タイトル | 地底旅団ROVER元老院第210回CAVING | ||||||
サブタイトル | 山梨県小袖鍾乳洞洞内清掃 at 丹波山村・小袖鍾乳洞 | ||||||
分 類 | 合同・調査・清掃ケイビング | ||||||
入洞洞窟 | 小袖鍾乳洞第1−7洞、小袖鍾乳洞第2−3−4洞 | ||||||
日 程 | 2008年5月18日(日) | ||||||
参加者 | 木嵜、本田、芦田、星野、千葉の、村野て、古村有希絵、西村朋弥(以上、東京農業大学農友会探検部) 以上8名 | ||||||
小袖鍾乳洞は12洞15洞口で構成される洞穴群である。第1洞や第3洞は少なくとも天保年間から信仰洞として機能しており、1960年代にはバンガロー営業者によって管理されていた。1980年代からは関東地方のケイビング愛好者により手頃な洞穴として親しまれていたが、1990年代に洞内事故が相次いで発生、関係者に多大なる迷惑をかけて1996年に閉鎖された。しかし昨年1月、約10年ぶりに入洞が許可された。その時の調査活動では、洞内に過去の入洞者が残していったゴミの散乱が目立つ反面、コキクガシラコウモリ・キクガシラコウモリ・モモジロコウモリ及びウサギコウモリなど様々なコウモリが生息していることが確認された。 本活動は、前回に引き続き洞内清掃活動とコウモリの洞内活用方法の検証を行うとともに、過去の調査で未完結となっている第1−7洞と第2−3−4洞との接続探査を行うことを目的として企画された。 18日8:30、山梨県丹波山村役場に到着。役場及び消防の方々に挨拶して、鍵を貸していただく。 9:00、小袖集落到着・準備。木嵜・千葉・村野以外はみな小袖鍾乳洞に初入洞となるため、測図を見ながらブリーフィングを行う。 9:30、小袖集落を出発。天候が良く、アプローチも気分が良い。 10:00、小袖鍾乳洞洞口に到着。「清掃班(木嵜・本田・芦田・星野・西村・古村)」と「接続探査班(千葉・村野)」に別れて活動開始。 【清掃班】 斜面を登って第7洞へ。洞口で記念撮影しようとしたところ、木嵜が千葉のカメラを転がし、危なく崖下へ落としそうになるハプニングがあった。 10:30、入洞開始。洞口付近でキクガシラコウモリ3頭を確認。ゴミ探索及び回収しながら前進する。前回にできる限りのゴミ回収を行っているが、まだまだ回収しきれていない。 11:30、「ナリサワスロープ」に到着。ここは急勾配の下り斜洞であるが、木嵜が体を張って踏み台となってくれたおかげで、無事全員に通過。生まれて初めて女性を踏み台にした気がする。しかし、事前情報もなく訪れたとしたら、ここで事故が起きることは頷ける。危険と隣合わせな活動ということを再認識させられる場所だった。 12:00、「滴下水プール」に到着。先ほど身を呈して優しく守ってくれた木嵜より「この水、全部身体で吸い取って」との鬼指令が・・・。芦田・西村・古村が人間雑巾となり、プールの冷たい水を全てなくし、先輩方に快適な道を提供する。偉くなったら俺も新人に同じことをさせようとふつふつ想いを抱く芦田であった。その先は、ものすごく狭い所を這い蹲りながらも前進。 12:30、第1洞と第7洞の接続部分を通過し最奥プールへ。網の目のような岩を降り、第1洞洞口へと繋がるルートを探すが見つからない。 13:30、「滴下水プール」まで戻って現在地を確認。木嵜・本田・星野がルート探索を行い、芦田・西村・古村は「滴下水プール」で待機する。 14:30、目印となるクラック部を発見することで帰路ルートを確認した。 15:00、千葉のいたずらにより帰路ルートを石で塞がれていたが、「清掃班」の出洞が遅いのを心配して迎えに来た村野の案内により、第1洞から無事出洞。村野が神々しくに見えた一瞬であった。 【接続探査班】 10:00、第1洞に入洞。まずは−3mピットを降り、南側支洞を探索した。狭いトレンチを進むと、5mほどでトレンチは右側洞壁の下に小穴となって潜り込んでいる。報告ではこの穴の延長線上に第2洞があるとのことだが、天井高がとにかく低く、気流もない。それに第2洞との高低差もかなりありそうだ。ここでの接続は"ありえない"と判断し、引き返した。 