生存者不在の初の慰霊祭(2023/4/2 琉球新報より入手)
沖縄・読谷のチビチリガマ「集団自決」から78年 生存者が不在で催す初の慰霊祭
沖縄戦で米軍が沖縄本島に上陸した直後の1945年4月2日に読谷村波平の自然洞窟チビチリガマで、避難した住民83人が犠牲になった「集団自決」(強制集団死)が起きてから2日で78年になる。遺族会は1日、慰霊祭を開き、約80人が参加した。戦争体験者の高齢化が進み、チビチリガマの生存者が初めて不在の慰霊祭となった。
新型コロナ禍以降、4年ぶりに一般参加もあった。母方の祖父母らを亡くした與那覇徳市さん(80)=村渡慶次=はガマの中で黙とうし、「北朝鮮やウクライナの情勢が戦争体験を思い出させる。生きている間は、平和を発信し続けたい」と話した。
※読谷村観光協会ウェブサイト(チビチリガマ・シムクガマ)
「日本洞穴学研究所報告 第40号」発行(2023/3/31 入手)
岩手県下閉伊郡岩泉町にある「日本洞穴学研究所」の年次研究報告が発行された。内容は以下の通り。
・龍泉洞管理者の自然環境と観光促進に関する意識
・龍泉洞における照明植生の分布と観光 −非観光区画における無脊椎動物の種組成の違い
・龍泉洞で採集されたヤマドリ Syrmaticus soemmerringii(Temminck, 1830)(キジ目キジ科)の骨
・龍泉洞内の地下水位変動と涵養域における雨量(2022年9月までの記録)
・龍泉洞・龍泉新洞気象観測報告(2022)
日本洞穴学研究所発行。A4サイズ40ページ。カラー。頒価500円(税込)。3月31日発行。
購入・問い合わせは日本洞穴学研究所事務局(龍泉洞事務所内/рO194−22−2566)、または地R元事務局まで。なお、日本洞穴学研究所報告第2〜39号までのバックナンバー(各500円/35号36号は2,000円)も取り扱っている。
龍河洞、龍河洞情報館が完成(2023/3/22 RKC高知放送より入手)
龍河洞に情報発信館 新しく完成 高知・香美市
高知県香美市の龍河洞に、観光情報などを発信する場所が新しく完成し、22日、竣工式が行われた。
香美市土佐山田町の龍河洞では、龍河洞周辺エリアの活性化を目指し、老朽化していた旧食堂の建物の跡地に昨年8月から情報館の建設を進めていた。
22日、関係者が集まり竣工式が開かれ、神事のあとテープカットが行われた。
新たなスペースの名称は、情報館「さくら」。
香美市産の木材を使用したぬくもりのある雰囲気で、休憩スペースでは、龍河洞を紹介する動画などをモニターで放映するほか、周辺地域の観光パンフレットを設置し、情報発信する。
また、授乳室や化粧室なども設置され、明るく清潔感のある空間となっている。
龍河洞によると、昨年1年間の来館者数は11万2000人と、コロナ禍前の9割ほどにまで回復しつつあるということで、今後、インバウンドをはじめ、さらなる集客が期待される。
※龍河洞ウェブサイト
あぶくま洞、二次生成物に「あぶくま針状鍾乳石」と命名(2023/3/19 福島民報より入手)
世にもまれな鍾乳石だった あぶくま洞で2004年に発見 球状二重構造 近く論文発表
福島県田村市滝根町のあぶくま洞未公開部分で2004(平成16)年に見つかった球体の鍾乳石は研究の結果、球状の二重構造を持つ世界で例がない貴重な鍾乳石だと学術的に裏付けられた。「あぶくま針状(しんじょう)鍾乳石」と名付けられ、近く学会に論文が発表される。あぶくま洞は今年、一般公開から50周年の節目を迎える。市や観光協会は新たな魅力として広く発信する考えだ。
あぶくま針状鍾乳石は直径5センチほどの球体で、マリモのような姿をしている。日本洞穴探検協会が2004年に未公開の「奥本洞」を調査した際、見つけた。水がたまった場所に60〜80個ある。産業技術総合研究所(産総研)地質調査総合センター招聘(しょうへい)研究員丸井敦尚さん(64)=理学博士=が中心となって詳細を調べてきた。
