タイトル 地底旅団ROVER元老院第133回CAVING
サブタイトル 奥多野かんな姫計劃・第22次神流町立処山洞穴調査
奥多野かんな姫計劃・第1次神流町旧万場町地区洞穴調査
分 類 調査ケイビング
入洞洞窟 ちゃんから穴(珍空洞、チャンカラ洞、恐竜洞)、目玉穴、抜け穴(登り穴)、立処鍾乳洞(立処山の鍾乳洞、立処山鍾乳洞、鐘乳穴、立処鍾乳洞第1洞、立処山第1洞、大黒洞、井戸穴、水穴・田戸呂山鐘乳穴)
日 程 2004年8月8日(日)〜9日(月)
参加者 村野て、酒井 以上2名
古鉄橋付近「奥多野かんな姫計劃」の一環として企画された。
立処山は1980年に「明治大学地底研究部」によって洞穴調査及び測量がなされているが、地主の話によると未報告の洞穴が多数あるようなので洞穴調査・測量を行うことにした。
また旧万場町・鬼石町地区には小さな石灰岩帯が30近く点在しており、いくつかの洞穴の存在が知られているが、未測量・未報告の洞穴もあるようなので調査・測量を行うことにした。
今回は叶山写真撮影、「ちゃんから穴」「目玉穴」「抜け穴」「立処鍾乳洞」におけるコウモリ頭数調査、「立処鍾乳洞」洞内気象測定第2弾(夏の部)、旧万場町・鬼石町地区における洞穴調査(予備調査)を目的として企画された。


8日8:00、志賀坂トンネル先の広場に集合。前回出来なかった叶山南面からの叶山鉱山の写真撮影を行うため、二子山林道に入る。撮影ポイントに到着したところ、前回より葉や草がかなり茂っており、視界が悪くなっていた。とりあえず数枚の写真を撮影し、地主宅へと向かう。

9:00、地主宅「木古里」に到着。高橋さんに挨拶し、今朝取れたばかりの新鮮胡瓜をいただく。縦に切った胡瓜と十石味噌との相性は抜群で、ここに来て良かったな〜と思う瞬間である。この間に地主孫娘・野々香画伯は何かのインスピレーションを受けたらしく、チラシの裏に数枚の絵を即興で書き上げ、村野・酒井に贈呈してくださる。テーマは「山羊」「鼠」「パンダ」などだが、鑑賞の際は地主娘・明美学芸員の解説が必要だ。将来プレミアがつくことはなさそうだが、しばらくとっておこう。

9:30、活動開始。「ちゃんから穴」「目玉穴」「抜け穴」のコウモリの頭数調査を行う。まずは「ちゃんから穴」に第6洞口から入洞。酒井と同行して最上部まで行った後、あちらこちらを覗いてみたが、キクガシラコウモリが飛来を含めて5頭確認された程度であった。30分ほどで出洞。

10:00、「目玉穴」に入洞。こちらはキクガシラコウモリ8頭、コキクガシラコウモリ24頭と、比較的多く確認された。特に上層部ではコキクがコロニーを形成していた。「目玉穴」も30分ほどで出洞。

11:00、「抜け穴」に第3洞口から入洞。村野は「忍びの坂」「隠し部屋」周辺を、酒井は竪穴「落とし穴」を下りて第2洞口までを調査する。ここでは飛来のコキクが13頭確認されたのみで、「グアノの川」「隠し部屋」ではコウモリがまったく見られなかった。

11:30、「抜け穴」出洞。「立処鍾乳洞」に向かう。東尾根に登りついたところで2人とも足が重くなってきたので昼食。尾根を越えていく風は心地よいが、風が止むと蚊の猛攻撃を受けてしまう。考えてみれば酒井との2人活動は初めてで、昼食をとりながら沈黙の時間が流れていく・・・。

