タイトル 地底旅団ROVER元老院第378回CAVING
サブタイトル 2020年秋芳洞新空間調査 at 美祢市・秋芳洞
分 類 合同・調査ケイビング
入洞洞窟 秋芳洞(風穴−秋芳洞−葛ヶ穴)
日 程 2020年2月7日(金)〜9日(日)
参加者 千葉の、細野、村上崇史、飯田暁、村瀬健志、木村颯(以上、山口ケイビングクラブ)、新田隆(帰水会)、宮岡恒平(うきぐもケイビングクラブ)、後藤聡、黒田朋子(以上、東京スぺレオクラブ)、松本力(東山ケイビングクラブ)、定野愛美(立命館大学探検部OG) 以上12名
日本で最も有名な洞窟「秋芳洞」において、近年確認された新空間の調査にお誘いを頂いた。「大回廊」北部の竪穴の下層部から北西に伸びる新空間「伽藍堂」「ZEROの間」での調査、探検を行うとのことである。
地R元からは千葉・細野が参加した。


7日18:30、細野は松本車に自宅(東京)でピックアップしてもらい、一路山口県へ西走。

21:00、新東名自動車道「駿河湾沼津SA」内の「するが食堂」にて夕食。「桜海老と駿河湾産しらすの五色丼」に舌鼓。
松本は「大丈夫、大丈夫」と言ってそのまま運転。色々な話をしている中、細野は日をまたいだ頃に意識を失っていた。
8日3:00、気が付いたら山陽自動車道「龍野西SA」。松本は仙台を出発してから12時間以上運転していたことになる。
ここでやっとドライバー交代。松本は助手席で仮眠。途中で休憩&ドライバー交代しながら山口県へ突入。

7:00、「山口宇部空港」に到着。「ヤマザキショップ 山口宇部空港店」にて「どん兵衛(関西版)」とおにぎりを購入、誰もいない出口前の椅子で朝食。
土産店はまだ開店していないので、車に戻って仮眠。

8日4:30、千葉は自宅を出発。JR谷保駅から南武線、京浜急行を乗り継いで羽田空港国内線ターミナル駅へと向かう。

6:15、「羽田空港 第2ターミナル」に到着。チケットレスなのでチェックインしなくてもいいし、預ける荷物もない(事前に松本車へ)ので、ぶらぶらと店内を見ながら進んでいると、セキュリティーチェック(保安検査)には長蛇の列が。隣のゲートも同様である。慌てて並び、30分近くかかってゲートを通過。

7:00、朝食を買うこともできずにスターフライヤーに搭乗。機内で後藤さんと出会う。同じ便だったのか。

7:20、離陸。朝食は機内サービスのスープとなった。

9:05、予定通り「山口宇部空港」に到着。ボーディング・ブリッジで後藤さんを待って合流。
手荷物受取ベルトコンベアにはリムストーン「百枚皿」のオブジェが無くなっており、わかっていてもケイバーにとってはなんとも寂しい。
到着ロビーにて細野・松本によるお出迎え。送迎デッキから見ていたらしい。
「ヤマザキショップ 山口宇部空港店」にて朝食を買いに行くと、名物「外郎」を勧められる。炭酸水と外郎で朝食。

9:30、千葉・細野・松本は松本車で出発。後藤さんはレンタカーで出発。

10:00、地元スーパーマーケット「アルク 恩田店」にてお買い物。現地での食事はどのようになるのか全くわからず、適当にパン、水、カップラーメン、行動食(外郎)、ビール、つまみを買う。鮮魚以外でのご当地っぽいものは見つからず。

11:15、コンビニエンスストア「ポプラ 秋吉店」にて昼食を購入。もちろんポプ弁(店炊きごはん)。

11:30、宿泊所となる旧八宝亭に到着。「カルスト学楽舎(木島邸)」が豪邸に見えるほどのすごいところだが、電気は通じているが照明はほぼなく、トイレだけはリフォーム済。
後藤さん、村上君と合流して昼食&入洞準備。先発隊(飯田・村瀬・新田・宮岡・黒田)は入洞済みとのこと。
細野・松本は先発隊と共に洞内泊を意気込んでおり、余計な装備をタックルに詰め込む。
後藤さんはホテル2名分を予約済みと聞き、千葉は急遽、一緒に泊めてもらうことにする。

