タイトル 地底旅団ROVER元老院第399回CAVING
サブタイトル 第1次風穴調査 in 宮古市
分 類 合同・調査ケイビング
入洞洞窟 風穴
日 程 2023年5月4日(木)〜6日(土)
参加者 細野、菊地敏雄、松本力、山田陽介(以上、東山ケイビングクラブ)、、小向益男、山田努、渡辺修二(以上、日本洞穴学研究所) 以上7名
岩手県宮古市の西側に位置する旧:新里村(2005年、宮古市に吸収合併)は、洞窟の情報がない行政地区だったが、各地に残された言い伝え等を調べると、書籍「にいさとの昔ばなし」のなかに前刈山の奥に「岩屋」と呼ばれる個人所有地内に石灰岩洞窟がある事が分かった。所有者に伺うと「穴はある」とのことであったため、位置確認及び地質調査、生物調査、測量を目的として計画された。


4日13:00、細野は自宅出発。公共機関にてJR大宮駅から東北新幹線にて北上。GW中盤であったため指定席をおさえていたが、乗った車両には10名程しかいなかった。

16:30、JR仙台駅に到着。松本がお出迎え。松本車にて仙台市内を出発。

17:30、岩手県一関市内の山田(陽)宅に到着。神文ストア 萩荘バイパス店にて夕食とお酒の調達。

19:30、山田宅にて、前日に松本が釣ってきた魚を捌き、米を炊き、酢飯を作る。山田寿司の開店。初めはシャリの量とネタの大きさが釣り合わず不細工だったが、数を重ねるにつれて上達が見られ、寿司になっていた。ビールも進み、山田の今後等、他愛のない会話で盛り上がる。

23:00、出発時間も早いため、就寝。
5日3:00、起床。洗面等、準備。

3:30、山田宅出発。ローソン 一関インター店にて朝食を購入し、一関ICより東北自動車道を北上。盛岡南ICを降り、国道160号を宮古方面へ。途中からJR山田線と並走。

5:30、集合場所であるファミリーマート 岩手新里店に到着。山田先生は到着しており、挨拶。行動食、飲料を購入し、他参加者の到着を待つ。

6:00、菊地さん・小向さん・渡辺さんが到着して全員集合。ブリーフィングを行ってから、宮古市腹帯(旧:新里村腹帯)の前刈川沿いを上流へ向い、車両通行終点にて車を駐める。着替えや装備準備を行う。登攀用ロープが重い。

7:00、出発。途中、「山神」石碑に安全祈願。沢沿いに進む。緩やかだがひたすら登り。沢の分岐も、以前訪れたことのある渡辺さんの案内があるので安心して着いていく。

9:10、目の前に急斜面。ここを登り切った先に露頭があるということで、一気に登り切る。

9:30、石灰岩露頭に到着。高さ約20mの露頭の足下に幅約10m、高さ約1mの洞口。のぞき込むと、すぐに直径約20m、高さ約2mのホールとなっていた。
全員、息を切らし頑張った。水分補給をして休息。入洞準備を始めていると、洞口付近の岩壁にテングコウモリ1頭取り付いているのを発見。直射日光だが、寝ているようだ。

10:15、入洞開始。山田先生は化石調査、渡辺さんは蜘蛛・昆虫の調査。他参加者は調査の邪魔にならない様、気を付けながら洞内状況確認と写真撮影。

10:50、全員一旦出洞して測量班と登攀班に分かれて準備。

11:00、再入洞開始。入洞すぐのホール測量と支洞3本。支洞のうち2本は竪穴。
【ホール測量班(スケッチ:菊地、コンパス:小向、メジャー:渡辺)】
ポケットコンパスをホールの中心に立て、数十p間隔でデータを取る。

【支洞測量班(スケッチ:細野、コンパス・メジャー:山田先生)】
枝分かれのない1本通路。緩やかな登りで、中腰での移動から、匍匐前進が必要なくらい低くなり、約1.5mの段差を越えて約3mで通過不可能となる。
最奥付近にコキクガシラコウモリ10頭程度がおり、常に飛び交い威嚇され、時々体当たりされる。一本通路なので基線のデータ取りと記載を先に行い、昼食のため一旦出洞。帰路に山田先生が見つけた化石を教えて貰う。
昼食後、細野が単独で詳細データとりと肉付作業を行う。相変わらず、コウモリの威嚇に悩まされる。

【竪穴登攀班(松本、山田(陽))】
約10mの竪穴を登攀。脱着可能なアンカー「クール パルス」を使用。登攀組が動くごとに落石。下で活動しているホール測量班は落石の着地点から離れた箇所に避難しながら活動。
途中、落石がアンカーに直撃してひん曲がり、使用不能状態。約8000円と高価なのでもったいない。

