タイトル 地底旅団ROVER元老院第323回CAVING
サブタイトル 第54次内間木洞調査 at 久慈市・内間木洞
分 類 合同・ファンケイビング
入洞洞穴 内間木洞(風穴、上の岩穴、上の岩屋)、下の岩穴bP、下の岩穴bQ、下の岩穴bR、蝙蝠穴(コウモリ穴)−失せ水洞(水穴bP、失水洞)、新失せ水洞(水穴bQ、新失水洞)
日 程 2016年2月11日(木)〜15日(月)
参加者 家崎、小池、有馬、菊地敏雄、松本力、土田孝之(以上、東山ケイビングクラブ)、森住貢一、野池耕平、黒田朋子、吉澤幸絵、伊地知伸行(以上、東京スぺレオクラブ)、平宗雄(あぶくまケイビングクラブ)、小向益男、渡辺修二(以上、日本洞穴学研究所)、林由季子(パイオニアケイビングクラブ)、関博充(三陸ジオパーク推進協議会)、東口和樹、倉片宏樹(以上、明治大学地底研究部)、稲浦翼、小溝一輝、鈴木晋平、野本樹、成海拓弥、小林恭也、高村光司郎(以上、東洋大学探検部)、間庭正倫(日本大学探検部)、田島大貴(東京農業大学農友会探検部) 以上27名
地R元としては2000〜2006年の測量調査に参加し、一時は総延長国内第3位にまでなった岩手県久慈市の管理洞「内間木洞」は、2006年2月の活動をもって調査活動終了となった。
2015年2月には、9年振りとなる第53次調査内間木洞調査(第306回CAVING)が行われ、人工登攀による「千畳敷」「稲妻洞」の各上層の探検を行った。
今回の第54次内間木洞調査は、以下を目的として計画された。
@洞内確認
A生物調査
B氷筍観察会のガイドサポート
C久慈市山根地区までを含む周辺洞窟群の確認
また、主要スポットの写真撮影や、学生を中心とした訓練も併せて行うことにした。
活動期間は2月11日(木)〜14日(日)である。


11日9:00、家崎は岩手県岩泉町内の自宅を出発。龍泉洞事務所で担架を受け取ってから、県道7号線を北上して現地を目指す。

11:00、家崎を始め、参加者が宿舎である「内間木ビジターセンター・ばんどりの家」に集合する。各自購入してきたもので昼食をとる。

【ファンケイビング班(小向・土田・渡辺・伊地知・田島・有馬・東口・倉片)】
12:00、活動を開始する。内間木洞に初めて入洞する者もいるため、 土田の引率のもと「稲妻洞」の「銀河の滝」、「風寒洞」の「死の谷」までの巡検を行う。
「死の谷」手前には「押しの一手」と呼ばれる狭洞部があり、小向はここで負傷した経験があるが、今回は通過してリベンジを果たす。

15:45、出洞。小向は岩泉町内へ帰宅。

16:30、「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。

【買い出し班(松本・家崎)】
12:30、洞内確認班を見送ってから、久慈市内に向けて出発。

13:30、「ジョイス 久慈長内店」にて食材や備品の購入。食当の家崎が活動前に大まかな買い物をしていたため、1時間もかからず終わる。

15:30、買い出し班が宿舎に到着。

17:00、平さんが自家用車にて合流。松本・家崎と3人で飲みながら、夕食の下準備をする。牛豚合い挽き肉を使用する派もいるが、食当の好みにより本日の夕食は豚肉100%の餃子である。
土田は私用のため離脱。

19:00、入泉にいった洞内確認班も帰着し、餃子パーティ開始。ビール片手に、みんなでわいわい餃子の皮に具を包む。焼いたそばから、餃子はビールのつまみになっていく。

20:00、平・家崎・東口・倉片は火照った体を覚ましに、「内間木洞」の「千畳敷」にて氷筍やテングコウモリ、モモジロコウモリの観察をする。

25:00(1:00)、就寝。
内間木洞・稲妻洞 銀河の滝 内間木洞・風寒洞 押しの一手 内間木ビジターセンター・ばんどりの家
「銀河の滝」での記念撮影(小向益男氏撮影) 難所「押しの一手」(小向益男氏撮影) 餃子パーティー開催中

