タイトル 地底旅団ROVER元老院第234回CAVING
サブタイトル 日本洞窟学会第35回大会・秋吉台大会
分 類 大会ケイビング
入洞洞窟 秋芳洞、大正洞、兼清洞、景清洞−獅子の抜け穴、珊瑚穴
日 程 2009年9月18日(金)〜23日(水)
参加者 千葉の、細野、佐野ほか 以上参加者約200名
秋吉台科学博物館
メイン会場である秋吉台科学博物館
「地底旅団ROVER元老院」としては昨年の浜松大会に続く、俗称:ケイフェスへの参加である。
今年は日本洞窟学会主催、美祢市立秋吉台科学博物館・山口ケイビングクラブ共催にて行なわれ、正式名称は「美祢市立秋吉台科学博物館創立50周年 日本洞窟学会第35回大会・秋吉台大会」。大会期間は8月19〜23日である。


18日21:30、地R元3名と石黒君@早稲田大学探検部が千葉宅に集合。細野車にて中央自動車道経由で秋吉台を目指して出発する。
千葉は19日11:00から学会評議員会が控えており、それまでには到着しなければならない。
19日8:00、千葉が目覚めるとそこは渋滞のなかであった。大阪の通勤ラッシュにぶつかってしまったらしい。
その後はいつのまにか山陽自動車道に入ってしまい(山陰自動車道の予定であった)、断続的に渋滞に巻き込まれる。
もはや評議員会には絶対間にあわない。評議員会にゲスト参加する予定の会員へ、メールでこと細かくケイビングジャーナル編集委員会の報告や全体議題を伝言してもらう。はたして千葉の言いたいことが伝わったのか・・・。

15:00、秋吉台到着。評議員会へ連絡するともう終わったのこと。無念。悔やんでも仕方ないので、湧水「別府弁天池」を見学する。帰路、スーパー「丸和 秋芳店」にて夕食の買い出しも済ませる。

16:00、佐野と石黒君は「秋芳洞」観光。千葉と細野は「秋芳洞ふれあい広場展示館」を見学。

17:00、参加手続を済ませ、そのまま第2講座室に潜りこむ。

22:00、続々と集まってくるケイバーと共に飲みながら談笑。そして消灯。
20日9:00、秋吉台科学博物館第1講座室にて、ケイビングジャーナル販売ブースや洞窟救助隊ブースの設置を行なう。

10:00、気分転換に「秋吉台エコ・ミュージアム」へ向かう。リアルな造形物に関心しながら見学。続いて「大正洞」「景清洞」観光を行なう。

13:00、巡検スタッフが「兼清洞」へ行くとの連絡があったので同行させてもらう。この洞穴は松竹映画「八つ墓村」のロケ地になったところで、千葉はひとり興奮する。狭い洞口前だが、構図を工夫してうまく撮影してたようだ。
山口大学洞穴研究会の面々はしょぼ穴のようなことを言っていたが、関東ケイバーにとっては大洞窟。グアノタワーや微水流があり、なかなか楽しめた洞穴であった。

16:00、秋吉台科学博物館に戻ると、そこへインパクト大の車両が到着。クラブカラーに装飾したJ.E.Tのトレーラー「洞窟救助装備専用車輌」である。久々の再会よりも車両が気になり、装備内容や車両改造の話に盛り上がる。さすが行動力のJ.E.Tである。

17:00、千葉は学会総会に出席。

19:00、第1講座室にてポスター講演。今年はミニレセプション付きという新しい試みで、ビール片手に気さくに発表者へ質問する姿が多々見られた。

22:00、第2講座室へと移って飲みながら談笑。そして消灯。
秋吉台科学博物館第1講座室 秋吉台科学博物館 秋吉台科学博物館第1講座室
ケイビングジャーナル販売ブース J.E.T「洞窟救助装備専用車輌」 ミニレセプション付きポスター講演