大日石碑のある小ホールに出ると、テングコウモリ3頭を視認した。1列に連なってかたまっており、カワイイ・・・。 ゴミ収集をしながら上層部へ登り、北端近くの小支洞入口へ到着。ここは気流の吹き出しが顕著で、第2洞と接続している可能性が大きい。ここが過去の報告で「音声確認ができた」という場所とみて間違いないだろう。 11:00、一旦出洞して第2洞へアプローチする。しかし、洞口直下の+5m岩壁にはコケが繁茂し、おまけに湿っていて足元がツルツル滑る。ここからのアプローチは危険と判断、第4洞から入洞することとした。なお、第4洞手前に奥行5mほどの小穴(新洞)を確認した。誰か測量してください。 第4洞に入洞すると、すぐにキクガシラコウモリ100頭余を視認した。そして驚いたことに、洞口から20mほどの小ホールで、まだ新しいスズランテープが残置されていることを確認した。前回入洞時にはなかったもので、無許可入洞しているものがいるのだろうか。洞穴の奥の方まで張り巡らされており、次回回収しなければなるまい。なお、このホールでコキクガシラコウモリ250頭余がコロニーを形成していた。 第4洞から第2洞への接続部を千葉の記憶を頼りに探すも、どうやら最終入洞から10年も経つと記憶の彼方へ行ってしまうらしく、同じところをぐるぐると回ってしまう。測図とにらめっこして接続部を探し当て、−10m竪穴を降りて第2洞へと降り立った。第2洞内部を探索し、風の吹きこみがある小支洞を確認。どうやらここが接続部らしい。支洞内部を3mほど探索して引き返した。 13:30、第2洞より出洞、昼食を取る。 14:00、第1洞に再入洞。ハンマードリルで例の風の吹き出す小支洞を掘削し始める。しかし、1mくらい進むと、その先は直径15センチ程度のボアパッセジとなっており、入洞するには洞壁をまんべんなく削って直径を倍以上にするか、ダイナマイトで爆破するしかなさそうだ。というわけで、接続作業は断念した。 14:30、村野は出洞の遅い清掃班の様子を見に洞奥へと向かった。千葉は地上測量用の機材を車両へ取りに行った。 15:00、村野は第7洞接続部で清掃班と合流、第1洞から出洞した。 記念写真撮影後、小袖集落に向けて出発。千葉・芦田・村野は残り、第1洞と第2洞洞口の位置を出すために地上測量を行った。 15:30、小袖集落到着。最終的に両手で抱える程のゴミを収集した(スズランテープが主)。 16:00、小袖集落出発。 16:30、丹波山村役場に到着。鍵を返しに行くが、何やら緊迫した空気が・・・。何か事件か事故が起きている模様だ。挨拶をしようとするも役場の方にあまり相手にされず、緊迫した空気を横目にすごすごと温泉へ出発。役場すぐ近くの温泉「のめこい湯」に移動、露天風呂で体を癒す。 17:30、施設内の食堂のラストオーダーに間に合わず、あえなく出発。 18:30、奥多摩町内の「釜めし鳩の巣」にて夕食。きのこ釜飯や山菜釜飯を堪能するが、なぜか1名揚餃子定食・・・。 19:30、出発。 20:30、福生市内にて解散となった。 今回の清掃活動では、前回同様多くのゴミが回収された。しかし、まだまだ残置されているゴミは多い。そればかりか、新たなゴミの残置も確認された。小袖鍾乳洞群入洞には、許可が必要であることを知らないのだろうか。ケイバーの所業とも思えず、ケイビング技術を知らない者が安易に入洞しているとしたら危険である。役場に情報提供を行い、今後の対応策を検討しなければなるまい。 コウモリの生態に関しては、前回(昨年1月)の観察結果と合わせ、第4洞はコキクガシラコウモリの冬眠洞兼生活洞、キクガシラコウモリの生活洞であると推察している。今後も季節を変えて検証していきたい。 第1洞−第2洞接続部の平面距離は、地上測量の結果と測図とを合わせることで4m程度と計算された。実際の入洞不能距離は1m程度であろう。 今回の活動報告は「山梨県北都留郡丹波山村・東京都西多摩郡奥多摩町 2008/5/18小袖鍾乳洞群巡検報告」としてまとめ、後日、役場へ提出した。(文責 芦田拓郎・村野哲雄)
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