15:10、活動を終えた竪穴登攀班と支洞測量班は出洞。

15:30、竪穴部の測量のため、山田(陽)・細野は準備をして再入洞。
【竪穴測量班(スケッチ:細野、コンパス・メジャー:山田(陽))】
支洞もなく、天井部に2人が腰掛けられるくらいのスペースはあるが、上部は狭く、大きなガレが詰まっていて通過不可能となる。奥から流れ込んでいる風を感じる。洞幅が狭く、天井部まで1本であるためスムーズに測量。

16:30、全員出洞。荷物をまとめて下山開始。洞口から真下に20m程下った岩陰に流出口を確認。微量ではあるが水が出ている。ひたすら沢沿いを下る。

18:00、駐車地点に到着。着替えをして移動。

18:30、リバーパークにいさとに到着。まずは湯ったり館にて閉伊川オートキャンプ場のチェックインを行い、お風呂にて汗、泥を落とす。

19:00、松本車をオートキャンプ場に移動させて夕食の準備。これから雨予報であったため、テントタープを立て、小向さん持参の新品BBQコンロセットの設置。
その間、松本・山田・細野はジョイス 宮古千徳店にて不足している食材調達。

20:30、炭にも火が入り、肉を焼く前にビールで乾杯。小向さん手配の上あめやの漬け込まれたラム肉4sとホルモン2sをBBQコンロで焼いたり、松本持参のジンギスカン鍋でジンギスカンにしたりとビールが進む。日本酒、ワインも出てくる。飲み食いしながら、談笑。

23:00、お酒も肉も底をつき片付け。

23:30、山田(陽)はテント泊、他の面々は各自、自家用車で車中泊。細野は松本車内。

29:00(5:00)、松本・細野はテント泊している山田(陽)のイビキで一旦起きる。車内まで聞こえる大きなイビキ。
6日6:30、起床。夜から降り続いている雨も落ち着いている。お湯を沸かし、各自朝食をとり、BBQコンロやタープテントを片付ける。

8:00、リバーパークにいさとを出発。途中、岩泉線レールバイクの起点になっている、元JR岩泉線「岩手和井内駅」の待合室にてブリーフィング。宮古市和井内(旧:新里村和井内)岩穴地区でのヒアリングについての打ち合わせ。地区住民は殆どが岩穴姓であり、洞窟に由来していないかヒアリングを行い、所在がわかれば確認を行うという活動になる。

9:00、岩穴川沿いの岩穴集落に到着。車5台でウロチョロしても住民に迷惑かかるので、菊地さん・山田(陽)がヒアリングに向かう。

9:30、ヒアリングを終えたとの連絡が入ったため、集合して成果報告を受ける。岩穴川、岩穴姓の由来は岩穴(洞窟)が由来であることは確認できた。しかし、岩穴の所在を知っている方はいないと言うこと。一番の長老で知っている可能性がある方は、町内の施設に行っており、集落には居ないとのことであった。
以上の報告を受け、これ以上の進展はないと判断し、次の目的である宮古市古田(旧:川井村古田)に移動することにした。

10:30、「古田の風穴」に到着。細野は着替えてやる気満々。他は長靴に履き替える程度。車から3分程度。食物の保管庫のような石を積み上げ上部は蓋をしてあるような人工物。確かに奥より冷気が流れ出ており、長時間は居られないくらい寒くなるが洞窟ではない。蚕種貯蔵の風穴小屋である。周辺の露岩と堆積している岩を確認するが、石灰岩ではない事も確認した。

11:00、活動終了。昼食のため移動。

11:30、十割そば たからやに到着。各々注文。細野は「ミニ天丼セット」(十割そば+ミニ天丼)。松本・山田も同メニューを注文するが、そばは大盛り。

13:00、昼食後にお店の前で解散。細野・山田は松本車に乗り込み、国道106号を西へ。途中、道の駅やまびこ館にてトイレ休憩。
盛岡南ICより東北自動車道を南下。一関ICで降り、ヤマト運輸 一関営業所にて細野の大荷物2箱を自宅へ発送。
途中で山田車に乗り換え、松本と解散。

16:00、JR一関駅にて山田と解散。さすがGW最終日の前日だけあり、指定席はないので自由席。着席はできず、立ち乗りになってしまったが、仙台駅で先発の新幹線に乗り換える乗客が多く空席が出たため、着席ができた。
JR大宮駅より在来線に乗り換え、地元駅に到着。

19:30、細野帰宅。
風穴 風穴 風穴
「風穴」の洞口 洞外岩壁に取り付くテングコウモリ 蜘蛛を確認する渡辺さん
風穴 閉伊川オートキャンプ場 古田の風穴
なんかの化石 活動後の晩餐 非洞窟の「古田の風穴」


洞窟情報の無かった旧:新里村で確認された石灰洞。車を降りてからのアプローチが長いのが難点だが、測量調査、登攀作業、化石の確認、コウモリの確認と、有意義な活動になった。竪穴部の確認と測量が残ってしまったため、もう一度赴く必要がある。
また、岩穴姓は洞窟由来であることには驚いた。洞窟位置情報を入手し、確認すると言う課題も残ったため、次回活動で詰めていく事になる。(文責 細野誠)

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