13:00、「秋芳洞」のエレベーター口から入洞開始。往路は汚れていないので気が楽である。

秋芳洞・須弥山
須弥山から登る細野
13:30、「須弥山」に到着。初入洞者である千葉・細野をはさんでもらう形で、村上・細野・松本・千葉・後藤の順で登る。
「須弥山」へは「風穴」から降りてきたことはあったが、登るのは初めてである。約30mをひとり20分ぐらいかかって登る。松本から分配された余計な装備も加わって、みんなタックルが重い。ピッチヘッドの通過は荷物が引っかかり、なかなかの難所に仕上がっていた。
千葉は右手の腱鞘炎が悪化。かなり痛い。

15:30、さらに短いピッチをいくつかSRTで登って斜洞「大回廊」に到着。この空間を発見した時は盛りがったことだろう。

16:00、「大回廊」を登り切ったところから、今度はいくつかSRTで降りる。
第一ピッチのピッチヘッドは血まみれ状態で、量の多さから鼻血か?と推測したが、村瀬君がハンガー設置時に手を滑らせた結果ということが後でわかった。

17:00、またSRTで登って、また降りてと進んでホール「伽藍堂」に到着。ここで先発隊と合流。
初めて会う人たち、13年ぶりに会う飯田君と挨拶。
松本からは食料の一部を渡される。なぜ、いま、ここで渡すのかは松本のポリシーである。

17:30、後発隊も活動開始。
飯田・新田・宮岡班は「伽藍堂」にて調査。
後藤さんは「ZEROの間」にて、未探検空間へドローンを飛ばすが失敗。帰らぬドローンとなった。
細野・村瀬・松本班は「ZEROの間」にて新空間アタック。トラバースラインを設置、狭洞部を通過して消えたドローンを回収することができた。先の通路とループしていたらしい。狭洞部手前から上部へ延びる通路を確認して活動終了した。

18:15、千葉・後藤・村上・宮岡班は撤収開始。他は洞内泊である。

20:00、洞内泊組は「伽藍堂」に集合して夕食。食料の総重量8.2kg、湯沸し備品、個人備品を背負ってきた松本には脱帽である。
西と東北の洞窟事情、松本の大好きな装備の話で盛り上がる。

20:30、千葉らは「秋芳洞」の観光部に到着。真っ暗な観光部を見学しながら主洞口へ。こうやって改めて見ると、総延長などとは関係なく、国内洞窟のメッカは「秋芳洞」だなぁと強く思う。

20:40、出洞。まわしておいた後藤車で旧八宝亭へ移動。

21:00、旧八宝亭で着替えてから、後藤さんと「秋芳ロイヤルホテル 秋芳館」にチェックイン。
まずは村上君と3人で大浴場で汗を流す。期待してなかったのだが、ライトアップされていたため、夜でも目の前のドリーネが見ることができて安らぐ。

21:30、ラウンジにて懇親会。フロントから電子レンジも借りることが出来て感謝である。

22:00、洞内泊組はブリーフィング。
その後、各自で寝心地の良い場所を選んで就寝。エアーマット、シュラフカバー、夏用シュラフであったが、洞内は15℃前後で快適な環境であった。
翌日、村瀬君と飯田君より言われたのだが、「細野さんと松本さんは瞬殺でしたよ」 との事。そりゃそうだ。仙台からと平日の仕事上がりからそのまま東京より陸路で来た2人なのだから。

23:30、千葉らも消灯。村上君は車中泊。そういえば、宮岡君はどこにいったのだろう?
旧八宝亭 秋芳洞・エレベーター口 秋芳洞・ZEROの間
ベース基地となる旧八宝亭 エレベーター口からの入洞 ドローンを飛ばす後藤さん
秋芳洞・伽藍堂 秋芳洞・伽藍堂付近 秋芳洞・須弥山上部
伽藍堂を上から見る 伽藍堂からの帰路 須弥山へのピッチヘッド