12日6:00、起床。

7:00、朝食(ご飯・インスタントスープ・めかぶ・焼きハラス)。朝からおかずが多い。

9:00、小向が到着。松本車・小向車・渡辺車の3台に分かれて宿舎を出発。
隣接する久慈市山根町の山根洞窟群「新失せ水洞」の洞内確認を行う。

9:40、現地に到着。

10:00、活動開始。「新失せ水洞」へ流れこむ水流が凍っており、滑るために注意を払いながら入洞。洞内確認などを行った。
松本は単独で、隣接する「失せ水洞」の洞内確認を行う。喫煙者の松本は洞内でも煙をくゆらす。

13:45、活動終了。渡辺が離脱。他は宿舎に戻る。

14:15、宿舎に到着。
ファンケイビング班(社会人)と食当班(学生)に分かれて、行動を再開する。

【ファンケイビング班(平・小向・松本・家崎・伊地知)】
14:30、急いで準備をして入洞。夕方に平さんが離脱するため、思い出を辿るコースを松本がプレゼンツ。
まずは「稲妻洞」の「禁断の社」へ「逆さリムストーン」を探しに向かう。水没した時に天井に残された空間と、水面との間にできたものではないかとのことで、平さんが以前見かけたことがあるという。
「お化けトンネル」から「砂場」を通過し、「砂の銀世界」の方向に進む。天井高は70cmほどと、匍匐で進まざるを得ない高さ。所々、木の看板が設置してある。
つらら石の下にストローが垂れさがり突起を形成している「乳房石」を通り過ぎ、「勾玉の池」を通過した辺りで、通路が狭くなる。図面上では「稲妻ジャンクション」へ続くことになっているが断念する。

15:30、「お化けトンネル」まで戻り、続いて「銀河の滝」を目指す。「第2ヘアピン」が水没していなかったため、下層を順調に進む。「魔のチムニーbQ」には、去年の第53次調査内間木洞調査(第306回CAVING)で設置されたロープが残置されていた。
「ボンボリ流し」にてムーンミルクを鑑賞し、荘厳なフローストーンに感動。小向は短いヘリクタイトを発見する。

16:00、「銀河の滝」に到着。15mほどの高さから水が流れ落ちる。渇水時期なのか迫力が少ない。しばし写真撮影し、帰路はサクサク進む。

17:00、出洞。小向は岩泉町内へ帰宅。

17:30、「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。

【食当班(田島・有馬・東口・倉片)】
新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉 後、夕食の準備に入る。

19:00、夕食(ひっつみ・ごはん)。
「ひっつみ」とは小麦粉を練って、すいとんの様に汁物の具にした岩手県の郷土料理である。練って一晩寝かせたひっつみのタネを、親指でを少しずつひっつみ(ねじり)切りながら、形を整えて鍋の中に入れていく。明大鍋(醤油ベース)と、農大鍋(味噌ベース)の2種類の味ができており、堪能する。
25:00(1:00)、就寝。
新失せ水洞周辺 内間木洞・稲妻洞 ぼんぼり流し 内間木ビジターセンター・ばんどりの家
「新失せ水洞」へ 「ぼんぼり流し」のムーンミルク ひっつみをひっつむ(松本力氏撮影)

13日4:00、東京組(野池・黒田・遠藤)が宿舎に到着。静かに仮眠。平さんが離脱。

6:00、東洋大学探検部が岩泉町での調査を終えて合流。にぎやかな声に各々起床。
東洋組にベーコンエッグを作ってもらうも、火力が強すぎて黄身がぼろぼろになってしまう。