「洞窟生態学講習」へは千葉が参加。松村先生と太田先生のご指導のもと、「景清洞」「兼清洞」にてコウモリを中心とした観察を行なった。

「洞窟救助訓練−中級」へは細野が参加。午前は秋吉台科学博物館第1講座室にて座学。洞窟救助委員会作成の講習テキストにより、基礎知識である、力と落下率の説明。個人・団体装備の利用方法。支点作成(スピット打込、流動分散等々)の注意点。ホーリング(1/3システム、カウンターウェイト、カウンターバランス)、ロワリング、ディビエーション等々の説明が行われた。座学後、屋外にてストレッチャー「ネスト」を使用し取扱、要救助者の収納、搬送を実際行い、注意点などの説明を受ける。流動分散の実技練習をした。
午後は各々竪穴装備を着け、駐車場(秋吉台青年宿泊訓練所跡地)へ集合。樹立している木々にストップを用いたチロリアントラバースを張る練習、1/3システムの作成方法を練習した。その後、3人1組となりカウンターウェイトの実技。ウェイト役、コントローラー役を経験し、原理とシステム設置方法学べた。応用としてカウンターバランスの説明を受け、解散となった。
1日の洞窟救助訓練講習であったが、これまで他救助訓練に参加することが出来なかった自分にとっては、とても有意義な内容であり、洞窟救助への意識が高まった。

「横穴地形講習−横穴」へは佐野が参加。午前は「影清洞」、午後は「大正洞」の観光コースを歩きながら、浦田先生による洞窟の地形・成因などを解説していただく。中でもパラジェネシス(埋没拡大)という洞窟の拡大の仕方を詳しく説明してくれて、とてもわかりやすかった。また浦田先生はとても気さくな方で、参加者の質問にも親切に答えてくれた。普段気にもとめないような壁面の微妙な違いからいろんな情報が読みとれるのだなぁと感心した。

19:00、「秋芳ロイヤルホテル秋芳館」のコンベンションホール「石筍」にて懇親会。諸先生方、見慣れた顔、久々に会う顔、若々しい学生ケイバーと酒を交えながら、穴話が弾む。もちろん旅団員3名は正装「穴法被」でうろちょろ。学生ケイバーやケイビングを始めたばかりの人から「地底旅団の方ですよね?良くHP見させてもらっています」「素敵な法被ですね」と話しかけられ、関東や東北方面の穴話で盛り上がった。会場がホテルということもあり、裸族系が出ることはなかったが、Tシャツビリビリ上半身裸は出現・・・。
2時間があっという間に過ぎ、会場のホテルを後にした。秋吉台科学博物館講座室に移動し、有志にて2次会が開かれる。地R元からは「地底湖の酒」「龍泉洞珈琲」を差し入れた。引き続き穴話等々が盛り上がる中、時間が経過するにつれ床で寝てしまう者、トイレから戻ってこない者が出てくるのであった。

25:00、順次消灯。
景清洞 兼清洞 秋吉台青年宿泊訓練所跡地"
「洞窟生態学講習」コウモリ観察 「洞窟生態学講習」コウモリグアノタワー 「洞窟救助訓練−中級」1/3システム訓練
秋芳ロイヤルホテル秋芳館 秋芳ロイヤルホテル秋芳館 秋吉台科学博物館第1講座室
なかよし地R元とJ.E.T 上野先生と愉快な仲間たち 2次会も大盛り上がり