9日6:30、洞内泊班が起床。目が覚めても暗いので、何かおかしい気分。朝食。

7:00、千葉・後藤もホテルで起床。外はちらほらと雪が舞っている。旧八宝亭に宿泊しなくて良かった。
テレビを見ながら室内で簡単に朝食を済ませる。

7:30、洞内泊班は活動開始。
登攀&探検班(細野・村瀬・松本・黒田)は前夜に張ったトラバースラインを越え、村瀬君が上部へ延びる通路をフリーで登るが、十数mで壁となっている事を確認。希望であった通路が終わってしまっていたため、落胆。
黒田嬢は狭洞部を難なく通過。洞壁が脆い上に泥床で、複数人が集まれる場所がないという事で、写真撮影のみを行った。

8:00、千葉・後藤はチェックアウト。ひとり6000円弱ならばホテル泊は大正解である。
旧八宝亭へ移動。村上・宮岡・木村(本日のみ)も合流して入洞準備を進めるが、千葉は腱鞘炎悪化でリタイア。ペットボトルを開けるだけでもつらい。

9:00、「秋芳洞」のエレベーター口へ移動。定野嬢(本日のみ)と合流。
千葉は一般客としてチケットを購入。何度でも入出洞できることを確認し、泥まみれのケイバーと一緒に洞内へ。
再入洞班(村上・後藤・宮岡・木村・定野)は非観光部へ下りて行った。

9:00、洞内泊班は「伽藍堂」に集合。測量装備を持ち合わせていないという事で、出洞を開始する。
再入洞班とバッティングしないようにという配慮であったが、やはりかち合ってしまう。
待機時間が多くなる中、再入洞してきた村上君が「村瀬〜、戻って測量だ〜」と村瀬君に指示。先輩には逆らえず、村瀬・飯田ほか他御一行は「ZEROの間」へと戻る。
細野・松本・黒田は「須弥山」へ降り、黒田嬢を先頭にエレベー タ口を目指す。上流に向かっていることを指摘したが、そのままが水没部「琴ヶ淵」に到着。間違いである。「須弥山」まで戻って後発班を待つ。

9:10、千葉は再入洞班を見送ってから、改めて「秋芳洞」観光を開始。オープンしたばかりなので、洞内はカラガラなのでゆったりと見学。
「黄金柱」「傘づくし」「百枚皿」の音声案内には、萌えサミットということで、甘ったるい音声に代わっていた。特に「傘づくし」は萌えサミットキャラクター「くだりまつ」の声優さんによるもので、語尾には「でちゅ」とつくのには苦笑い。
二次生成物や溶食形態はもちろんのこと、「百枚皿」の秘密を見たり、村上君に教えてもらった松竹映画「八つ墓村」のロケポイントを確認して洞内を楽しむ。観光洞は楽でいい。

9:50、主洞口から出洞。
久しぶりに歩いた「秋芳洞商店会」はかなりの店が閉店していた。感覚的には半分以上が閉店である。どこの観光洞も同じだが、昭和と同じサービスでは閑古鳥が鳴くのも無理はない。お金を落とす場所がないのである。残念である。

秋芳洞ふれあい広場
出張萌えサミットの看板
10:00、サブカルイベント「出張萌えサミット2020in秋芳洞」が行われている秋芳洞ふれあい広場に到着。よくわからないが、出張という形で秋芳洞でも4回目の開催らしい。
まずは案内板を見てざっくり理解。ご当地アイドル「LinQ」と巡る秋芳洞というイベントを発見、これは面白いかもと思ったが、すでに先着60名は締め切られていた。
会場には数々の出店、痛車展示、コスプレイヤーがうろつく。萌えサミットキャラクターの写真撮影会も行われていた。
オープニングイベント、女性自衛官のトーク、なにかの踊りまで見てから離脱。耐えられん。