7:00、朝食(ご飯・インスタントスープ・ベーコンエッグ)。

9:00、小向・関が到着。

10:00、各班に分かれて活動を開始する。

【稲妻洞班(松本・野池・黒田・吉澤・関・林・稲浦・鈴木・成海・間庭)】
「稲妻洞」の「銀河の滝」までファンケイビング。入洞経験者も多く、夜間移動をして今朝着いたメンバーも多かったため、早々に切り上げる。

14:00、出洞。
野池・黒田・遠藤は洞内に残り、「千畳敷」にて氷筍の写真撮影を行う。他は「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。

【北洞・風寒洞班(小向・伊地知・家崎・東口・倉方・田島・有馬・小池・小溝・小林・高村・野本)】
「北洞」の「空中庭園」を目指してのファンケイビング。「空中庭園」を知る者はいなかったが、人海戦術で探し出そうと、みなやる気は満々。
観光洞部分終点「大広間」から「神秘の門」を越え、「北洞」を進んでいく。「神秘の門」は幅50cmの狭洞部であるが、全員がなんなく通過する。
松本からの事前情報では、「まんじゅう石」を越え、「花笠」で「北洞」の中層へ上り、そのまま「北洞」上層の「久光支洞」と上がっていき、「空中庭園」にたどり着く、とのことだった。

12:00、直径2mほどの立派な石柱からの分岐を、家崎・東洋大班、日大・農大・小向・伊地知班に分かれて探査。しかし、まず「まんじゅう岩」がわからず、もちろん「花笠」もわからず。残念ながらたどり着くことができなかった。

14:00、出洞。
小向・家崎・東口・田島・有馬は「風寒洞」のファンケイビングへ。他は「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉。

14:20、再入洞。「風寒洞」の「押しの一手」から「死の谷」までへと挑む。初めて入洞するのは家崎のみ。何回も入洞している学生達は狭洞部「押しの一手」はなんのその。メインルートではない、狭洞部を見つけて出しては探検していた。
「死の谷」は5mほどのクラックであり、フリーで降りるのは危険なため引き返す。

15:20、出洞。

16:00、写真撮影を行っていた野池・黒田・遠藤が最後に出洞。

16:30、宿舎にて野池から学生へのハーネス装着など、SRT講習が始まる。夕食の準備を学生に任せ、松本・伊地知・黒田・遠藤・家崎は送迎と入泉へ向かう。

17:30、松本らは宮古市内の「道の駅やまびこ館」に到着。伊地知が離脱。森住がバスにて合流。

18:00、松本らは「新山根温泉べっぴんの湯」にて入泉後、宿舎へ戻る。

19:00、夕食。岩泉町「上あめや」のホルモン鍋とご飯。ご飯を炊いておくのを忘れて、夕食が遅くなる。
総指揮者:菊地も到着し、にぎやかな夕食となる。田島・有馬による農大伝統芸能「大根踊り」が宴を盛り上げる。

21:00、宿舎の梁を使って松本・野池がロープをリギング。学生達のためのSRT昇降訓練を行う。
黒田・遠藤・家崎は翌週に「大久保の風穴」で行うレスキュー訓練の打合せを女子部屋で行い、Zリグなどのレスキューリギングの練習をする。
14日合流予定であった久米・後藤から欠席連絡が来る。

22:00、森住・黒田・遠藤・家崎は氷筍の写真撮影のため、「内間木洞」に入洞。「千畳敷」では日中の気温が高いからか、氷筍がとけて折れはじめている。
女子3人衆は割れ目に潜むモモジロコウモリや、お腹の毛色の様子がハート型のテングコウモリを見て「かわいい」と興奮。
25:00(1:00)、就寝。一部の学生は訓練にいそしんでいた。
内間木洞・北洞 神秘の門 内間木洞・北洞 内間木洞・風寒洞 死の谷
「神秘の門」を通過(小向益男氏撮影) 「空中庭園」はどこ? 「死の谷」を覗き込む(黒田朋子氏撮影)