断面は茶色の鍾乳石が白い中心核を覆う二重構造となっており、針状の結晶が外側に向かって伸びているのが特徴だ。放射性炭素を用いた年代測定で中心核は約3万2000年前、茶色の部分は約7800年前にできたと推定した。地球の気候変動と重ねると、外側の茶色の部分ができたのは最終氷期が終わって温暖になった時期に当たる。
この時期は降水量が多く、大量の泥を含んだ水があぶくま洞内に流れ込んでいた可能性がある。丸井さんは(1)中心核は一般的に見られるケイブ・パールで、長い時間をかけて生成された(2)そのケイブ・パールに、泥を含んだ外側の部分が短期的にできた−と結論付けた。流れのある水たまりで転がりながら大きくなることで球状になるという。
日本洞穴探検協会と地元の菅谷大字会、あぶくま洞調査研究会が話し合って「あぶくま針状鍾乳石」と命名した。丸井さんが論文にまとめ、東京地学協会に提出した。
丸井さんは18日、市天地人大学で開かれた日本洞穴探検協会の講演会で、特徴などを解説した。
■「公開50周年の起爆剤に」 滝根町観光協会長
あぶくま洞は1969(昭和44)年に発見され、1973年に観光鍾乳洞として一般公開が始まった。今年は公開50年の節目で、田村市はさまざまな企画を練っている。あぶくま針状鍾乳石はあぶくま洞の学術的価値を高める素材となり、市と地元の滝根町観光協会はPRに努める。
あぶくま洞管理事務所は、あぶくま針状鍾乳石の論文が公表されれば、パネル作成や現物の展示を検討する。今は資源保護のため持ち出していないが、あぶくま洞の魅力の柱として誘客に生かす。
滝根町観光協会の蒲生康博会長(67)は「新しい発見を50周年の起爆剤にしたい」と意気込む。白石高司市長は「あぶくま洞が貴重なものと改めて証明された。地域の宝として大切にする」と誓う。
※あぶくま洞ウェブサイト
あぶくま洞、暗闇で視覚障碍の理解を深める試み(2023/3/8 福島民報より入手)
何も見えない世界 体験 滝根中生 あぶくま洞の暗闇で 視覚障害 理解深める
洞窟の暗闇を利用して視覚障碍者福祉に理解を深める試みが6日、田村市の観光鍾乳洞「あぶくま洞」で再開した。地元・滝根中の生徒が全盲の市民ランナー高沢節子さん(70)=東京都新宿区=と洞内で「何も見えない世界」を体験し、共生社会の在り方を考えた。
1年生約30人参加し、高沢さんと、高沢さんのパートナーである盲導犬ヴェーラと一緒にあぶくま洞に入った。照明を消して約7分間、真っ暗な洞内に滞在した。目の前にいた旧友の姿が全く見えなくなり、恐怖で大きな声を出す生徒もいた。
その後、滝根中に会場を移し、高沢さんの講話を聴いた。高沢さんは前日の東京マラソンに出場し、10.7キロを完走した。「私は目が見えないけど不幸ではない。挑戦を忘れないでほしい」と生徒に語りかけた。普段の生活やヴェーラとの絆について話した。
太田一稀さん(12)は「目の不自由な方々の日常を知ることができた。これからは、困っている人がいたら積極的に声をかけたい」と感想を語った。
あぶくま洞を福祉教育の場にしようと、日本洞穴探検協会が中心となって2019年に始まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施できずにいた。
※あぶくま洞ウェブサイト
「号外地球 通巻74号」発行(2023/3/1 入手)
地質学や地球物理学に関する学術誌「月刊地球」の特別編「号外地球」が発行された。
「特別天然記念物秋芳洞の照明植生 −観光洞窟の再生に向けて」と題して特集が組まれたもので、各分野の研究者より観光洞の悩みのひとつである照明植生(コケなど)について調査結果が報告されている。
内容は以下の通り。
・総論:特別天然記念物秋芳洞の照明植生
・洞内の照明状況と植生分布
・秋芳洞のLED照明植生のssu rRNAをもちいた分類
・秋芳洞の石灰岩・鍾乳石に対する照明植生の浸潤
・画像処理による照明植生分布の評価
・秋吉台・秋芳洞の地形と地質
・秋芳洞の3次元レーザ測定
・秋芳洞の洞窟微気候
・秋芳洞内の大輝エアロゾルの分布とその動態