13:00、「立処鍾乳洞」到着。洞内気象測定開始までまだ時間があり、2人とも洞口から吹き出す涼風に吹かれながらしばしまったりとする。

14:00、「立処鍾乳洞」の洞内気象の測定開始。体制は一応、風向・風力を酒井、気温・記録を村野としたが、2人しかいないので適当に交代しながら行う形となる。前回と同じポイントを巡りながら風向・風力・気温を順次測定していく。気温は主洞最奥部付近では前回とほとんど同じであったが、それ以外のポイントでは全体的に0.5〜1℃ほど高くなっていた。風力は前回より強くなっている箇所が多かった。支洞「第2枝穴」奥の風の吹き出しは今回も確認され、結構強いものであった。
洞内でディギング後、埋め戻された形跡を発見。以前からその場所に隙間があることは知っていたが、酒井と「死体でも埋まっているんじゃないか」と冗談を言い合う。このとき、これが翌朝の"悲しいお知らせ"を聞くもとになるとは2人とも予想だにしていなかった。

17:00、出洞。洞内の寒さのために「煮込みうどん喰いてー」と言いながら下山。

17:30、「木古里」到着。下界はやはり夏の暑さである。夕食は2人とも「冷汁うどん」になっていた。

18:30、酒井離脱。村野は「木古里山荘」に一人居残り、明日も活動を行う。

20:00、高橋さんの母屋に招かれ、晩酌を頂く。「ちゃんから穴」や「不二洞」の昔話を聞きながら楽しく夜は更けていくのであった。

23:00、消灯。
9日6:30、起床。

8:00、朝食、清掃を済ませて高橋さん一家に挨拶をする。この時、高橋さんから「木古里落書き帳」を見せていただき、7月25日にPCCが「立処鍾乳洞」で体験ケイビングを行った際、洞内で新空間を発見していたことが発覚。昨日ディギングされていた箇所であった。地R元に対して「測量してね!」とうれしそうに踊る文字に、村野は黙って目を潤ませるしかなかった。

8:30、野々香の「また来てねー」の声に送られ、「木古里」を出発。まずは神流町黒田の「むじな穴」の洞口確認である。10分ほどで黒田の聖沢寺に到着。寺の西側の沢から登山を開始し、20分ほどで沢の左岸に大きな転石がいくつか見られるようになる。洞口はこのあたりであろうと、沢の上流、下流とウロウロするが、なかなか見つからない。しぱらく探してようやく、河床から+1.5メートルほどのところにそれらしい洞口を見つけることができた。事前情報では洞口は0.5メートル程度と聞いていたが、確かに小さい。先があるのかどうか心配にもなったが、冷気が吹き出して洞口前の空気が白くなっていることから内部にはそれなりの空間があるのだろう。単独活動であるため入洞は次回とし、もとの道を引き返す。

9:30、聖沢寺出発。次は神流町塩沢の「コウモリ穴」を目指す。

10:00、塩沢の栃金田橋に到着。ここから上流側を見ると、左岸に大きな石灰岩体が見える。「コウモリ穴」はこの岩帯を回り込んだところにある。円形の洞口からは冷気が吹き出し、その名のとおりグアノ臭い。その後岩帯を基部に沿って少し探索する。

10:30、「コウモリ穴」出発。次の目的地は鬼石町大字坂原字露久保の「露久保鍾乳洞」である。ここは事前情報がまったくなかったので、現地でヒアリングするしかない。

11:00、露久保集落に到着。とりあえず農作業をしていたおばちゃんに「鍾乳洞どこですか」と聞くと、「あそこの植林の中」とあっさり分かってしまった。確かにそのあたりには小規模な石灰岩帯があり、洞口も簡単に確認することができた。この洞口の近くには小規模な洞穴も見つかり、「[仮]露久保鍾乳洞第2洞」とする。次回の測量物件である。

11:30、露久保集落出発。

12:00、「譲原地すべり資料館」なる興味深い博物館があったので寄り道し、地すべりの脅威と対策を学習。道の駅「上州おにし」で昼食。

13:30桜山温泉センター宇塩の湯で入泉後、帰京となった。


今回の活動では立処山洞穴群におけるコウモリの生態の一部を確認することができた。次回の「立処鍾乳洞」洞内気象測定は秋に行う予定である。今回確認した旧万場町・鬼石町地区の洞穴の調査・測量ならびに「立処鍾乳洞」新洞部の測量も近いうちに行いたい。(文責 村野哲雄)

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