14日6:00、起床。

7:10、朝食(ご飯・インスタントスープ・ベーコン)。セルフサービスでかきこむ。

7:30、「内間木洞まつり」で食堂として「内間木ビジターセンター」を使用するために、あわただしく宿舎の清掃をする。

8:00、駐車場では地元の方が集まりはじめ、強風の中でテントの設営や、露店の準備をはじめる。

9:00、各班に分かれて行動を開始する。
家崎は離脱。露店には串焼きや田楽が並び、食堂ではまめぶ汁やそばが販売され、多くの人で賑わい始める。

【リギング訓練班(松本・倉方・林・田島・有馬)】
「千畳敷」の「熊のねどこ」付近の、8mほどの崖にて学生向けのリギング訓練を行う。

10:00、午前の部(松本・林・倉片)開始。松本講師から学生達にトラバースの通過の仕方、リギングの基礎(ノットの作り方やロープの張り方)等、細部にわたって指導をする。

12:00、午前の部終了。出洞。

13:00、昼食後、午後の部(松本・田島・有馬)開始。有馬は洞内でのSRTは2回目である。

15:35、午後の部終了。出洞。

【ファンケイビング班(有馬・田島・小溝・小溝・鈴木・高村・成海)】
学生主体で「稲妻洞」の「銀河の滝」を目指してファンケイビングを行う。

9:00、入洞開始。滴下水があまりにも多く、綿つなぎが早い段階でびしょ濡れになる。ケイビングスーツで来なかったことを早々に後悔する一同。「第2ヘアピン」が水没していたため、先へは進めず。

10:00、「お化けトンネル」まで戻り、「風寒洞の」「押しの一手」へ。今回の活動で3回目の者もおり、なんなく通過。「死の谷」を見学。

11:00、「千畳敷」に戻り、「新川洞」にて菊地にムーンミルクがあるよと言われ、観察する。触ると弾力があり柔らかい。
「千畳敷」にてモモジロコウモリやテングコウモリなどのコウモリの種類も教えて頂く。

11:30、「氷筍観察会」に参加されている女性とお話しながら出洞。地域の方にご厚意でイノシシ鍋をいただく。

【内間木洞ガイド班(菊地・森住・野池・黒田・遠藤・関・小池・稲浦・小林・野本・間庭)】
年に一度の一般公開である「氷筍観察会」のサポートを行う。

10:00、スタッフミーティング。スタッフは1時間おきに交代しながら、「氷筍観察会」会場の「千畳敷」に待機する。参加者が観光通路より奥に入らない様に指示をしたり、「なぜ氷筍ができるのか」といった質問への対応などをしていた。
空いた時間は写真撮影を行ったり、露店を物色したりと「内間木洞氷筍まつり」を満喫する。

17:00、全班出洞。
社会人はそれぞれ離脱する。松本は仙台の自宅へ。東京組(野池・黒田・遠藤・森住)は東北自動車道を南下し、長い旅路に。

18:30、菊地と学生達は「内間木洞氷筍まつり」の打ち上げに参加させて頂く。地域の方に温かく迎えられ、料理をいただく。感謝。
カラオケをしながら、農大伝統芸能「大根踊り」で盛り上がる。

22:00、地域の方にお礼を伝えながら、懇親会場をあとにする。

22:30、宿舎に到着。東洋大学探検部が前活動であまった食材を持ち込んでいたため、その食材でカレーを作る。

25:00(1:00)、就寝。
内間木洞周辺 内間木洞・千畳敷 内間木洞・千畳敷
「内間木洞氷筍まつり」開催中 観察会の様子 リギング訓練(小向益男氏撮影)

15日6:00、起床。

7:00、昨夜作ったカレーを朝食としてまた食べる。

8:00、宿舎清掃。

9:00、全体解散。
東口・倉片・田島・有馬は翌日から「白蓮洞」にて、「明治大学地底研究部冬季合宿」である。明大車(軽)に4人でぎゅうぎゅう乗り込み、住田町に向っていった。


今回はファンケイビングが多く、調査や測量は行わなかったものの、「内間木洞」の魅力を改めて発見することができた。
また、食事が美味しい、楽しいというお褒めの言葉を頂き、食当冥利に尽きる活動でもあった。(文責 家崎晶)

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