・秋芳洞の洞窟内を浮遊するバイオエアロゾル
・秋芳洞の地下水と栄養塩
・秋芳洞におけるコウモリ類の生息状況と個体数の季節変動
・秋芳洞千町田プールのヨコエビ類
・秋芳洞の照明植生周辺に生息する洞窟性動物
・国内外の観光洞における照明植生の現状及び対策事例
・照明植生バイオマスの定量的評価
・文献にみる世界の観光洞窟における照明植生対策
・秋芳洞の照明植生対策試行のためのガイドライン
日本洞窟学会からは吉村和久氏、石原与四郎氏、村上崇史氏、鮎沢潤氏、後藤聡氏、石田麻里氏が報告。どのように照明植生を抑え、除去していくか観光関係者には是非購読して頂きたい。
海洋出版株式会社発行。月刊地球編集部編。A4サイズ145ページ。オールカラー。定価8,000円(税別)。3月1日発売。
購入・問い合わせは海洋出版株式会社まで。
※海洋出版株式会社ウェブサイト
「ヨコエビはなぜ「横」になるのか」発売(2023/2/28 入手)
マイナーな生物であるヨコエビを取り上げた「ヨコエビはなぜ「横」になるのか」が発売された。
地球上のあらゆる場所に多くの種類が棲んでいるヨコエビを生態から採集や飼育方法まで書かれている。
そのうちの3ページだけだが、「発見から九一年を経て新種と判明したヨコエビ」として、1927年に「秋芳洞」で発見されたシコクメクラヨコエビが2018年に新種であった(アカツカメクラヨコエビと命名)事例が紹介されている。このことはメクラヨコエビ科は各地の洞窟で新種が発見される可能性を示唆している。
広島大学出版会発行。富岡光著。A5サイズ198ページ。グラビアカラー。定価2,400円(税別)。2月28日発売。
購入は広島大学生協、書店、honto、楽天ブックス、Amazon.co.jpほかにて。
※広島大学ウェブサイト(広島大学出版会)
出流鍾乳洞群、熊の影響で入洞禁止(2023/2/19 入手)
栃木県栃木市「出流鍾乳洞群」の一部が入洞禁止になっていることが分かった。
出流鍾乳洞群は「出流山満願寺」境内にあり、「奥之院」「胎内くぐり」「不動霊窟」「大日霊窟」「大師霊窟」「普賢霊窟」からなる信仰洞。2019年10月の「令和元年東日本台風(令和元年台風第19号)」による土砂災害により、「奥之院」に続く参道が通行止めとなっていたが、2年8ヶ月に及ぶ復旧工事により、2022年6月に「奥之院」への参拝や滝行が再開した。しかし、長らく人間が立入らなかった影響で熊などの動物が降りてくるようになったため、主参道から外れた場所に位置する「不動霊窟」「大日霊窟」「大師霊窟」「普賢霊窟」へは現在も立入禁止となっている。
竹村教誠山主は「滝行をしに非公開エリアに立ち入りしているが、土日に観光客が賑わってくれると獣等の心配が和らぐ。」と語っていた。
※出流山満願寺ウェブサイト
下原洞穴遺跡シンポジウムが開催(2023/2/14 南海日日新聞より入手)
空白の1万年、埋める痕跡 下原洞穴遺跡、研究に期待 天城町でシンポジウム
天城町と町教育委員会主催の「下原(したばる)洞穴遺跡シンポジウム」が12日、町防災センターで開かれた。島内外から約130人が来場。町学芸員、専門家らの発表やパネルディスカッションがあり、同遺跡の秘めた価値や可能性について理解を深めた。
同遺跡は同町西阿木名にある洞窟で、これまでの調査で約3500年前の男女の人骨や土器などが発見されている。さらに約1万3000年前の地層から隆起線文土器と呼ばれる国内最古レベルの土器も発見されており、奄美・沖縄地域の旧石器時代の重要な遺跡として今後の発掘、研究への期待が高まっている。
シンポジウムのテーマは「空白の1万年の痕跡」。奄美・沖縄地域では約2万年前と約7千年前の間の約1万3000年の間の遺跡が極端に少なく「空白の1万年」とされている。同期間の土器が確認された遺跡は2ヵ所しかなく、下原洞穴はそのうちの一つ。