11:00、「観光会館 安富屋」に移動。商店会の中ほどには、もはやここしか食事できるところはない。
河童そばと迷ったが、美東ごぼうを麺に練りこんだという「ざるごぼう」とビールを注文。乗っているごぼうの素揚げは冷たく(揚げ置きしたもの)、ざるうどんには合わないので、暖かい麺を頼むべきだったか。テーブルに並んだ美少女フィギュアを見ながら完食。

11:40、やることがないので再び「秋芳洞」へ。この時間になるとコスプレーヤーがかなりうろついており、主洞口では奇妙なキャラクターの写真撮影会が行われていた。
主洞口から「黒谷支洞」へ。洞内のあちこちで個人のコスプレ写真撮影会。なんにせよ、洞窟が盛り上がっていることは良い。

12:30、黒谷口から出洞。ここから出入りしたことは初めてで、よく見るとドリーネに作った入口である。
案内板にしたがってカルスト展望台へ、道路を外れての散策路を進む。

12:50、カルスト展望台に到着。しばらくゆったりと見渡す。
ビールでも飲みながらと思い「Mine秋吉台ジオパークセンター Karstar(カルスター)」へ立ち寄るが、併設するコーヒースタンドにはビールはなかった。仕方なく、天然記念物の石碑を見に行ったりする。

美祢市秋吉台科学博物館
5年ぶりの秋吉台科学博物館
13:10、頼まれごとを思い出して「美祢市立秋吉台科学博物館」へ移動。外には2017年に山焼きで亡くなった方への慰霊碑が設置されていた。合掌。
常設展や発見されたばかりの新種アンモナイトを見学してから事務所に顔を出す。5年ぶりに会う山崎学芸員と世間話をしてから荷物を受け取った。

14:00、「無明穴」の洞口を見学してから旧八宝亭へ移動。
いよいよやることないので、持参した小説「つぶやく骨… 秋吉台殺人事件」を読み始める。科博の地下に研究室があったり、山口ケイビング・ベンチャー・クラブが出てきたり、鷹が穴から南西3kmのところに地獄穴があったり、新種の洞窟棲シデムシが発見されたりと、内容は大した面白くもないのだが、素人から見た秋芳洞や秋吉台が楽しい。
次第に寒くなってきた。

15:00、再び「秋芳洞」のエレベーター口へ移動。係員とは3回目の顔合わせとなるため、チケットを見せるまでもなくエレベーターへ。
しばらく待っていたが、洞内組が上がってくる気配もないので、主洞口へと再び観光。今回4回目の「百枚皿」を見て、冒険コース(300円)もチャレンジしてみる。

16:00、5回目の「百枚皿」を見てからエレベーター口へ戻ると、先発班(細野・松本・新田・飯田・村瀬)が上がってきていた。一緒にエレベーターで洞外へ。
旧八宝亭で撤収作業をしていると、遅れて後発班も戻ってきた。
フライトの時間があるため、洞内泊した細野も風呂は断念。

17:30、一足先に千葉・細野・後藤は後藤車で離脱。

18:20、「山口宇部空港」に到着。チェックインを済ませ、お土産を購入。

18:50、 「あす花亭 宇部空港店」にてビールとご当地ものを中心に注文。すぐにラストオーダーとなり、なんとも慌ただしい。

20:00、スターフライヤーにて「山口宇部空港」を出発。

21:40、「羽田空港」に到着。解散となった。
秋芳洞・百枚皿 秋芳洞ふれあい広場 秋芳洞商店会
秘密のある百枚皿 公式キャラクターの公式コスプレ ヨコエビ抱えた禅師かっぱ
観光会館 安富屋 美祢市秋吉台科学博物館 秋芳洞・エレベーター口
ざるごぼう 慰霊碑と秋吉台 泥ケイバーinエレベーター


久々の秋芳洞はやはり大きかった。次回はもう少し余裕があるスケジュールで、腱鞘炎ではないときに新空間調査に参加したいものである。
また、秋芳洞商店会に限らず、洞口前商店には「ご当地」「体験」「映え」をテーマに再生を図ってもらいたいものである。(文責 千葉伸幸)

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