22日5:00、起床。仕事の都合で千葉帰京のため、細野・千葉は山口宇部空港へ出発。

8:30、細野は大会会場へ戻り、早急に巡検準備。

9:00、各講習開始。
「洞窟地形講習−竪穴」へは細野が参加。「獅子の抜け穴−景清洞」にて講師:浦田先生による講習となった。秋吉台科学博物館より車で移動後、山中へ入り藪こぎをしながら、約1時間アプローチをし、「獅子の抜け穴」到着。洞口は小規模なドリーネの底であった。
入洞開始となるが、第1テラスでは1人、第2テラスでは2〜3人しか待機が出来ず、第3テラスでの全員集合との事になり、入洞するまで30分以上待つことになる。暇なので、付近の散策。幾つかのドリーネを確認したが、後で聞いた話、どこも開口はしていないとのことであった。
洞口より3m程までは下降器を握れない程、狭いため、あらかじめロープをたぐり寄せ確保をとる。途中までズルズルと摩擦のみで下降し第1、第2テラスを経由。常に胸や背中が洞壁に当たっていたためか、高低差約80mとは感じられなかった。入洞前に聞いていた飽和帯竪穴を観察しながら下降し、第3テラスに到着。洞壁を見ながら、パラジェネシス峡谷の形成方法の説明が浦田先生よりあった。
その後、景清洞へ下り着き、洞壁・洞床が説明通り形成状態であることを確認し、秋吉カルスト洞窟群形成過程を知ることが出来た。

「ケイビング−横穴上級」へは佐野が参加。会場は「珊瑚穴」で、今回は横穴部分から入洞したが、SRTやラダーで降下する竪穴洞口もあるようだ。「珊瑚穴」は秋吉台カルストの中ではそれほど大きな洞窟ではないが、チムニーやクライミング技術を駆使して登るとこがあったり、20m近く続く斜洞があったり、地底湖があったりとかなり楽しめる洞窟であった。ただ、観光洞の近くにあるためか、洞外からの水流で流入したと思われるゴミがたくさんあった。お菓子のパッケージや発泡スチロール、車のタイヤなど。中でも一番驚いたのが5m以上もあるパイプ状の何か。こんなものがどうやって流入したのだろうか。
横穴上級ということで初心者の佐野には少し不安があったが、無事最奥部まで到着。しかし、洞口に引き返す途中の通称:懸垂ロック(高低差3m程で、上の岩を掴んで懸垂するように登る箇所)で1名が左腕を脱臼。本人が救助を希望したため、ただちに山大2名が洞口へ向かい、大会本部に連絡。救助が来るまで、残り6名は待機。15:00頃から救助を開始、待機中だった巡検者は救助のサポートをした。基本は自力で歩き、難しいところは1/3システムで引き上げるというかたち。竪穴部はカウンターウェイトでの引き上げを行い、16:00には洞口に到着した。
自分もサポート役として救助に参加したが、救助訓練を1度も受けていなかったので、要領がわからず邪魔になっていた場面もあったかもしれない。だが、間近でレスキューを見れることなど滅多にないのでいい経験になった。これからは今まで以上に気を引き締めて穴に入ろうと思う。

18:00、各巡検終了後、大会参加者へ挨拶をしてから秋吉台出発。帰路の運転者は細野ただ1人。覚悟はしていたものの約1000kmの道のりは疲れる。途中、大津SAで3時間程仮眠と時々の休憩をとり安全運転。
獅子の抜け穴付近 獅子の抜け穴 獅子の抜け穴
「獅子の抜け穴」へのアプローチ 「獅子の抜け穴」の洞口 「獅子の抜け穴」の溶食

23日13:00、千葉宅へ到着。貸し出していたストレッチャー、テント、装備を返却。

13:30、JR西国分寺南口ロータリーにて解散。


全体を通して、とても有意義な内容であった。普段話す機会が少ない西日本学生との交流と、普段余り接触の無いケイバーとの交流。それだけでも参加した意味があったと思う。(細野)

洞窟学会大会には初めて参加したが、昼は洞窟に入り、夜は飲みながら洞窟の話をして本当に穴三昧という感じだった。日本全国のケイバーがこんなにも集まるのはこの大会だけであろう。懇親会では社会人・大学生に関わらずいろんな方とお話ができたのがよかった。西日本は洞窟に恵まれているためか、関東に比べ学生ケイバーも多くうらやましい。今回できた知り合いを頼りに西日本の洞窟にも行ってみたい。(佐野)
(文責 細野誠・佐野洋輔・千葉伸幸)

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