シンポジウムでは町教委の中尾綾那学芸員がこれまでの遺跡調査について報告したほか、土肥直美氏(元琉球大学医学部准教授)、高宮広土氏(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター長)、堂込秀人氏(県上野原縄文の森園長)がそれぞれの研究分野から見た遺跡の価値について見解を述べた。
土肥氏は人骨調査、堂込氏は土器と石器の研究の観点から「空白の1万年の遺物が発見されればさまざまな謎の解明につながる」と、同遺跡の意義と価値について強調した。
高宮氏は同遺跡の最新の研究で、アマミノクロウサギが1万7000年前から人間の食料とされていたことを紹介し、「1万年以上食料とされてきたのに、クロウサギが絶滅しなかったことは世界的に見ても大変珍しい。先史時代の徳之島と奄美大島では、人と自然が調和した生活が営まれていたのではないか」と推察した。
発表後は3氏と熊本大学名誉教授の甲元眞之氏、同町教委の院田裕一教育長が参加したパネルディスカッションがあり、来場者から寄せられた質問に各氏が回答した。甲元氏は同遺跡について「旧石器時代から人々の暮らしがどのように広がって今日に至ったのか、下原洞穴はそのことを知るためにも重要な遺跡」と総括した。
町と町教委は遺跡が町初の国指定史跡となることを目指している。シンポジウムの司会も務めた中尾学芸員は「今回のシンポジウムは指定実現へ向けて地元住民の機運を高めることも目的」と説明。「島外からも参加があり予想以上の手応え。来年度は島外でのシンポジウムを開催して一層の周知を図りたい」とも語った。
※天城町文化遺産データベース ウェブサイト(下原洞穴遺跡)
玉泉洞、バレンタインデー特別企画を実施(2023/1/12 沖縄タイムスより入手)
幻想的なピンク色に! 玉泉洞の人気スポット「青の泉」期間限定で 名称も変更 沖縄
バレンタインデーに合わせた特別企画として、沖縄県南城市のおきなわワールドの鍾乳洞「玉泉洞」内の人気スポットが11日から幻想的なピンク色にライトアップされている。19日まで。
写真スポット「青の泉」で、空間を照らす発光ダイオード(LED)の色を青色から変更し、名称も期間限定で「愛の泉」とする。
新型コロナウイルス禍でも明るい話題を届けようと2021年にピンク色にライトアップすると好評だったといい、担当者は「バレンタインデーのこの時期にぜひ楽しんでもらいたい」と来場を呼びかけた。
問い合わせはおきなわワールド、電話098−949−7430。
※おきなわワールド ウェブサイト
阿蘇ジオパークが3ヶ国と溶岩洞窟で連携(2023/1/8 読売新聞より入手)
阿蘇ジオパークが3か国と連携組織 「溶岩洞窟」では世界初
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定されている阿蘇地域の「阿蘇ジオパーク」が、ベトナム、インドネシア、韓国のジオパークと「溶岩洞窟」に関する連携組織を発足させたことが分かった。調査研究やPRに協力して取り組む。溶岩洞窟に関するジオパーク間の連携は世界初といい、国内外で注目を集めそうだ。
溶岩洞窟は、溶岩が火口から流れ出て表面が冷えて固まる一方、まだ熱い内部で流れ続けることでできる空洞。阿蘇では、草原にそびえる小山の「米塚」周辺の地下にあり、世界最大級のカルデラを有する阿蘇火山を象徴する地形となっている。
阿蘇ジオパーク関係者によると、連携組織は、アジア太平洋地域の火山活動の特質への理解を深め、世界に発信することを目的に、昨年11月23日にベトナムで初会合を持ち、発足した。これに先立つ同年9月にタイで行われたジオシンポジウムで、溶岩洞窟の活用方法を模索していた日本やベトナムのジオパーク関係者の間で交流が深まり、連携の機運が浮上。発足の準備を進めてきた。
連携組織は、阿蘇のほか、アジア最大級の溶岩洞窟がある韓国・済州島、日本と同様の火山地域であるインドネシアのリンジャニロンボク、そしてベトナムのダクノンの各ジオパーク事務局幹部で構成。対話アプリ「ワッツアップ」で各ジオのイベントや現状、課題について、実務者レベルでの日常的な情報交換を行っている。
4か国は今後、それぞれの溶岩洞窟についての研究の手法や成果、進展状況を共有する。日本の漫画やアニメーションの手法を活用したPRツールの開発や、合同シンポジウムの開催、それぞれの地元の学生のオンライン交流も構想。「一生に一度は行ってみたいアジアの4大洞窟」のキーワードでアピールしていくことも検討している。
各ジオパークの魅力を解説したパンフレットや動画を世界各国の旅行商品イベントで紹介することにしており、3月に大阪市で開かれるイベントに出展するパンフの作成を進めている。9月にモロッコで行われる国際会議で、4か国連携の取り組みを発表する。
阿蘇ジオパークの関係者は「溶岩洞窟を介して各ジオパークのより深い文化や景観に触れてもらうという、アジアのゲートウェー(玄関口)の役割を果たしたい」と話す。
※阿蘇ジオパーク ウェブサイト
沖永良部島のケイビングガイドツアーが料金改定(2023/1/6 入手)
鹿児島県沖永良部島においてケイビングガイドツアーを行っている「(社)沖永良部島ケイビング協会」と「(社)沖永良部島ケイビングガイド連盟」が4月1日から案内料金を値上げすることが分かった。
共に物価高騰を理由に挙げ、37.5%〜76%増の値上げを予定している。以下の料金表は共通。
洞窟名 |
〜2023/3/31 |
2023/4/1〜 |
値上げ幅 |
リムストーンケイブ |
16,000円(税込) |
22,000円(税込) |
37.5%増 |
大蛇洞 |
16,000円(税込) |
22,000円(税込) |
37.5%増 |
水連洞 |
26,000円(税込) |
38,500円(税込) |
48%増 |
銀水洞 |
50,000円(税込) |
88,000円(税込) |
76%増 |
※「リムストーンケイブ」「大蛇洞」は「大山水鏡洞」の一部。それぞれ別洞(第二洞、水鏡洞、リムストーンケイブ、石井コウモリ穴、風の吹く穴、文迷洞、大蛇洞)と考えられていたものが連結、総延長10,483m+で国内総延長第3位となっている。
※(社)沖永良部島ケイビング協会ウェブサイト
※(社)沖永良部島ケイビングガイド連盟ウェブサイト
「世界で最も素晴らしい洞窟10選」が発表(2023/1/4 入手)
カナダの旅行雑誌「ザ・トラベル(THE TRAVEL)」は「世界で最も素晴らしい洞窟10選(10 Most Incredible Caves In The World)」を発表した。選出された10洞は以下の通り。
1位 |
シュコツィアン洞窟(Skocjan Cave) |
スロベニア |
観光洞。ツアー有。 |
2位 |
リードフルート洞窟(Reed Flute Cave、芦笛岩) |
中国 |
観光洞。 |
3位 |
ロード洞窟(Tham Lod Cave) |
タイ |
ツアー有。1000バーツ。 |
4位 |
マーブル洞窟(Marble Caves) |
チリ |
ツアー有。52USドル。 |
5位 |
バトゥ洞窟(Batu Cave) |
マレーシア |
ヒンドゥー教洞窟寺院。無料。 |
6位 |
グローワーム洞窟(Glowworms Cave) |
ニュージーランド |
観光洞。61NZドル。 |
7位 |
クルベラ洞窟(Krubera Cave、Voronja) |
ジョージア |
世界最深第2位。 |
8位 |
ナイカ鉱山洞窟(Naica Mine Cave) |
メキシコ |
科学者のみ入洞可能。 |
9位 |
ヴァトナヨークトル氷河洞窟(Vatnajokull Glacier Cave) |
アイスランド |
ツアー有。季節限定。 |
10位 |
ソンドン洞窟(Son Doong Cave) |
ベトナム |
ツアー有。6日間3000USドル。 |
※THE TRAVELウェブサイト(10 Most Incredible Caves In The World)
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